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映 画

「まなみ100%」「コカイン・ベア」「ジョン・ウィック:コンセクエンス」 のとっておき情報
(2023年9月30日10:30)
映画評論家・荒木久文氏が「まなみ100%」「コカイン・ベア」「ジョン・ウィック:コンセクエンス」のとっておき情報を紹介した。
トークの内容はFM Fuji「Bumpy」(月曜午後3時、9月25日放送)の映画コーナー「アラキンのムービー・ワンダーランド」でパーソナリティ・鈴木ダイを相手に話したものです。
鈴木 よろしくお願いします。

荒木 今日は、今週末「まなみ100%」という青春映画からご紹介します。
ちょっと変わったタイトルでしょ? これはちょっと変わり者の青年というか、風変わりというか、目立ちたがり屋というか、とにかく平凡なことが嫌いな青年と、彼が密かに思いを寄せる女性との10年間を綴った、ちょっと不思議な青春映画です。
ストーリーです。主人公は「僕」。周りから見ると、少々自分勝手で変わり者です。
「僕」は、高校で同じ器械体操部に所属している普通で平凡な感じの同級生の女の子・まなみちゃんのことを好きになり、彼女に高校時代から大学時代、そして現在までの10年間、ずっと思いを寄せているんです。
鈴木 長いな―。
荒木 その間 「僕」は、女性との出会いと別れを繰り返してくるんです。
でも まなみちゃんに対する「僕」の思いは、全く変わることもなく、しかし二人の距離が近づいてるわけでもないんです。そんな中、やがてまなみちゃんがほかの男と結婚することになる…というお話です。
鈴木 なんか、私とナオピーみたいじゃない。
荒木 何それ!?まあ、それは置いといて・・・。
この作品、川北ゆめきさんという若い監督、2作目かな?この監督がメガホンをとり、あのいまおかしんじという、私が大好きな監督さんが脚本を手がけているんですね。
いまおか節がちょっとここそこに出てますよ。これ、まなみちゃんのことが100%だった川北監督自身のほぼ100%実話の話だそうです。
鈴木 えー!?
荒木 映画の中の「僕」は、浮気っぽくって自分勝手で、セフレもいたりで。かなりなクズ男として描かれていて、よく自分をモデルにここまで描いたな、腹を決めて作ったなというのが、いい第一印象ですけどね。まあ、全部が全部真実ではないんでしょうけど…。で、主人公の僕は青木柚くんが演じてるんです。この人、前ご紹介した「神回」などにも出演してる、ちょっと細い、ヘラヘラしたちょっとチャラい感じでいいですよね。まなみちゃんには「アルプススタンドのはしの方」の中村守里さんという女優さんが演じます。透明感はあるんですけど、ホント普通でよくいるタイプと言ってはなんですが飛び抜けてキレイというわけでもない、と言うとちょっと失礼ですけど(笑)。
鈴木 ああ!今見てます。画像見てます。 ああ、普通は普通ですね、確かに。
荒木 普通でしょ?他にも元アイドル系の女優さんたちがいっぱい出てます。目立ったのが、体操部の顧問の先生が「オラキオ」さんという芸人で、細かすぎて伝わらないモノマネに出てましたが、この人がとても良くてですね、私はファンになりました。
鈴木 あはははは。
荒木 全編通して、女性関係にルーズで、色んな女と付き合えるんですけど、 “本命”を勝ち取ることはできないという情けなさだね。誰にでも多かれ少なかれ抱く切なさ、ありますからね。「僕」の姿から見られますね。だから、男の人が見ると潜在的に、自分にそういうところがあるなと気付かされるなと同時に、何か自分に刺さって、ノスタルジーみたいなものとか、共感できる映画になってるんじゃないかと思います。
鈴木 チクチクツンツンしちゃうやつね。
荒木 そうそう、しちゃう。監督、なかなか優秀ですね。カメラワークとてもいいし、編集もいいし、注目の監督ですよ。今作は2作目で自伝的作品なんですけど、この次の作品はどんなテーマで来てくれるのか楽しみではありますね。
鈴木 次回作にそういう機会もね。
荒木 青春ものとしては「500日のサマー」とか、「あの頃、君を追いかけた」系ですので、ほろ苦い青春映画なんですけど、タイトルいいですよね。
鈴木 いいですよね。「まなみ100%」。
荒木 だから…、ナオピー100%。
鈴木 それほんと、鈴木ダイですね。
荒木 ああ、私はれいな100% みゆき100%もあるかな、他にもあきこ100%も…。
鈴木 ねねね、そういうのはまた、飲み会の時にしましょう。
荒木 はい(笑)、ということで、とにかくほろ苦くて、女の子が可愛く撮れていてという、甘酸っぱい青春映画の条件をきっちり揃えた作品なので、なかなかいい作品なので観てください。「まなみ100%」という、9月29日公開の作品です。
鈴木 青春真っただ中の人も、青春が昔の人も是非ってやつですね。
荒木 そうそう!私みたいなね、遠くに去った青春もノスタルジーを感じさせます。
鈴木 あはははは。
荒木 2作目。先週、「熊は、いない」というイラン映画をご紹介しました。
今日ご紹介する次の作品にも、クマがタイトルになっているんです。で、先週とは真逆で、ブラックがかったコメディです。9月29日公開「コカイン・ベア」という作品です。

鈴木 俺、予告編観て大爆笑したよ!何かデンジャラスじゃない。
荒木 そうなんですよ。コカインを食べて狂暴化してしまったクマちゃんのお話です。1985年に、実際に起こった麻薬密売人の飛行機事故ですが…。
鈴木 えっ!? 実話なの?
荒木 実話なんです。積み込まれていたコカインが森の中に飛散しちゃって、それを食べたクマが暴れるという出来事から着想を得たストーリーなんです。
鈴木 え?じゃほんとにクマもハイになっちゃうんだねー。
荒木 なっちゃうらしいですよ。ただ、暴れたかどうかその辺りは…。着想を得てるだけだと…。
ストーリーはですね、麻薬密売人の運び屋の男が積んだ大量のコカインをアメリカ・ジョージア州の森の約束の場所に投下しようとするんですね。だけど、自分自身も誤って墜落して死んでしまいます。男の雇い主の麻薬王は、手下に森に散らばってしまったコカインの回収を命じるわけです。ところが、森の周りに住む人々…、絵を描くことが大好きな13歳の少女とかが、学校をサボって絵を描きに森へ向かってしまうんですよ。そこで大量のコカインを食べて凶暴になってしまった大きなクマに出くわします…ということで。
鈴木 あはははは。
荒木 警察だとか森林を守るレンジャーとか、いろんな人がクマに会ってしまって、事態は思わぬ方向に行くという筋書きです。
監督は「ピッチ・パーフェクト2」のエリザベス・バンクスという本来女優さんです。で、レイ・リオッタっていう有名な俳優さん、彼が出てくるんですけど、最後の出演作になっちゃったんですよね。もうちょっと別の作品で…ね。
鈴木 (笑)最後の作品、「コカイン・ベア」ですから。
荒木 クマさんも、予告編を見たらわかると思いますけど、ちょっとぬいぐるみっぽいですよね。
鈴木 けど、ちょっとデカかったよ!
荒木 CGじゃないところがよくてですね、面白いのは、クマさんがコカイン喰って『あぁ゙〜きっくぅ…』って、目バキバキになっちゃうんですよ。これが、笑う(笑)。
鈴木 あはははは。
荒木 実話ではコカインを食べちゃったクマちゃんは、摂取オーバーで死んじゃたらしいんですよ。その後で剥製にされて、「コカイン・ベア」としてケンタッキーで飾られているらしいです。映画とは違ってちょっと小さなクマさんだそうです。
鈴木 ああ、そうなんだ。
荒木 これ観てて、私思い出しました。この前、子豚ちゃんがバイアグラを食っちゃた映画を見ました。
鈴木 え!?
荒木 バイアグラをモグモグ喰っちゃうんですよ。どうなったかは、ちょっとコメントいたしませんけども。
鈴木 やっぱりかなり変化が見られるんですか?
荒木 変化見られますね。ということで、動物にヘンなもの食べさせちゃだめですよね。最近は動物愛護ちゃんとしないといけないから、怒られますからね。
映画にも必ず、「動物は傷つけてはいませんので…」というクレジットが出てきますので、老人と動物、大切にしましょうね。
鈴木 ホントですよ。先週は敬老の日だったんだし。
荒木 そうですね。ということで「コカイン・ベア」、9月29日からですね。
もう一作、時間あるかな。
鈴木 うんうん。

荒木 もう一個は、キアヌ・リーヴスです。『ジョン・ウィック:コンセクエンス』という、今公開中の映画です。キアヌ・リーブスの作品で代表的なシリーズで第4弾です。
物語は、前の第3弾で所属していた裏社会の殺し屋組織の掟を破って、組織から追われることになったジョン・ウィック・・、自分の死を偽装して前の組織から自由になるべく立ち上がるんです。その組織、「主席連合」というんですけど、彼らはこれまでジョンを守ってきたニューヨークのホテルを爆破し、ジョンが日本人の友人シマズに協力を求め、大阪のコンチネンタルホテルに逃げると、ジョンの旧友でもある盲目の暗殺者ケインを、ジョンを殺すために日本に差し向けます。そして、他の殺し屋も入り混じって凄まじい戦いが始まるというのが今回のお話になってるんですけど。真田さんなんかが出ているんですけど…。
『ジョン・ウィック』、ダイちゃんはいくつか観てますか?
鈴木 僕ね、多分2本目だったと思う。1本目と3本目は観てないと思うんだ。
荒木 そうですか。これね、最初に出た時、衝撃的だったのがカンフーと銃を組み合わせて、格闘しながら銃を至近距離で撃つという「ガンフー」と呼ばれる超接近戦の銃撃戦ですよね。その後はナイフとカンフーのナイフ―というのもあったんですけど、とにかく接近戦が多いんです。動きが早くて、抜群アクションなんです。とにかく専門性が高いって言うのかな、アクションに関しては。純度にこだわるというのか、非常にマニアックですよね。
鈴木 実際に武道をやってる方が見ても、おお!うう!って思うんだろうね、やっぱり。
荒木 そうですね。格闘技の基本になっているのはロシアの特殊部隊スペツナズという軍隊の格闘技だそうです。そこに柔道の投げだとか、ミックスドマーシャルアーツみたいなね、全部組み合わせてやってるっていう、今最強の格闘技といわれてるんです。他にも、銃にもこだわってますね。ショットガンからライフルまでいろいろ有名な銃、アイテムが凄いんですけども。面白かったのは、ジョンのスーツです。彼は、ダイちゃんの観た作品にもいたでしょうけど、黒いスーツを身に着けているのですが、この映画では、この服は拳銃の弾を跳ね返す構造になっているんです。お約束事ですよ。
鈴木 お約束事、あはははは。
荒木 撃たれても、当たっても死なないようになっているんですよ。これがあるからアクションが途切れないんですよ。顔とか頭に玉が当たらない限り、身体に当たっても戦えるんですね。
鈴木 止まらないんだ、そこでモーションが。
荒木 そうなんですよ。そのルールのおかげで、息もつかせぬアクションが続くわけなんですよ。こんな服あるかと思っているんですけど、実際に、あんなペラペラじゃないけど、ある程度のピストルぐらいだったら通さない服あるらしいですよ。
鈴木 え!?マジで? 防弾服じゃなくて、防弾チョッキじゃないの?
荒木 防弾チョッキの薄いやつが出てきてるらしいですよ。ま、科学的に裏打ちされたアイテムをちょっと先取りして使ってるってことですかね。
監督は、このシリーズ4作全部やっている、チャド・スタエルスキって人なんですけど、この監督は、『マトリックス』のスタントマンを務めていた人なんです。こんな人がやってるんで、『ジョン・ウィック』そのものが、スタント的には非常に高いものがありますね。
鈴木 スタント的には、実は『マトリックス』から繋がっているんだろうね。
荒木 繋がってると思いますね。今回も、日本の大阪とか、ニューヨーク、ヨルダン、パリ、エッフェル塔とか、ドイツ・ベルリンが舞台になっているんですけど、特に日本にはこだわりがあるようです。キアヌ―の日本好きは有名ですけれども。
鈴木 彼、親日家だもんね。
荒木 監督もアニメなどの大ファンだということで、梅田駅なんかも出てきますよね。既に5作目までの制作が決定していると聞いてますけれども、他にもスピンオフ作品のプロジェクトも進んでいるそうなので楽しみですね。
鈴木 本当に、大人気シリーズですもんね。
荒木 そうですよね。『ジョン・ウィック:コンセクエンス』。
現在公開中ということで、アクション好きな人は。ダイちゃんもたまに観に行ったら?
鈴木 そうそう!そうですよね。
荒木 とってもいいと思います。
鈴木 ありがとうございます。

■荒木久文(あらき・ひさふみ)1952年生まれ。長野県出身。早稲田大学卒業後、ラジオ関東(現 RFラジオ日本)入社。在職中は編成・制作局を中心に営業局・コンテンツ部などで勤務。元ラジオ日本編成制作局次長。プロデューサー・ディレクターとして、アイドル、J-POP、演歌などの音楽番組を制作。2012年、同社退職後、ラジオ各局で、映画をテーマとした番組に出演。評論家・映画コメンテイターとして新聞・WEBなどの映画紹介・映画評などを担当。報知映画賞選考委員、日本映画ペンクラブ所属。
■鈴木ダイ(すずき・だい)1966年9月1日生まれ。千葉県出身。日本大学芸術学部演劇学科卒。1991年、ボストン大学留学。1993年 パイオニアLDC株式会社(現:ジェネオン・ユニバーサル)入社 し洋楽宣伝プロモーターとして勤務 。1997年 パーソナリティの登竜門であるJ-WAVE主催のオーディション合格 。
現在は、ラジオパーソナリティとして活躍するほか、ラジオ・テレビスポット、CMのナレーション、トークショー司会やMCなど、幅広く活躍。 古今東西ジャンルにこだわらないポピュラー・ミュージックへの傾倒ぶり&造詣の深さ、硬軟交ぜた独特なトーク、そしてその魅力的な声には定評がある。