「未体験ゾーンの映画たち2023」と第95回アカデミー賞のとっておき情報

(2023年1月27日10:45)

映画評論家・荒木久文氏が「未体験ゾーンの映画たち2023」と第95回アカデミー賞のとっておき情報を紹介した。
トークの内容はFM Fuji「Bumpy」(月曜午後3時、1月23日放送)の映画コーナー「アラキンのムービー・ワンダーランド」でパーソナリティ・鈴木ダイを相手に話したものです。

鈴木      荒木さ~ん、よろしくお願いします。

荒木      こんにちは、よろしくお願いします。まず先々週ご紹介した「未体験ゾーンの映画たち2023」。後半に入りましたので、ちょっとこのお知らせをしたいと思います。 東京地区は渋谷のヒューマントラストシネマ渋谷で行われていますけど、前も言いましたように、いい役者や、面白い内容なのに、宣伝予算がないからってね、お蔵入りしてしまうかもしれない作品をですね、もったいないので上映しちゃおうっていうのが、この「未体験ゾーンの映画たち」ということなんですよね。

鈴木      はい。

荒木      これは1カ月程の開催なんですが、今週から後半戦に入ります。その中からいくつか、ダイちゃん好みも含めてご紹介しようと思います。 ホラーなんですが、面白いのが「ユーアー・ノット マイ・マザー」、2月3日からです。あなたは私の母ちゃんじゃないって言うね。ある少女の母が失踪してしまうんです。ま、戻ってくるんですが、母親は性格も立ち振る舞いも全く前と違っていたという…。

鈴木      出た!そのパターンか。

荒木      そう、そのパターンのお話です。それからダイちゃんの好きなサメもの。 「ジョーズ・バケーション」というちょっと皮肉なタイトル。

鈴木      なんだろうね、それ。

荒木      これも2月3日からなんですけど。これはあの「バットガール」のアリシア・シルバーストーンっていう、可愛いお嬢さんだった美人。奥さん役なんですけども、ベトナムに心身を癒しに来た夫婦が、水上のコテージに泊まるんですね。 突然の嵐で沖に流されちゃうんです。漂流する二人に狂暴なサメの群れが次々に…というね。

鈴木      あっはっはっは。

荒木      ま、サバイバルものですね。これも楽しみです。定番ですが、かなり凄いですよ。他にも有名俳優さんが出ている作品もあってですね、あのザックエフロンとか、ブルースウィルスね!それから、メル・ギブソンのスリラーとかもありますので、どれを見ようか迷いますよね。

鈴木      何でロードショーやんないのー。一般公開っていうか。

荒木      ね!ま、一週間限定でやりますので、是非観ていただきたいと思います。 「未体験ゾーンの映画たち2023」2月9日までですね。東京のヒューマントラストシネマ渋谷でやってます。…という事で、この季節、そろそろアカデミー賞の話題が出るんですね。

鈴木      来たー!もうそうですよ。

荒木      そうなんですよ。今日からアカデミーの話題をお話していこうかと思います。 今年2023年は第95回ですね。明日、ノミネート発表になるんですね。  本選は3月13日です。又この番組でもお話したいと思います。今年の特徴は、バラエティに富んだ作品がノミネートされるであろうということです。 皆さんご覧になっているであろう、ダイちゃんも観ている「トップガン マーヴェリック」や「アバター:ウェイ・オブ・ウォ―ター」なんかが、普段だと大型の娯楽作品はノミネートされにくいんですけども。

鈴木      される?される?

荒木      されるんですよ!多分ね。 最近は芸術的な香りの作品ばかりでなくて、こうした娯楽的要素のあるものもノミネートされています。

鈴木      正しい!正しいですそれ!

アラキンのムービー・ワンダーランド/「未体験ゾーンの映画たち2023」と第95回アカデミー賞のとっておき情報
「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」(公式サイトから)

荒木      そうですよね。原因はいろいろ考えられるんですが、アカデミー会員の増加と多様化も大きな要因じゃないかと思います。そして今年は、どの賞も大混戦と呼ばれているんです。混戦ですって。具体的にはどんな作品、俳優さんが有力で混戦なのでしょうか?という事をお話しますけど。
注目はなんと言っても作品賞なんですが、作品賞、色々あります。 現時点で作品賞候補の本命と言われるグループはですね、作品名言いますね。「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」、「トップガン マーヴェリック」、「イニシェリン島の精霊」という作品あたりがトップグループなんですよ。続いて、「フェイブルマンズ」、「TAR/ター」、「バビロン」、それからダイちゃんも行っていただいた「エルヴィス」など。これらの作品はさあ、どうして、有力候補と呼ばれるのでしょうかねぇ?ダイちゃん!

鈴木      まず、興行収入、芸術性、訴える多様性…、あとは選ぶ方々の好み。

荒木      ま、そうですね! それが具体的に表れてくるのが、実はアカデミー賞の前にアメリカの映画賞がいくつもあるんですね。

鈴木      はいはい!!

荒木      毎年そこで選ばれた作品や俳優が、そのまますんなりアカデミー賞に選ばれることが多いんです。逆に言うと前哨戦の賞に選ばれていない作品や俳優はアカデミー賞に、ぽーんと受賞と言う事はないと言い切れるわけなんですね。 その映画賞は何かというと、全米批評家協会賞とか、聞いたことあると思うんですが、ゴールデングローブ賞なんかね。10から15個ぐらいあるんですかね。それぞれが独自の歴史や個性のある賞なんですが、これらの映画賞の結果を見ているとですね、どんな作品や俳優が、いま波に乗ってきているのかっていうのが何となくわかって来るんですね。

鈴木      そうか、傾向がわかるわけですね。

荒木      そうです。例えば「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」。長いので「エブエブ」と言われているんですが、これは奇想天外な設定なんですよね。カンフーとSFのマルチバース(並行宇宙)を掛け合わせたSFで、ごくごく普通の中年のおばちゃんが、マルチバースを行き来して、カンフーマスターとなるんです。

鈴木      (笑)いいなー!

荒木      いいでしょ!異色のアクションアドベンチャーなんですが。主演はミッシェル・ヨー、助演キー・ホイ・クワンって人なんですけども。この作品ね、さっき言ったこれまで11の映画賞発表されたんですけど、そのうち作品賞6個、取ってるんですよ! さらに主演女優賞を4つ、助演男優賞を8個取ってるんですね。この時点で。

鈴木      えーっ!どうしてそんなに評価されてんの?

荒木      そうなんですよねー。SFで娯楽作品なんですけども、発想が面白いというか…、そういうこともあるんでしょうねぇ。私は、まだ観てないんですけど。そういうわけで、今のところ大本命と呼ばれているんですよ。

鈴木      へーっ‼

荒木      日本では3月4日公開なんですけど。どうなるかという事なんですけども。あ!途中で言っちゃおうかな。このラジオお聞きの皆さんだけ、いつも私の放送をお聞きいただきお世話になっているので特別にこの映画、「エブ・エブ」観ていただこうかと思って。チャンスを差し上げたいと思います。

鈴木      (拍手)

荒木      あのー、この大本命。今のところ大本命と言われている「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」、この数少ない試写会があるんです。このご招待を強引に頂いてきましたので差し上げたいと思います。
 都内なので恐縮なんですけども、2月22日(水曜日)、東京・神田の一ツ橋ホールで行われる試写会に3組6名様ご招待します。 詳しくはダイちゃんから後でくわしくね…。 これ、今のところ本命と言われています。

鈴木      おいおいおい!!

荒木      ただね、色んなパターンあって、本命と言われている作品でも、必ずしもすんなりいくとは限らないですね。昨年、ほら「CODA/ 愛の唄」などは、追い上げて受賞しています。その前の「パラサイト」なんかも、直前で評判が上がって、追い上げて差したっていうパターンでした。

鈴木      まだまだわかんないなー。

アラキンのムービー・ワンダーランド/「未体験ゾーンの映画たち2023」と第95回アカデミー賞のとっておき情報
「イニシェリン島の精霊」(配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン)(TOHOシネマズ シャンテほか全国公開中)(©2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.)

荒木      今回も、他にはケイト・ブランシェット主演の「TAR/ター」という作品とか、スピルバーグ監督の自伝的な映画と言われている「フェイブルマンズ」ね、それから「ザ・ホエール」。これも観ましたけど素晴らしい作品ですよ。これらの作品などがぐんぐん追い込んで伸びてくるんじゃないかと思いますけども…楽しみです。今日はその候補作の中で、公開が近いもの、ひとつかふたつ紹介したいけど、どのくらい紹介出来るかな? まず「イニシェリン島の精霊」という作品。1月27日今週金曜日。これも評判の高い作品なんですけども、イニシェリン島とはアイルランドの小さな島なんです。時代は1923年、今から100年程も前ですけど、住民全員が顔見知りのこの、ちいさな島で暮らすパードリックっていう男の人。この人、長年の友人コルムから、突然、絶交を言い渡されるんです。おまえとは会いたくないって。その理由もわからないまま、妹や色んな人の力を借りて事態を解決しようとするんですが、そのコルムさんは頑なに拒否するんですね。
おまけにこれ以上関わろうとするなら自分の指を切り落とすぞ!と宣言してですね、実際に…というストーリーなんですけども。人の死を予告するというアイルランドの精霊・バンシーをモチーフにした人間ドラマなんですよね。あのコリンファレルが主演ですね。

鈴木      おー、いいねー。

荒木      これ、実は1923年のアイルランド内戦を背景にした、あまり動きはないんですけとも、人によっては地味と感じられるかもしれませんけども、非常に、なんていうの…。

鈴木      重厚な感じなんですか?

荒木      そういう事です。人間の切なさとか、反対に滑稽さとかが描かれている非常に示唆に富んだ深い映画です。候補作だけのことはあります。確実にノミネートでしょうね。
「イニシェリン島の精霊」という事で、1月27日公開なんですが、ああ!ちょっとこれしか紹介出来ないな。「バビロン」とか2月10日にもあるんですけど、これは次の回にでも紹介します。来週再来週と紹介したいと思います。

鈴木      あー!楽しみ、楽しみ!!

荒木      と言う事で、今日はアカデミー賞の事を中心にお話しました。

鈴木      荒木さーん、ありがとう。また来週もお願いします。

アラキンのムービー・ワンダーランド/「未体験ゾーンの映画たち2023」と第95回アカデミー賞のとっておき情報
(映画トークで盛り上がった荒木氏㊨と鈴木氏)

■荒木久文(あらき・ひさふみ)1952年長野県出身。早稲田大学卒業後、ラジオ関東(現 RFラジオ日本)入社。在職中は編成・制作局を中心に営業局・コンテンツ部などで勤務。元ラジオ日本編成制作局次長。プロデューサー・ディレクターとして、アイドル、J-POP、演歌などの音楽番組を制作。2012年、同社退職後、ラジオ各局で、映画をテーマとした番組に出演。評論家・映画コメンテイターとして新聞・WEBなどの映画紹介・映画評などを担当。報知映画賞選考委員、日本映画ペンクラブ所属。

■鈴木ダイ(すずき・だい)1966年9月1日生まれ。千葉県出身。日本大学芸術学部演劇学科卒。1991年、ボストン大学留学。1993年 パイオニアLDC株式会社(現:ジェネオン・ユニバーサル)入社 し洋楽宣伝プロモーターとして勤務 。1997年 パーソナリティの登竜門であるJ-WAVE主催のオーディション合格 。
現在は、ラジオパーソナリティとして活躍するほか、ラジオ・テレビスポット、CMのナレーション、トークショー司会やMCなど、幅広く活躍。 古今東西ジャンルにこだわらないポピュラー・ミュージックへの傾倒ぶり&造詣の深さ、硬軟交ぜた独特なトーク、そしてその魅力的な声には定評がある。

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