-
映 画
「ワールド・ブルース・リー・クラシック2023」などのとっておき情報
(2023年7月9日10:30)
映画評論家・荒木久文氏が「ワールド・ブルース・リー・クラシック2023」などのとっておき情報を紹介した。
トークの内容はFM Fuji「Bumpy」(月曜午後3時、7月3日放送)の映画コーナー「アラキンのムービー・ワンダーランド」でパーソナリティ・鈴木ダイを相手に話したものです。
鈴木 よろしくお願いします!!
荒木 今日はこれから行きましょう!
~♪「Enter the Dragon」♪~(「燃えよドラゴン」のメインテーマ)
鈴木 おー!!最高じゃん!どうしたんですか?「Enter the Dragon」!
荒木 ブルース・リー。ダイちゃんの世代ですよね?
鈴木 世代も世代!ヌンチャク、プラスチックのものを小学校の時に買ってもらいましたからね!
荒木 みんなブンブン振り回してましたもんね。「燃えよ!ドラゴン」。
ブルース・リー、33歳の若さで亡くなりました。まだファンが忘れられずにいる伝説のアクションスターですよね。彼が1973年7月20日に亡くなってから、ちょうど没後50年にあたります。来る20日が命日なんですけども、これに向けてブルース・リ―の主な主演作をまとめてリバイバル上映するイベントからご紹介しましょう。
その名も「WBLC(ワールド・ブルースリー・クラシック)2023」というですね…。
鈴木 WBLC…。
荒木 「ワールド・ブルース・リー・クラシック2023」、どう見ても、もじりだと思いますけど。
鈴木 あはははは。いいね、いいね(笑)。
荒木 7月14日より、新宿ピカデリーで開催されます。没後50年ということで、ブルース・リーの主演作5本を上映するんですが、1971年の「ドラゴン危機一発」、 1972年の「ドラゴン怒りの鉄拳 」、同じく1972年の「ドラゴンへの道 」、1978年「死亡遊戯 」、そして、1980年の「死亡の塔」。
鈴木 「死亡の塔」まで入れるわけね。
荒木 これは、日本初公開の復元版なんですが、4Kリマスターでほぼほぼ。 ブルース・リー…、ダイちゃん観てますかね?
鈴木 全部、観てますね。(笑)大好きですよ。
荒木 今回は、ブルース・リー神話の原点と言っていい、5大傑作ね!スクリーンで体感するまたとない機会ですね。ダイちゃんみたいなブルー・スリーファンはもちろんですね、ブルース・リーを知らない世代の方も間違いなく貴重な経験となるはずですですので、機会があったら是非行ってください。ブルース・リーと共演した、倉田保昭さんのトークイベントもあるようです。
「ワールド・ブルース・リー・クラシック2023」のお知らせでした。
鈴木 楽しみです!これは。
荒木 しょっぱなから、懐かしい「燃えよ!ドラゴン」の主題歌聴いていただきましたが…。これも私の好きな映画音楽のひとつでしたが、極少人数の人たちの間で評判の「私の好きな映画音楽」シリーズ、いよいよ最終回です。
長々と不人気企画にお付き合いいただきありがとうございました。
今日は、荒木久文編 第2弾、外国映画部門です。
鈴木 楽しみだなー。
荒木 まず早速これから行きましょう!
~♪「ミッション・インポッシブル」のテーマ ♪~
鈴木 (拍手)~お早うフィリップスくんじゃないですか!
荒木 私の好きな映画音楽、1曲目は、「ミッションインポッシブルのテーマ」ですね。
鈴木 これできましたか~!
荒木 なんと今日、トム・クルーズ、誕生日なんですよ。
鈴木 今日、トム・クルーズさん誕生日なんですか?
荒木 そう!今日7月3日が誕生日、61歳!
鈴木 若いなー!
荒木 若いですよねー。いよいよ7月21日「ミッションインポッシブル デッドレコニング PART ONE」が公開で、盛り上がって来ていますけどね。
この「ミッションインポッシブル」シリーズは、第1作以来、一貫してイーサン・ハント、スタントマンを遣わず、ほとんど本人が危険なアクションを演じているというのは良く知られていますが、今まで1996年から2018年迄6本公開されてますけど、ダイちゃんどのくらい観てますか?
鈴木 全部、観てますね。
荒木 凄いねー。
鈴木 もちろん全部観てました!トム・クルーズがしてた、Gショックも、シリーズごとに全部買いましたから、僕。
荒木 凄いねー。その辺り、ホント頭下がります。入れ込み方が違います。
Gショックもヌンチャクも。で、作品ごとにブライアン・デ・パルマやジョン・ウーはじめ、いろいろな監督がやってきているんですが、音楽に関しては、ラロ・シフリンという人が作ったんです。この人「燃えよ、ドラゴン」のサントラも作ったんです。この有名なテーマなんですが、何故、この音楽がここまで印象的でインパクトが強いのかって、のがあるんですけど、ダイちゃんでも知らないかな? このテーマのリズムは5拍子なんです。これは通常の4/4拍子とくらべて変拍子と言われるものです。だから、拍子が一拍多いことで、何となく余韻が変わったり、突然ピタっと止まったり、またフワっとなるとか、不思議で面白い感じになってるのはそのせいだって言われてるんですね。
鈴木 嬉しい、素敵な違和感ってやつですね!
荒木 そうそう!それそれ!
鈴木 無意識に…。
荒木 緊迫した雰囲気とか、トムがアクションをする場面がとても生きたような気もしますね。5拍子の曲で有名なのは・・何といっても「テイク・ファイブ」です。
鈴木 「テイク・ファイブ」は5拍子ですか!
荒木 音楽の教科書にも載っていますよね。この「ミッション:インポッシブルのテーマ」なんですけど、さっきかけた1曲目から、各シリーズでアレンジされているんですよね。1作目はオリジナルということで、ダニー・エルフマンがアレンジしたものが使用されています。そしてエンドクレジットで流れるメインテーマは、ご存じU2のメンバー…。
鈴木 アダム・クレイトンとラリー・マレン・ジュニアによってリメイクされたものが使われていますよね。
荒木 そうそう、さすが!2作目のテーマ曲はタイトルが「Take a Look Around」に、変わってるんですね。だけどこれは…。
鈴木 リンプ・ビズキット!
荒木 そう!リンプ・ビズキット。上手く選曲していますよね。よーく聴くと後ろに入ってるんですよね。
鈴木 どう聴いてもリンプの曲だなって感じはしましたよね。
荒木 これは上手くやってましたよね。この監督は、ジョン・ウーだしね。飛んで、6作目は「フォールアウト」、これはローン・バルフという作曲家なんです。この人、「トップガン マーヴェリック」にも参加してますよね。打楽器が印象的に使用されてたんです。で、今度の7作目の「ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE」(7月21日公開)のテーマがどんな風にアレンジされているかが楽しみですよね。
鈴木 楽しみですよね。まだ聞いてないし、知らないな。
荒木 本編の内容もそうなんですけど、6作目担当したローン・バルフさんがやるらしいんですけど、予告編レベルだと、ちょっとストリングスぽいですね。
鈴木 クラシックかなんか関係しているのかな?
荒木 そういう感じかもしれない。どちらにしろ楽しみですね。
・・ということで映画音楽やってきましたけど、夥しい数で、ほんと映画の数だけあるんですが、大きくざっくり分けると、テーマ主題曲と挿入曲というのがあるんですね。あんまり厳密じゃないですけど。主題曲はある程度全体の雰囲気とか象徴的な意味、ありものの曲を使うとあるんですけど、ある程度の作品ではオリジナルが多いですね。それに対して挿入歌というと、いわばその場面、場面での状況、主人公の心境などを表現するもので、ちょっとおかずみたいなことになるのかな。
鈴木 あはははは。
荒木 ということで、今度は挿入歌の話になるんですけど、例えばみんな知っている『タイタニック』。これはメインテーマがありますよね。
鈴木 「My Heart Will Go On」
荒木 と思うでしょ?けど違うんです。
鈴木 えー?違うの?
荒木 セリーヌ・ディオンの「My Heart Will Go On」は挿入歌なんです。ラヴ・シーンで流れる挿入歌。こっちのほうが有名ですが、「タイタニック」のテーマ聴くと、すぐわかるんですけど、今のように挿入歌が有名になっちゃう場合もあるんです。
鈴木 ありますよね。
荒木 そういう現象が起きてるということなんです。
鈴木 前、ルーリード新海氏が選んだ、ベルリンの「テイクマイブレスアウエイ」だって、ある意味、ひとによっては、挿入歌であり主題歌であったりしますよね。
荒木 あー!そうですよね。そんななか私が見た映画ので、すごい挿入歌の数々が、とても強く印象に残っているのがあるんですよ。
鈴木 楽しみだなー。
荒木 これ、多分このラジオをお聞きの方はだれーも見ていないと思いますが、
2013年の「嗤う分身」という作品です。出演しているのは有名な俳優さんで、ジェシー・アイゼンバーグとミア・ワシコウスカ。
あの文豪ドストエフスキーの名作「二重人格/分身」の舞台を近未来的世界に置き換たものなんですよ。 “嗤う=わらう”は「人を見下してあざけり笑う」こと。ストーリーは、サエない自分の目の前にイケてる自分が現れるんです。恋も仕事も存在さえも、もう一人の自分が奪っていく――。という不条理スリラーなんですけど。これ、不思議な世界観で、年代も場所もよく分からないです。本当に不気味で難解な映画なんです。アート作品のような映画ですが、不思議な世界観に引き込まれるんですよ。すごい不思議な映画で、好き嫌いがすごい別れる作品です。私は大好きだったんです。
鈴木 荒木さんは、大好きだったんですね!
荒木 そう!未来なのに。どこかレトロな感じがして…。未来なのに。不思議な過去のような感じもあって。
鈴木 「フィフスエレメント」みたいな感じかな。
荒木 ああ、そんな感じかもしれない。面白いのは挿入歌の使い方で、不思議な曲がたくさん使われているんです。それらの曲がめちゃくちゃ印象的だったんですよ。
まず、オープニングでいきなり坂本九の「上を向いて歩こう」が流れてきます。
鈴木 なんだそれー?
荒木 凄いでしょ!その後、ジャッキー・吉川とブルー・コメッツの「ブルー・シャトウ」とか「草原の輝き」だとか。
鈴木 えー!なんで日本のそんな歌謡曲とか使ってんですか。
荒木 日本だけじゃなく、韓国のキム・ジョンミンさんという人の歌う、「THE SUN」という、まー、けだるそうに歌うんですけど、これも非常によかったです。
ラストテーマで使ってます。そんな挿入歌満載の映画「嗤う分身」なんですけど、その中から私が選んだのがこの曲です。
♪~「イースト・バージニア」~♪
という…誰も知らない曲で。マニアックですいません。これ、ダニーアンドアイランダーズという、ハワイアンバンドみたいな名前なんですが、1960 年代のフィンランドのグループなんですよ。
鈴木 これはわかんないわー、さすがに僕も。
荒木 もともと「イースト・バージニア」という曲はブラザース・フォアだったり、ジョーン・バエズが歌ったりしていたんです。
鈴木 ジョーン・バエズも歌ってるんですか?
荒木 はい。いわゆるフォークソングだったんですけど。このー、ペロンペロン…っていう、昔のなんていうのかなー、北欧サウンドありましたよね、1950年代の。とっても印象的でしたよね。
鈴木 こういうの、荒木さんには響くんだねー。
荒木 そうですね。小学生の高学年くらいのリズム感ですよね。ということで、「嗤う分身」の中から、いい曲いっぱいありましたよ。知らない曲ばっかりでしたけど。
鈴木 面白いなー。
荒木 「嗤う分身」から、「イースト・バージニア」でした。
興味のある方はちょっと映画探してみてください。
そして長く続いたこの企画「私の好きな映画音楽 荒木久文編」 洋画部門の最後の曲は、私の好きな監督スタンリー・キューブリックの作品です。
鈴木 スタンリー・キューブリック、音楽もいろいろありますからねー。
荒木 スタンリー・キューブリック。ダイちゃんも観たことあると思うんですけども、「博士の異常な愛情」、「2001年宇宙の旅」、「時計じかけのオレンジ」。それから「バリー・リンドン」、恐怖映画の「シャイニング」もそうでしたよね。「フルメタル・ジャケット」もありました。
鈴木 「フルメタル・ジャケット」もそうだ!
荒木 彼はもう亡くなってますけど、とっても有名監督で、非常に影響力のある映像作家だったんですね。絶大ですよね。映像と音楽への異常なまでのこだわりがあったといわれる監督です。キューブリックの映画音楽の特徴はテーマ曲にあまりオリジナルを使わないんです。 既成の楽曲、特に現代音楽や、クラッシクを好んで用いた人なんです。ダイちゃん「2001年 宇宙の旅」は見てます?
鈴木 観てるし、サウンドトラックも持ってるから、たまに聞きますよ。
荒木 あれ、オープニングは有名な「ツァラトストラはかく語りき」で始まりますよね。中にはクラシック曲がたくさん使われています。
鈴木 現代音楽も入ってて、サントラ聴いてると、ちょっと気味悪いですよ。
荒木 確かに。「美しき青きドナウ」もありましたよね。そんな特徴のあるスタンレーキューブリックの映画音楽で、私が最後に選んだのは、作品は「アイズ・ワイド・シャット」。
鈴木 遺作ってことですか。最後の作品じゃないですか。
荒木 仰る通りですね。1999年の作品です。で、テーマ曲はクラシックですよね。ソ連の作曲家、ショスタコーヴィチ のジャズ組曲第2番 第2ワルツです。
鈴木 これがトリっていうか、荒木さんの1曲?
荒木 一番じゃないけど、好きな映画ですね。トム・クルーズ出てますよね。
鈴木 当時夫婦で出てましたよね。
荒木 当時。この映画の中でも激しいベッドシーンだとか、トイレで喋るシーンとかね。
鈴木 そう!トイレに座って喋ってましたからね、夫婦で。あんな、あんなことあるのかなって言う…。
荒木 そして、この撮影が終わると2人が離婚したんですよね。で、この映画の試写会の5日後にキューブリックが死んだんですよね。ということで、巨匠スタンリー・キューブリックの遺作の音楽なんですけど、この曲ワルツなんですよね。気がつきました? 今日の1曲目 5拍子、2曲目 4拍子、3曲目3拍子…、そういうことなんですよ。
多分、曲名聞いても皆さんわからないかもしれませんけど、曲はどっかで聴いたことあると思います。
鈴木 絶対あると思います。じゃあ僕の方は〆て、荒木さんに曲ふりでもしてもらおうかな。ということで「アラキンのムービー・ワンダーランド」の〆め、荒木さんよろしくお願いします。
荒木 「私の好きな音楽」荒木編・洋画部門最後は、「アイズ・ワイド・シャット」より、ショスタコーヴィチ の「ジャズ組曲第2番 第2ワルツ」です。
ありがとうございました。
鈴木 ありがとうございます。
■荒木久文(あらき・ひさふみ)1952年生まれ。長野県出身。早稲田大学卒業後、ラジオ関東(現 RFラジオ日本)入社。在職中は編成・制作局を中心に営業局・コンテンツ部などで勤務。元ラジオ日本編成制作局次長。プロデューサー・ディレクターとして、アイドル、J-POP、演歌などの音楽番組を制作。2012年、同社退職後、ラジオ各局で、映画をテーマとした番組に出演。評論家・映画コメンテイターとして新聞・WEBなどの映画紹介・映画評などを担当。報知映画賞選考委員、日本映画ペンクラブ所属。
■鈴木ダイ(すずき・だい)1966年9月1日生まれ。千葉県出身。日本大学芸術学部演劇学科卒。1991年、ボストン大学留学。1993年 パイオニアLDC株式会社(現:ジェネオン・ユニバーサル)入社 し洋楽宣伝プロモーターとして勤務 。1997年 パーソナリティの登竜門であるJ-WAVE主催のオーディション合格 。
現在は、ラジオパーソナリティとして活躍するほか、ラジオ・テレビスポット、CMのナレーション、トークショー司会やMCなど、幅広く活躍。 古今東西ジャンルにこだわらないポピュラー・ミュージックへの傾倒ぶり&造詣の深さ、硬軟交ぜた独特なトーク、そしてその魅力的な声には定評がある。