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映 画
「レンタル×ファミリー」「韓流映画祭2023」などのとっておき情報
(2023年6月17日21:30)
映画評論家・荒木久文氏が「レンタル×ファミリー」「韓流映画祭2023」などのとっておき情報を紹介した。
トークの内容はFM Fuji「Bumpy」(月曜午後3時、6月12日放送)の映画コーナー「アラキンのムービー・ワンダーランド」でパーソナリティ・鈴木ダイを相手に話したものです。
鈴木 よろしくお願いします。
荒木 今日も公開中の1本から紹介したいと思います。最近は身軽でモノを持たないことが、ちょっと格好いいという発想もあるんでしょうか?いろいろなレンタルシステムが出来てきてますよね。ダイちゃんは、何かレンタルサービスって利用していますか?
鈴木 昔、レンタルビデオでエッチなものを数本…。
荒木 はいはい、なるほどね(笑)。 あはははは。他にはないですか?
鈴木 あとは、レンタカーとかだね。
荒木 一般的にはそんなレンタルですね。先週土曜日から公開中の「レンタル×ファミリー」という作品からご紹介しましょう。
人間をレンタルする実在のサービスがあるそうなんです。よく耳にはしますよね。これをテーマに描いたドラマです。
家族レンタルサービスなどの企業を経営している石井裕一さんという方が書いた本で「人間レンタル屋」が原作です。;映画は3つのパートに分かれていて、ショートストーリーが繋がっているんですけど、幼い娘のために父親をレンタルするシングルマザーとか、人には言えない秘密のために結婚式でニセの家族を揃えなければならない花嫁とか、さらにレンタルによって、金で実現したしあわせの、いわゆる依存症になってしまう親子など・・・、人間をレンタルしている実態や、そこから生まれるドラマなどを、実際にあったことをもとに描いているんでしょうね。
鈴木 いろいろ、悲喜こもごもありそうだなー。
荒木 そうなんです。中にはずっと父親だと信じてきた男性が、実は雇われていた他人だったことを知るなんてことも描かれています。この3つのエピソードを貫いているのはこの原作の主人公でしょう。この人間レンタル企業の社長さん。彼が関わった家族の話、ということなんです。モノじゃない人間のレンタルって、昔は絶対に存在しなかったサービスですよね。時代のニーズと言えるんですけど。でも話相手とかだったらともかく、レンタルガールフレンドとか、レンタルボーイフレンドとかになると…。
鈴木 どこまで恋していいのかわかんないね。
荒木 そうですよね、微妙ですよね。入れ込んじゃったりする方もいるんでしょうけどね。どうなんでしょう?レンタルしてみたいって気もしますけどね。
ということで、「レンタル×ファミリー」 公開中です。それから今の季節、いずれも映画大国と言っていい国の映画祭が、日本で開かれています。ポチポチ。
鈴木 映画大国?
荒木 イタリアだとか、韓国も最近はそうですね。
鈴木 ああ!そうですね。
荒木 イタリアは5月の頭に、4年ぶりにイタリア映画祭ということで、本国から俳優さんなどのゲストが参加して盛り上がりました。
今日は、韓国映画祭についてちょっとご紹介しましょう。最近の韓国映画の興隆は目を見張るものがありますね。
鈴木 凄いですよね。
荒木 「パラサイト 半地下の家族」はじめ、面白いですよね。特にハードボイルド物。なんだかんだ外れもあるけど面白いです。
韓国映画、いわゆる韓流って呼ばれてるものが日本でメジャーになったきっかけ、何だかわかりますか?
ドラマですけど、「冬のソナタ」です。
鈴木 あ!冬ソナねー。
荒木 これが2003年ですから、もう20年になるんですよ。
そんなことで 「韓流映画祭2023」、日本未公開作品を含む全21作品が上映されてるんですけど、これからみられるオススメ作品をご紹介します。
鈴木 はい、お願いします。
荒木 まずは、今やってる「アルバトロス」という作品で、実話を基にした、朝鮮戦争時に捕まった韓国軍将校が北朝鮮から逃げ出すという、彼の戦いの話ですね。
それから、6月16日から公開予定なのが「ファン・ジニ」。ファン・ジニっていうのは人の名前です。妓生(きーせん)ってわかりますかね?妓生って昔の朝鮮で諸外国からの賓客に対して、宴会などで歌や踊りを披露したり、時には性的サービスをする女性のことなんですが。16世紀の朝鮮王朝で“最高の名妓”と称されたファン・ジニさんの人生を描いたものです。当時の社会体制がよくわかります。こちらは2007年製作日本初公開です。
そして、6月30日からは「ミスター・ コンドーム」という、わけのわからない…。
鈴木 「ミスター・コンドーム」?なんなんですか?それ。
荒木 同じ航空会社で働く新婚夫婦のちょっとエロチックなコメディです。僕も何本か観たんですけど、今の韓国映画と比べると、ちょっと舌足らずな感じというか…。
鈴木 だいぶ前な感じですか?
荒木 そうそう、だいぶ前な感じですね。だから今凄いなっていうんですが。映画から感じる、ちょっと粗削りではありますがパワフルな空気ってやっぱりあるんですね。そういうところを観ていただくと面白いと思います。
会場は、東京は新宿シネマートですね。大阪は、シネマート心斎橋ということで、詳しくはホームページ見てください。韓国映画祭のお話でした。
…ということで、そろそろネタに詰まってきた感じの「私の好きな映画音楽」。今日は、ラジオをお聴きのみなさんにも、ダイちゃんにも、あっと驚く…これを出すのか!という、誰にも予想できないゲストがスタジオにいらっしゃっているんです。
鈴木 ゲスト!? あ!あ!目の前にいるわ、確かに―。
荒木 誰でしょう?早速ご紹介してください。どうぞ!
鈴木 今日のスペシャルゲストをご紹介しましょう!ルーリード新海さ~ん!
新海 よろしくお願いいたします。
鈴木 ちょっとルーリード~。何やってんの?
新海 いつも目の前にいるじゃないですか、大体。
鈴木 荒木さん、私の目の前にですね、「BUMPY」ではディレクターをやって頂いてるんですが、他では、とにかく出演者としても有名な、ルーリード新海さんが来ておりますから!
荒木 プロレス流にいうと、緊急参戦ですね。
鈴木 ほんと、突然参戦して、殴って帰って行きそうな男ですから!
荒木 あはははは。ということで、今日は、DJでもあり、ディレクターでもある、音楽業界どっぷりの最前線から基本までわかってらっしゃる新海さんに、映画音楽の、ベスト3じゃなくて、3本選ぶんだったらこういうことで、前回のダイちゃんと同じように紹介していただきたいと思います。
鈴木 ワクワクするね。荒木さんとルーリード2人で展開しながら、私ちょこちょこ突っ込んでいくよ。
荒木 そうですか。はじめまして、新海さん。
新海 はじめまして。こういう形でははじめましてですね。よろしくお願いします。
荒木 新海さんの選んだリスト、私の方に届いてるんですが、まずひとつ目をご紹介ください。
新海 まず、この音楽からお聴きください。
♪~New Divide~♪
新海 「トランスフォーマー」2作目、リベンジの主題歌、リンキン・パークの「ニュー・ディヴァイド」選ばしていただきました。
荒木 これか。こういう映画ご覧になるんですね。
新海 逆にいうと、こういう映画か色っぽい映画しかわからないですね。
荒木 ダイちゃんも観てますよね?
鈴木 もちろん!大好き。
新海 これ、「トランスフォーマー」の第1作目、2007年だったと思うんですけど、この時もリンキン・パークの「WhatI’veDone」、こちらが主題歌になっていました。もともとリンケン・パークは、私大好きで、ああなるほど、「トランスフォーマー」のイメージに合うなと思って1作目を観たんです。で1作目も凄く楽しんで観たんですね。また、明らかに2作目もあるっていう終わり方を、わかりやすくしてくれたじゃないですか。で、2作目はどういうところなんだろうってことで、またきた!リンキン・パーク!
荒木 そうですよねー。2作目はあんまりいいのが無いというか、定番というかこの業界の常識になってるんですが、この作品も2作目はダメだったんですね。
新海 そうなんですよね。
荒木 ラズベリー賞、7部門にノミネートされ、監督のマイケル・ベイも、失敗作だと認めてるような作品だったんですけど、音楽はね!
新海 そうなんですよ。ただね、ラズベリー賞なのかもしれませんが、1作目よりもちょっとコメディ要素も入りつつ、何と言ってもミーガン・フォックス。ま~色っぽい!
荒木 エロいですねー。最近おばさんになって、何かで見たけど、だんだん変わってきて妖艶さが増しましたけど、当時はすらっとして綺麗でしたよね。
新海 内容も音楽もですけど、ミーガン・フォックスにやられたってのがあるんですよね。
荒木 ああいうの、好きですか。
新海 大好き!
荒木 ゴージャス系…ね。
新海 ゴージャス系はおいといて、まずは「トランスフォーマー リベンジ」
の主題歌、リンキン・パークの「ニュー・ディヴァイド」選ばしていただきました。
荒木 なるほど。では、2つ目をご紹介していただきたいと思います。
新海 まず、こちらをお聴きください。
♪~Misirlou/Dick Dale & His Deltones~♪
鈴木 ルーリードっぽすぎて笑う。
新海 1994年の映画ですよね。
荒木 そうですよね。
新海 「パルプ・フィクション」です。クエンティン・タランティーノ監督だったと思うんですけど、私、この映画を初めて観た時、ぶっちゃけよくわかんなかったんです。なんだ?このいろんな物語が同時進行するような、オムニバスっていうんでしょうか。
荒木 そうですね、いろんなものが混ざってましたからね。
新海 いろんなものが混ざってるけど、最後まで観ると、ああ!へぇーっていう感じで、物語自体はなんか腑に落ちないで観ていたんですけど、かかってる音楽は、いちいちカッコいいんですよ。だから、例えば私が選ばしていただいたディック・デイル「ミザル」、これは一番予告編とかでも流れてましたし、他にも、クール&ザ・ギャング「ジャングル・ブギー」、アル・グリーンが流れていたり、音楽がコントロールするんですよ。で、1回じゃわかんないから、何度か観て、やっと物語納得して、やっぱり音楽が最初にきた映画ってことで、こちらを選ばせていただきました。
荒木 タランティーノ監督の作品は音楽なしでは、語れませんからね。タランティーノ的と呼ぶしかない、唯一無二のジャンルですからね。
そう、ちょうどタランティーノのドキュメンタリーが、今年の8月に公開されるんです。
新海・鈴木 えー!!
荒木 「クエンティン・タランティーノ映画に愛された男」というタイトルなんですけど、1作から8作目の出演者がタランティーノについて語ったり、プロデューサーやスタッフたちが出演したり、ドキュメンタリー映画として語っているんですよ。
タランティーノ自身は、長編映画10本撮ったら映画監督引退するよと公言してるんですね。近く10本目が完成するだろうと言われているんです。で、その前にこの、「クエンティン・タランティーノ映画に愛された男」というドキュメンタリーで、その辺りも触れるらしいんですけど、これ、新海さん観ないといけないですね。
新海 そうですね、8月。
荒木 8月11日公開予定です。
新海 楽しみです。
荒木 ということで、なんといっても一番好きな映画ということで次に選んでいただいたのは…。
新海 1986年「トップガン」!
鈴木 出たー!
新海 オリジナルの方ですね。「トップガン」の主題歌、ではないです。
愛のテーマの方です。
荒木 そこへいくのが凄いよね。
新海 ベルリンの「テイクマイブレスアウエイ」。こちらを選ばせていただきました。いろんなところで、私の好きな映画は「トップガン」だって言ってきているんです。
これ、私12歳の時だったんですよ。で、従弟のお兄さんが6つ上にいるんですけど、その方に連れて行ってもらったんです。戦闘機がかっこいいってだけのイメージで行った新海少年はですね、途中でこの音楽が流れてラブシーンがはじまるんです。
鈴木 あのシーン!
新海 あのシーンです!あの時に初めて、なんだろ、こう、ゾワゾワゾワゾワっていうちょっと大人になった感覚。
鈴木 下半身に血液が全部流れ出すって感覚?
新海 もっともっと、ミスターコンドームみたいなね!
鈴木 オイオイ!
荒木 なーるほどねー。
新海 それで、とにかくケニー・ロギンスがかっこいいのはわかるんですけど、印象に残ってしまったのがベルリンなんですよ。それ以外でも、ベルリンのあの音楽って、愛のテーマっていうのがぴったりしっくりくるということで、ディレクターになってからも、事あるごとに選曲にいれされていただいてます。ということで、「私の好きな映画」1位は、これは1位って言っていいな、1位はベルリンの「テイクマイブレスアウエイ」でございます。
荒木 素晴らしい! ありがとうございます。今日は貴重な日ですね。出ていただいて、私の好きな映画音楽ということで盛り上がっていったんですけど、次はまたみなさんのを紹介して、最後は私…、ダイちゃんももう少し紹介しそうだから。
鈴木 荒木さん、3曲4曲で終わるはずないじゃん。
荒木 無理な注文だったよね。
鈴木 何回でもやりますよ。
荒木 また考えなおして、続けられるならやってみたいと思ってますけど、今日はありがとうございました。新海さんに出ていただいて、ルーリード新海ということで、緊急参戦、メインイベントでした。
新海 お粗末様でした。
鈴木 ということで、ゲスト、ルーリード・新海さんをお招きしました。ありがとうございました。
■荒木久文(あらき・ひさふみ)1952年長野県出身。早稲田大学卒業後、ラジオ関東(現 RFラジオ日本)入社。在職中は編成・制作局を中心に営業局・コンテンツ部などで勤務。元ラジオ日本編成制作局次長。プロデューサー・ディレクターとして、アイドル、J-POP、演歌などの音楽番組を制作。2012年、同社退職後、ラジオ各局で、映画をテーマとした番組に出演。評論家・映画コメンテイターとして新聞・WEBなどの映画紹介・映画評などを担当。報知映画賞選考委員、日本映画ペンクラブ所属。
■鈴木ダイ(すずき・だい)1966年9月1日生まれ。千葉県出身。日本大学芸術学部演劇学科卒。1991年、ボストン大学留学。1993年 パイオニアLDC株式会社(現:ジェネオン・ユニバーサル)入社 し洋楽宣伝プロモーターとして勤務 。1997年 パーソナリティの登竜門であるJ-WAVE主催のオーディション合格 。
現在は、ラジオパーソナリティとして活躍するほか、ラジオ・テレビスポット、CMのナレーション、トークショー司会やMCなど、幅広く活躍。 古今東西ジャンルにこだわらないポピュラー・ミュージックへの傾倒ぶり&造詣の深さ、硬軟交ぜた独特なトーク、そしてその魅力的な声には定評がある。