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映画
第95回アカデミー賞、米「ヴァニティ・フェア」誌が直前予想 作品賞は「エブエブ」が最有力
(2023年3月9日12:00)
第95回アカデミー賞の授賞式が12日(日本時間13日)に迫ったが、米誌「ヴァニティ・フェア」(電子版)は直前予想で作品賞は「エブエブ」こと「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」が有力と予想した。その根拠とはーー。
同誌は最高賞でもある作品賞について、「TAR/ター」や「ウーマン・トーキング 私たちの選択」、「イニシェリン島の精霊」が早い時期から批評家の支持を受け、「エルヴィス」は観客や投票者に支持され、「トップガン マーヴェリック」、「アバター:ウェイ・オブ・ウォ―ター」は興行的に大ヒットした。そして一時期スピルバーグ監督の「フェイブルマンズ」が「映画に深く根ざしたストーリーと、愛すべき監督の作品」として注目されゴールデングローブ賞(ドラマ部門)の作品賞と監督署を受賞し、アカデミー賞に作品賞、監督賞を始め7部門にノミネートされた。
ところがその後、Netflixのドイツ語版戦争映画「西部戦線異状なし」が急浮上してBAFTA(英国アカデミー賞)で作品賞、監督賞を受賞。
そして映画賞シーズンが深まるにつれてカンフーとマルチバースを融合させたミシェール・ヨー主演のSF映画「エブエブ」が快進撃を見せ、アカデミー賞に最多10部門11ノミネートされた。
4日(現地時間)に開催された米インディペンデント・スピリット賞の授賞式では8つのノミネートのうち、長編映画賞、監督賞、脚本賞、主演賞(ミシェル・ヨー)など7つの賞を独占して”「エブエブ」祭り”状態だった。(上の写真)
同誌は、最も注目すべきは4つの主要ギルド(組合)であるSAG(全米映画俳優組合賞)、PGA(全米製作者組合賞)、DGA(全米監督協会賞)、WGA(全米脚本家組合賞)すべてで作品賞を獲得したことだと指摘。過去に4回(「アメリカン・ビューティー」、「スラムドッグ$ミリオネア」、「アルゴ」「ノーカントリー」)しかない偉業だという。この4作品はすべて作品賞を受賞しているという。
同誌の映画批評家レベッカ・フォードは「この映画がハリウッドに受け入れられていることは明らかであり、日曜日には最高賞を獲得し、他のいくつかの部門でも賞を獲得することでしょう」と予想した。
同誌は全23部門を予想しているが「エブエブ」は監督賞(ダニエル・クワン&ダニエル・シャイナート)、ミシェル・ヨーのアジア人初の主演女優賞も有力と予想している。どうやら今年のアカデミー賞は「エブエブ」台風が席巻する雲行きのようだ。
米アカデミー賞を主催する米映画芸術科学アカデミーは2月24日(現地時間)、第95回アカデミー賞のノミネーションを発表した。最多ノミネートは「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」で、作品賞、監督賞、主演女優賞(ミシェル・ヨー)、助演男優賞(キー・ホイ・クワン)、助演女優賞(ジェイミーリー・カーティス)など10部門11ノミネートを獲得した。
「イニシェリン島の精霊」は作品賞、監督賞、主演男優賞(コリン・ファレル)、助演男優賞(ブレンダン・グリーン、バリー・キオガン)など主要部門を中心に8部門9ノミネートとなった。また、Netflixのドイツ映画「西部戦線異状なし」が作品賞、脚色賞、撮影賞、美術賞、音響賞、作曲賞など9部門にノミネートされた。スピルバーグ監督の「フェイブルマンズ」は作品賞、監督賞、主演女優賞(ミシェル・ウイリアムズ)、助演男優賞(ジャド・ハーシュ)、脚本賞など7部門にノミネートされた。
昨年の第75回カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞したスウェーデン映画「逆転のトライアングル」(リューベン・オストルンド監督)が作品賞、監督賞、脚本賞など主要部門にノミネートされたのも注目される。
日本作品では、湯浅政明監督のアニメーション映画「犬王」は長編アニメ賞部門のノミネートを逸した。授賞式は3月12日(現地時間)、ロサンゼルスのドルビー・シアターで行われる。■第95回アカデミー賞主要部門のノミネート
【作品賞】
「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」、「トップガン マーヴェリック」、「イニシェリン島の精霊」、「フェイブルマンズ」、「TAR/ター」、「エルヴィス」、「アバター:ウェイ・オブ・ウォ―ター」、「西部戦線異状なし」、「ウーマン・トーキング 私たちの選択」、「逆転のトライアングル」
【監督賞】
スティーヴン・スピルバーグ(「フェイブルマンズ」)
ダニエルズ(ダニエル・クワン&ダニエル・シャイナート)(「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」)
トッド・フィールド(「TAR/ター」)
マーティン・マクドナー(「イニシェリン島の精霊」)
リューベン・オストルンド(「逆転のトライアングル」)
【主演男優賞】
コリン・ファレル(「イニシェリン島の精霊」)
ブレンダン・フレイザー(「ザ・ホエール」)
オースティン・バトラー(「エルヴィス」)
ビル・ナイ(「生きる LIVING」)
ポール・メスカル(「アフターサン」)
【主演女優賞】
ケイト・ブランシェット(「Tar/ター」)
ミシェル・ヨー(「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」)
ミシェル・ウィリアムズ(「フェイブルマンズ」)
アナ・デ・アルマス(「ブロンド」)
アンドレア・ライズボロー(「To Leslie」)
【助演男優賞】
キー・ホイ・クワン (「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」)
ブレンダン・グリーン(「イニシェリン島の精霊」)
バリー・コーガン(「イニシェリン島の精霊」)
ジャド・ハーシュ(「フェイブルマンズ」)
ブライアン・タイリー・ヘンリー(「その道の向こうに」)
【助演女優賞】
アンジェラ・バセッド(「ブラック・パンサー/ワカンダ・フォーエヴァー」)
ケリー・コンドン(「イニシェリン島の精霊」)
ジェイミー・リー・カーティス(「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」)
ステファニー・スー(「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」)
ホン・チヤウ(「ザ・ホエール」)
【脚本賞】
ダニエルズ(「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」)
マーチン・マグドナー(「イニシェリン島の精霊」)
トッド・フィールド(「TAR/ター」)
スティーヴン・スピルバーグ&トニー・クシュナー(「フェイブルマンズ」)
リューベン・オストルンド(「逆転のトライアングル」)
【脚色賞】
サラ・ポーリー(「ウーマン・トーキング 私たちの選択」)
カズオ・イシグロ(「生きる LIVING」)
ライアン・ジョンソン(「ナイブズ・アウト:グラスオニオン」)
イアン・ストーケル、レスリー・パターソン(「西部戦線異状なし」)
アーレン・クルーガー、エリック・ウォーレン、シンガー、クリストファー・マッカリ―(「トップガン マーヴェリック」)
【アニメ賞】
「ギレルモ・デル・トロのピノッキオ」
「私ときどきレッサーパンダ」
「Marcel the Shell with Shose On」
「長ぐつをはいたネコと9つの命」
「ジェイコブと海の怪物」
【国際長編映画賞】
「西部戦線異状なし」(ドイツ)
「アルゼンチン1985 歴史を変えた裁判」(アルゼンチン)
「クロース(Close)」(ベルギー)
「EO」(ポーランド)
「クワイエット・ガール(The Quiet Girl)」(アイルランド)