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映 画

「ジャンヌ・デュ・バリー 国王最期の愛人」などのとっておき情報
(2023年2月11日9:30)
映画評論家・荒木久文氏が「ジャンヌ・デュ・バリー」などのとっておき情報を紹介した。
トークの内容はFM Fuji「Bumpy」(月曜午後3時、2月5日放送)の映画コーナー「アラキンのムービー・ワンダーランド」でパーソナリティ・鈴木ダイを相手に話したものです。
鈴木 よろしくお願いします。なんと、今日は目の前にいらっしゃいます。
ようこそ、いらっしゃいました。
荒木 こんにちは。ご無沙汰しております。久しぶりのお顔を拝見して。
鈴木 何年ぶりですか?
荒木 2年ぶり…。
鈴木 全然変わってないですね。よろしくお願いします。
荒木 なんかちょっと勝手が違うんですけど、今日も一応映画の話からね。
鈴木 当り前じゃないですか!一応じゃなくて(笑)。
荒木 2月2日から公開中ですね。「ジャンヌ・デュ・バリー 国王最期の愛人」。
国王最期の愛人という愛人の話です。この前ご紹介した「ナポレオン」の少し前の時代です。18世紀のフランスです。ルイ15世という方がいました。教科書で習うと思うんですけど、その最後の愛人ですね。ジャンヌ・デュ・バリーという女性の生涯を映画化した作品です。
鈴木 意外に綺麗な、素敵な、私タイプですけどね。

荒木 そうですか。お顔見ていただいていますか?お顔のことは後で言うとして。ジャンヌという女性は、貧しい生まれでですね、ただ美貌と知性は素晴らしくて、貴族の男たちをたぶらかす…という言葉は悪いんですけど、社交界で注目を集めるようになって、そしてついにベルサイユ宮殿に足を踏み入れます。
当時の国王ルイ15世とまたたく間に恋に落ちて、その公妾(こうしょう)というんですけど、いわば認められた愛人の座に就くわけです。だけど庶民が国王の愛人となるのはタブーだったんですね。そのうえ彼女はルールやマナーを平気で破っていたんですよね。
だから王太子妃マリー・アントワネットも、そんな彼女を疎ましく思って対立していたということです。この映画は本国で大ヒットして、カンヌにも行ったんですが。フランス宮廷ものなので豪華です。シャネルによる衣装提供して、その上ベルサイユ宮殿で撮影したという、ものすごく豪華です。公妾(こうしょう)って、公の妾と書きますけど。まずこれについて説明したいと思います。これは、ヨーロッパの宮廷で主に近世に見られる歴史的制度なんですよ。国王はキリスト教との関係で、離婚も出来なければ側室も持てないんです。それにほとんど政略結婚でしょ?好きな人と結婚出来ないんですね。だから本当に好きな人は愛人にしちゃうんですね。お妾さん。で、公妾なんですよ。愛人とはいいつつも国から活動費を支給され、外交でも公式な立場で外国の要人とのパーティとかに出席してですね、王の重臣ですね、いわゆる。側近として補佐する立場にいる人なんです。
もうひとつは、愛人は独身じゃ駄目なんです。誰かの妻じゃないと駄目なんです。
鈴木 じゃ、不倫という形は認められるってことなんだ?
荒木 認められるんですよ、もともと公妾は既婚女性。つまり人妻でなくてはならないという条件があって。彼女の面倒を見ていたデュ・バリーって子爵がいたんです。その人の関係者の奥さんになって、デュ・バリー夫人で、お妾さんになったという。
映画ではルイ15世はジョニー・デップ。アメリカのケンタッキー生まれがフランスのルイ15世やってるんです。
鈴木 なるほど。
荒木 フランス語で喋っています。だからね、きちんと撮ってるんですよ。まさか英語でやるとかだと…。
鈴木 喋ってるんじゃないよね?
荒木 フランス語 喋ってるんです。
鈴木 ジョニー・デップがフランス語を?
荒木 あのジョニー・デップが!そんなに台詞の数も多くないんだけど、ちゃんとフランス語をしゃべってます。一番目の奥さんがフランス人だったからね。
鈴木 ちょっとわかるね。
荒木 だって、英語で喋ったりすると駄目でしょ!敵性言語だもんね。
鈴木 ないないない!絶対ないですよ!
荒木 で、この王さま とても奔放で、最愛王と呼ばれた人だそうです。一番いい時のフランス国王ですよね。
鈴木 全盛期ですよね!
荒木 だからそういう意味では、フランス革命の元をつくっちゃったっていうか、反発をくらうようないろんなことをやった人ですよね。愛人も多くて、絶世のハンサムだったんですって!
鈴木 そうでしょうね!
荒木 そうですよね。で、非常に沢山のお妾さんいたんだけど、彼はこのデュ・バリー夫人を本当に愛したという話です。映画では、デュ・バリー夫人をマイエンというフランスのマルチタレントなんですけど、脚本も監督もやってるんですよね。
鈴木 そうなんですか!?多才ですね。
荒木 ええ。写真見てどうですか?
鈴木 好き。
荒木 えー、好きなの?
鈴木 えー?好きなの?っていう意味が分かんないですけど。好みですから、これ!
荒木 まあ、そうですけど。まあ18世紀のブルボン朝っていうといろんな肖像を見ると、マリー・アントワネットをはじめとして、きらきらした肌の白い金髪のふっくらした人を思い浮かべますよね?
鈴木 まあ、ね。
荒木 私なんかもそうだったんですよ。ヘアスタイルとかしぐさが、ちょっと現代的でしょ。だからね、見ていると、この人だけタイムスリップしてきたんじゃないかって思われるような感じもするんですけど。
鈴木 違和感ありってことですか?
荒木 違和感ありですね、私。でも、それが味かもしれないよね。で、このデュ・バリー夫人、本当はどんな女性だったかというと、いろんなところで敵役で描かれてますね。映画「マリー・アントワネット」なんかも酷い書かれようですけど、「ベルサイユのばら」なんかでも人でなしに描かれていますよね。だけど本当は、とっても金髪できめ細やかな白い肌をした美しい女性だったと言われていますよ。
鈴木 嫉妬していたんじゃないの?周りの方。
荒木 そうですよね。とにかく引き合いに出されるのが、例のルイ16世の妃のマリー・アントワネットですよね。彼女は完全なハプスブルク家の血を引く名門出身の人ですから、本当に正統派の王女様。で、対立していたんですけどね。2人ともギロチンで死んじゃうわけですよね。
そういう人々の生涯を描いたんで、なかなか力作でね、面白い作品なんで、興味ある人は是非見ていただきたいんだけど、この辺の人間模様とか人間の機微とかいうことで、このデュ・バリー夫人の首を切り落としたのがですね、シャルル=アンリ・サンソンっていうんですが、若いころの恋人だったんですよね。
鈴木 えー!?何なんですか!
荒木 そういう話もあります。
鈴木 その人生って!
荒木 巡り巡って、そういうこともあるんですよ。そんな話をしたりして考えたのが、王室ファンとか皇室ファンとかって必ずいるから…。
鈴木 いますね、ロイヤルファミリーファンね。
荒木 ということで、超正統派、フランスのブルボン王朝のルイ15世の時代を描いた「ジャンヌ・デュ・バリー 国王最期の愛人」、王室ファン、皇室ファンは、是非!
鈴木 必見ですか、これ!
荒木 「ジャンヌ・デュ・バリー 国王最期の愛人」という現在公開中のお話です。
鈴木 あと、荒木さんが目の前にいると、喋りやすいっていうか、楽しいね!
荒木 楽しいね!顔見て、表情もね。
鈴木 そうそう!なるほど、へぇーみたいな感じになりますね。

荒木 ということで、前々回でしたかね、渋谷ヒューマン・トラストシネマ渋谷で行われている、「未体験ゾーンの映画たち2024」上映のラインナップを一部ご紹介しましたけど、今日は時間のある限り、後半の作品をご紹介しましょう。このトラストシネマのご担当者が進めていたのは、SNSで有名インフルエンサーがチャレンジして話題となった都市伝説を題材にしたホラー映画。「エレベーター・ゲーム」です。
鈴木 はいはい、知ってます。
荒木 知ってます? 異世界につながると噂される「エレベーター・ゲーム」のライブ配信中に謎の失踪を遂げていた妹を救い出すために、そのゲームに挑戦する兄を描きます。
鈴木 いいじゃないですか!
荒木 あと、ダイちゃんどんなの好きそうかな…。
鈴木 俺、サスペンス、スリラー、ドラマとかですね。
荒木 これなんかどうかな…、「COME TRUE/カム・トゥルー 戦慄の催眠実験」というカナダの映画ね。
鈴木 それ、タイトルからしてOKですね。
荒木 睡眠に関する心理実験に参加した不眠症の少女が、深い闇に飲み込まれていく姿を描いたカナダ発のSFスリラーです。あとは、「ネイビーシールズ ラスト・ソルジャー」という戦争ものですね。
鈴木 軍隊、ネイビー系ね。
荒木 古代の敵である邪悪なシュラウドを倒し、魔法の王国を救う冒険に出るというオーストラリアの作品です。これもある!3月15日から、「タイムマシン2024」。
鈴木 え!?
荒木 これ、昔テレビで、タイムトンネルとかやってましたよね。あの手らしいんですけど、「デイ・アフター・トゥモロー」を作ったスタッフが、紀元前6500万年の地球を舞台に、青年の冒険と成長を描くスペクタクル・アクションなんです。
鈴木 紀元前6500万年!?いや、全然わからない!
荒木 わからないですよね。恐竜とかいる世界だよね、たぶん…。
鈴木 いや、行きたくないわ、そこは。
荒木 誰も見たことのない世界だと思うんですが。
鈴木 でも、目の前で荒木さんがこれから公開する映画のリストを見ながら話していただけるって、こんな豪華な先物買いな感じないね!
荒木 ありがとうございます!
鈴木 凄いっすね。
荒木 ということで、東京渋谷ヒューマン・トラストシネマ渋谷で行われている、「未体験ゾーンの映画たち2024」上映ラインナップ、第2弾ご紹介しました。
鈴木 正直にこの場で聞くけど、「未体験ゾーンの映画たち2024」こういう映画のお祭りを楽しみにしている映画ファンって、そうとういるんですか?
荒木 そうとういるんです!僕もね、様子見に行くんですけど、並んでるよ!朝の8時台からの上映とか、9時の上映に、もうずらーっと階段ならんでますよ。
鈴木 やっぱり好きなファンいるんだ!
荒木 好きなファンいるんです。だけど、みんな共通してるのは、あ!この人たち映画おタクだなっていう感じ。
鈴木 何なんですか?そのマニアな感覚は。どうしてそうなってしまうんですか?あれは。
荒木 これ、前にも言ったように宣伝もしてないし、地味な映画、ちょっとB級っぽい映画、それはやっぱり好きな人がいるんだね!
鈴木 スターウォーズ並ぶとは、また違うんだよね。
荒木 そうなんですよ。ちょっと一度インタビューして、話聞いてみようかと思っているんですよ。あんた何なんですか?ってね。
鈴木 やっぱり、おっちゃん?
荒木 おっちゃん!私より若い、ちょっと貧相そうなおじさんです。
鈴木 暗い感じなんだけど、何かの情熱だけはギラギラ持ってそうな。
荒木 そうです。どういう人生送ってきたんだろうなこの人っていう…。
鈴木 そういうことですね(笑)。なんか人間ドラマとしては、いっぱい話しがいがありますよね。
荒木 そうですよね。72時間とか、ああいう世界でインタビューすると面白い人たちですね、映画おたくの。ちょっとNHKにアイデア出そうかな…。
鈴木 ここに出しなさいよ!
荒木 ああ!(笑)。
鈴木 (笑)ということで、今回は生で荒木さんからお話を伺っているということで、また来週お願いします。
荒木 よろしく!

■荒木久文(あらき・ひさふみ)1952年生まれ。長野県出身。早稲田大学卒業後、ラジオ関東(現 RFラジオ日本)入社。在職中は編成・制作局を中心に営業局・コンテンツ部などで勤務。元ラジオ日本編成制作局次長。プロデューサー・ディレクターとして、アイドル、J-POP、演歌などの音楽番組を制作。2012年、同社退職後、ラジオ各局で、映画をテーマとした番組に出演。評論家・映画コメンテイターとして新聞・WEBなどの映画紹介・映画評などを担当。報知映画賞選考委員、日本映画ペンクラブ所属。
■鈴木ダイ(すずき・だい)1966年9月1日生まれ。千葉県出身。日本大学芸術学部演劇学科卒。1991年、ボストン大学留学。1993年 パイオニアLDC株式会社(現:ジェネオン・ユニバーサル)入社 し洋楽宣伝プロモーターとして勤務 。1997年 パーソナリティの登竜門であるJ-WAVE主催のオーディション合格 。
現在は、ラジオパーソナリティとして活躍するほか、ラジオ・テレビスポット、CMのナレーション、トークショー司会やMCなど、幅広く活躍。 古今東西ジャンルにこだわらないポピュラー・ミュージックへの傾倒ぶり&造詣の深さ、硬軟交ぜた独特なトーク、そしてその魅力的な声には定評がある。