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映 画
「春画先生」「キリエのうた」「テイラー・スウィフト:THE ERAS TOUR」などのとっておき情報
(2023年10月16日10:30)
映画評論家・荒木久文氏が「春画先生」「キリエのた」「テイラー・スウィフト:THE ERAS TOUR」などのとっておき情報を紹介した。
トークの内容はFM Fuji「Bumpy」(月曜午後3時、10月9日放送)の映画コーナー「アラキンのムービー・ワンダーランド」でパーソナリティ・鈴木ダイを相手に話したものです。
鈴木 スポーツの日!よろしくお願いします。
荒木 1週間前は真夏だったのに、いきなり⒒月の気候だそうですね。
気をつけないとね。今日はスポーツの日ですけど、ダイちゃんは最近スポーツはどうですか?
鈴木 あの…、コロナで寝込んだっていうスポーツですね(笑)。完璧に治ったら少し体動かそうかなと思っています。
荒木 そうだねー(笑)。ワンフォーレ甲府も頑張って欲しいですね。
鈴木 そうですね!
荒木 期待しています。秋はスポーツの秋でもありますが、芸術の秋、音楽の秋でもあります。今日はそのあたりから、作品をチョイスしてお送りします。
まずは美術関係から、絵です。絵と言っても…絵ではあるんですけども、ちょっと…なんというかね、春の絵なんですね。 はっきり言うと春画です。
鈴木 春画か!!
荒木 わかりますよね? 春画というのは、特に江戸時代に流行した性風俗、異性間・同性間のSEXの場面を描いた絵画ですね。
鈴木 昭和のAVと一緒ですよね。
荒木 浮世絵の一種でもありますが、笑い絵や枕絵とか呼ばれていて、知ってはいるけどあまり見たことないでしょ?
鈴木 僕、1回春画の写真集って見たことあります。
荒木 そうですか!まあね‥、その…、つまり結合部分や性器がデフォルメされてて…。
鈴木 けっこう、エグイですよね。
荒木 エグイですよね。テレビなんかは肝心な部分ぼかし入っちゃうんですけど、エグぐて、たまに外国人が「OH! ウタマロ!」とかいう…、変な先入観、誤解を生む原因になっているとかいないとか・・ですけど…。
ま、そんな映画の話です。その「春画」の魅力に取りつかれた研究者と弟子の師弟コンビが織りなす春画愛を描いたコメディなんです。タイトル「春画先生」。10月13日公開です。
「春画」の研究者である「春画先生」こと芳賀先生。彼は妻に先立たれて以来、世捨て人のように研究に没頭しています。そんな芳賀先生から春画の学問や鑑賞について学んでいる弓子さん。この弓子さんは、春画の奥深い魅力に次第にのめり込んでいくと同時に、師匠でもある芳賀先生に恋心を抱くようになります。
やがて、芳賀先生が執筆中の春画の研究書「春画大全」の若い編集者や、先生の亡き妻のお姉さんが登場することにより、いろいろな波乱が巻き起こります…、というストーリーなんですけども、出演者は、芳賀先生に内野聖陽さん。弓子は北香那さんという女優さんです、ほかに柄本佑さん、白川和子さん、安達祐実さんとか出てます。
弓子役の北香那さんって、画像があったら見てください。きれいな女優さんですよね。
鈴木 見てますよ。なんか透明感がありながら、なにか奥深さや何かを感じますね。
荒木 そうですね。今ね、「どうする家康」とかにも出ていますね。この北香那さんが、多分、もうちょっと年取るとダイちゃんの大好物になる感じの人ですけど(笑)、
ヌードとか、激しいベッドシーンもこなしているんですね。
鈴木 アッラララら…。
荒木 ご存じの安達祐実さんも、Sな女がよく似合っています。
鈴木 似合いますね。
荒木 監督は、塩田明彦さん。この人が脚本、原作も務めています。
この人、「月光の囁き」など何本か作っているんですが、ちょっとエロ系で、SMが得意の監督なんですね。今回この作品、R15+に指定されているんです。何故かというと、絵のその部分にぼかしがないんです。そのまま見せているんです。ですから、商業映画としては日本映画史上初めて無修正の浮世絵春画がスクリーンに映し出されるという、いわばる記念すべき?作品でもあるんですね。塩田監督、ここで名を残しちゃったわけなんですけども。
映画内容としては前半春画を巡って研究者が、春画をアカデミックにとらえて文化的に掘り下げて云々という、そこにちょっとユーモア入れた喜劇作品なのかな?と思ってたんですが、やはり塩田明彦監督、一筋縄ではいかなくてですね。特に、後半は春画自体があんまり出てこなくて、生の春画みたいな感じで、安達さんの見事なSMプレイだとか、北香那ちゃんの寝取られプレイとか、なんと申しましょうか、ディープで、見事な変態恋愛映画みたいな感じになってます。
鈴木 ちょっとー!! また私、見に行かなくならなきゃ…。
荒木 (笑)そうですね。これははっきり言って、かなりエロい愛の物語です。
だから、「変態ちっく純愛ラブ」とでもいいましょうか?
美術とか、浮世絵映画だと思って、家族とか、絵の好きなガールフレンドと行くと、めちゃくちゃ気まずくなりますので、その辺は十分に気をつけてください。
もともと春画は、名だたる浮世絵師たちが情熱を注いで書いたことで有名なんですけども、明治時代になると「猥褻画」になって、近年、ようやく浮世絵の一部として見直されてきているという皮肉な現象にもなるわけです。
そうそう「春画」を、ちゃんと美術としてとらえたい、知りたいという人はもう1本。「春画」の美の世界に迫るドキュメンタリーがあります。その名も「春の画 しゅんが」というタイトルで、来月、11月24日に公開されます。
鈴木 春画ブームなんですか?
荒木 そうかもね…。監督は平田潤子さんと仰るんですけど、日本はもちろん、海外にまで足を運んで美術コレクターや浮世絵研究家、美術史家、彫師、画家に取材して、エロだけじゃない多彩な表現内容や技巧、創造性に富んだ春画の魅力に迫っています。さらに春画をアニメ化して、江戸時代の人々が親しんだその世界をいきいきと描くアニメパートもあるそうです。吉田羊さんも声の出演をしていて、残念ながらこちらもR18+、だと思うんです。実は私もまだ観てないんで言えないんですけど、春画をきちんと捉えたドキュメンタリーもあります。
鈴木 よくわかんないけど、江戸時代に実際に春画を描く時って、目の前にそういうことをしてるモデルさん2人いたんですかね?
荒木 どうなんでしょうね…。ちょっと調べてみますね。芸術、絵の映画でした。
次は音楽映画です。ここから聴いてもらいましょうか。
♪~主題歌「キリエ・憐れみの讃歌」
これは名作「スワロウテイル」、「リリイ・シュシュのすべて」の監督で、熱狂的なファンも多い岩井俊二さんと、ミスチルやサザンでも有名な音楽プロデューサー・小林武史さんによる音楽映画なんです。
作品名が10月13日公開の、「キリエのうた」。
主人公は歌う時にしか声を出せない、喋れない、住所不定の路上ミュージシャンのキリエさん。
彼女を取り巻くのは、3人いて、1人目は行方不明の婚約者を捜す青年・夏彦さん。
2人目が女教師、小学校の教師フミさん。そして3人目が、キリエのマネージャーとなる謎めいた女性・イッコさん。この3人、キリエを含めた4人が、舞台を石巻、大阪、帯広、東京、そのなかで次々降りかかる困難に巻き込まれながら出逢いと別れを繰り返すという、13年間にもわたる愛の物語なんですね。
鈴木 不思議な4人だ。
荒木 そうなんです。で、キリエさんは、今年解散したグループ「BiSH」のメンバーです。アイナ・ジ・エンドさん。初主演ですね。今聞いていただいた歌、「キリエ・憐れみの讃歌」、主題歌なんですけども、このほか歌っているほか6曲くらい歌っています。
そして、行方不明の恋人を探す青年・夏彦役には「SixTONES」の松村北斗くん。小学校の女教師には黒木華さん、広瀬すずさんがイッコというマネージャーになります。
儚くて美しいけど残酷という岩井俊二監督の世界。時間軸が行ったり来たりするのはいつものことなんですけど、特にアイナさんの独特のオーラが非常に強いです。あの「スワロウテイル」でのCHARAさんを彷彿とさせる歌が圧巻です。
鈴木 あの雰囲気ね。
荒木 好きなんでしょうね、こういうタイプ。久しぶりの岩井俊二さんの作品で、178分と長いですけど…。
鈴木 長いね…。
荒木 3時間近いんですけど、長さ感じないですよ。音楽も素晴らしいです。
大変見ごたえありますんで、今年を代表する作品になること間違いありませんので、音楽好きの方は是非ご覧ください。
鈴木 荒木さん、推しですね!
荒木 はい。10月13日公開の「キリエのうた」です。
もうひとつ最後、10月13日公開「テイラー・スウィフト: THE ERAS TOUR」というコンサートムービーです。このテイラー・スウィフトは、ダイちゃんのほうの専門なんで、今更ダイちゃんに説明することはないんですが…。
鈴木 鈴木ダイが説明することもないくらいみなさんが知ってるよねー。
荒木 そうですよね。今年から始まって、これまでの彼女の音楽活動を時代ごと、Eraごとに区切って、1stアルバムから「1989」まで、この辺りまで、各時代の名曲を披露する集大成的ツアーなんですけど。実は、この作品いろんな大人の事情で、公開前に見ている人がほとんどいないんです。
鈴木 出た!出た!
荒木 というか見せてもらえません!私も見てないし、ダイちゃん是非観てもらおうと思って交渉したんですが、残念ながらNGなんです。
鈴木 あはははは。じゃあ誰も観てないんじゃないですか!
荒木 そうなんですよ。ほんの一握りの見たという配給会社の人の話だと、凄い!というだけで、どう凄いのか…。とにかくこのツアー観客動員数の世界新記録を樹立で、世界中でチケット争奪戦となっているらしいんですが、パフォーマンスをスクリーンに映し出しているということなんで。まあ、日本では公演は来年の2月ですよね。
鈴木 来日公演ね。
荒木 はい。東京ドームがありますので、チケットが入れば、これ観たことと同じになるんですが。
鈴木 実際に観たほうがいいですよね。
荒木 はい。もう8月から販売開始されているらしいですけどね。ということで、観てないのでちょっと熱が、伝わらないと思うんですが…。
鈴木 あはははは。
荒木 音楽ファンが多いこの番組で、公開されたら是非観ておくのも、手ですよね!。コンサートに行けるとは限りませんので。
鈴木 そうですね。
荒木 ということで大音響の映画館でご覧ください。10月13日公開「テイラー・スウィフト:THE ERAS TOUR」のお知らせでした。
鈴木 テイラー・スウィフトという名前が前に出てるだけで、映画の内容が無いっていう紹介、これ凄いですよね!
荒木 そうだよねー。
鈴木 みせてくれないっていう…。
荒木 ま、権利の関係とかね、それから…いろいろいろいろ…、大人の事情なんですよ。ほんの一握りの人しか観てないらしいですよ。
鈴木 あはははは。荒木さんが観てないくらいですから。
荒木 いやいや(笑)。音楽映画と、美術映画と言っていいのかわからないのですが、絵の映画のご紹介でした。
鈴木 ありがとうございました!
■荒木久文(あらき・ひさふみ)1952年生まれ。長野県出身。早稲田大学卒業後、ラジオ関東(現 RFラジオ日本)入社。在職中は編成・制作局を中心に営業局・コンテンツ部などで勤務。元ラジオ日本編成制作局次長。プロデューサー・ディレクターとして、アイドル、J-POP、演歌などの音楽番組を制作。2012年、同社退職後、ラジオ各局で、映画をテーマとした番組に出演。評論家・映画コメンテイターとして新聞・WEBなどの映画紹介・映画評などを担当。報知映画賞選考委員、日本映画ペンクラブ所属。
■鈴木ダイ(すずき・だい)1966年9月1日生まれ。千葉県出身。日本大学芸術学部演劇学科卒。1991年、ボストン大学留学。1993年 パイオニアLDC株式会社(現:ジェネオン・ユニバーサル)入社 し洋楽宣伝プロモーターとして勤務 。1997年 パーソナリティの登竜門であるJ-WAVE主催のオーディション合格 。
現在は、ラジオパーソナリティとして活躍するほか、ラジオ・テレビスポット、CMのナレーション、トークショー司会やMCなど、幅広く活躍。 古今東西ジャンルにこだわらないポピュラー・ミュージックへの傾倒ぶり&造詣の深さ、硬軟交ぜた独特なトーク、そしてその魅力的な声には定評がある。