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今週のキーワード


トランスジェンダー経産省職員のトイレ使用制限は違法


戸籍上は男性だが、女性として生活する50代のトランスジェンダーの経済産業省職員が、省内での女性トイレの利用を不当に制限されたのは違法として国を訴えた訴訟の上告審で、最高裁は11日、使用制限の撤廃要求に応じなかった人事院の判定を「違法」とする判決を言い渡した。
2019年の1審東京地裁判決は、経産省の制限は不合理で、人事院の判定を違法と認め、原告勝訴の判決となったが、2021年5月の控訴審・東京高裁判決は経産省の制限は合理的だとして人事院の判定を適法と判断し、原告側が逆転敗訴していた。
原告は、上司が「手術を受けないなら男に戻ってはどうか」などと発言したことに対して損害賠償を求めていたが、国に11万円の賠償を命じた二審の判断も最高裁で確定した。

原告は男性として経産省に入省したが1999年に性同一性障害と診断されたという。ホルモン治療を受けて女性として生活しているが、性別変更する上で必要な性別適合手術を健康上の理由で受けられず、戸籍は男性のままだという。09年に女性として勤務したいと上司に伝え、化粧や服装、更衣室の利用は認められたものの、女性トイレは執務室から2階以上離れたフロアのものを使うよう制限された。原告は、経産省に制限を撤廃させるため人事院に救済を求めたが、人事院は2015年に経産省の対応に問題はないとして原告の主張を退けていたという。

経産省のトランスジェンダーに対するトイレ使用制限の背景には、自民党内のLGBT問題に対する”慎重派”の影響があるとみられる。LGBT理解増進法をめぐって、「不当な差別は許されない」とまるで「正当な差別」があるかのような文言の修正をごり押したといわれる自民党内保守派のある幹部は、記者団との囲み取材で、トランスジェンダーに女性トイレの使用を認めると、女装した男性が侵入するなどトラブルが増えるなどと発言し、「差別はだめだが区別は必要」などと「区別」という言葉を使うマヌーバーで差別撤廃にブレーキを踏んでいるのである。またLGBTのカップルに「彼ら彼女らは子供を作らない、生産性がない」とあからさまな差別発言をしていた自民・杉田水脈議員など、自民には差別主義者といわれても仕方がない議員が厳然と存在しているからこそ、20代は90%賛成しているとの調査結果も報じられているにもかかわらず、同性婚の合法化も遅々として進展していないのが現状だ。彼らは、今回の最高裁判決を受けて考えを改めるべきではなかろうか。【2023年7月11日】

「今日は憧れるのをやめましょう」


第5回ワールド・ベース・ボール(WBC)は21日(日本時間22日)、米マイアミで決勝が行われ、日本代表(侍ジャパン)が3-2で米国代表を破り、14年ぶり3度目の優勝を果たした。その試合前、大谷はロッカールームで、スーパースターがそろった米代表選手について「今日は憧れるのをやめましょう」「憧れてしまったら超えられない」「今日1日だけは憧れるのを捨てて勝ちに行きましょう」と激を飛ばした。このシーンから世紀の決勝戦が始まり、前夜の対メキシコ戦で奇跡的なサヨナラ打を放って覚醒した村上が2回に同点ホームランを放ち、4回に岡本がホームランを打ち、1回の今永から戸郷、高橋、伊藤、大勢、ダルビッシュ、そして9回に登板した大谷が、エンゼルスの同僚と最後に対決して三振に仕留めて劇的に世界一を奪還するという、漫画や映画でもここまでは描けなかっただろうというほどのドラマで日本列島を熱狂させた。これほどの大試合を前に大谷が試合前に語った「今日は憧れるのをやめましょう」という言葉はメジャーのスーパースター選手へのリスペクトと同時に、それを超えて行こうという、メジャーに二刀流で挑戦してMVPまで獲得した大谷だけに説得力があり、そして含蓄があり、野球に対する純粋な思いや世界一への夢などが詰まった映画のシーンのような名セリフだった。【2023年3月23日】
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「社会が変わってしまう課題」


「マイナスだ。秘書官室もみんな反対する。隣に住んでいるのもちょっと嫌だ。同性婚を認めたら国を捨てる人が出てくる」―。荒井勝喜・前首相秘書官が記者団に語った差別発言が波紋を広げ続けている。LGBTQに対するこれほどあからさまな差別発言が政権中枢から出るとは自民党政権内の本音が出たとしか言いようがない。岸田首相は「政府の方針と全く相容れず、言語道断」として荒井氏を更迭し「不快な思いをさせてしまった方々にお詫び申し上げる」と謝罪した。だが、そもそも、荒井氏の発言は、岸田首相が1日の衆院予算委で同性婚を認めない理由について問われ「全ての国民にとっても家族観や価値観、社会が変わってしまう課題」と答弁したことについて、記者から真意を問われた荒井氏がオフレコで話したことだったのだという。そういえば、「LGBTには生産性がない」と発言した杉田水脈議員を総務政務官に任命したのも岸田首相だった。相次ぐ差別発言が問題になり事実上更迭されたが「応援してくれる支持者はたくさんいる」などと”信念“を曲げていないようにみえる。荒井氏は首相のスピーチライターを務め、いつも首相に張り付いている。その荒井氏が「秘書官室もみんな反対する」といっている。G7の中で同性婚を認めていないのは日本だけだという。「社会が変わってしまう課題」というがLGBTQ問題はすでに世界では変わっているのに自民党政権が変えようとしななかっただけではないだろうか。更迭とか謝罪で済む話ではない。自民党政権を存続させていいのかが問われている。【2023年2月7日】

「異次元の少子化対策」

岸田首相が4日の年頭の記者会見で「異次元の少子化対策に挑戦する」と掲げ「6月の(経済財政運営の指針)『骨太の方針』までに将来的な子供予算の倍増に向けた大枠を提示する」 と宣言した。そして甘利氏は翌5日放送のBSテレ東番組で、「子育ては全国民が関わることで、幅広く支えていく体制を取らないといけない。(財源は)将来の消費税(増税)も含め、地に足をつけた議論をしないといけない」と語った。

岸田首相は「若い世代から、ようやく政府が本気になったと思える構造を実現したい」とも述べたが、語るに落ちるとはこのことではないか。今まで真剣に考えていなかったということを認めてしまったことになる。物価高が止まらず賃金は上がらず、国力は低下し、出産手当や教育の無償化も中途半端で、自公政権下で生み出されたそうした社会的構造を抜本的に変えていかないと少子化も解消されそうにないのに、消費税増税の可能性が先行している。「異次元」の内容はこれから考えるということか具体鉄器に語られず、「増税」だけが先行している。これでは「異次元」どころか「低次元」というしかない。

そうした中、8日に放送されたTBS系「報道特集」が、石垣島にミサイル基地建設が急ピッチで進んでいることを現地取材で報じた。「防衛費をGDPの2%に」との米国の意向に応じて、来年度から5年間の防衛費を43兆円に増額し、「専守防衛」の憲法を骨抜きにして、敵地攻撃を可能にする「反撃能力」を保持するという。これこそが「異次元」で、そもそも選挙で国民に問うべき重大な問題を閣議決定して、ミサイル基地の建設を急ぎ、2100億円でミサイル500発を購入することを決めてバイデン政権を喜ばせている。
麻生副総理は9日の福岡県での講演で「ロシアが北海道に攻めてこないという保証はない」などとトンデモ発言で危機感をあおったが、ロシアとウクライナの関係とロシアの日本との関係を同一視するというどうにもならない国際感覚でどうにもならない。
米国は中国の台湾侵攻を警戒して、日本に石垣島や与那国島にミサイル基地建設を急がせているのではないだろうか。「米国と協調した」敵基地攻撃能力を日本が持つのもそのためだろう。このままでは米国につき合わされて戦争に巻き込まれないという保証はない。支持率30%台にまで落ち込んでいる自公政権は、内閣改造や首相を変えて支持率回復を図るのではなく、民意を問うべきではなかろうか。【2023年1月11日】

「反撃能力」と「43兆円」

岸田政権は2023年度から5年間の防衛費を現行計画の1.5倍以上となる43兆円にすると発表。さらに米軍と協調して相手の領域内を直接攻撃する「反撃能力」を保有するという。財源を確保するために、物価高、円安、実質的賃金の低下などに国民が苦しむ中、増税し、さらには電気の節約をと呼びかける。まるで「欲しがりません勝つまでは」の時代のようなことになってきた。軍備拡張と日米軍事同盟の強化の先に、イスラエルとパレスチナの中東紛争やウクライナのような戦争に巻き込まれることはないと言い切れるのか。そもそも「攻撃の予兆」をどうやって判断するのかもあいまいだし、米軍は過去のイラクが大量破壊兵器を保有しているとしてバグダッド空爆に踏み切ったが、後に大量破壊兵器はなかった事が明らかになっている。仮に攻撃の予兆があると判断して、新たに配備するという巡航ミサイルのトマホークを敵基地に打ち込んだ時、相手の基地が瞬時にすべて破壊されない限りが反撃されて全面戦争になる可能性は否定できない。相手が核弾頭を搭載するミサイルを大量に保有していたら広島・長崎の二の舞にならないとも限らない。湾岸戦争の時に130億ドルという多額の戦費を負担したが人的貢献がなかった事に、当時アーミテージ米国務副長官が「ショー・ザ・フラッグ」(日の丸を見せろ)と自衛隊の派兵を要請する発言をしたことに象徴されるように、米国の有形・無形の圧力があったとしか考えられない。「専守防衛」を守り外交努力で戦争を回避するのが日本の立場だったはずだが、安倍政権は米軍の戦闘機を爆買いしてトランプ前大統領に賞賛された。岸政権はその路線を踏襲し、1発3億円ともいわれる旧式のトマホークを数百発買うともいわれている。ロシア軍のウクライナ侵攻が起き、中国が台湾を統一するために武力行使も排除しないと宣言し、北のかの独裁者がミサイルを連発している今が国防費を倍増するチャンスとばかり、憲法に定められた専守防衛を骨抜きにして米軍と一体化しようとしている。もはや”日本型ネオ・ファシズム“ともいわれる自民党政権を終わらせないと日本は軍事大国となり米軍と一体化して戦争する国になる危険性を否定できない。【2022年12月25日】

「基本的な姿勢」

20日の国会で山際経済再生担当大臣が、「(旧統一教会関連の)ネパールの会合で山際大臣がスピーチしている写真もあるが、その記憶もないんですか」などと旧統一教会との新接点を追求されて「ございません」と「記憶にない」を連発。立憲民主党の杉尾秀哉議員が「総理の本気度が問われているんですよ。今でも遅くないです。山際さんをクビにしてください」と山際大臣の更迭を要求すると、岸田総理は「この任命から後の時点で当該団体との関係が明らかになった場合は閣僚はやめていただく。これが基本的な姿勢であります」と答弁。大臣に任命後に関係があったら辞めさせるのだという。山際大臣に次々と明るみに出る過去の旧統一教会との関係や、国会答弁で「記憶にない」を連発する不誠実な答弁や、そもそも自らの政治活動に対する記憶の欠如など、到底大臣、いやそもそも政治家として失格ではないか。それでも開き直りを続け逃げ切りを図る岸田政権。内閣支持率30%を下回る世論調査(時事通信)もあり、一日も早く解散して自公政権を終わりにするべきではなかろうか。【2022年10月24日】

「辺野古移設が唯一の解決策」

11日投開票の沖縄県知事選は、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古移設に対して「新基地建設を止める」と主張していた現職の玉城デニー氏(52)=立憲・共産・れいわ・社民・沖縄社会大衆水産=が、米軍基地の辺野古移設を「容認」して「普天間基地の2003年までの返還」を掲げていた前宜野湾市長=自公推薦=の佐喜真淳氏(58)を破り再選された。またしても自公政権に「辺野古移設NO」の民意を突きつけたことになる。

ところが松野官房長官は12日の会見で、「日米同盟の抑止力の維持と米軍普天間飛行場の危険性の除去を考え合わせた時、辺野古が唯一の解決策」と、またしても従来の政府見解を繰り返した。沖縄県民の民意には1ミリも寄り添うことなく「辺野古移設」を死守。いくつもあるはずの善後策を考える気配はかけらもない。背景には“米軍の「浮沈母艦」OKINAWA”を存続させようとする米国の思惑が見え隠れする。湾岸戦争の時、130億ドル(現在のレートで1兆8500億円!)という巨額の戦費を負担しながらも人的貢献がないとしてアーミテージ米国務副長官が「ショー・ザ・フラッグ」(日の丸を見せろ)、つまりは日本もほかの連合国のように自衛隊を戦場に派遣しろと迫ったということが報じられたが、そうした陰に陽に米国の圧力が政権に「辺野古移設が唯一の解決策」と言わせている可能性は否定できない。

閣議決定を連発し、旧統一教会とのズブズブの関係を第三者機関に調査させ処罰も行うのではなく、自民党の手前味噌の「検査」で逃げ切りを図り、さらには各マスコミの世論調査で安倍元首相の「国葬」に対する反対が賛成を大幅に上回っているのも無視して16億6000万円を投入して強行。そして沖縄の民意も無視。独断専行3連発の自公政権は民意とはかけ離れ暴走しているといわれても仕方がない。国葬(午後2時から日本武道館)と同時刻に行われる「安倍元首相『国葬』反対!9・27国会正門前大行動」(主催:安倍元首相の『国葬』に反対する実行委員会)が注目される。【2022年9月13日】

「率直にお詫び申し上げます」

世界平和統一家庭連合(旧党一教会)と自民党の底なしの癒着関係が次々と明るみに出る中、岸田首相は8月31日、記者会見で「自民党総裁として率直にお詫び申し上げます」と謝罪したが、「お詫び表明」だけで済まされる問題ではない。霊感商法などで被害者が多数出ている反社会的な旧統一教会と癒着し、選挙の票集めに利用し、批判をかわすために団体名をソフトな名前に改名することを許し、教会の思想を政策に取り入れるなどしていた行為は、「当該団体との関係を断つ」のは当たり前で、第三者機関などによる徹底的な実態の解明と公表が最必要だ。一方で、安倍晋三元首相の国葬をめぐって批判が渦巻き、国会前では連日のように反対デモが起きている。この2つの問題はただちに衆院を解散して民意に問うべき問題ではなかろうか。(2022年9月1日)