-
映 画
「ホラー秘宝まつり2023」「禁じられた遊び」「ホーンテッドマンション」のとっておき情報
(2023年9月4日10:45)
映画評論家・荒木久文氏が「ホラー秘宝まつり2023」「禁じられた遊び」「ホーンテッドマンション」のとっておき情報を紹介した。
トークの内容はFM Fuji「Bumpy」(月曜午後3時、8月28日放送)の映画コーナー「アラキンのムービー・ワンダーランド」でパーソナリティ・鈴木ダイを相手に話したものです。
鈴木 よろしくお願いします。
荒木 今日もホラー特集やります。苦手な人はごめんねということで。
鈴木 第2弾ですか!
荒木 はい、第2弾です。
まずイベントから紹介しますね。「ホラー秘宝まつり2023」といいます。
秘宝は秘めた宝ね。「ホラー秘宝」というのはキングレコードが映像出しているんですが、その作品のレーベルです。毎年、夏にホラー映画を集めての[ホラー秘宝祭り]を開いていますが、今年10周年なんですって。全国4都市ほどでの同時開催なのですけど、とにかく残酷ホラーが、バンバン来てるというね!17本の血みどろ映画を一挙公開致します!!
このイベントの目玉、おすすめのひとつめは1967年ですから古いですね、今から50年以上前の、「世にも怪奇な物語 4Kリマスター版」っていうんですけど。これはあの、エドガー・アラン・ポーの怪奇幻想小説を、3人の巨匠監督が制作したものなんです。まず、ジェーン・フォンダ主演で、ロジェ・ヴァディム監督の「黒馬の哭く館」っていうね。そして、アラン・ドロンとブリジット・バルドーの、監督はルイ・マルっていうんですけど、「影を殺した男」、僕は観たことないですけど。さらに「悪魔の首飾り」という、フェデリコ・フェリーニの、3本のオムニバス・ホラーなんですよ。ジェーン・フォンダとか、アランドロンとか、ダイちゃんも名前は知ってますよね?
鈴木 もちろん知ってますよ!名優ばかりじゃないですか。
荒木 そうなんですよ。1967年ですから、みんな若くて綺麗ですよね。
演出も名監督ばかりで、凄いです。「世にも怪奇な物語」でした。
その「秘宝祭り」の中からふたつめなんですけど、1988年の作品で「オペラ座 血の喝采」。これも4Kリマスター版です。
有名なパリのオペラ座を舞台に新人舞台女優というかオペラ歌手ですね。彼女をめぐって巻き起こる惨劇を描いたサイコホラーです。ある演出家が「マクベス」の演出を担当することになりまして、稽古中に主演女優が事故に遭って、代役が立ちます。かわいい新人女優のベティちゃんが代役になって、公演は無事に成功して終了するんですけども、ベティは何者かにつきまとわれるようになってしまって、やがて彼女は信じられないような恐ろしい目に遭うことになる…という筋なんですね。 「サスペリア」とか、「フェノミナ」、ご存じですよね。イタリアンホラーの巨匠ダリオ・アルジェント監督なんですけども、いわゆるジャーロ映画と言われるものですね。内容は、これでもかこれでもかの恐怖と言ったらいいのか…、痛そうなシーン、とにかく可愛い女の子がじりじりと痛めつけられて、泣き叫ぶのがウリですよね。痛々しいのが駄目な方は、やめといた方がいいと思いますけど、こんな作品が並びます。
鈴木 好きな方にはたまらないかもしれないですよね。
荒木 たまらないですね! 「第10回ホラー秘宝祭り2023」
関東地区は、大森の「キネカ大森」でやってますんで、調べて行ってみてください。
続いては9月8日公開の「禁じられた遊び」。
鈴木 おおー?
荒木 「禁じられた遊び」って言うと…。
鈴木 トゥントゥントウルルルルル…♪…、あの映画のあのメロディーがうかんできます。
荒木 そうですよね。ナルシソ・イエペス。1952年公開のフランス映画ルネ・クレマン監督の名作ですよね。ブリジット・フォッセー演じるかわいい少女。
今回ご紹介するのは、同じタイトルですが、日本の「リング」を作ったあの中田監督が人気小説を原作に、ホラーエンター・テインメント作品と言っていいんですかね…、
タイトルは同じですが、ちょっと違う作品ですね。
ストーリーからいきます。男の子、小学生低学年かな、春翔君は突然の交通事故で母親を亡くしていまいます。彼は母親が生きて返ってくれることを願って、母親の小指を自宅の庭の土に埋めるんです。
その後 毎日毎日、死んだ母親に会いたいと呪術、呪文ですね、死者を蘇らせると言われる呪文、「エロイムエッサイム、エロイムエッサイム」と唱えながら必死に祈ります。やがてその呪文にこたえるように、その部分の庭の土は少しづつ、少しづつ盛り上がってくるんですね。
鈴木 あららららー。
荒木 大きくなっていきます。そこには、確かに、何かがいるんです…、というですね。
鈴木 いやー…。
荒木 今一番売れている女優さんでしょう、あの橋本環奈さん。そしてジャニーズWESTのメンバー重岡 大毅君がW主演しています。
中田監督の得意技のひとつは、恐怖に目を見張っておののく女性の顔を正面からアップで撮るっていうのが特徴なんですが、橋本環奈ちゃんのそれが凄いですよ。やっぱり目が大きくかわいいので、恐怖顔の印象を強いです。
そしてこちらも最近とても露出が多い女優さんなんですが、ファーストサマーウイカさんが強烈なインパクトで出演しています。「美雪」という名前で、リングの貞子的役割なのですが、ビジュアルがすごいんです。ここに音の演出とか特徴あるカットですね…、
おぞましいシーンやグロもありますけど、ほんと怖いです。そういう意味では正統派の演出ですね。ダイちゃんも知っていると思いますが、この映画には、お化け2種類出てくるんですね。
鈴木 2種類?
荒木 はい。死霊と生霊というのですけど。
基本的におばけや幽霊というのは死んだ人の霊ですよね。一緒にあの世に連れて行こうとするね。死霊と書いてシリョウと読みますが。もうひとつは、
生霊です。生きた霊。「いきすだま」とか言われるんですけど。生きている人間の霊魂が体の外に出て動き回るとされているものなのですね。これは昔から信じられてきて、怨みや嫉妬から他人に憑く話もあって、親しい者に逢いに行ったりすると言われます。学校で習ったことあると思いますけど、『源氏物語』。
鈴木 はいはい。
荒木 光源氏の愛人である六条御息所が生霊となって、彼の子を身籠った「葵の上」を呪い殺す話。最も生霊として有名なお話ですよ。基本は、憎らしい相手や殺したい相手に生霊が憑くわけです。たまに恋する相手に取りつく話もあるらしいですよ。
これも怖いですよね。だから、生霊は基本、女性の怨念が生みだした概念が肥大した霊魂の怪物なんですよ。男の生霊っていろいろ調べたけど、ないんですよね。
鈴木 あんまり聞かないですよね、男の生霊って。
荒木 そう、女だけ。考えて見ると、一番怖いのかもしれませんね。
生きた女の怨念はなにより怖いですよ。ダイちゃんも私も、骨の髄まで分かりますよね。
鈴木 ああ、わかります。怖ろしい話です、怖ろしいことですよね。
荒木 そうですよね、こればっかりは、どうやって避けていいかわからないですよね。とにかく今回の「みゆき」は貞子より怖くて、生きてるうちには生霊になってるし、死んでからは死霊のモンスターで蘇えっちゃうというね…。
鈴木 逃れられないじゃないそれ。
荒木 そうですよね。まさに女の執念みたいなもんなんですけどね。…ということで、「禁じられた遊び」、ホラー作品でした。9月8日から公開です。ディズニーランドは行きますか?
鈴木 最近は行かない。昔は…、学生の頃、彼女や友達と行ったって記憶はある。
荒木 そうだよね。どんなアトラクションが好きですか?
鈴木 カリブの海賊とか、ホーンテッドマンションとか、なんかあのへんが好きですね。
荒木 ホーンテッドマンションっていうのは、999人のゴーストが出るって言われる洋館を、なんかライドライドに乗って探検するんですね。
鈴木 あれ面白いですよ!
荒木 怖いシーンもありますが、コミカルで楽しいアトラクションですけども、次の作品は、この「ホーンテッドマンション」を実写映画化したものなんです。
鈴木 話題のじゃないですか!!
荒木 そうなんですよ、その名もズバリ「ホーンテッドマンション」という、
9月1日公開の作品なんです。999人のゴーストが住むという呪われた洋館に暮らすことになった親子と、怪奇現象の解決のためやってきたエキスパートたちが、ゴーストたちと繰り広げる戦いをコミカルに描いた、ホラーコメディですね。
鈴木 (笑)ああーよかった、よかった。
荒木 監督は、ジャスティン・シミエン監督というんですけど、この人、カルフォルニアディズニーランドのキャストだったんですって。
鈴木 ええー?そうなんですか。
荒木 だからね、細かいところにこだわりを感じる作品ですよ。
鈴木 裏を知ってるんですよね、ある意味ね!
荒木 知ってるんですよ!ちょっとびっくりさせるジャンプスケアっていうのも多くないし、吹き替え版もあるので小さなお子さんもOKです。
だから、怖がりな方もそんなに怖さがひどくないので、一家で楽しめるホラー感です。
そのまんまディズニーランドのホーンテッドマンションのアトラクションのようですから、家族で行けます。
で、ディズニー創立100周年だそうですね。だから、恐怖と笑いの、いい感じの「ハイブリットムービー」という感じ。
「ホーンテッドマンション」、9月1日から公開です。ということで、今日は怖いお話3本。途中、ちょっと横にそれてホントに怖い話になりそうでしたけど(笑)。
鈴木 ほんとにね、生きてる人間が一番怖いですよ。
荒木 ほんとそういうことです。人間社会が一番怖い。
鈴木 荒木さん、秋になりますけど、悪さしないような秋を迎えてくださいよ。
荒木 お互いにね、いい秋にしたいですね。
鈴木 ほんとそうですね、よろしくお願いしまーす。
■荒木久文(あらき・ひさふみ)1952年生まれ。長野県出身。早稲田大学卒業後、ラジオ関東(現 RFラジオ日本)入社。在職中は編成・制作局を中心に営業局・コンテンツ部などで勤務。元ラジオ日本編成制作局次長。プロデューサー・ディレクターとして、アイドル、J-POP、演歌などの音楽番組を制作。2012年、同社退職後、ラジオ各局で、映画をテーマとした番組に出演。評論家・映画コメンテイターとして新聞・WEBなどの映画紹介・映画評などを担当。報知映画賞選考委員、日本映画ペンクラブ所属。
■鈴木ダイ(すずき・だい)1966年9月1日生まれ。千葉県出身。日本大学芸術学部演劇学科卒。1991年、ボストン大学留学。1993年 パイオニアLDC株式会社(現:ジェネオン・ユニバーサル)入社 し洋楽宣伝プロモーターとして勤務 。1997年 パーソナリティの登竜門であるJ-WAVE主催のオーディション合格 。
現在は、ラジオパーソナリティとして活躍するほか、ラジオ・テレビスポット、CMのナレーション、トークショー司会やMCなど、幅広く活躍。 古今東西ジャンルにこだわらないポピュラー・ミュージックへの傾倒ぶり&造詣の深さ、硬軟交ぜた独特なトーク、そしてその魅力的な声には定評がある。