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映 画

「土竜の唄 FINAL」「聖地X」のとっておき情報
(2021年11月28日20:30)
映画評論家・荒木久文氏が、「土竜の唄 FINAL」と「聖地X」のとっておき情報を紹介した。
トークの内容はFM Fuji「Bumpy」(月曜午後3時、11月22日放送)の映画コーナー「アラキンのムービーキャッチャー NEO」でパーソナリティ・鈴木ダイを相手に話したものです。

鈴木 荒木さんお願いします。
荒木 こんにちは 今週あたりからクリスマス・お正月作品がぽつぽつ公開ですね。来月あたりになりますか、またご紹介したいと思います。
今日は2本とも現在公開中の作品です。1本目は「土竜の唄 FINAL」です。
「土竜の唄」と言えば1000万部近い大ヒットを記録している漫画家・高橋のぼるさんの人気コミックです。この漫画が、三池崇史監督&宮藤官九郎脚本、生田斗真主演で実写映画化した最初に映画になったのはもう7年前になりますが、今回はその3作目にして最後の完結編です。
もうあらすじはご存じの方多いと思いますが、土に潜るというところからモグラと名づけられた。潜入捜査官菊川玲二が、凶悪な犯罪組織・数寄矢会(すきやかい)に潜り込み、もうヤクザの一員としてその世界でも顔役になりつつあります。そして今回 モグラとして潜るところまで潜った玲二の最後の任務は、過去最大級の取引となる6000億円の麻薬密輸を阻止することそして、究極の目的である組織トップの轟周宝(とどろき しゅうほう)を逮捕することに向けて、今回はメイン舞台の豪華客船を奔走し活躍します。
鈴木 でかいヤマじゃないですか…。

荒木 そんな玲二の前には、今までの個性豊かな出演者のほかに轟周宝の長男で最悪の敵となる轟烈雄、(とどろき れお)や、謎のフェロモン美女・沙門など一癖二癖あるキャラクターが次々にあらわれます。
さあ、潜入捜査官 モグラ 玲二は敵を逮捕して、もとに戻ることができるのか・・・ということですね。 玲二役の生田斗真のほか、堤真一、仲里依紗、吹越満、遠藤憲一、皆川猿時、岩城滉一といったシリーズおなじみのメンバーに加え、1作目に出演の岡村隆史、2作目に出演の菜々緒も再登場しますし、新キャストとして烈雄役の鈴木亮平、沙門役の滝沢カレンが顔を見せてくれます。
鈴木 豪華だなー。
荒木 そして 三池監督、宮藤官九郎、生田斗真のトリオは3作連続。
とてものびのび、みんなでたのしく遊んでいるよーという感じが伝わってきます。
まあ、シリーズを一作でもご覧になったことがある方はお判りでしょうけど、潜入捜査モノと言っても原作がコミックですから荒唐無稽な描写と、型にはまらないでたらめなシーンの連続で文字通り漫画とシリアスが同居しているといった感じです。
鈴木 有終の美ってやつですね。
荒木 文字通りそうですね。それと、この作品、毎回 玲二君が捕まって拷問を受けるシーンが話題になります。過去には、股間に新聞紙一枚付けて全裸で車のボンネットに縛られて猛スピードで走ったりなどのシーンが名物なのですが、今回も股間にチーズを盛られ、それをカモメにつつかれるというようなバカバカしい拷問シーン。
鈴木 気持ちよくなったらどうしようってヤツですね。
荒木 言えないんですけど、きれいな瀧澤カレンさんに気持ちのいい拷問をされるシーンなどもあって、それにしてもさすが生田君 無駄な肉がないですね。37歳にもなるのに…。まあ、さっき言ったようにお祭りですから、わいわい笑いながら、奇想天外な世界を楽しんじゃってくださいという映画です。
「土竜の唄 FINAL」 現在公開中です。
鈴木 もう一本は?

荒木 はい、2本目です。「聖地X」。現在公開中の作品です。
聖地エックス 聖地は聖なる土地のことですね。 聖地国立の聖地です。
ストーリーです。
小説家志望の輝夫君(岡田将生君がやってます)は、悠々自適の引きこもり男、お金持ちの父さんが遺してくれた韓国の別荘の気ままで、自由な生活を満喫中です。うらやましい。そこに妹の要ちゃん(川口春奈さん)が転がり込んできます。要ちゃんはだらしない夫とのに結婚生活に愛想をつかし、日本の家を飛び出して、韓国まで来てしまったんです。
突然妹が来たので驚いてしまった輝夫くんでしたが、要の夫のだらしなさを聞き、妹の心の傷が癒えるまで一緒にいなよと、その別荘で過ごすことを決めます。
ところが ある日 街に出た要ちゃんは、近くの商店街で日本に残してきたはずの夫の姿を見かけます。韓国なんかにいるはずないのに―。
要ちゃんは町の中、夫を追いかけます。
そしてたどり着いたのはおおきな木と不気味な井戸がある和食のお店でした。
そこは、「聖地X」と呼ばれる、奇妙な力の宿った土地で、そこに入った者は精神を蝕まれ、謎の死を遂げていくというおそろしい場所だったのです…。
鈴木 えー!!
荒木 この映画の宣伝チラシのコピーには「この地に宿るのは神か、それとも悪魔か?彼らはここで繰り返されてきた数々の惨劇から逃れ、増幅し続ける呪いから解放されることはできるのか!?想像を絶する悪夢が今はじまる――。」というようなわけですが…。
鈴木 一流のホラーじゃないですかー。
荒木 だけどねー正直、そんなにすごい恐ろしくないんだよねー。
全体的に韓国ホラーっぽい不気味さ=ホラーって感じはあるけど、いわゆる ストレートな感じではなく、ちょっと苦笑いとか、え、これでいいの?的な部分もあって。
なんか不気味で訳の分からない違和感というか、そういう恐ろしさをひしひしと感じる映画なんですね。オール韓国ロケで製作されました。
監督は『SR サイタマノラッパー』シリーズで名をはせた入江悠さん。
『22年目の告白 -私が殺人犯です-』とか、最近もこの番組でもご紹介した『シュシュシュの娘』も面白かったですね。これからの日本のエンタメ界を担うキーマンです。
原作は 劇作家・演出家の前川知大(ともひろ)主宰の「劇団イキウメ」のという劇団の演劇を映画化したものです。
この前川さんは「太陽」「散歩する侵略者」を手がけています。「散歩する侵略者」は映画にもなりました。のんびりした宇宙人が地球ののんびりした人間に取り付いてしまうという、ちょっととぼけた味で面白かったですね。
この前川さん 特徴としては、日常の生活の中で、ふいにのぞかせる怪異や恐怖を演劇にしてきている人なんですね。お墓地にいると気持ちが落ち着くという変な人なんですが、評価されていますね。
それから印象的だったのは、岡田君のセリフにあるんだけど「思えば現れる」、あると思うからある、という考え方。いわゆる唯心論ね。唯物論の反対の立場から存在論を上手く説明しているっていうところが面白かったですよね。こういうと、ちょっと難しいことになっちゃうんですけども。モノは、認識する人間が「ある」と思うから「ある」。
意識そのものがなければモノは「ない」。いわゆる唯心論ですね。ものごとの因果もあると思うから「ある」。まるで禅問答だけれども。まあ、子供のころもそうだったでしょう?闇の中に何かお化けがいると考えちゃうと思うと怖くてしょうがない。
鈴木 確かにそうなんですけど…。
荒木 ほんと極端に言うとそういうことですかね。
それからもうひとつはね、この映画にはドッペルゲンガーが出てきます。
キーワードになるのがドッペルゲンガーです
もう一人の自分 それとあった時、死ぬっていう、あれですよ。
この映画では新解釈というか、あっても死なないで、違う現象が起こるのですが、
それもちょっと苦笑いモノで…これ、有名なのが黒沢清監督の『ドッペルゲンガー』ですけども。これドイツのお話、元々は神話から出ているみたいですけど。
ドッペルゲンガー現象については、実際に起きたという報告が世界で後をたたない。
鈴木 荒木さんねー、実はドッペルゲンガーというと、過去に私に大事件があったんですよ。大学生の時にね…。<以下鈴木ダイ氏のドッペルゲンガーに関する体験談。(以下略)>
・大学時代のある時期 自分のドッペルゲンガーに遭遇した体験
・父親も電車で鈴木氏のドッペルゲンガーを目撃した。
・鈴木氏が大学を休んだ日にも鈴木氏のドッペルゲンガーが授業を受けていたのをクラスメイトが目撃している。などなど…不思議な話があって
荒木 今日は2本の作品をご紹介しました。
鈴木 ありがとうございました。
■荒木久文(あらき・ひさふみ)1952年長野県出身。早稲田大学卒業後、ラジオ関東(現 RFラジオ日本)入社。在職中は編成・制作局を中心に営業局・コンテンツ部などで勤務。元ラジオ日本編成制作局次長。プロデューサー・ディレクターとして、アイドル、J-POP、演歌などの音楽番組を制作。2012年、同社退職後、ラジオ各局で、映画をテーマとした番組に出演。評論家・映画コメンテイターとして新聞・WEBなどの映画紹介・映画評などを担当。報知映画賞選考委員、日本映画ペンクラブ所属。
■鈴木ダイ(すずき・だい)1966年9月1日生まれ。千葉県出身。日本大学芸術学部演劇学科卒。1991年、ボストン大学留学。1993年 パイオニアLDC株式会社(現:ジェネオン・ユニバーサル)入社 し洋楽宣伝プロモーターとして勤務 。1997年 パーソナリティの登竜門であるJ-WAVE主催のオーディション合格 。
現在は、ラジオパーソナリティとして活躍するほか、ラジオ・テレビスポット、CMのナレーション、トークショー司会やMCなど、幅広く活躍。 古今東西ジャンルにこだわらないポピュラー・ミュージックへの傾倒ぶり&造詣の深さ、硬軟交ぜた独特なトーク、そしてその魅力的な声には定評がある。