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映 画
「はい、泳げません」「BiSH presents PCR is PAiPAi CHiNCHiN ROCK'N'ROLL」のとっておき情報
(2022年6月8日20:00)
映画評論家・荒木久文氏が「はい、泳げません」と「BiSH presents PCR is PAiPAi CHiNCHiN ROCK'N'ROLL」のとっておき情報を紹介した。
トークの内容はFM Fuji「Bumpy」(月曜午後3時、6月6日放送)の映画コーナー「アラキンのムービー・ワンダーランド」でパーソナリティ・鈴木ダイを相手に話したものです。
鈴木 荒木さーん、6月ですよ。今日もよろしくお願いします。
荒木 はい、6月にも入り、暑くなると気の早い人は水に入りたいと思うでしょうね。そういえば 海開き 山開きはもう少し先ですが、小学校のプール開きは早いところだと6月初旬から中旬にかけてそろそろらしいですね。
ところで ダイちゃんは泳げますか?
鈴木 「はい、泳げます。」
荒木 「はい、泳げません。」、というのが今日ご紹介するタイトルの映画です。
鈴木 あはは おもしろいですね。
荒木 今日ご紹介するのは泳ぎに関する作品。そのタイトルが「はい、泳げません」。6月10日公開の作品です。
「泳げない男」、小鳥遊雄司を長谷川博己(ひろき)さん、「泳ぐしかできない女」、薄原静香を綾瀬はるかさんが演じます。
ストーリーです。
大学で哲学を教えている教員 小鳥遊雄司(たかなし ゆうじ)さんは、泳げません。
水に顔をつけることすらも怖いんですね。泳げない人はそういう人、いるみたいですね。
ゆうじさんは人間と水の関係とか、頭でっかちなへ理屈ばかりをこねて水を避けてきたのですが、ある日、ひょんなことからスイミングスクールに通い始めることになります。
訪問したプールの受付で、強引に入会を勧めたのが水泳コーチの薄原静香(うすはら しずいか)さんでした。
鈴木 なるほど…。
荒木 この静香さん、陸よりも水中の方が生きやすいという人魚みたいなコーチです。私が、あなたを泳げるにします…と自信をもって言います。
一方、水への恐怖でがちがちのゆうじさんですが、とうとうにぎやかな主婦のおばさん練習生たちとともに一進一退のレッスンが始まります。
緊張しながら、騒ぎながらそれでも練習を続けるゆうじさん、実は彼が42歳にもなって、初めて泳げるようになろうと決心した、その背景には切なくも悲しい出来事があったんですね。
ゆうじさんは スイミングの練習を通じて、それまで目をそらし続けてきた過去と現実とも向き合うことになります。それは、ある理由で水を恐れることになった彼の苦しい再生への第一歩だったんです…。
長谷川博己さんと綾瀬はるかさんは何年か前のNHK大河ドラマ「八重の桜」で夫婦役で共演しているんですが、映画ではこれが初共演なんですね。
綾瀬さん、とてもりりしい競泳水着姿です。色っぽいというより頼もしいというか、ここでもちょっと変わりモノのコーチを、輝くような表情変わったコーチを演じていますが、過去にトラウマを抱える女性です。
長谷川さんは 大学の先生ということもあって教室での講義で喋る部分が多いんですが、大学の先生ぽいですよね。
水着姿は、ちょっとトホホ感…うまく出ています。というのは体型、特別きたえてる風もなく、かといってポッコリお腹が出ているでもなく、こんな感じだろうな…というリアルさがよーく出てます。絶妙です。
ノンフィクション作家・高橋秀実(たかはし ひでみね)さんの著書「はい、泳げません」を
渡辺謙作さん、この人は『舟を編む』で第37回日本アカデミー賞最優秀脚本賞を受賞した方ですが、監督・脚本を担当しての映画化です。
鈴木 なるほど、そうですか…。
荒木 ということではじめはタイトルがこんなだし、軽―いラブコメかと思いましたら、ちょっと切なくてちょっとおかしく、感動させてくれる作品でしたよ。
あまり説明してしまうと、後半のゆうじさんの過去のトラウマや出来事に触れざるを
得なくなってしまい ネタバレになってしまいますので…ね。
ただ、ちゃんと泳げるようになるまでの過程や練習方法をコーチが、教えているのですが、これが非常に哲学的で、人生や世の中での生活にいちいち当てはまるんじゃないかと
全ての物事に共通すること…例えば 水に浮こうとしないでください…自然に浮くものなの…とか、水と流れに身をゆだねる…生きようとするんじゃなくて生きちゃうんですなどなど…示唆に富んだ言葉ですよね?
鈴木 哲学ですね。人生そのものじゃないですか!!
荒木 ある最近のデータによると成人のうち泳げる人の割合は約82% 残り18%が泳げないそうなんですが、5人にひとりが泳げない…いわゆるカナズチだそうです。意外に多いですよね。
ちなみに、最近の子供たちは小学校入学前に泳げるようになっているこがとても多いらしいですよ。プールやスイミングスクールの普及がね。それとトップクラスのスイマーのオリンピックでの活躍なんかも大きく影響しているんでしょうね。
ちなみに、この映画の話ですが、長谷川さんはすいすい泳げるので、下手に泳ぐのが大変だったそうだし、綾瀬さんはスポーツ万能ですけど、泳ぎはちょっと苦手だそうです・・なんかちょっとわかりますよ。 特に顔の水を手で拭うしぐさなんかでね。
「はい、泳げません」6月10日公開です。意外にコミカルで、心にジーンとくる作品です。
2本目です。ダイちゃんの番組でも取り上げているでしょうね。「BiSH」です。
鈴木 BiSH!!!
荒木 「BiSH presents PCR is PAiPAi CHiNCHiN ROCK'N'ROLL」という2022年6月10日公開の作品です。BiSH 、若い方はみんなご存じだと思うのですが。
鈴木 当然です。
荒木 恥ずかしながら私は、その存在は知っていたのですけれど、実際に拝見したのは昨年の紅白でしたかね。インパクトありましたよね。飛び抜けて個性の強いグループです。その「楽器を持たないパンクバンド」ともいわれる6人組ガールズグループ「BiSH」のメンバー、アイナ・ジ・エンド、セントチヒロ・チッチ、ハシヤスメ・アツコ、アユニ・D、リンリン、モモコグミカンパニーの6人。
このBiSHがそれぞれ主演を務めた短い作品6本をまとめたオムニバス映画が、今回ご紹介する「BiSH presents PCR is PAiPAi CHiNCHiN ROCK'N'ROLL」という映画です。
鈴木 その6話というのはつながりがあるんですか?
荒木 つながりはありません。全く独立した作品6本を揃えているものなんですね。2023年をもって解散することを発表しましたよね。
このBiSH。今回映画です。映画は初めてではないのですが、今回、そんな彼女たちメンバー6人が6人の監督とそれぞれタッグを組み、ドラマっぽいものからアート作品ぽいもの6作品でそれぞれ主演を務めるという、いわばオムニバス形式の作品に挑戦というわけです。
そのコラボする 監督さんたちというのは、「窮鼠はチーズの夢を見る」「ナラタージュ」など数々の話題作を送り出してきた映画監督のあの行定勲さんはじめBiSHのミュージックビデオを手がけてきた田辺秀伸さんなどなのです。ちょっとだけ内容をご紹介すると、
第一話は『リノベーション』。主演メンバーはアイナ・ジ・エンドさん。監督田辺秀伸さん。 心に悩みを抱えるダンサーの女性が、不動産屋に連れられた内見先で不思議な出来事を経験していく… 踊りと映像で展開する物語。
第2話は『レコンキスタ』。登場メンバーはハシヤスメ・アツコさん、大喜多正毅監督。
以下アユニ・D主演×エリザベス宮地監督「オルガン」、リンリン主演×山田健人監督「VOMiT」、モコグミカンパニー主演×渡辺淳之介監督「PEACH CHAOS PEACH」、
最後がセントチヒロ・チッチ主演 行定勲監督の「どこからきて、どこへ帰るの」というモノクロームで描か許されない関係にある男女の濃厚なベッドシーンがすごい、文学的恋愛物語です。
全話 短いので起承転結的物語性やオチはないけですけど、コアファンだったらたまらない映像・時間なのでしょうね。
鈴木 それでいいんですよ、それがいいんですよ!
荒木 そして、私たちあまり知らない人たちにとっては、メンバーのお名前と個性がよーくわかる構造になっていますね。中には有名な役者さんが、サプライズ出演したりしていてびっくりしますよ。
鈴木 えー? その役者さん、お名前は言えないんですか?
荒木 言っちゃいけないらしいよ(笑い)。なかなか面白い試みだと思います。
BiSHは、「Brand-new idol SHiT」の略だそうですが、「BiSH presents PCR is PAiPAi CHiNCHiN ROCK'N'ROLL」という映画です。
6月10日からファンの方は見逃せないと思います。
鈴木 FM富士のリスナーは見に行きますよね。
荒木 水曜日にFM富士で番組やってらっしゃるんですよね。私も初めて見て、ファンになりました。にわかファンですけどね。
鈴木 荒木さん、ありがとうございました。
■荒木久文(あらき・ひさふみ)1952年長野県出身。早稲田大学卒業後、ラジオ関東(現 RFラジオ日本)入社。在職中は編成・制作局を中心に営業局・コンテンツ部などで勤務。元ラジオ日本編成制作局次長。プロデューサー・ディレクターとして、アイドル、J-POP、演歌などの音楽番組を制作。2012年、同社退職後、ラジオ各局で、映画をテーマとした番組に出演。評論家・映画コメンテイターとして新聞・WEBなどの映画紹介・映画評などを担当。報知映画賞選考委員、日本映画ペンクラブ所属。
■鈴木ダイ(すずき・だい)1966年9月1日生まれ。千葉県出身。日本大学芸術学部演劇学科卒。1991年、ボストン大学留学。1993年 パイオニアLDC株式会社(現:ジェネオン・ユニバーサル)入社 し洋楽宣伝プロモーターとして勤務 。1997年 パーソナリティの登竜門であるJ-WAVE主催のオーディション合格 。
現在は、ラジオパーソナリティとして活躍するほか、ラジオ・テレビスポット、CMのナレーション、トークショー司会やMCなど、幅広く活躍。 古今東西ジャンルにこだわらないポピュラー・ミュージックへの傾倒ぶり&造詣の深さ、硬軟交ぜた独特なトーク、そしてその魅力的な声には定評がある。