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映 画
「To Leslieトゥ・レスリー」「インド大映画祭」などのとっておき情報
(2023年6月25日10:30)
映画評論家・荒木久文氏が「To Leslieトゥ・レスリー」「インド大映画祭」などのとっておき情報を紹介した。
トークの内容はFM Fuji「Bumpy」(月曜午後3時、6月19日放送)の映画コーナー「アラキンのムービー・ワンダーランド」でパーソナリティ・鈴木ダイを相手に話したものです。
鈴木 よろしくお願いします。
荒木 早速、今日公開の作品から1本から紹介したいと思います。6月23日から公開の「To Leslieトゥ・レスリー」とういう映画です。レスリーっていうのは女性の名前です。テキサス州の田舎町で暮らしていたレスリーさんはですね、宝くじで高額当選しちゃいます。
鈴木 あら!あら!
荒木 しかし、そのお金を全て使い果たし、今は故郷を出て、金も仕事もなくその日暮らしの毎日で、息子からも愛想をつかされ、友人からも見限られてホームレスになっちゃうんです。で、あてもなく彷徨う中で、あるモーテルで働くことになります。
モーテルの従業員との出会いによって、レスリーが少しずつ変わり始めるんですけど、
さあレスリーは人生を取り戻すことが出来るのでしょうか?というお話なんです。
この作品は、去年アメリカで単館で公開されてたもので、ちっちゃなものだったんですけど、このレスリー役の、アンドレア・ライズボローさん…って、ちょっと見られますか?
鈴木 あ!!見れる!…綺麗な方じゃないですかー。
荒木 そう!面長で綺麗な方なんですけど、この映画ではボロボロの表情で演技をするんです。この演技があまりに素晴らしいんで、シャーリーズ・セロンとか、エイミー・アダムスとか、グウィネス・パルトローとかが話題にしたんです。「凄いわ!この演技は」って。それで 今年のアカデミー賞に、ギリギリでノミネートされることになったという話題の作品です。もともと、とても美しい人ですけど、この映画ではボロボロで、もう見られない姿で、再起をかけてがんばるという…(笑)。この映画の中でレスリーは、2,000万弱くらいの宝くじを当てたんです。
鈴木 え!?それ全部、お酒で使っちゃったの?
荒木 そう!完全にアル中なんですね。普通、肝臓壊して死んじゃうよね。
鈴木 そう!お金使う前に死んじゃうよー。
荒木 そうだよね。こういう人が大金を手にしたというやっかみもあって、周囲の人たちからは、救いの手が差し伸べられなかったりするんですね。差別されたりする傾向があるんです。よくこういうことあるらしいですよ。宝くじに当たった人が不幸になるっていうね。高額当選が原因で、一家離散になったりね。一説によると、高額当選者の半分くらいが不幸を体験しているって話があるぐらいです。
鈴木 やっぱり、十万円、百万円ぐらいで当たるのが一番いいのよ。それぐらいがいいんですよー。
荒木 そうだよね。ということは、ダイちゃんは当たったことあるんですか?
鈴木 私、totoの初期にね、9万2千2百何十円か当たったことあります。 嬉しくて嬉しくて、CD買ってラーメン食べて、いくらか残ったよ、ちゃんと。
荒木 それはね、初期のtotoは。推理ですからね。 宝くじって、ホラ!「うん」ばっかしだからねー。考えなくていいんですよ。
鈴木 そうかぁ、恐ろしいですね。
荒木 宝くじって、効率が一番悪いギャンブルって言われますよね。
1等が当たる確率は、1千万から2千万分の1なんですって。
鈴木 ほぼ無理ですよね。
荒木 だから計算するとですね、1枚300円としてですね、変な話、30億円くらい買って、7億円当たるかどうかって感じなんです。
鈴木 やめる。やっぱ止めたほうがいいよ。
荒木 そうなの、パチンコや競艇、競輪の方がずっといいですよ。金額は低いですけど、確率はね。 返ってくるお金の率は高いんです。
そういうことで当たって苦労しちゃう人もいるんですよね。私の友達は3千万円当たってですね、誰にも言わなかったですよ、10年間くらい。凄いお金持ちの人なの。
億万長者に三千万プラスしたって、なんてことないんじゃない。という感じだったよね。だけど我々が当たると人生狂っちゃいますね。
本筋としては、人生でラッキーだったのに、間違った選択ばっかりしてきた人が立ち直ろうとするストーリー。とくに新しくはないんですけど、非常にザラッとしたいい感じの、35ミリフィルム使ってるんですが、人が変わるという努力ね!なかなか大変な努力ということと、人間なかなか変われないですからね、そういうことを上手く描いている作品です。
鈴木 演技が素晴らしいってことで。
鈴木 お金のことで話がそれてしまいましたけど、「To Leslieトゥ・レスリー」とういう6月23日公開の作品でした。
先週、日本で行われている「韓国映画祭」の話をしましたね。
鈴木 しましたね!
荒木 今週はインドです。
鈴木 おー!!今度はインド映画かー。
荒木 インド映画って、ダイちゃんはどんなイメージですか?
鈴木 綺麗な女性がにこにこしながら踊ってるから好き!観てるの。そういうイメージですね。
荒木 そうなんですよね。かなりシリアスなドラマでも、美人が踊り出しちゃいますからね。 油断できないですからね。
鈴木 それを、ちらちら観てるのが好きです。
荒木 実はインドって、年間映画製作本数も、観客総数も世界一の映画大国なんですよ。主な理由は、テレビの普及率が低くて、娯楽として人々が映画館を訪れている社会なんだと言われていますけどね。インド映画と一口に言っても、ヒンディー映画、タミル映画、テルグ映画など、地域によって言語も文化も異なりますので、多種多様なんですよ。ダイちゃんや、私なんかが観るのは、ヒンディー語の娯楽映画で、北インド、今はムンバイっていいますけど、旧名ボンベイって言いましたよね。
ボンベイとアメリカのハリウッドをとって、ボリウッドって。これが多いと思います。そんなインド映画を集めての映画祭が、「インド大映画祭」っていうんですよ。
鈴木 すげー。
荒木 「インド大映画祭 IDE 2023 in K’s cinema」ということで、新宿・K’s cinemaで、今、7月の7日迄開催中です。
この「インド大映画祭」では、隠れた名作だとか、問題作だとか、話題の15作品を日本に紹介しているんです。
鈴木 じゃあ、隠れた美人にも会えるね!
荒木 会えます。美人、すごいたくさんいます。
その中から、「サーカス」という映画を観たんで、これ日本初公開なんで紹介します。
ある科学者が自分の理論を証明する為に、2組の双子を1人ずつ入れ替えてしまうんです。その上で、大富豪のおうちとサーカス団長さんの家へ、ペアを変えた双子を養子に出すんです。もちろん2組の双子たちは、自分たちが「実験材料」とは知らないです。
また両家も気が付いてないんです。そして、時がたち、ある出来事により、2組の双子がそれぞれの素性を知らぬまま、一堂に会することになり、大騒動ということで…。
鈴木 うわーっ!
荒木 話、ややこしくして、ドタバタ喜劇ですよね。古典的なコメディではありますけど、インドの桁外れの大金持ちの屋敷とかですね、サーカスのショーとかですね、超豪華です。コミカルなダンスもたっぷり取り入れてですね、いつ観ても大人数の、ぴったり合ったダンスは見事です。
鈴木 それ、観られるわけですね。
荒木 ですね!凄い観られますよ。他にも派手派手なインド映画揃ってますんでね、お好きな方は「インド大映画祭」で検索してください。
ということで、最後恒例になりました「私の好きな映画音楽」なんですけど、先週、ルーリードさんの登場で興奮しましたけど…。さらに興奮は続きます。ダイちゃんが、先月「私の好きな映画音楽」を紹介してくれたんですが、その時言ってましたよね!「3曲で終われるわけがないだろー」って。
鈴木 あたりまえやん、荒木さん。そんな3曲なんてー。
荒木 だよね。ということで、今日は再びというか、パート2というか、改めてダイちゃんのすきな映画音楽を紹介していただきたいと思います。登場していただいて、ありがとうございます。
鈴木 鈴木ダイさんの登場(パチパチパチパチ~)。
荒木 (笑)なんかリスナー差し置いて、私たちが楽しむ企画になっちゃいました。
鈴木 なんなんだろこのコーナーはと思いながら、一番アガるこーなーだと思ってるんですよ。
荒木 そうなんですよ。では、ダイちゃんの「私の好きな映画音楽・パート2」、まず1曲目から紹介してください。
鈴木 じゃあ、まず1曲目は曲の方からいきたいと思います。まず、こちら~!
♪ 「死刑台のエレベーター」 ♪
鈴木 マイルス・デイヴィス作曲のこちら、「死刑台のエレベーター」ですよ。
鈴木 映画自体1958年なんですけど、当然、僕映画を観てないし、中身云々ではなく、実は大学生の時に、この曲でマイルス・デイヴィスに出会ったんですよ。
荒木 なるほどね。音楽の方から入ったんですね。モダン・ジャズの帝王から
鈴木 もちろん もちろん。それでマイルスに出会って、いろいろジャズにハマって、そしたらこれ、1958年っていったら、名盤の「カインド・オブ・ブルー」っていう、あれ1958年なんですよ、マイルスの。あれが「死刑台のエレベーター」の次に録音してるっていうから、この「死刑台のエレベーター」ってすごく エポック・メイキングなものなんだなあって、のちのち思ってよけい好きになっていったっていうね。
荒木 モダンジャズの傑作と称されてるアルバムですからね。
鈴木 これね、映画のシーンに合わせて、マイルスたち、その場で即興演奏かましたらしいですね。映画のフィルム観て、マイルスがデレレレって、それに合わせてフリースタイルですよ!フリースタイルかましたっていう!
荒木 なるほどねー、素晴らしいですねー。
鈴木 凄いことですよ!
荒木 映画自身は、ルイ・マル監督が監督した傑作サスペンスで、当時25歳だったということなんです。マイルス・デイヴィスも含めて若い! そうかぁダイちゃんはジャズにいったんですね。
鈴木 ジャズもフュージョンもクロスオーバーも、何でも好きですよ。
荒木 大学生の時からそっちへ行ったっていうね。
鈴木 カッコいいと思ったわけ、ジャズにハマることが。したらほんとにハマっちゃったっていう。これが1曲目です。「死刑台のエレベーター」 2つ目がこの作品!
♪ 「タクシードライバー」のテーマ ♪
荒木 これもまた、渋いですね。
荒木 アメリカニューシネマの最後の傑作と言われた作品ですよね。
鈴木 バーナード・ハーマンって、1960年「サイコ」の音楽も手掛けてますよね。
荒木 「サイコ」とか、「キル・ビル」でも使われてましたよね。たしか唇を拭くシーンの曲だったと思いましたけど。いろんな人が使ってるんですけども。
鈴木 この時の、なんというか暗―い雰囲気。ニューヨークのにおいっていうのが、僕、学生時代に、ニューヨークとか行ったら怖いんだろーなーと思わせる、世界地図のニューヨークがこのイメージでしたもん。
荒木 なるほどねー。我々の持ってたイメージもそうですよね。
この脚本を手がけたポール・シュレイダーが、最近、監督・脚本を手がけた「カード・カウンター」っていうのが、6月16日に公開されているんです。これも面白いですよ。
冷徹なギャンブラーを描いた作品ですが、なんとなく、こちらもタクシードライバーの共通項みたいね、そういう雰囲気を感じるので、もし時間があったら観ていただきたいと思います。へー、渋いのが続きますね。
鈴木 「死刑台のエレベーター」、「タクシードライバー」と来て、最後も名作映画の名主題歌なんですけど、昨日父の日だったじゃないですか。父と言やあ、ファーザー。ファーザーと言やあ、うちの父親。こんな偉大でこんな怖くないんですけどね。
荒木 ドン・コルレオーネですね。
鈴木 「ゴット・ファーザー」!1,972年の「ゴット・ファーザー」の音楽、ハマりました私はー。
荒木 「ゴット・ファーザー」、私もこれ大好きです。ダイちゃんと俺、かぶるなあ。
鈴木 インスト、普通のスコアも好きなんですけど、いろんな方が歌ってるんですが、アンディ・ウィリアムスバージョンの「ゴット・ファーザー 愛のテーマ」。
あれがかかると、なんかコートを着ている気持ちになってポロシャツの襟立てちゃうからね。
荒木 日本でも、尾崎紀世彦さんとか歌ってましたよ。上手かったですよねー。 「ゴット・ファーザー」3部作。1作目は1972年だったと思うんですが、フランシス・フォード・コッポラ。私も去年お正月かな、3部作全部リニューアルで観ましたよ。良かったですよねー。で、アルパチーノ…。余計な話なんですけど、83歳になりましたけど…。
鈴木 子ども、出来たんですよね?
荒木 そう、第四子が誕生するらしいですよ。29歳の恋人がいるらしいですよ。
鈴木 じゃあ荒木さんが83歳になったら、29歳の恋人が出来てもいいわけだよねー。
荒木 いいわけないでしょう。今だって問題あるのに。
鈴木 あはははは。
荒木 他にも「タクシー・ドライバー」のロバート・デニーロ。
ロバート・デニーロは79歳になるんですけども、第七子が誕生したらしいです。
鈴木 …う~ん。なんてコメントしたらいいんだろう。
荒木 いや、お盛んですよね。やはりそうじゃないと生き残れないとういうですね…。この格調高い音楽を聴きながら、下半身の話をして恐縮ですけども。この3作品、ダイちゃんらしいというか、意外というか。
鈴木 僕、こういう重厚な名作作品の音楽、好きですね。
荒木 ダイちゃんの選んだ「好きな映画音楽・パート2」は1と全く違ってですね、ダイちゃんの音楽の幅広さとか感じることができました。ありがとうございます。
鈴木 そうやって色んな多面性を見せているふりをするのがいいわけですよ(笑)。ありがとうございます。
■荒木久文(あらき・ひさふみ)1952年生まれ。長野県出身。早稲田大学卒業後、ラジオ関東(現 RFラジオ日本)入社。在職中は編成・制作局を中心に営業局・コンテンツ部などで勤務。元ラジオ日本編成制作局次長。プロデューサー・ディレクターとして、アイドル、J-POP、演歌などの音楽番組を制作。2012年、同社退職後、ラジオ各局で、映画をテーマとした番組に出演。評論家・映画コメンテイターとして新聞・WEBなどの映画紹介・映画評などを担当。報知映画賞選考委員、日本映画ペンクラブ所属。
■鈴木ダイ(すずき・だい)1966年9月1日生まれ。千葉県出身。日本大学芸術学部演劇学科卒。1991年、ボストン大学留学。1993年 パイオニアLDC株式会社(現:ジェネオン・ユニバーサル)入社 し洋楽宣伝プロモーターとして勤務 。1997年 パーソナリティの登竜門であるJ-WAVE主催のオーディション合格 。
現在は、ラジオパーソナリティとして活躍するほか、ラジオ・テレビスポット、CMのナレーション、トークショー司会やMCなど、幅広く活躍。 古今東西ジャンルにこだわらないポピュラー・ミュージックへの傾倒ぶり&造詣の深さ、硬軟交ぜた独特なトーク、そしてその魅力的な声には定評がある。