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映 画
「女子高生に殺されたい」などのとっておき情報
(2022年4月10日22:15)
映画評論家・荒木久文氏が「女子高生に殺されたい」などの映画のとっておき情報を紹介した。
トークの内容はFM Fuji「Bumpy」(月曜午後3時、4月4日放送)の映画コーナー「アラキンのムービー・ワンダーランド」でパーソナリティ・鈴木ダイを相手に話したものです。
鈴木 この時間は「アラキンのムービー・ワンダーランド」!!ということで、4月からはタイトルが変わりましたね。びんびんおすすめの映画を、変わらずにお送りしていきます。お相手はもちろん、この方、映画評論家、アラキンスカイウォーカーこと荒木久文さんです。
荒木 はい。 ムービー・ワンダーランドの若き王子様じゃなかった、おじさまでもないな、おじいさんですね。アラキンスカイワーカーこと、荒木です。
鈴木 あはは…荒木さん、新装開店「ムービー・ワンダーランド」ということになっていますよー。
荒木 ありがたいことです。私のような者に…。
鈴木 よろしくお願いいたします。
荒木 もうやらせていただいてどのくらい経ちますかね。多分初めてFM富士で喋らせていただいてから今年の春で10年ぐらいたつと思いますよ。
このコーナーも 7,8年経ちますかね?
鈴木 老舗の人気コーナーですよ。お願いします。
荒木 ワンダーランド…不思議の国、おとぎの国。
このコーナーでは、大作映画ばかりでなく、小さな個性的映画やドキュメンタリーまで、あまりジャンルにこだわらず、私とダイちゃんが、面白いと思った作品を紹介していきたいと思っています。だから、世の中の評価とは違う作品も多いかもね。
鈴木 それでいいんです!!その通りです!!
荒木 題材のスタンスも広くとってちょっとエッチなテーマから、哲学や政治の話まで、私の目から見てのおすすめにこだわりたいなと思います。
そのあたりは、これまでも同じですね。
…ということで今季第一回目の今日はワンダーランドらしく、今公開されているものの中から私が見たもののうち、いろいろなジャンルのものをなるべく多くご紹介していきましょう。
今週あたりは入学式とか、ピークだったりしますよね。
晴れて高校生になる皆さんもいらっしゃると思いますが、まあそれとは関係ないか
まず、ご紹介するのは、4月1日から公開中の「女子高生に殺されたい」。
鈴木 うわーっ。
荒木 主人公は若い高校教師 女子高生に殺されたいという理由で高校教師になります。彼は人気教師として日常の生活を送りながらも、「完全犯罪で、且つ全力で殺されること」を実現すべく9年間にもわたって完璧な計画を練り上げてきました。
いよいよ実行に移そうとしています・・・というストーリーなのですが…。
精神疾患としては「オートアサシノフィリア」という、自分が殺されることに性的興奮を覚える…というものらしいんですが、実際に存在するらしいんですね。
主人公には田中圭さん 原作 古屋兎丸(ふるや うさまる)の漫画で、監督は 今までの番組では、毎回ご紹介しているような気がします、城定秀夫監督です。
『性の劇薬』でピンク大賞作品賞、『アルプススタンドのはしの方』で話題を呼び『愛なのに』で、 今 映画ファンの注目を集め続けている監督です。
「早撮りの城定」と言われ作家性のこだわりがなく、どんなジャンルやお題でも傑作に仕上げる映画料理人的な職人と言われています。
個性的というか、ちょっと何が何だかわからない3人の組み合わせ、タイトルからも不穏な香りを感じますよね。サイコパスぽいストーリー、ですよ。話題の作品です。
公開中 「女子高生に殺されたい」。でした。
鈴木 なるほど…。
荒木 はい、次、ガラッと変わって現在公開中のドキュメンタリー「ぼけますから、よろしくお願いします。~おかえりお母さん~」という作品。
鈴木 この映画、予告編見ましたけど、ほのぼのと泣けますよね。
荒木 もとはテレビから出発した映画です。
これは4年前公開された「ぼけますから、よろしくお願いします。」という認知症のお母さんと老老介護するおとうさんの暮らしを、ひとり娘の信友直子(のぶともなおこ)監督が記録したドキュメンタリー作品で、その年の映画賞、文化記録映画大賞を取り、高い評価を得たものなのですが、その続編です。
今回は前の作品で始まった夫婦の老々介護生活のその後を描いているのですが、以前より状況はきつくなってきています。お父さんは98歳、お母さんは90歳台半ば。お母さんの認知症はさらに進んで、おまけに脳梗塞で入院してしまします。お父さんは、毎日1時間かけて病院へ通い、筋トレまで始めます。このお父さん、90歳を過ぎてから今まで一切していなかった家事を始めたという人なんですね。すごいですね。
ところがお母さんの病状はどんどん深刻化していく…というものですが、日本全体が抱える高齢化社会の問題を含みながら…認知症とともに生きることの大変さや家族の苦労、すさまじい介護の姿、現状をそのまま記録しています。
本当の娘だから撮影できたんでんでしょうね…。
鈴木 つらいでしょうね。
荒木 そうなんですよ。そして、これがすごーく悲惨で 深刻だと思うでしょう?わたしも、初めは暗いのはちょっとな―、我慢しようと、覚悟してみはじめたのですが、ところがねー結構、笑いがすごーくあるんです。特にお父さんが明るくて・・本当に仲のいい夫婦なんですね。こんな風に生きられたらと憧れを抱かせてくれるような、幸せな夫婦の姿なんですよ。
見終わったあとは、幸せな、作りモノではない夫婦の姿を見たような温かい気持になりますね。ダイちゃんは周りに介護が必要な方はまだ、いないでしょ?
鈴木 まだいないですね。
荒木 私も父と母は両方とも病気になってからあっという間に死んでしまったので、介護経験はないのですが、私もそろそろ老々介護の時期も遠くないですからね。
私の妻にこれだけの献身的に歳を取ってできるのかと思うとね、ちょっと考えてしまいました。これは本当の愛の物語なんだと…傑作ドキュメンタリーです。「ぼけますから、よろしくお願いします。~おかえりお母さん~」という作品。公開中です。
他にも今週は8日公開の「ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密」や現在公開中の「やがて海に届く」、同じく現在公開中の「モービウス」なんかも、とてもおすすめです。そして今月はかつて、世界中にダンスブームを巻き起こした2本の伝説的映画が帰ってきます。
鈴木 来た、来た…。
荒木 はじめは4月8日から公開されます。ディスコブームを巻き起こしたあのジョン・トラボルタ主演、それもディレクターズカット4Kデジタルリマスター版での公開。そうです、『サタデー・ナイト・フィーバー』(英: Saturday Night Fever)は、1977年製作のアメリカ映画である。監督はジョン・バダム。ジョン・トラボルタの出世作です。
鈴木 もう名作中の名作です。
荒木 音楽と映画を融合したこの作品は60年代ディスコブームを到来させ、劇中に挿入されたビージーズ(Bee Gees)のディスコ・サウンドによるフィーバー現象は、現在のダンス・ミュージックへつながるものですよね?
ダイちゃんにはすでにDVDで見ていただきましたが、いかがでした?
鈴木 早速しっかり、見せていたただきました。色がくっきり。これねー、色の濃淡がびっくりするほどあって、トラボルタが白いスーツ着てるでしょ?あのディスコの中のトラボルタの姿がくっきり浮かぶんですよ。存在感がすごい。そして 輪郭がはっきりしているんですよ。むちゃくちゃ感動です。
僕は、何回見たか、わからないぐらい見ているんですが、この4Kデジタルリマスター版見せていただき、より一層感動が増して、初めて見たようなそんなフレッシュな感動もしっかりいただきました。
荒木 今まで見たことない方もしっかり4Kで見られると感動できると思いますよね。トラボルタの20歳そこそこの時です。細くってねー。今じゃ考えられない身体の切れ!!初めて見る若い方、見たことのない方、今回いい機会です。
鈴木 ディスコがクラブと呼ばれる前 黄金の「ディスコ」の時代です。これは、音楽、ダンス、映画が好きな方は是非、見ていただきたいですね。
荒木 ということで、4月8日から公開。『サタデー・ナイト・フィーバー』
でした。そしてもう一本の4Kデジタルマスターでの上映は「フラッシュダンス」です。
鈴木 来たー!来たー! ジェニファー・ビールスだー!!
荒木 この作品、『フラッシュダンス』は、1983年に公開されたアメリカ映画。エイドリアン・ライン監督ですが、これってなんとなくミュージックビデオのような感じがしますよね。
鈴木 そうですね。「ナイトフィーバー」長めのプロモーション・ビデオの豪華なものを見せていただいているような気になりますよね。
荒木 当時はね、玄人の映画評論家からは批判的で低い評価を受けましたが、映画ファンが映画館に押しかけ、その年のアメリカ国内では、2位か3位となって莫大な興行成績を残しました。のちのほかの映画にも大きな影響を与えたと言われています。そして音楽的には、サントラ盤もヒットしました。
鈴木 アイリーン・キャラですよね?
荒木 この作品も見ていただきましたよね?
鈴木 見せていただきましたよ。ジェニファーが社長さんとデートする場面、テーブルの下の部分からツンツンするんですよ…そのシーンがねー、クリアーに見えちゃっているんですよ。だからこっちもツンツン来るんですよね。
荒木 あはは…それとジェニファー・ウィールスの可愛さが際立っていますよね?まだ見たことがない方も、是非この機会にご覧になってください。
鈴木 4kだとダンスシーンの切れ具合も感動的ですよ。バシバシ感じます。
荒木 どっちかというと、今のダンスに近い感じですかね?
鈴木 そうですね。83年だから、もうニュー・ヨークではブレイク・ダンスがメインになってきている時期ですよね。今のヒップ・ホップに通じていますよね。
ダンス史的にも興味深いですよね。
荒木 4月15日からのもう1本 4Kデジタルリマスター版で公開は「フラッシュダンス」でした。今日は「ムービー・ワンダーランド」の第1回ということでいろいろなジャンルをご紹介しました。
鈴木 荒木さん、ありがとうございました。来週からもよろしくお願いしますね。
■荒木久文(あらき・ひさふみ)1952年長野県出身。早稲田大学卒業後、ラジオ関東(現 RFラジオ日本)入社。在職中は編成・制作局を中心に営業局・コンテンツ部などで勤務。元ラジオ日本編成制作局次長。プロデューサー・ディレクターとして、アイドル、J-POP、演歌などの音楽番組を制作。2012年、同社退職後、ラジオ各局で、映画をテーマとした番組に出演。評論家・映画コメンテイターとして新聞・WEBなどの映画紹介・映画評などを担当。報知映画賞選考委員、日本映画ペンクラブ所属。
■鈴木ダイ(すずき・だい)1966年9月1日生まれ。千葉県出身。日本大学芸術学部演劇学科卒。1991年、ボストン大学留学。1993年 パイオニアLDC株式会社(現:ジェネオン・ユニバーサル)入社 し洋楽宣伝プロモーターとして勤務 。1997年 パーソナリティの登竜門であるJ-WAVE主催のオーディション合格 。
現在は、ラジオパーソナリティとして活躍するほか、ラジオ・テレビスポット、CMのナレーション、トークショー司会やMCなど、幅広く活躍。 古今東西ジャンルにこだわらないポピュラー・ミュージックへの傾倒ぶり&造詣の深さ、硬軟交ぜた独特なトーク、そしてその魅力的な声には定評がある。