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映 画
アラキンのムービー・ワンダーランド/「マジック・マイク ラストダンス」「ホーリー・トイレット」「有り、触れた、未来」などのとっておき情報
(2023年3月11日11:30)
映画評論家・荒木久文氏が「マジック・マイク ラストダンス」「ホーリー・トイレット」「有り、触れた、未来」などのとっておき情報を紹介した。
トークの内容はFM Fuji「Bumpy」(月曜午後3時、3月6日放送)の映画コーナー「アラキンのムービー・ワンダーランド」でパーソナリティ・鈴木ダイを相手に話したものです。
鈴木 よろしくお願いいたします。
荒木 いいよいよ3月に入っていろいろ、卒業式のシーズンでもありますけど、映画業界も春休み映画シーズンの開幕ですね。
先週は、30本近い作品が公開されてですね、今週は20本ぐらい…ということで、10日余りでおおよそ50本の作品が公開されるんですよ。
鈴木 春が来ましたねー。
荒木 そうですね。今日はこの中から、ちょっと目立ったものとか注目作をちょこっとづつ紹介していきます。
先週から公開の作品では、まず、春になると出てくる、つくし。そんな感じですね。国民的アニメ「ドラえもん」の長編映画ですね。42作目なんですね。
鈴木 うわっ!
荒木 今回は、空に浮かぶ理想郷…、ユートピアですね。これを舞台に、ドラえもんとのび太たちが繰り広げる冒険を描きます。
「映画 ドラえもん のび太と空の理想郷 (ユートピア)」。今回はあの大河ドラマ「どうする家康」の人気脚本家の古沢良太が脚本を初めて手がけたんです。ゲスト声優には永瀬廉君なんかも出ています。
鈴木 はい。
荒木 2本目。同じく今週公開ですね。男性ストリップダンスの世界とその裏側をチャニング・テイタム主演で描いたヒット作がありまして、「マジック・マイク」って言うんですけど。
鈴木 マジック・マイク…(笑)。
荒木 そのシリーズ最終章となる第3弾。タイトルも「マジックマイク ラストダンス」というね。相変わらずのムッキムキのチャニング・テイタムですよ。腰の動きがもうなんとも卑猥で卑猥で、しかたないですけどね。
鈴木 女性、しびれちゃう方いっぱいいるんでしょうね。
荒木 そのうえ、大勢のムキムキイケメンダンサーが、これでもかと勢ぞろいで腰をくねらせていますんで、圧巻です。
鈴木 圧巻ですか!(笑)
荒木 そうそうこれもユニークで面白いです。3本目は「ホーリー・トイレット」っていうドイツの作品です。仮設トイレに閉じ込められて、そのトイレがひっくり返ってしまって、絶体絶命の危機に陥った男を描いたシチュエーションスリラーといいますかね。
鈴木 あはははは。
荒木 仮設トイレの、ひっくり返ったトイレの中だけで全編が進行する設定なんですよ。もうエログロで、世界中の映画祭で話題を集めているらしいんですけどね。
とにかく、すごく痛くて怖くて臭くて…、あ!臭そうで、ね。なんとも今年一番のグロ映画と言っていいと思いますよ。
鈴木 おー!
荒木 こういうのダメな人は10分でギブアップでしょうね。
鈴木 好きな方は、永遠に見ていられるんでしょうね。
荒木 そ!血だらけうんこだらけ、臭ってきそうですね。「ホーリー・トイレット」という作品です。
さて、3月11日は東日本大震災から12年目です。震災関連の映画を1本ご紹介しますね。
「有り、触れた、未来」という作品です。
これも10日の公開ですが、舞台は震災後10年経った宮城県です。その地で、改めて生きることに向き合う人々の物語を描いたドラマですが、群像劇です。震災に見舞われたある町に暮らす様々な人々が主人公です。共通なのは、ギリギリ命と向き合う問題を抱えていることです。それぞれの物語がちょっと複雑に重なって、人々の生活が、人生が交錯するっていう作品です。うまく作ってあります。「有り、触れた、未来」という、震災関連の作品です。
鈴木 うん。
荒木 それと、これも10日公開です。「Winny」という作品なんですが…。
ダイちゃん、ウィニーって覚えてますかね? お互いのデータのやり取りが簡単にできるファイルソフトがありましたよね?
鈴木 あ!あったねー!
荒木 ありましたよね。色んなものが流出したり…、大変な…。覚えてますよね? その後、このソフトの開発者が逮捕されるんですね。著作権違反幇助という罪で。で、裁判が行われるんですが、あまり報道されてないので知ってる人は少ないと思うんですけど、結局被告は無罪を勝ち取るんです。この一連の事件を、久しぶりに出演の東山昌大さんが主演で映画化した作品なんです。
鈴木 はい。
荒木 なかなか、見ごたえのある骨太な作品。ある意味、裁判ドラマと言ってもいいんですけど、当時、悪の権化みたいに報道がされていましたよね、ウィニーって。
だけど、この事件、実は本当のところはもっと別のところにあるという事で、開発者の姿とか、新しく技術を作ることと、それを間違って使わないという、そういう事を守ることの大切さがよくわかる作品になっているんですよ。なかなかの日本映画、骨太で渋い、面白い作品です。「Winny 」です。
鈴木 うーん。
荒木 という事で、このところ公開の話題作を紹介しましたけど、いよいよ来週月曜日、アカデミー賞の発表ですね。このコーナーでは、ずいぶん前から取り上げてきましたが、来週のこの時間は速報でお送りしたいと思っているんですが…。ダイちゃん、そう言えば早速「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」、観ていただいたそうですね。
鈴木 「エブエブ」! これね、私、2回フルで観ましたよ!!
荒木 えっ!?そんなに?
鈴木 ワタクシ、この半年間で観た、全てのジャンルの映画の中でトップ2か3ぐらいに入りますよ!
荒木 へぇー。凄い評価ですね。
鈴木 あはははは。最高に面白かった、これ。
荒木 あーそー!アカデミー賞的な、選考委員的な発想ですね。
鈴木 ワタクシ、今日から選考委員になってもいいかなと思うぐらいなんですけど。
荒木 そうですかー、べた褒め!
鈴木 このよくわからなさ感が面白くて、このマルチバースとカンフーで世界を救うっていうコピーだけ見てたら、何かよくわからないなと思いながら観ていたら、本当によくわからないんだけども、そのよくわからない世界観にいくらぐらい自分が浸れるかが問われてる感じがして、めちゃ面白い!これは。
荒木 そうですかー、それは良かったですね。
鈴木 めちゃ面白い!これは。
荒木 今ね、勢いを止められないみたいですね。ほぼほぼ取っちゃうんじゃないかっていう、そういう勢いらしいですよ。あんまり私も確定的なことを言うと、又 恥をかくんで言わないんですけど、凄い勢いでどんどん取ってきてるらしいですね。
鈴木 所々、人生の哲学感みたいなものもこっちに問うてきて、非常に面白いですね。
荒木 わかりました。来週楽しみですね。
鈴木 是非取って欲しいわー!
荒木 他には「TAR/ター」とか、「ザ・ホエール」とか、色々あるんですけど、賞に絡んでる作品が。私も観せて頂いてるんですけど、それは5月か6月の公開なので、またその時にご紹介しますね。
鈴木 わかりました。
荒木 話はかわるのですが、ダイちゃんはアメリカのブロードウェイとか、若い時行ってます?!
鈴木 観ました!「オペラ座の怪人」もニューヨークで観たし、バディ・ホリーの伝記ドラマ、「バディ」もニューヨークで観ましたし…、結構観ました。
荒木 そうですかー、なるほど。 何でこんなことを聞くのかと言いますと、 本場ブロードウェイのミュージカルや、海外作品を特別に撮影してそこに字幕スーパーなどをつけて日本の映画館で上映するという映像イベントがあるんです。
鈴木 いいね!
荒木 「松竹 ブロードウェイシネマ」というのがそれなんですけど。松竹さんがオペラやバレエを撮影して、楽屋の様子まで付加価値をつけて日本でやってるっていう…、昔、METライブビューイングって紹介しましたよね。他にも「シネマ歌舞伎」もこの番組で紹介したんですけど、今回初めて「松竹 ブロードウェイシネマ」をご紹介したいと思います。実はこの企画は6年目を迎えるんですね。これまで、あの大ヒットミュージカルの「キンキー・ブーツ」はじめ多くのミュージカル作品を上映してきたんです。で、今回7年目を迎え、3月10日公開される作品が、なんとあのビリー・ホリディに関しての作品なんです。
鈴木 おおー!!
荒木 「ビリー・ホリデイ物語 Lady Day at EMERSON7S BAR &GRILL」です。
この作品はブロードウェイを中心に活躍する、オードラ・マクドナルドという女優さんが、伝説的ジャズシンガーのビリー・ホリデイを演じた大ヒット舞台を収録したものです。
鈴木 いいぞ!
荒木 そうなんですよー。1959年3月、フィラデルフィアの小さなジャズクラブでステージに立つんですが、実は彼女は、このあとわずか4カ月後に死を迎えることになるんです。この夜、観客たちの前で人生最後の圧巻のパフォーマンスを繰り広げるんですけど。辛らつでユーモラスなトークを交えながら、ジャズの名曲の数々を歌い上げるんですね。ビリー・ホリディを演じたオードラ・マクドナルドという女優さんは6度のトニー賞受賞するというね…。
鈴木 凄いね!
荒木 凄いんですよ!すばらしい映像と音響で、我々はまるで当時のライブ会場にいるような感じです。このシリーズ、今後注目です。なかなかね、コロナ後ですけどブロードウェイに行けないんで、「松竹ブロードウェイシネマ」次の作品も、今度はロンドン、イギリスもので「ザ・ウィローズ」決まっているようですけど、オンラインでも観られるようなんで詳しくは ホームページをご覧ください。「ビリー・ホリデイ物語」。「松竹 ブロードウェイシネマ」のご紹介でした。あとこの曲…。
鈴木 ビリーの曲をかけましょう。ありがとうございます。
■荒木久文(あらき・ひさふみ)1952年長野県出身。早稲田大学卒業後、ラジオ関東(現 RFラジオ日本)入社。在職中は編成・制作局を中心に営業局・コンテンツ部などで勤務。元ラジオ日本編成制作局次長。プロデューサー・ディレクターとして、アイドル、J-POP、演歌などの音楽番組を制作。2012年、同社退職後、ラジオ各局で、映画をテーマとした番組に出演。評論家・映画コメンテイターとして新聞・WEBなどの映画紹介・映画評などを担当。報知映画賞選考委員、日本映画ペンクラブ所属。
■鈴木ダイ(すずき・だい)1966年9月1日生まれ。千葉県出身。日本大学芸術学部演劇学科卒。1991年、ボストン大学留学。1993年 パイオニアLDC株式会社(現:ジェネオン・ユニバーサル)入社 し洋楽宣伝プロモーターとして勤務 。1997年 パーソナリティの登竜門であるJ-WAVE主催のオーディション合格 。
現在は、ラジオパーソナリティとして活躍するほか、ラジオ・テレビスポット、CMのナレーション、トークショー司会やMCなど、幅広く活躍。 古今東西ジャンルにこだわらないポピュラー・ミュージックへの傾倒ぶり&造詣の深さ、硬軟交ぜた独特なトーク、そしてその魅力的な声には定評がある。