「Winny」東出昌大、三浦貴大がWinny事件をめぐる緊迫の裁判劇を熱演

(2023年3月7日20:30)

「Winny」東出昌大、三浦貴大がWinny事件をめぐる緊迫の裁判劇を熱演
「Winny」(©2023映画「Winny」製作委員会)

2002年に開発された革新的コンピューターソフト「Winny」が当時大流行して、映画、音楽、ゲーム、写真などが違法にアップロードされ著作権が侵害される事態が相次ぎ社会問題になり、開発者の金子勇氏が著作権法違反幇助で逮捕・起訴された事件を題材に、弁護団と金子氏が警察・検察と全面対決する裁判の行方を描いた作品。

Winnyを開発した天才開発者・金子氏に東出昌大、金子氏を弁護して裁判に臨む弁護士・壇俊光役に三浦貴大のほか、弁護団に皆川猿時、和田正人、大竜麻生、池田大、そして主任弁護士・秋田真志役に吹越満、警察の裏金問題を告発する仙波敏郎巡査部長に吉岡秀隆。ほかに渡辺いっけい、金子大地、渋川清彦、金子氏の姉役で吉田羊などの多彩なキャストがそろった。

「Winny」東出昌大、三浦貴大がWinny事件をめぐる緊迫の裁判劇を熱演
「Winny」(©2023映画「Winny」製作委員会)

監督・脚本は自主映画「Noise ノイズ」(2019年)が国際映画祭で評価され、「ぜんぶ、ボクのせい」(22年)で商業映画デビューを飾ったばかりの松本優作。金子氏お考えに共鳴し、当時小学生だったため、事件の詳細を知らなかったが、真実を世の中に知ってもらうためにも本企画を快諾したという。
2023 年/日本・127分/製作:映画「Winny」製作委員会/配給:KDDナカチカ

■ストーリー

2002年、金子勇(東出昌大)がユーザー同士で直接データのやり取りができてファイルの共有が可能になる画期的なソフト「Winny」の開発に成功する。ハンドルネーム<47>で「2チャンネル」上で公開され、無料ということもあり大ヒットする。だが、これを使って映画や音楽、ゲームなどを違法にアップロードする著作権侵害がまん延して社会問題になる。20万人以上のユーザーがいて市街総額は数十億円に上ると報じられた。そうしたなか、金子氏が著作権法違反幇助の容疑で京都府警に逮捕され起訴される。金子氏に対するマスコミの批判的な記事が氾濫する中、サイバー犯罪に詳しい弁護士の壇光俊(三浦貴大)が弁護を引き受けることになる。壇は「ナイフで人を指す殺人事件が起きた時にナイフを作った人間を罪に問うことはできない」などと持論を展開し、警察・検察の「Winny」開発者摘発の矛盾を指摘して、刑事事件のスペシャリスト、秋田真志(吹越満)を主任弁護士に迎えて、真っ向から検察側と対決して裁判を戦っていく。

「Winny」東出昌大、三浦貴大がWinny事件をめぐる緊迫の裁判劇を熱演
「Winny」(©2023映画「Winny」製作委員会)



■見どころ

20年前の「Winny」事件がなんだったのかが詳細にわかるうえ、開発者の金子氏の天才ぶりや、オタクぶりを東出昌大がリアルに演じて存在感を見せている。著作権侵害の意図など全くなく、ひたすら革新的なコンピュータソフトの開発に没頭した金子氏を余すところなく描いている。そして、この新しいソフトがもたらした著作権侵害という問題にその開発者を摘発するという権力側の方針に異議を唱える弁護士役を三浦貴大が熱演。現役の弁護士を交えた模擬裁判を行い役作りをしたという法廷での検察側と弁護側の主張のやり取りや、金子の証言などはリアルで緊迫した攻防が続く裁判劇としても見ごたえがある。そして真実と正義に忠実であろうとする敏腕弁護士が、開発者ごと全部潰してしまおうとする権力の思惑と闘って無実の天才開発者を救出しようとするドラマとしても見ごたえがある。
(2023年3月10日(金) TOHOシネマズほか全国公開)