周庭氏中国の「国家安全法制」に猛反発「中国政府による香港の完全破壊が始まった」

(2020年5月24日)

中国政府が北京で開催中の全国人民代表大会(全人代)で、香港で国家分裂や政権転覆の活動を禁じるための国家安全法制度案の審議が開始されたことに22日、香港や欧米諸国から、香港の「高度な自治」を認める「一国二制度」を揺るがすものと反発が起きている。 そうしたなか、香港の民主化運動の香港衆志(デモシスト)メンバー、周庭(アグネス・チョウ)氏(23)はツイッターで「中国政府による香港の完全破壊が始まった」と猛抗議した。

中国の国家安全当局が香港に出先機関を設置して直接取り締まることも可能になる国家安全法制は、昨年、「逃亡犯条例」の改正をめぐって大規模デモが続いたことに危機感を持った中国・共産党が、新法案で香港の民主化運動を封じ込めようとするものとみられている。

周庭氏はツイッターで「中国政府による香港の完全破壊が始まった。昨日、中国全人代が香港に直接「国家安全法」を立法することを発表した。これは、香港の立法会で審議せず、中国政府が直接香港の法律を制定するということ。デモ活動や国際社会との交流などがこれから違法となる可能性が高い。一国二制度の完全崩壊です」と訴えた。

さらに「今回の国家安全法は明らかに国際社会との交流を狙って作った法律です。過去数年間、香港人と国際社会との繋がりが増え、米国では香港人権民主法案も可決。私が所属する政治団体デモシストは最も国際連携の多い団体として、これから活動禁止されるかもしれませんが、諦めず戦っていきたいと思います」と闘争を宣言した。

中国の香港統制強化案は香港民主派だけでなく欧米諸国も非難しており、ポンペオ米国務長官は22日、「香港の立法プロセスと民意を無視する決定は、高度な自治を認めた返還合意時の約束の破滅につながる」などと中国を非難する声明を発表した。だが、中国は「内政干渉は許さない」と全人代での法案可決と施行に向けて強硬姿勢を崩しておらず、香港情勢は再び緊迫している。