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映 画
「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」「銀河鉄道の父」などのとっておき情報
(2023年5月6日11:30)
映画評論家・荒木久文氏が「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」「銀河鉄道の父」などのとっておき情報を紹介した。
トークの内容はFM Fuji「Bumpy」(月曜午後3時、5月1日放送)の映画コーナー「アラキンのムービー・ワンダーランド」でパーソナリティ・鈴木ダイを相手に話したものです。
鈴木 よろしくお願いします。
荒木 ゴールデン・ウィーク!この時期、外のイベントももちろん多いんですが、映画のイベントも多いのでご紹介していいですか。
鈴木 お願いします。
荒木 まずは第一回の横浜国際映画祭」。
「ヨコハマ映画祭」というのはあるんですけど、こちらは「横浜国際映画祭」。
監督で俳優の竹中直人さんが公式アンバサダーをやっている新しい映画祭ですね。
この「横浜国際映画祭」は、映画だけじゃなくて、フェスティバルとして多くに人が集まれる企画イベントを目指して、会場を横浜みなとみらい周辺で華々しく展開されるようです。5月3日に横浜赤レンガパークメインステージで、レッドカーペットが行われます。
映画のオープニング作品は、私もまだ観てないんですが、「UMAMI」というフランス映画です。
鈴木 うまみ?
荒木 味のうまみですね。ラーメンも登場する、日本を舞台にした料理映画らしいですね。
鈴木 え~!面白そうですね。
荒木 で、クロージング作品は、「ドーター/DAUGHTHER」、娘っていう、横浜の町を舞台に交錯する家族の愛情を描いた作品だそうです。「ドーター」の監督が菅野祐悟という…。名前を聞いたことある方いるかな?
映画、TVの世界では、音楽の関係でビックネームの人です。菅野さんは月9のドラマ「ラストクリスマス」でドラマ作曲家デビューし、その後、大河の「軍師官兵衛」とか、連続テレビ小説の「半分、青い」とか。
鈴木 すごい方なんですね。
荒木 そうなんですよ。ここのところ「名探偵コナン」シリーズをやってます。いわゆる劇伴っていうんですか、TVドラマ界では知らない人のいない存在らしいですね。この菅野さんが初めて監督したのが「ドーター/DAUGHTHER」なんですけども、関連企画で、菅野祐悟コンサートというのを、このイベントでやるんです。
5月4日神奈川県民ホール。彼が関わった作品の中からですね、まーたくさん映画音楽作ってるんですよ、数えきれないほど。「沈黙のパレード」だとか、「日本沈没」だとか、「ジョジョの奇妙な冒険」とか。ダイちゃんも必ず観たことある…。「ガンダム」もあるし。すごい数があるので、どんなのが聴けるか楽しみですね。
鈴木 なんかグレイテスト・ヒッツな感じだね。
荒木 そうです。横浜各所でいろんな作品だとかイベントが行われるので、興味のある人はHP見てください。「第一回横浜国際映画祭」。
鈴木 楽しいGWになりそうですね。
荒木 次はイタリアです。ダイちゃんもイタリア好きですよね。
「イタリア映画祭2023」、これも恒例なんですけど、5月2日から7日迄開催しています。
場所は東京の有楽町朝日フォーラムですが、上映されるのは日本初公開の新作ばかりです。大半がこの映画でしか観ることができない貴重な作品で、私も観にいこうと思うんですけど。イタリア映画お好きな方は是非どうぞ。
イベントをお知らせしましたけど、今週、「子どもの日」も近いので、お父さんとお子さんと一緒に楽しめる作品も何本かご紹介したいと思います。
まずこの曲からどうぞ!
♪~(スーパーマリオテーマ曲)…
ということで、これ? わかりますか?
鈴木 もちろんですよ!スーパーマリオ!
荒木 はい。先週から公開中なんですね。「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」。スーパーマリオといえば、ポケモンと並んで世界的人気のアクションゲーム。ダイちゃんも世代…。
鈴木 世代ですよ!世代!
荒木 そうですよね、この音楽と一緒にやりましたよね。今回、ミニオンズや新シリーズなんかの、あのイルミネーションスタジオと、日本のマリオの任天堂が共同でアニメーション化したんです。古いゲームだから人気だし、もっと早く映画化されると思ったんですけど、意外に遅かったですね。
鈴木 そうです、意外ですよね!
荒木 そうですよね、そのせいか日本に先駆けて公開されて海外では大ヒットだそうです。 今年度、最大級のヒットだそうです。
鈴木 え!?そこまでの大ヒット!?
荒木 大ヒット!話題です。
物語は、ニューヨークで配管工として仕事をしている双子の兄弟のマリオとルイージ。
ニューヨークなんですね、舞台。謎の土管を通じて魔法の世界に迷いこんじゃうんです。
2人は離れ離れになってしまうんですが、ルイージは、キノコ王国を征服しようとする大魔王クッパに捉まってしまうんです。弟を救い出すために、キノコ王国のリーダーであるピーチ姫の助けを借りて立ち向かうという話なんです。
鈴木 楽しそう!楽しそう!
荒木 マリオとルイージに加えてですね、ピーチ姫、クッパ、キノピオ、ドンキーコング、ヨッシーなどですね、我々がゲームで遊んだキャラクター総登場です。
そういう意味では、キャラクターが出てくるたびに懐かしいですよ。あー!と思うから。もちろんやってない方でも十分楽しめますからね。あと映像がとても綺麗です。もうひとつは音楽のテイストがいいです。今聞いていただいたマリオのテーマソングのアレンジもおしゃれでいいんですけど、劇中でクッパ大王が歌う、ピーチ姫に捧げる愛のバラードもとってもいいです。
それから時代なんでしょうか、ピーチ姫がマリオに救われるという立ち位置じゃなくて、マリオと一緒に戦っちゃうんですね。
鈴木 あー、強くなってるんだね。
荒木 そう!キャットウーマンみたいなバリバリのボディスーツでですね、
バイクにまたがってカッコいいですよ。声は、アメリカ版はクリスプラットがマリオ役を、ピーチ姫は、売れっ子のアニャ・テイラージョイちゃんがやっています。日本版では、マリオを宮野真守さん。ピーチ姫を志田有彩さん。最後の場面を観ると、これは必ず2本目があるなという予告編ぽいものも出てきます。
「スーパーマリオブラザーズ」今公開中なんで、ちっちゃいお子さんと一緒に行くにはいい映画だと思います。
次はもうちょっと上のお子さんと一緒に行くのも大丈夫ですね。
「銀河鉄道の父」という、今週金曜日公開の作品です。
岩手県が誇る詩人・作家の宮沢賢治を育てた政次郎というお父さんにスポットをあてた作品なんです。
原作は、小説で門井慶喜さんが書いた直木賞受賞作ですね。宮沢賢治は小さい頃、読んだでしょ?
鈴木 読みましたね。やっぱりいろいろ。なんか読む流れになりますよね、日本で育つと。
荒木 そうですね。必ず小学校の図書館にありましたしね。
物語ですが、時は明治の時代です。岩手県で質屋を営む宮沢政次郎さん。この人いわゆる地方の名士ですね。議員さんなんかもやった人ですけどね。
彼には5人の子供がいて、長男がのちの詩人で童話作家の宮沢賢治さんですね。
長男の若き日の宮沢賢治は、本来 長男ですから家業を継ぐ立場にあるんですけど、適当な理由を見つけてはそれを拒み続けていたんです。そして 学校卒業後は農業大学へ進学したんですが、この人、宮沢賢治、意外にダメ人間なんです。いろんなインチキっぽい事業に手をだしたり、それで痛い目にあったり、宗教にのめりこんだり、いわばゴーイングマイウエイというか、我が道を突き進むタイプなんです。やがて賢治は、妹トシちゃんの病気をきっかけに文章を書こうとすることになるというんですが、
あの宮沢賢治が、実は、小学校のどこの図書館にもある宮沢賢治ですが、ちょっと困ったちゃんだったんですね。
鈴木 家族の中で異質なんですね、やっぱり。
荒木 そうなんです。このこと初めて知りましたよね。とっても心優しい詩人で、他人のことを思いやるという、そういうことが色んな物語や詩にも表れているんですけど、意外にそうじゃなくてですね、なんかねインチキな人工宝石とかですね、ずぶずぶになっちゃてるんですよ。
鈴木 (笑)本人は、ダメなんだね、ちょっとねー。
荒木 そうなんですよ。ま、ダメ人間って言っても、見方変えるとね、何事にも集中して思い悩んで真実を求めるという、苦悩の人ってことが言えると思います。
鈴木 だから、作家、詩人になるわけですよー。
荒木 配役はすごいメンバーです。お父さん役、政次郎役は役所広司さん。長男賢治は菅田将暉さん。妹のトシさんは森七菜ちゃんがやります。
監督は、「命の停車場」の、山梨出身、成島出監督なんですけど。演技力が安定しているので、とても見ごたえがあります。ただね、僕 ちょっと気になったのがね、髪を短く刈り込んだというか、坊主頭の菅田将暉くんですね。ちょっとカッコよすぎるんだよねー。
鈴木 坊主頭でカッコよすぎるって、逆に一番カッコいいパターンですよね。
荒木 ちょっと思い出してくださいよ、ダイちゃん!私たちが本の中で見た宮沢賢治って、どっちかっていうと坊主頭だけど、ずんぐりむっくりしてて…。
鈴木 カッコよくはなかったですよ。
荒木 そうなんですよー。もうちょっと…荒川良々さん、俳優の。あっちの方が近いかなと。
鈴木 (笑) はいはいはいはい。
荒木 これはご愛敬ですけども。父親の政次郎さんはですね、明治の父親といえばガリガリの頑固で怖いお父さんですよね。ま、家父長制度の頂点にいるみたいな、絶対権力者なんですけど。この人、全然違うんですよ。イメージとかけ離れた人なんですよ。 この時代には、とても珍しいタイプですよね。昔ながらの価値観は持っていても、何度も家業を継ぐように言うんですけど、そして心の中では厳格な父親であろうとするんですけど、結局のところ、息子に丸め込まれてしまうんですね。ついつい、賢治を甘やかせて自由にさせてしまうんですね。いわゆる親バカ…。そういう意味で、息子を信じる姿は、単に親バカを超えて、人間愛の深さみたいなものを見せてもらった気にもなります。
鈴木 なんか、お話聞いたらいい映画じゃないですかー。
荒木 いい映画ですよ。本当に優しい父親で、今で言う「イクメン」という感じでね。そういう意味では、父の目を通して宮沢賢治という人物がとてもリアルに描かれていたり、家族愛みたいなものも。本当に優しいお父さん。お父さんが、ある意味、常軌を逸した子どもを見捨てることなく、愛して信じぬくんですよね。そういう意味で、観てる人は自分の父親を思い出しますよね。ダイちゃんのお父さんてどんなタイプでした?
鈴木 やっぱりね、この主役の役所さんみたいな感じで、厳しくあろうとするけど、僕に甘いですよ。やっぱり。
荒木 あー、やっぱりね。ひとりっ子だし。
鈴木 今聞いてたら、うちの父親のことを言ってるみたいな気がするわ。
荒木 そうか。それはいいね。ダイちゃんくらいの時、お父さんは何を考えていたのかみたいのも観られると思うし。うちの父親は大正生まれでしたからね。ちょっと厳しかったですよ。小さい頃は。鉄拳制裁、ばんばん有りで。ま、中学生ぐらいまでね。あとは完全にダメな父親みたいな感じでしたけどね。
そんなことを考えながら観るとですね、息子さんと一緒に、お父さんが行くといい映画かもしれませんね。
鈴木 父親に連絡したくなるような映画ですね。いいね。
荒木 父の日はまだ来月ですけどね。お父さんのことをもう一度考えるきっかけになるかもしれませんね。
鈴木 いい話だな~。
荒木 ということで、「銀河鉄道の父」。主題歌もとっても素敵なんで、是非観に行っていただきたいと思います。5月5日公開です。今日はGW向けに2本ご紹介しました。
鈴木 ありがとうございました。
■荒木久文(あらき・ひさふみ)1952年長野県出身。早稲田大学卒業後、ラジオ関東(現 RFラジオ日本)入社。在職中は編成・制作局を中心に営業局・コンテンツ部などで勤務。元ラジオ日本編成制作局次長。プロデューサー・ディレクターとして、アイドル、J-POP、演歌などの音楽番組を制作。2012年、同社退職後、ラジオ各局で、映画をテーマとした番組に出演。評論家・映画コメンテイターとして新聞・WEBなどの映画紹介・映画評などを担当。報知映画賞選考委員、日本映画ペンクラブ所属。
■鈴木ダイ(すずき・だい)1966年9月1日生まれ。千葉県出身。日本大学芸術学部演劇学科卒。1991年、ボストン大学留学。1993年 パイオニアLDC株式会社(現:ジェネオン・ユニバーサル)入社 し洋楽宣伝プロモーターとして勤務 。1997年 パーソナリティの登竜門であるJ-WAVE主催のオーディション合格 。
現在は、ラジオパーソナリティとして活躍するほか、ラジオ・テレビスポット、CMのナレーション、トークショー司会やMCなど、幅広く活躍。 古今東西ジャンルにこだわらないポピュラー・ミュージックへの傾倒ぶり&造詣の深さ、硬軟交ぜた独特なトーク、そしてその魅力的な声には定評がある。