アジア系高齢女性へのヘイトクライムで犯人逮捕 男に母親殺害の前科報道

(2021年4月1日12:00)

ニューヨークで白昼に65歳のアジア系女性に残忍な暴行を働いた男がニューヨーク市警に逮捕されヘイトクライム(憎悪犯罪)の暴行罪などで訴追された。男には母親殺害の重大前科があったと米サイトが報じた。

米サイト「TMZ」によると、マンハッタン地区の検事サイ・ヴァンス・ジュニア氏は憎悪犯罪としての第2級の暴行罪2件と、憎悪犯罪としての第1級の暴行未遂罪1件でブランドン・エリオット被告(38 )=上の写真:ニューヨーク市警の公式ツイッター=を訴追したと発表した。

エリオットは3月29日(現地時間)、マンハッタンのミッドタウンで、教会に向かっていた65歳のアジア系女性を地面に叩きつけ、頭を蹴るなど暴行を働いた。暴行の様子が映った監視カメラの映像が公開されて波紋が広がった。ニューヨーク市警によると、エリオットは3月31日の真夜中過ぎ(現地時間)に2件のヘイトクライムの暴行容疑で逮捕された。

エリオットは取り調べの際、警察が公開している写真に写っている男が自分だと認めたという。被害者が死亡したかどうかわからないため、暴行で尋問されているのか殺人なのかと捜査官に何度も尋ねたという。

ニューヨーク市警は公式ツイッターに男が女性に暴行する様子が映った監視カメラの映像を公開(下のツイッター)して情報提供を呼び掛けていた。寄せられた複数の情報から身元や住居が判明した。彼には重大な前科があることも判明したという。2002年に母親を殺害した罪で服役したが2019年11月に仮釈放されたという。

女性への暴行は近くにいたビルのスタッフに目撃され、彼らが彼女を助けようとしなかったことがビデオに映っていた。警察によると、エリオットは暴行したときに「F*** you, you don't belong here」(ファック・ユー、お前はここにふさわしくない)などとアジア系憎悪の発言をした後、何事もなかったかのように現場を去ったという。被害者の女性は骨盤を骨折し、頭や足にも怪我を負った。彼女を助けるために何もしなかったビルの従業員は停職処分となり、彼らの行為についての調査が行われているという。

ニューヨーク市警は3月27日午後8時ごろ(現地時間)、Kosciuszko駅の「J」トレインの中でアジア系男性に暴行を加えた男の写真を公開して情報提供を呼びかけている。犯人逮捕につながる有力情報に最大で2500ドル(約27万5000円)の報奨金が支払われるという。(上のツイッター)