-
映 画

「素晴らしき、きのこの世界」「カナルタ 螺旋状の夢」「RAMEN FEVER」のとっておき情報
(2021年9月30日11:30)
映画評論家・荒木久文氏が、「素晴らしき、きのこの世界」「カナルタ 螺旋状の夢」「RAMEN FEVER」
のとっておき情報を紹介した。
トークの内容はFM Fuji「Bumpy」(月曜午後3時、9月27日放送)の映画コーナー「アラキンのムービーキャッチャー NEO」でパーソナリティ・鈴木ダイを相手に話したものです。

鈴木 9月最後 荒木さーん お願いします。
荒木 今日はね、久々にドキュメンタリー映画を2,3本紹介しましょう。
秋の気配濃厚です。 食欲の秋ですが、フルーツ王国 山梨はブドウ真っ盛りですよね?
もう盛りは過ぎたんですかね?おいしいですよね。
鈴木 うまいよねー。
荒木 秋の味覚ですよね。 秋の味覚というとキノコもあります。
先週 長野に帰省したら松茸が出始めていましたよ。キノコって地味だけどおいしいですよね。
だいちゃんはキノコ料理というと?
鈴木 僕はねー、まず天ぷらですね。
荒木 わたしも…マイタケの天ぷらが大好きですよ。
鈴木 それからカレー鍋に入れるとうまいんですよ。具材として。でもね 一番好きなのは「きのこのやま」、お菓子の…「たけのこの里」より「きのこのやま」!

荒木 うまい!チョコだけにちょっことうまい!
そんなことからドキュメンタリー映画「素晴らしき きのこの世界」という作品です。現在公開中。
この「素晴らしき、きのこの世界」という映画はその名の通りキノコの映画です。映画版キノコの百科事典
みたいな・・キノコしか出てきません。
キノコは菌類であるってことは学校で習いましたよね。
キノコは、動物でも植物でもない不思議な生物なんですね。菌類 黴菌の菌と書きますが
この映画に出てくるキノコ、ちょっとご紹介しましょうね。
鈴木 お願いしますー。
荒木 まず、おなじみ毒キノコ 「ベニテングタケ」 それから、古代ギリシャから薬として重用された「エブリコ」という巨大な漬物桶のような吊り鐘型のきのこ。 それからあの宇宙生物エイリアンにそっくりの真っ赤なキノコ 「アカイカタケ」。夜、光る発光性の「やこうたけ」、さらに蛾、ですね、夜 飛ぶ蛾ですね英語でモス モスラのモス,その蛾のさなぎに寄生して生える「さなぎたけ」、 そして抗がん剤の材料にもなると言われる瓦茸(猿の腰掛) あとヤマドリ茸という、いわゆるイタリア料理にはよく使われる「ボルチーニ茸」ですね。日本にも生えるんですが、あまり人気はないらしいですね。反対に松茸って欧米ではあまり人気がなくって、むしろ嫌われるみたいですね。匂いがダメなのかな?
鈴木 香りでしょうかねー。
荒木 もう ほんとに飽きません。何十種類出てくるでしょうね。キノコ。
そうそう、この映画、後半はキノコが持つ、不思議な力とその可能性を伝えています。
鈴木 へー?スピリチュアル?
荒木 まず、マジックマッシュルーム系きのこ。いわゆる幻覚作用があるキノコです。
これは「しびれ茸」という種類の仲間が多いようですね。
強い幻覚成分を含むため、海外では、研究者であっても麻薬取り扱いの資格がないと取ったら違法になるそうですよ。もともとメキシコのマヤ文明はこのマジックマッシュルームとは縁が深いらしいのですが、
昔は日本でも平安時代から認識されていたようですね。昭和の時代は野放しだったんですが、そういえば渋谷にあったような気がします、変なきのこ屋ありましたよ。「乾燥きのこ」とか売ってましたよ、確か。
鈴木 そうなんですか!
荒木 2002年に違法になりましたけどね、その後 東京の首相官邸の中庭でマジックマッシュルームが発見されたなんて話もありましたよね。
鈴木 なんだそれー?おもしろすぎる。
荒木 逆に医療材料としての きのこは、生命の維持、アルツハイマーやがんなどの治療材料として、環境汚染の浄化にまで役立つと言われることから、地球上の様々な問題へのきのこの応用が、期待されている。と言われます。
鈴木 医療用も…というと大麻にもありますよね。医療用大麻。 両面あるってことですか…。
荒木 そうですね。まあ、この映画、とにかく色がきれいなのと 例のスーパースローカメラでの映像や、リアルなCG映像のおかげで、様々なキノコや自然の成長を視覚的に楽しむことができます。ほんとに楽しいですよね。昔学校で見た教育映画ってあったでしょ?もっと面白いやつ…あんな感じかもしれないんですが、楽しく作ってありますが…、テレビでもよくやるディズニーのネイチャーシリーズっぽい映画です。
監督はルイ・シュワルツバーグというナショナルジオグラフィックやディズニーネイチャーのドキュメンタリー作品を手がけている人です。撮りなれているというか…。
ナレーションはオスカー俳優ブリー・ラーソン。「ルーム」の。この人もキノコ好きらしいよ。
鈴木 そうですか?あはは。
荒木 日本では10月15日がキノコの日らしいですね。
でも日本でキノコと言ったらなんといってもさっき言ったけど、松茸ですよね。一説によると今年は豊作で、すこーし安いとも聞いていますが、どうですかね。
鈴木 食べたいなー。

荒木 次のドキュメンタリー映画「カナルタ 螺旋状の夢」10月2日公開です。
この作品は太田光海(あきみ)さんという日本人男性が南米・エクアドル南部のアマゾン熱帯雨林に暮らすシュアール族という原住民の村に1年間滞在して撮りあげたドキュメンタリーです。
このシュアール族というのは、スペインによる植民地化後も武力征服されたことがない民族として知られ、
かつて首狩り族として恐れられた部族なんですね。
彼らは先祖からの知恵・知識を受け継いで森で暮らし続けています。
原住民のセバスティアンという男性の家族に密着しながら、彼らの日常を記録。森に生きる現代のアマゾン先住民の姿を描き出しています。
いろいろ おもしろいものがあるのですが、その中に「口噛み酒」というのがあるんですね。
これを飲んで毎日 森に入っていくんですが、その口噛み酒(くちかみざけ)というのはね、穀物やイモ類、木の実などを口に入れてよーく噛み、それをペッと!吐き出して溜めたものを放置すると醗酵してお酒になるんですね。それが「口噛み酒」。昔は世界各地に見られたらしいのですが、このアマゾンなどに残存する以外ほとんど消滅してしまったそうです。
女性が醸すことから「美人酒」と呼ばれていたらしいですが、この映画では、結構な年齢のおばさんが口からぺっぺぺっぺと木の実を口から吐いて作っているのが映っていますよ。映画「君の名は。」にもちらっと登場してましたね。
鈴木 アルコール度数はどうなんですかね?
荒木 どうなんでしょ?飲んだことないからね。飲みたい?
鈴木 いやー、あはは。
荒木 森の中で暮らす彼らは、そこから生活の糧を得る一方で、さっきのキノコじゃないですけど、覚醒植物や、自ら発見した薬草によって、柔軟に暮らしていきます。
当然ながらあまりにも我々の日常とは 対極にある日常に別の世界にただ驚愕のみ。ですよ。
現代のアマゾンの森林に生きつづける先住民の姿を描き出す異色のドキュメンタリーです。
「カナルタ」という言葉の意味は、よく眠り、夢を見て、真の意味で自分が何ものかを知るべき時に、
シュアール族の人々は、『カナルタ』と言うのだそうで、そこからとったタイトルということなんです。
ドキュメンタリー映画「カナルタ 螺旋状の夢」10月2日公開です。
最後は「ラーメン」。
鈴木 ラーメン?

荒木 はい、10月2日公開の今や日本の国民食となった「ラーメン」をテーマにしたドキュメンタリー映画「RAMEN FEVER」。だいちゃんはどんなラーメンが好きですか?
鈴木 僕はねー、透き通った醤油系の「東京ラーメン」が好きですね。
荒木 はい、私も。ほかには博多天神系がわりに好きで。
鈴木 とんこつ系もいいですよね。
荒木 そのほかのラーメンはあまり食べないので、よく知らないのですか、その世界では有名な
人気チェーン「AFURI」や、ニューヨークの名店「NAKAMURA」で有名な中村兄弟のラーメンに対する
情熱と生き様を描き出しています。アメリカ、イギリス、カナダなど世界6カ国、21都市で撮影をしていま
す。今や世界のラーメンなんですね。
映画では中村一家へのインタビューはじめ、福島県白河にある伝説的なラーメン専門店「とら食堂」の店主・竹井和之も出演しています。ほかにもいろいろな人にインタビューしています。
ひとつだけ断言できます。この映画を見た後はラーメン必ず食べに行きますよ。絶対に。
鈴木 あはは。100% 絶対ですよね。
荒木 絶対です。私もそうでした。監督・プロデュ―サー・脚本・撮影・編集は小林真里。10月2日の公開です。「RAMEN FEVER」という作品です。ラーメン好きは必見ですよ。
はい 今週はほかに3本ほど、是非見ていただきたい作品があるんです。
タイトルだけ言いますね。「MINAMATA-ミナマタ-」「由宇子の天秤」「空白」。
この3本 見ておいてもらったほうがいいなー、とってもいいし、賞にもからんでくるでしょう。
じゃなぜ紹介しなかったの?と思われるんでしょうけど、こちらにもいろいろ事情というものがありまして…。
鈴木 いろいろ事情があって?ですね?まあそれ以上お聞きしませんが…。
荒木 タイミングとかあって…それから10月1日には「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」とか「護られなかった者たちへ」など大作公開です。映画ファンにとっては楽しみな週です。
鈴木 荒木さーん、ありがとうございました。
■荒木久文(あらき・ひさふみ)1952年長野県出身。早稲田大学卒業後、ラジオ関東(現 RFラジオ日本)入社。在職中は編成・制作局を中心に営業局・コンテンツ部などで勤務。元ラジオ日本編成制作局次長。プロデューサー・ディレクターとして、アイドル、J-POP、演歌などの音楽番組を制作。2012年、同社退職後、ラジオ各局で、映画をテーマとした番組に出演。評論家・映画コメンテイターとして新聞・WEBなどの映画紹介・映画評などを担当。報知映画賞選考委員、日本映画ペンクラブ所属。
■鈴木ダイ(すずき・だい)1966年9月1日生まれ。千葉県出身。日本大学芸術学部演劇学科卒。1991年、ボストン大学留学。1993年 パイオニアLDC株式会社(現:ジェネオン・ユニバーサル)入社 し洋楽宣伝プロモーターとして勤務 。1997年 パーソナリティの登竜門であるJ-WAVE主催のオーディション合格 。
現在は、ラジオパーソナリティとして活躍するほか、ラジオ・テレビスポット、CMのナレーション、トークショー司会やMCなど、幅広く活躍。 古今東西ジャンルにこだわらないポピュラー・ミュージックへの傾倒ぶり&造詣の深さ、硬軟交ぜた独特なトーク、そしてその魅力的な声には定評がある。