ミーガン・ラピノ―がニプシー・ハッスルのラップでW杯女子サッカー優勝を祝う

(2019年7月9日)

サッカー女子W杯フランス大会で優勝した米国代表のキャプテン、ミーガン・ラピノ―(34)が自身のインスタグラムで、ラッパー、ニプシー・ハッスルの歌詞を引用して優勝を祝った。

米紙ニュヨーク・ポスト(電子版)によると、決勝でオランダを2-0で下した米国代表のキャプテンで、自らPKを決めるなど優勝に貢献したラピノ―は、自身のインスタグラムに大会優秀選手と得点王のトロフィーを手にした写真を投稿し、3月に凶弾に倒れたラッパー、ニプシー・ハッスルの歌詞を引用して優勝を祝った。

ニプシー・ハッスル
ニプシー・ハッスル(Instagram/@nipseyhussle)

「クレジットにつまづいて倒れたりはしないさ、支払は全部済ませたところだ。ゲームをリスペクトして今はニュースに全部俺の名前」と写真にキャプションをつけたラピノ―。これはハッスルの曲「Hussle and Motivate」の歌詞から引用したものだという。さらに続けて「すべての私の活動にこれを引用した。もっと多くのことを真実であると証明するためにー@ニプシー・ハッスル」などと続けた。

ハッスルは3月31日、南ロサンゼルスにある自身の衣服店「マラソン・クロージング」の前で知人の男エリック・ホルダー(29)に銃撃されて死亡した。ホルダーは4月2日に逮捕された。

 「優勝しても”くそったれホワイトハウス”には行かない」

レズビアンであることを明らかにし、「同性愛者なしのチームで優勝はできない。同性愛者であることと、(LGBTQの)プライド月間中のW杯で輝けたことは素晴らしい」と発言。さらには「ワールドカップに優勝しても、ファッキング(くそったれな)ホワイトハウスにはいかない」などと発言してきたラピノ―。優勝後の記者会見では、W杯の優勝賞金の男女の格差について言及して「話し合いの席について対策に取り組むべき」と訴えた。ラピノ―は米国サッカー連盟(USSF)による性差別を糾弾して、平等な賃金と労働条件を求めて訴訟を起こした米代表チームのリーダー格として活動してきた。

2018年の男子W杯ロシア大会の賞金総額は過去最高の4億ドル(約423億円)で優勝賞金が3800万ドル(約41億円)だったが、女子の今年の賞金総額は3000万ドル(約32億4000万円)で優勝賞金は400万ドル(約4億300万円)と男子の10分の1以下だ。FIFAは、次の女子W杯(2023年)で賞金を倍にすると発表したが、ラピノーは平等にはほど遠いと批判。「今大会を2倍にして、次回はその2倍か4倍にすべき」と訴えたという。

 帰国した米代表チーム「ウィー・アー・ザ・チャンピオン」の大合唱

8日、チャーター便でニュヨークの空港に到着した代表チームは詰めかけた報道陣を前に、シャンパンを飲みながらクイーンの「ウィ―・アー・ザ・チャンピオン」を大合唱するなど喜びを爆発させた。
トランプ大統領は米代表の優勝をツイッターで「米国はあなたたち全員を誇りに思う」と祝福したが、ホワイトハウスに招くかどうかは「まだ考えていない」と語ったという。そうしたなか、米代表チームのアレックス・モーガンの「紅茶パフォーマンス騒動」での男女格差を指摘する発言や、ラピノ―の一連の言動はスポーツの枠を超えてLGBTQの差別や男女の賃金格差からトランプ大統領の政策などに真っ向から「No」と発言して改革のために闘う社会派スーパー・アスリートの登場として注目される。