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映 画
「アイスクリームフィーバー」「ヴァチカンのエクソシスト」などのとっておき情報
(2023年7月22日10:15)
映画評論家・荒木久文氏が「アイスクリームフィーバー」「ヴァチカンのエクソシスト」「ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE」のとっておき情報を紹介した。
トークの内容はFM Fuji「Bumpy」(月曜午後3時、7月17日放送)の映画コーナー「アラキンのムービー・ワンダーランド」でパーソナリティ・鈴木ダイを相手に話したものです。
鈴木 海の日、祝日、よろしくお願いします。
荒木 今回は暑くてたまらないので、涼しくなる映画ばかり紹介しましょうね。
鈴木 怖いのも入ってそう…。
荒木 カンがいいですね。問題は涼しくなり方なんですけど、映画の種類によって違いますね。私はアイスクリーム好きなんですけど、ダイちゃんはアイスクリーム食べますか?
鈴木 大好き!アイスキャンディーの氷系よりは、バニラアイスとかソフトクリームとか、ああいう系が…。
荒木 そうですね。私も食べます。
ということで、ご紹介する映画のタイトルが「アイスクリームフィーバー」という現在公開中の作品です。
これね、芥川賞作家・川上未映子さんの「アイスクリーム熱」という短編小説をもとにしています。
物語は、菜摘さんという女性が主人公。あの吉岡里帆さんが演ってます。
彼女は、美大卒業した後、デザイン会社に就職するんですが、うまくいかず、今は渋谷のアイスクリームショップでアルバイトをしています。
ある日彼女は、アイスクリームを買いに現れた有名な作家の橋本佐保さんという人に運命的なものを感じて、彼女の存在が頭から離れなくなってしまいます。菜摘さんのアルバイト仲間で後輩の貴子さんは、そんな菜摘さんをすこし複雑な思いで眺めているんですね。一方、アイスクリーム店の近所に住む女性、優ちゃん。松本まりかさんが演じているんですけど、彼女の家には、姉の娘、姪の美和ちゃんが急に訪ねてきて一緒に住むことになるという…女性の主人公による、東京・渋谷を舞台にした群像劇ですね。
鈴木 女性ばっかりですね。
荒木 そうなんです。世代の異なる4人の女性の思いが交錯する姿と、女性同士のラブストーリーも絡んだ映画です。吉岡さん、松本まりかさんの他には、モデルのモトーラ世理奈さんが小説家をやります。貴子さん役は音楽ユニット「水曜日のカンパネラ」の2代目ボーカル詩羽ちゃんがやってます。
監督は広告だとか、ファッションだとか、多方面で活躍するアートディレクターの千原徹也さんという人なんです。この人、有名な人らしくてH&MやGU、スターバックスとか、桑田さんのCDジャケットとか、色んなフィールドで活躍するアートディレクターで売れっ子らしいです。長年の夢だった映画製作ということになって、スタッフにも自分の使ってるフォトグラファーだとか、スタイリストとか使って撮ってるんですよね。
鈴木 自分のチームって感じですね。
荒木 そうそう。で、この作品のバックアップも、いろんな企業、猿田彦珈琲とか、PARCOとか、グランマーブルといったブランドとの連動企画が出来てるんです。だから商業主義の最前線にいる人ですね。ちょっと私みたいな年寄りは置いてけぼりされるかも、という感じです。
鈴木 あはははは。
荒木 一言で言うと、ファッションブックのような作品です。
色使いがとてもカラフルで、それこそ「31アイスクリーム」のお店のアイスクリームのケースのようです。
鈴木 なるほどなるほど。
荒木 とりあえず、絵を第一優先に考えた作りですね。とにかく出演者全員、雑誌から出てきたみたいな感じ。映る景色もすべて作りこまれてるような感じですね。
鈴木 現実感があるようで、ないような。
荒木 そうそう。ワンシーンワンシーン、全てスタイリッシュです。だから、汚いところとか、汚れたところが全くないんです。
鈴木 あはははは。ひとつもないのが、荒木さんにはピンと来ないんじゃないの?
荒木 そうなんです。これ、映画なの?っていう人もいるくらいなんです。
ドラマとしても大きな事件も起こらないんですけど、4人の関係が最後にわかるという、意外な展開があるんですが、これは原作通りなんでしょうね。私は読んでないんですけど。
見終わった後 私は、奮発してハーゲンダッツのアイスクリームを食べました。
鈴木 あはははは。
荒木 まんまと商業主義の罠にはまってしまいました。
鈴木 ハーゲンダッツというのは、カップの方を食べたんですか?
荒木 カップです。そういう意味ではアイスクリーム食べたくなる映画でしたよ。
鈴木 荒木さん、ハーゲンダッツのバニラ持ってきてくれてもいいよ。ここに。
荒木 はいはい、わかりました。高いんだよねハーゲンダッツ。
自分へのご褒美だよね。ということで、涼しくなるかもしれない映画1本目、「アイスクリームフィーバー」でした。次は怖い映画。
鈴木 出た!
荒木 怖いと言っても色々ありますが、悪魔払いです。悪魔祓いというと…。ダイちゃん、「エクソシスト」は観ていますか?
鈴木 当り前じゃないですか。「エクソシスト」も「エクソシスト2」も全部観てますよ。
荒木 そのエクソシストを描いた最新の強力版が現在公開中の「ヴァチカンのエクソシスト」という作品です。
鈴木 なるほど。タイトルだけで怖いよ。
荒木 ラッセル・クロウが演ってます。初めてホラー映画主演なんですが、これは、実在したエクソシストの本を映画化した作品です。
ストーリーは、1987年、スペインのサン・セバスチャン修道院という所です。アモルト神父という人、これはラッセル・クロウが演っているんですが、彼はローマ教皇から、ある少年の悪魔祓いを依頼されます。その少年のもとを訪れた彼は何者かに憑りつかれた少年の変わり果てた姿や、絶対に知りえないはずのアモルト自身の過去を喋っちゃう様子をみて、これは病気ではなく、間違いなく“悪魔”の仕業だと確信するんです。
で、アモルト神父は、若き相棒の神父とともに本格的な調査と悪魔祓いを開始するというわけです。さっき言いましたように、この映画の主人公アモルト神父は実在の神父で、エクソシストだった人なんですよ。
北イタリア生まれの彼は、カトリック教会の総本山ヴァチカンのローマ教皇に直接仕え、生涯で数万回の悪魔祓いを行ったチーフ・エクソシストと言われ、「ヴァチカンのエクソシスト」と呼ばれていたんです。自分の本を書いていますが、そこにはエピソードだけじゃなくて人類に対する悪魔の脅威について探究していたそうです。6年前に亡くなりました。
その著作に要ると、悪魔が憑りついたのではないかという現象、まあ、昔から、狐憑きとかありますでしょう? いわゆる悪魔憑き。そのような状態でアモルト神父もとに紹介されてきた中で、その中の大部分が98%が精神医学とか心理学という範疇のもの、つまり、精神的な疾患とかの病だったんです。だから専門のお医者様のところへ行きなさいというんです。
ところが2%ぐらいのケース、極々わずかではありますが、身体や人格や、精神を何らかの本物の霊や悪魔に支配されている例があるんだそうです。それで、悪魔の戦いをしたということなんです。つまり、悪魔は実在するということなんですよ。そういうことを前提で書かれた本の映画化なんです。
鈴木 いやいやいやいや…。
荒木 そんなこんなで、聖水や聖書、十字架を武器に悪魔と神父の騙し、騙されの心理戦が続くんです。で、だんだんだんだんアクションが派手になるので、心理戦のリアリティじゃなくなってくるんですけど、ラッセル・クロウのでかい身体で頑張っていますので、見応え十分です。
鈴木 エクソシストの一番最初にやった、リーガンの、あの裏側になってバタバタバタバタ走る、あれは無い感じですか?
荒木 いや、あれに近いのが出ますよ。
鈴木 いやー!出た出た出た!
荒木 今回は男の子なんですけど、男の子の表情がメチャクチャ怖い!ゾッとします。怖さも、だんだんエスカレートしてきますね。ということで、ぞっとして涼しくなるのではないかという作品でしたけど、現在公開中の「ヴァチカンのエクソシスト」という作品でした。
で、最後。何度もこの番組で取り上げていますね。今週金曜日7月21日公開の、トム・クルーズ主演「ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE」、シリーズ第7作です。
鈴木 来たー!
荒木 これはもう、涼しくなるというか、鳥肌立つというかひやひやの連続です。
鈴木 逆に熱くなるじゃないですか!わきの下とか、じんわりー。
荒木 そっかー。汗が出るとは考えなかった。ちょっと過去シリーズでは、ひやひや場面ありましたよね?まず1作目では、イーサンハントが CIAの金庫室にケーブルで中刷りで天井から侵入するシーンありましたよね。
鈴木 ギリギリでしたからね!降りた時にね。
荒木 そう!ハラハラドキドキ。その次の作品では、いのち綱なしのロッククライミングだったし。それから「ゴースト・プロトコル」でしたか、これが一番かもしれません。高さ800メートル超の高層ビル「ブルジュ・ハリファ」の外壁クライミングありましたね。
鈴木 絶対、俺あれ無理!無理だわ!
荒木 無理だよ、あれはー。それから輸送機エアバス、それも時速400キロで飛ぶ機体にぶら下がりましたよね。
鈴木 ホントないないない!
荒木 怖いよね!涼しいよね。前回は自分でヘリコプター操縦して空中バトルでしたけどね。今回の「デッドレコニング PART ONE」では、アクション見どころ、3つあります。一つ目はイタリアローマでのカーチェイス、バイクチェイス。二つ目はイギリスのノース・ヨークシャーで撮影されたという列車の屋根の上での格闘シーン。予告編で見た方もいらっしゃると思いますが、最大の見せ場はノルウェーの断崖絶壁から、超スピードで、バイクで、真っ逆さまに落下するというシーンですよね。
鈴木 何なんですかね。ミッションどころか、インポッシブル、インポッシブルですよね。
荒木 絶対そうですよね。大きいスクリーンでみると自分が吸い込まれていきそうです。ヒヤリというより冷凍庫に入っているみたいな感じ。
ストーリーについてはあまり言っちゃいけないんですけど。あと、極秘情報なんですけど、来年の夏以降の公開の「ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART 2」では、第1作の宙づりでデータを盗まれ恥をかかされたCIAの人たちが復讐の鬼と化して戻って来るらしいですよ。
鈴木 えー!!
荒木 これ、あんまり言っちゃいけないのかな…。8作目は1作目に戻るらしいんですが、ほんとかどうか?これも凄いらしいんで、楽しみですよね。
今日は現在公開中、公開間近の作品から、ちょっと涼しくなるだろう作品をご紹介しましたが、今ここまで来て考えて見たら、映画館は冷房が効いて涼しいよね。
鈴木 そうだよね!何観たって涼しいと思うよ。
荒木 …というオチでした。一言で粉砕されちゃうね。
鈴木 映画館で冷えた体に、またパルム食べて、「ヴァチカンのエクソシスト」観たら風邪ひくよ、逆に。
荒木 そうでした、余計なお世話でしたね。一生懸命考えてやったのに…。
鈴木 流れ的には凄くよかったと思いますよ(笑)。
荒木 そうですか(笑)。涼しく過ごす方法のひとつです。
鈴木 あはははは。ありがとうございました。
■荒木久文(あらき・ひさふみ)1952年生まれ。長野県出身。早稲田大学卒業後、ラジオ関東(現 RFラジオ日本)入社。在職中は編成・制作局を中心に営業局・コンテンツ部などで勤務。元ラジオ日本編成制作局次長。プロデューサー・ディレクターとして、アイドル、J-POP、演歌などの音楽番組を制作。2012年、同社退職後、ラジオ各局で、映画をテーマとした番組に出演。評論家・映画コメンテイターとして新聞・WEBなどの映画紹介・映画評などを担当。報知映画賞選考委員、日本映画ペンクラブ所属。
■鈴木ダイ(すずき・だい)1966年9月1日生まれ。千葉県出身。日本大学芸術学部演劇学科卒。1991年、ボストン大学留学。1993年 パイオニアLDC株式会社(現:ジェネオン・ユニバーサル)入社 し洋楽宣伝プロモーターとして勤務 。1997年 パーソナリティの登竜門であるJ-WAVE主催のオーディション合格 。
現在は、ラジオパーソナリティとして活躍するほか、ラジオ・テレビスポット、CMのナレーション、トークショー司会やMCなど、幅広く活躍。 古今東西ジャンルにこだわらないポピュラー・ミュージックへの傾倒ぶり&造詣の深さ、硬軟交ぜた独特なトーク、そしてその魅力的な声には定評がある。