-
映 画

「第34回東京国際映画祭」「シッチェス映画祭ファンタスティック・セレクション2021」「ハロウィンKILLS」のとっておき情報
(2021年10月28日17:00)
映画評論家・荒木久文氏が、「第34回東京国際映画祭」「シッチェス映画祭ファンタスティック・セレクション2021」「ハロウィンKILLS」のとっておき情報を紹介した。
トークの内容はFM Fuji「Bumpy」(月曜午後3時、10月25日放送)の映画コーナー「アラキンのムービーキャッチャー NEO」でパーソナリティ・鈴木ダイを相手に話したものです。

鈴木 荒木さん よろしくお願いいたします。
荒木 こんにちは。荒木です。10月も最終週ですね。
秋のお祭りの季節ですが、ぼちぼちいろんな分野、いろんなところでコロナに注意しながら始まっているようですね。
この週末に開催される映画のお祭り、イベントをご紹介したいと思います。
最初は、恒例の東京国際映画祭についてです。ダイちゃんは行ったことないって言ってたよね。
鈴木 そうなんですよ、行ったことないんですよ。


荒木 お忙しいでしょうけど、なかなか雰囲気が良いので、是非今年行けたら行ってみてください。毎回紹介しているので皆さんご存じかと思うのですが、東京国際映画祭(TIFF)は毎年10月に開催される国際映画製作者連盟 (FIAPF) 公認の国際映画祭。長編作品のみを対象とする、日本最大の映画祭です。
ことしも安全対策をしつつ人を入れてスクリーンで映画を見せることを基本にしています。
大きく変わったことがあります。
34回を迎える東京国際映画祭 2021、期間は10月30日(土)~11月8日(月)の10日間。
今年は会場が変わります。六本木地区から日比谷・有楽町・銀座エリアへ移ります。
17年ぶりとなるプログラミング・ディレクターの変更、部門の改編などもあり、新たに生まれ変わった感じになっています。
鈴木 ずいぶん変わったイメージですね。
荒木 そうですね。今年のコンペティション部門の審査委員長は、あのフランスの大女優イザベル・ユペールさん。また注目のオープニング作品は、クリント・イーストウッド監督50周年記念作品『クライ・マッチョ』。クロージング作品は大ヒットミュージカルの映画化『ディア・エヴァン・ハンセン』という作品です。
10日間の開催期間中、約100本前後の映画が上映予定となっています。
我々が普段見られないアジアや東欧の映画やドキュメンタリーなど、今年の作品も質のいいものが揃っています。チケットもまだ余裕がありますので、安い価格で封切り前の映画が見られるチャンスです。
第34回東京国際映画祭についてお話ししました。
続いては、この時期と言えばの「ハロウィン」です。今度の日曜日ですね。
だいちゃんの周り、ハロウィンムードはいかがですか?
鈴木 昨年もそうでしたがさすがに2019年までの盛り上がりはありませんね。
荒木 今年は日曜日で絶好のタイミングなんですが、去年と同じく「渋谷に来ないでね。」と、来訪自粛を呼びかけられていますが、毎年多くの人が集まっていた、川崎ハロウィンは中止ですし、今後開催の予定もなしということです。池袋は有料イベントとしてコスプレ系を実施するそうですが。
どっちにしろ、いつもの年のようにはいかないですよね。フラストレーションが溜まりますね。
そんなハロウィンフラストレーションを映画で ぱーっと吹き飛ばす方法があります。
それが「シッチェス映画祭ファンタスティック・セレクション2021」というイベント。
シッチェス映画祭って私、時々申し上げますが、今まで詳しい説明してありませんでしたが、シッチェスはスペインのカタルーニャ州バルセロナにある地中海に面したリゾート地観光地です。ここで開催されるのが、正式名シッチェスカタル―ニア国際映画祭。1968年に始まったこの映画祭はホラーやファンタジーに特化したジャンル系の国際映画祭であり、ブリュッセル・ファンタスティック国際映画祭やポルト国際映画祭と並び、世界三大ファンタスティック映画祭の1つとして知られています。
ジャンル映画祭ではあるものの、世界的に権威のある映画祭であり、国内外からの注目度も高い。また、映画芸術科学アカデミー公認の映画祭であり、短編部門の最優秀作品には米国アカデミー賞の応募資格が与えられるんです。
この「シッチェス映画祭ファンタスティック・セレクション2021」というのは、この映画祭で上映されにほんでは見られなかった作品が、今回日本で見られるというものです。
鈴木 いいですね。

荒木 ご紹介する「シッチェス映画祭ファンタスティック・セレクション2021」は
今年、関東地区ではおなじみ渋谷ヒューマントラストシネマ渋谷で10月29日から開催されますが、これはシッチェス映画祭で上映された作品の中から厳選した作品を上映するご本家映画祭公認の推しもの。今年8回目を迎えるのですが、観客を恐怖のどん底に突き落とす強力なラインナップを引っ提げて登場と…コピーには書いてあります。
私も何本か見出ていただいたのですが、面白かったのは、まず映画「キラー・ジーンズ」
という作品…ひとごろしジーンズですね。
鈴木 なんなんですかねー(笑)
荒木 ストーリーは、あるアパレルメーカーが、誰にでも自然に自動的にフィットする新作ジーンズを開発したのですが、発売前の夜、店員たちが発売準備をしていると、ジーンズが勝手に動き出し彼らを襲い始めます。ジーンズは様々な手法で人間たちを血祭りにしていく…というもの。ジーンズの人間の殺し方に注目ですが、廉価な衣服の陰に安い労働力で生産している人々への問題提起も垣間見えます。
そうね、もう一本は「スリープレス・ビューティ」という作品。
絶対に眠ってはいけないというルールの実験に強制的に参加させられた美女の運命を描いたロシア製のサイコスリラーです。
謎の組織に拉致された若い女性ミラが、身体的虐待や次々と出される奇妙なミッションで、彼女の精神は崩壊寸前に陥っていく…というもの
これも気持ち悪くて…でも目が離せませんでした。
ダイちゃん、美女の絶叫…見るのはどうですか?
鈴木 世の中でいちばん好きですよ。一番盛り上がるパターンでしょう。

荒木 そうですか…他にも「ゾンビ・プレジデント」。これは
国会を舞台にゾンビパニック勃発!という 台湾の国会が舞台ですかね。総統が突然、ゾンビになってしまい、国会議事堂中にウィルスが蔓延して地獄絵図。プロレス技を多用したアクションが私好みです。面白かった。
他にも13歳の少女がネオナチ脱獄犯への復讐に挑む!という「BECKY ベッキー」というタイトルの 全米興行No.1のヒット作。
さらに、「呪術召喚/カンディシャ」という魔物を呼び覚ました少女たちの運命を描く、魔女伝説がモチーフの超常ホラーです。
こんなのが揃ってますので、ポップコーン食べながら、ギャーとか、コウェーとか…大騒ぎはしてはいけないんですよね。静かに怖がってください。
「シッチェス映画祭ファンタスティック・セレクション2021」10月29日からの開催です。
鈴木 これはちょっと楽しみですね。

荒木 そして最後、本命登場!! その名も「ハロウィンKILLS」これも10月29日(金)公開です。
このハロウィン・シリーズ 1978年に第1作が製作されて以来、20年以上にわたって続編が8作も作られたハロウィンを代表するホラー映画ですね。
鈴木 人気が落ちないといういことですよねー。
荒木 そのとおりです。あの伝説の鬼才 ジョン・カーペンター監督。
不死身のマイケル・マイヤーズ…仮面の殺人鬼ブギーマンですよ。このシリーズはのちに、「13日の金曜日」のジェイソンや、「エルム街の悪夢」のフレディなどの人気殺人鬼キャラクターを生み出すきっかけにもなったといいます。
今回の「ハロウィン・KILLS」は、かのカーペンターは製作総指揮ですが、デヴィッド・ゴードン・グリーン監督。 オリジナル版から主演を務めているジェイミー・リー・カーティスが、今回も主人公となるローリーを演じています。舞台は前の作品の直後で、前作の2018年の『ハロウィン』のラストシーンに続く場面からスタートしていますので、余裕のある人は前の「ハロウィン」を見てからどうぞ。
ハロウィンの日に現れ、お祭り気分の人たちをばりばり殺しまくる殺人鬼ブギーマンことマイケル・マイヤーズ。恐ろしさは、不変です。もう一つ キルじゃなくてキルズと複数形になっていること、これはもちろんブギーマンが殺しまくるということもあるのですが、
人間たちの集団心理というか、パニック時の人間の数々も表しているような気がしますね。どちらにしろ イーチ タボタボ (血がぼたぼた)が大好きな方向けですね。
そうそうマイケルが被っているマスクは誰の顔だと思います?
鈴木 モチーフがあるわけですか?
荒木 そうなんですよ。『スター・トレック』に出てくるジェームズ・T・カーク船長つまりウィリアム・シャトナーさん、御年90才にして宇宙飛行の最高齢記録を作って話題になりました。彼の顔のマスクなんですよ。カーク船長の顔なんですよ。
『スター・トレック』の時、歳をとったりとか、悪者になったりとか、そういったふうに見せる特殊メイクのために作って、置いてあったものを誰かが持ち出して、ハロウィーンのためのマスクを作ったんだと、言われています。
鈴木 そうなんですか?!
荒木 「ハロウィンKILLS」これも10月29日(金)公開です。
来年こそ、にぎやかなハロウィンを迎えたいですね。
鈴木 荒木さんはこういった、『ハロウィン』みたいなスプラッターや、ちょっと笑える、オカルト・ホラー作品を見るときどういった感じで見ているんですか?遊んじゃっているの?真剣に見るの?
荒木 そりゃ没入しますよ。楽しみながら・・「そんなさみしい公園にいたら、ブギーマンに襲われちゃうよー」とか「一人でブランコに乗ってたら首切られるよー」とか言いながら、首切られますけどね。楽しまなくちゃねー、冷静に見ているとつまんないですよ。
鈴木 そりゃそうですよね。荒木さんありがとうございますー。
■荒木久文(あらき・ひさふみ)1952年長野県出身。早稲田大学卒業後、ラジオ関東(現 RFラジオ日本)入社。在職中は編成・制作局を中心に営業局・コンテンツ部などで勤務。元ラジオ日本編成制作局次長。プロデューサー・ディレクターとして、アイドル、J-POP、演歌などの音楽番組を制作。2012年、同社退職後、ラジオ各局で、映画をテーマとした番組に出演。評論家・映画コメンテイターとして新聞・WEBなどの映画紹介・映画評などを担当。報知映画賞選考委員、日本映画ペンクラブ所属。
■鈴木ダイ(すずき・だい)1966年9月1日生まれ。千葉県出身。日本大学芸術学部演劇学科卒。1991年、ボストン大学留学。1993年 パイオニアLDC株式会社(現:ジェネオン・ユニバーサル)入社 し洋楽宣伝プロモーターとして勤務 。1997年 パーソナリティの登竜門であるJ-WAVE主催のオーディション合格 。
現在は、ラジオパーソナリティとして活躍するほか、ラジオ・テレビスポット、CMのナレーション、トークショー司会やMCなど、幅広く活躍。 古今東西ジャンルにこだわらないポピュラー・ミュージックへの傾倒ぶり&造詣の深さ、硬軟交ぜた独特なトーク、そしてその魅力的な声には定評がある。