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映 画

「ビースト」「LAMB/ラム」「人質 韓国トップスター誘拐事件」のとっておき情報
(2022年9月8日10:30)
映画評論家・荒木久文氏が「ビースト」「LAMB/ラム」「人質 韓国トップスター誘拐事件」のとっておき情報を紹介した。
トークの内容はFM Fuji「Bumpy」(月曜午後3時、9月5日放送)の映画コーナー「アラキンのムービー・ワンダーランド」でパーソナリティ・鈴木ダイを相手に話したものです。

鈴木 荒木さん、よろしくお願いいたします。
荒木 こんにちは!もう9月に入っちゃいましたね。 今日は、まずライオン、羊、そして実名俳優という…。
鈴木 な、な、何ですか?
荒木 (笑)一本目はライオンの話です。9月9日公開の「ビースト」という作品です。
鈴木 出た! 俺、予告編観た!
荒木 ご覧になりましたか? ま、リアリティのある凄い作品ですけども…。ストーリーです。主人公は、お医者さんのネイト・ダニエルズさん。彼は妻を亡くして間もないのですが、妻と初めて出会った思い出の地である南アフリカへ、ふたりの娘たちを連れ長期旅行へ出かけます。
鈴木 いい感じ、いい感じ。
荒木 いい感じなんです。そしてネイトは娘たちを連れて、広大なサバンナに動物を見に出かけるんですが、ドライブの途中、現地の住民が現れ、怪我してるんですけども、息も絶え絶えに「悪魔のけものが…」とつぶやくんです。
鈴木 あー!!
荒木 そのサバンナには密猟者の手から生き残って、いまや全ての人間に憎悪を抱くようになった凶暴な一頭の雄ライオンが潜んでいたんです。
鈴木 それこそ、ビーストなわけだ。
荒木 ビーストですね。獣ね。このライオンは人をただ、引き裂いて噛み殺す目的で彷徨っているんです。そんな狂暴なライオンに遭遇してしまったネイトと、愛する娘たちを守るために牙をむくこのモンスターに立ち向かっていきます・・・という話です。
鈴木 ジョーズ、サバンナ編じゃないですか!
荒木 おっしゃる通り! このライオン、人間を引き裂き、殺すことを目的にした残忍なモンスターなんですが、現れ方もいきなりだったり、思いもしない方法で襲いかかってきたりとにかくスピードが、すごい、ほとんど「陸のジョーズ」ですよ、ダイちゃん!
鈴木 うわぁ、いやぁいやぁ…。
荒木 これを作って配給するのは「ジュラシック・ワールド』や、『ジョーズ』を始めとする、モンスターパニックの名作映画を得意とするユニバーサル・スタジオです。だからもう見せ所、心憎いほど心得ています。スリリング体験型の猛獣サバイバルアクションですね。 恐竜や巨大サメはもう初めから空想というのがわかってながらも怖いのですよね、ライオンって誰でも見ていて、リアリティがありますから、あんなのに襲われたらと思うとね…。だからホントにリアリティがあって、尚更怖いんですよ。で、モデルのこのライオンは、今はほとんど絶滅していると言われるバーバリライオンという種類らしいんですね。最大で4メートルにもなるらしく。
鈴木 イヤ~でかいな~。
荒木 デカいよね。あのライオンキングに出てくる悪役ライオンのスカ―っているでしょ?あれが同じ種類みたいですよ。
鈴木 ああ~。
荒木 主人公のネイト・ダニエルズを演じるのは、『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』、『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』などで知られるイドリス・エルバという黒人俳優。多分皆さん見たことあると思うんですが。
この映画の中では このネイトお父さん、最後は素手でライオンと戦うことになるんですけど…。
鈴木 それってあり得るんですか?
荒木 まぁね、この格闘シーンがすごいです! 特に、巨大ライオンと実際に戦っているとしか見えないんですよ。映画の宣伝会社の人に聞いたら、これはあらかじめ、まず人が動きを決めておいて、あの日本のチャンバラの殺陣みたいに、まず人間がお約束通りの動きをするんですって。そこに後でライオンの絵を技術でかぶせるらしいんですけどね。
鈴木 じゃあ、ライオンは実物じゃないシーンてことですか?
荒木 ライオンが実物じゃないシーンとかでなく、ライオンの実物のシーンを後で入れる…。その辺り詳しくはわからないけど、どう見てもライオンと生で戦っているとしか思えないんですよ。
鈴木 いや、怖いね。
荒木 それほど見事ですよ!とにかく 現実味があるから怖い、ビースト、獣! そうそう・・・話は ちょっとそれるんですが、ライオンというと私たちの世代には、何故か松島トモ子さん…なんですよね。
鈴木 あ!わかります! 事件っていうか、事故ありましたもんね。
荒木 そう。松島トモ子さんが41歳の時にテレビの仕事でアフリカでライオンに襲われて大けがしてますよね。
鈴木 ありましたね。
荒木 そしてその10日後 今度はヒョウに襲われて…。
鈴木 何なんですかね。
荒木 これが笑い話になっちゃってて…。ダイちゃんはこの辺り知ってるか?!
鈴木 知ってる、知ってる。
荒木 お笑いのさんまさんや たけしさんや、太田さんなんか、よくライオンというと松島トモ子って言うでしょ?!
鈴木 言ってましたね。
荒木 実際にね、「松島トモ子」と検索するとライオンと出てくるんですよ。
鈴木 それどうなんですか。イメージは…。
荒木 そうだよね。ライオンの餌…みたいな扱いだよね。…話は横にそれてしましましたが、9月9日公開「ビースト」です。怖い映画!面白い映画です。チケットプレゼントね!先ほどから告知していただいていますが・・・
鈴木 ありがとうございます。そもそもライオンって人を襲うんですか?
荒木 基本的には襲わないみたいです。敵意を示さない限りは。大人しい、怠け者と言われてますからね。 余計なことを言いましたが、次は羊です!
鈴木 (笑)

荒木 「LAMB/ラム」という、9月23日の公開の北欧のネイチャースリラーです。舞台は北の果てアイスランド。その山の中に暮らす、中年に差し掛かった羊飼いの夫婦イングバルトさんと妻マリアさん。たくさんの羊を飼っているんですが、ある日、2人は羊の出産に立ち会います。すると驚くべきことに生まれてきたのは、明らかに羊ではない「何か」…なんですね。
鈴木 (笑)いやいやいやいや。
荒木 何かは、言えないんですよ…。
鈴木 言えないのね(笑)
荒木 はじめはショックを受けた二人でしたが、その何かの存在を徐々に受け入れるようになっていくんです。過去に子どもを亡くしていた2人が、その「何か」に、亡くした娘の名前「アダ」と名付け育てるんです。アダとの生活は、二人に生きがいと穏やかな生活をもたらしますが、「アダ」を生んだ母羊が執拗に子供を求めて家の前にやってきて、メエメエ泣き続けるんです。で、マリアはその母羊を殺してしまうんです。暫くすると夫婦の家に、夫の弟が町からやってきて、はじめて見るアダにびっくりし戸惑います。まあ、無理もありません、異様なものですからね。…さて、アダは彼らを破滅へと導いていく原因になるというですね…。ネイチャーホラー・スリーラ―とでも言いますか…。
鈴木 ホラー・スリラー…、一番怖いじゃないですか。
荒木 そうですね。主演の妻マリアにはノオミ・ラパス。彼女はハリウッドでも大活躍中ですが、今回のような北ヨーロッパを舞台にした映画にも時々出演しています。もともとスウェーデン人ですからね。映画自体は、ダイちゃんにも説明しにくい部類ですね。
鈴木 これ、知っちゃいけない系なんですか? 荒木さん的に。
荒木 実は、このアダちゃんのビジュアルは、既にWEBを調べると出ちゃってるんですが、私はあえて調べずに映画館に行っていただいたほうがいいと思います。
鈴木 ほう!
荒木 人によっては、トラウマ受ける作品かもしれません。
鈴木 そんなやばいの?グロイの?
荒木 いや、映像事態は北欧アイスランドの大自然と山々の風景、どこか神秘的ですね。違う言い方をすると不気味さが漂ってるんですが。北ヨーロッパの自然が盛り込まれています。とてもいいんですが、とにかく先が読めない展開ですので、悪夢のようで、御伽噺のようで、神話のような、そんな感じ。
鈴木 なんだかなぁ…。
荒木 まあね、どちらにしろ あまり見る前に情報を入れて欲しくない作品のタイプです。
鈴木 わかりました。もう聞かない、もう聞かない。
荒木 「LAMB/ラム」という、9月23日公開の作品です。
鈴木 ポールマッカートニーのソロアルバム聴いてから行きそうですね。ラムなんて…。
荒木 (笑)なるほどね…。 3本目は、9月9日公開「人質 韓国トップスター誘拐事件」というタイトルの映画です。
鈴木 ほうほうほうほう。

荒木 韓国のトップスターの男性俳優というと、若手のイケメン俳優はちょっと置いといて、大御所というとどのあたりを思い浮かべますかね? 多分ダイちゃんだと、半地下の家族のソン・ガンホさんあたりでしょうか?
鈴木 はいはい。当然ですよね。
荒木 あの冷蔵庫みたいな体形の…。マ・ドンソクとか。
鈴木 (笑)
荒木 ちょっと古くは、イ・ビョンホンさんなんかもいますよね。その中でファン・ジョンミンさんという俳優さん。多分皆さん、ダイちゃんも顔を見ればわかると思うんですけど…。
鈴木 あ、はいはい、この顔。この目尻だけが下がってる、もてるタイプの顔つきの方ですね。
荒木 そうそう。『シュリ』の頃から出ているんですが、『新しき世界』という映画ではヤクザの親分。『アシュラ』という作品ではものすごい悪のインテリの市長。 國村隼さんと共演した『哭声/コクソン』では、あやしい霊媒師って・・ホントに役の幅の広い人ですよね。 携帯持っている人は、ファン・ジョンミンで見てもらうとわかりと思いますが。見た目どうですか?
鈴木 あの、僕最初に見た瞬間に、日本の実業家の前沢友作さん…。
荒木 あーなるほどね。
鈴木 すげー似てる気がするんだけど。
荒木 目尻ね…。線は細くてね…。 この人実は背も高いんですよ、180㎝くらいあるんですよ。僕が見た感じでは、貴乃花光司さんを面長にした感じと思うのですが…。
鈴木 はっはっはっ、なるほど~。
荒木 松重豊さんって人もいますね。目がやさしくて優男ですよね。
鈴木 いけないパターンなんですよ、こういうの。
荒木 優しくて女にモテるタイプですね。すごく真面目そうなんですけれども、裏では何をしてるかわからないっていうね…。
鈴木 一番ハマってしまいそうなんです。
荒木 そう。韓国映画界では一億俳優と呼ばれる、超売れっ子の一人です。
この人の主演する『人質 韓国トップスター誘拐事件』なんですが、これは韓国の映画俳優が誘拐されるという話なんですが、主演がファン・ジョンミンさんで、この映画の中でもファン・ジョンミン本人の役をやっているんですね。
鈴木 実名で登場する、系?
荒木 そういうことなんです。ストーリーは、俳優ファン・ジョンミンが、記者会見から帰宅の途中、何者かに誘拐されるんです。警察や関係者は必死で行方を捜すが、証拠も目撃情報もありません。一方、ファン・ジョンミンはパイプ椅子に縛りつけられた倉庫のようなところで意識を取り戻して、自分が身代金目的で誘拐されたことを知ります。
犯人たちは、その頃、街を震え上がらせている猟奇連続誘拐殺人事件の犯人だということです。だから、殺すのが目的、お金を取って。ファン・ジョンミン、強いのは映画の中だけのことで、本人はどっちかというと優男というか、普通の人、唯一の彼の武器であるのは、そう素晴らしい演技力だけなんですよ。で、彼はこの演技力で、犯人に立ち向かう…といってもわからないと思いますが…。ま、その辺りは映画を観ていただくとして。味付け濃い韓国映画、ガンガン来ますよ。
鈴木 (笑)
荒木 極悪非道な誘拐犯たちも、特にいいですね。
鈴木 いいですか!
荒木 はい。主犯役のキム・ジェボムさん。もともとミュージカルスターらしいんですけど、目がサイコっぽくて、これは新しいスターになりますね。 基本的に、いつものお間抜けな警察が、いつものように後手、後手に回るんですけど、ファン・ジョンミンさんは、演じた映画のように強くはないので、当然苦戦します。怒涛の緊張感の連続で、最後まで目が離せませんし、ジェットコースター的展開で、カーアクションもハリウッド映画並みで、小さなどんでん返しもたくさん出てくるし…。さあ、有名スター、ファン・ジョンミンはこの苦境から逃げ出せるのか?!っていう話なんですけども。 この作品のモチーフになったのは、中国のウー・ルオプーさんという、あんまり有名じゃない俳優さんがほんとに誘拐され、身代金を要求された事件があったんです
鈴木 戻って来てんですか?無事に?
荒木 戻ってきてます。この事件をですね、7,8年前、あのアンディ・ラウ主演で、彼が誘拐される大物俳優役を演じた「誘拐捜査」という作品、これが今回の映画の元になっているらしいです。そしてソウル市での猟奇連続誘拐殺人事件もほんとにあったらしいです。だから事実に基づいている作品と言えるんですが。特に、映画に俳優さんが実名で出演することは、ちょくちょくあるんですが。
鈴木 そういう実名で出ている作品て、あるの?!
荒木 あります、あります。まあ、多くの場合が、カメオ出演なんですけど。有名なのは、「ジョーカー」でアカデミー主演男優賞を受賞したホアキン・フェニックスで、これは「容疑者 ホアキン・フェニックス」ってタイトルですね、ニセのドキュメンタリー作品で、モニュメンタリーなんですけども、2010年だったかな、俳優をやめて、歌手になるという内容なんですが、こんなのが出てます。この作品が原因でしばらくの間 仕事がなかったといういわくつきの作品だったんですけどね。
鈴木 そうなんですか!
荒木 他にも、ニコラス・ケイジ。
鈴木 え?何に出てんの?
荒木 今、お金が無いと言う事で有名なんですけど。仕事を選ばずどんな作品にまで出演していると言われています。これは日本未公開の作品なんですけども、「ジ・アンベアラブル・ウェイト・オブ・マッシブ・タレント」 架空の自分で、お金がない落ちぶれた俳優、というそのままのニッキー・ケイジとか、ニック・ケイジとか名乗って出てるんですね。プライバシーまでネタにしているというね。
鈴木 へぇー。
荒木 こういう、まあ、実名で出ている例もありますが、どっちにしろ有名じゃないとね!
鈴木 そりゃそうですよね!!
荒木 というような作品ですね。 というわけで、9月9日公開「人質 韓国トップスター誘拐事件」これお勧めです。
鈴木 今日の3本、全部面白そうじゃないですか!
荒木 はい、面白いですよ。是非観てください。
鈴木 荒木さん、ありがとうございました。

■荒木久文(あらき・ひさふみ)1952年長野県出身。早稲田大学卒業後、ラジオ関東(現 RFラジオ日本)入社。在職中は編成・制作局を中心に営業局・コンテンツ部などで勤務。元ラジオ日本編成制作局次長。プロデューサー・ディレクターとして、アイドル、J-POP、演歌などの音楽番組を制作。2012年、同社退職後、ラジオ各局で、映画をテーマとした番組に出演。評論家・映画コメンテイターとして新聞・WEBなどの映画紹介・映画評などを担当。報知映画賞選考委員、日本映画ペンクラブ所属。
■鈴木ダイ(すずき・だい)1966年9月1日生まれ。千葉県出身。日本大学芸術学部演劇学科卒。1991年、ボストン大学留学。1993年 パイオニアLDC株式会社(現:ジェネオン・ユニバーサル)入社 し洋楽宣伝プロモーターとして勤務 。1997年 パーソナリティの登竜門であるJ-WAVE主催のオーディション合格 。
現在は、ラジオパーソナリティとして活躍するほか、ラジオ・テレビスポット、CMのナレーション、トークショー司会やMCなど、幅広く活躍。 古今東西ジャンルにこだわらないポピュラー・ミュージックへの傾倒ぶり&造詣の深さ、硬軟交ぜた独特なトーク、そしてその魅力的な声には定評がある。