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映 画
「ROLLING STONE ブライアン・ジョーンズの生と死」など音楽映画のとっておき情報
(2023年2月2日20:45)
映画評論家・荒木久文氏が「ROLLING STONE ブライアン・ジョーンズの生と死」など音楽映画のとっておき情報を紹介した。
トークの内容はFM Fuji「Bumpy」(月曜午後3時、1月29日放送)の映画コーナー「アラキンのムービー・ワンダーランド」でパーソナリティ・鈴木ダイを相手に話したものです。
鈴木 よろしくお願いします。
荒木 今日は、現在公開中、そして今週公開予定の音楽に関連する映画を特集したいと思います。
鈴木 いい!待ってましたよ!そういうの!!
荒木 久々の音楽映画、音楽ばっちり、曲もばっちりということで、ダイちゃんにお願いしたいと思います。
鈴木 はい、わかりました。
荒木 1本目は、正確に言うと音楽関連映画なのですが現在公開中の「ROLLING STONE ブライアン・ジョーンズの生と死」というタイトルなんです。
鈴木 来たねー!1本目からきましたね。
荒木 「ザ・ローリング・ストーンズ」の創始者で初代リーダーのブライアン・ジョーンズの波乱万丈な27年の生涯と謎の死に迫るドキュメンタリーです。
ザ・ローリング・ストーンズの初代リーダーとしてブリティッシュロックシーンに登場したブライアン・ジョーンズに関しては、皆さんご存じかと思うんです。
スウィンギング・ロンドンを象徴するひとりとして注目されたんですが、麻薬、ドラッグでね、すべてを失うことになり死を迎えるんですね。問題は彼の死ですが、1969年、ブライアンは自宅のプールの底に沈んでいるところを発見され、不慮の事故とされたんですが、彼の死は他殺によるものじゃないかという節が数多く浮上しているんですね。
鈴木 僕は、中学生くらいでロックに出会って、今日まで最大のひとつの謎が、ブライアン・ジョーンズの死ですよ。
荒木 そうですよね。今までもいろんなこと言われたんですが、今回、この映画の中では新しい証言なんかも出ているらしいです。 ダイちゃんは、この世代、1969年だから、彼が死んだことはね…。
鈴木 全然知らないし、ストーンズ聞き出して、リアルタイムで聞いたのは「エモーショナルレスキュー」っていうアルバムなんですよ。70年代の終わりなんですけど。それを聞いて、ストーンズいいなと思って、振り戻って60年代、70年代のストンーンズに触れていくんですけども、やっぱり今のファンからみたら、ミックジャガーとキースリチャーズのバンドというイメージが強いじゃないですか、ストーンズって。
荒木 ああ、そうですよね。
鈴木 でも、実はブライアン・ジョーンズこそリーダーであり、音楽的な一番の核だったっていうことを後に知るんですけど、僕も。そうるすとストーンズって、ブライアン・ジョーンズがいて途中でいなくなったからこそ、ここまで生き延びたのかなって気が、実はしてて…。
荒木 なるほどね…。
鈴木 逆に、ブライアン・ジョーンズがそのままいたら、ストーンズって存在してなかった気がするんですよ。どっかで分解して終わっちゃってて。
荒木 そうかもしれないですね。個性的過ぎた人ですからね。ローリングストーンズを知りたい方は、この辺りから辿るのもいいかもしれませんね。
鈴木 今、ペインテドブラックっていう、黒く塗れっていう、シタール、ブライアンジ・ジョーンズが担当していますけど、この辺りの曲は不可欠だし、ライヴでも必ず演奏するし、ブライアン・ジョーンズの功績って本当にでかいなと思いますよね。
荒木 代表曲ですからね。ということで、「ROLLING STONE ブライアン・ジョーンズの生と死」という作品でした。
鈴木 謎は解けるのか?
荒木 2本目です。これもイギリスのアーチストです。「ペット・ショップ・ボーイズ」。皆さんご存知ですかね?
鈴木 もしかすると、ブライアン・ジョーンズのなんとかより、リスナーさんは「ペット・ショップ・ボーイズ」の方が馴染み深いかもしれないですよ。
荒木 そうですね。このタイトルは「ペット・ショップ・ボーイズ・ドリームワールド THE GREATEST HITS LIVE AT THE ROYAL ARENA COPENHAGEN」と、ちょっと長いんですが、1月31(水)、2月2日(日)2日限定 TOHOシネマズ日本橋ほか公開です。イギリスを代表する音楽デュオですね。ボーカルのニール・テナントとキーボードのクリス・ロウですけど、デビュー40周年を記念して、昨年7月ですかね、コペンハーゲン公演の模様を14台のカメラで撮影したという。それを、コンサート自体を映画化したものですね。デュオと言えば、イギリス音楽史上最も成功したデュオとして知られているんですけど、ダイちゃん、魅力はどんなところでしょうね。
鈴木 ポップミュージックのデュオとエレクトロニクスの上手い混合だなと思ったのと、よく言われるのがニール・テナントの作家能力と同時にヴォーカルの魅力というか、声の魅力で。実はニール・テナントの声ってこのアルファ波っていうか、あれが出てるって話が、何とか分の1の揺らぎっていうか。
荒木 癒しのアルファ波ですよね。
鈴木 だから、ペット・ショップ・ボーイズ聴いていると、なんかわくわくすると同時にちょっと落ち着くっていうかね、不思議な魅力があって。あとは、ヒットメーカーとしての凄さっていうか、シングル42.3曲、全部イギリスのトップチャートに入ってて。
荒木 そうですよね、全世界で5000万枚以上売り上げって言われていますよね。
鈴木 2009年、ブリットアワードていうイギリスのグラミー賞ですけど、そこで音楽の功労賞を受け取っているんで。これ以上の賞はないんですよ、イギリスで言えば。
荒木 そうですね。イギリス史上最も成功したデュオですよね。ペット・ショップ・ボーイズのコンサート、何曲あるんだろう…。名曲、ヒット曲の数々が次から次へと披露されるんですね。
鈴木 今流れているのも、「イッツアシン」という87年の大ヒットですけど、これも当然やってるんでしょうね。いいですねぇ、見たいなあ。
荒木 今日は音楽映画特集として現在公開中および、今週公開の作品からピックアップして紹介していますが、3本目はちょっと毛色が変わって、ジャズです。
鈴木 お!
荒木 ジャズにも親しんでいるダイちゃんにも!タイトルは「オスカー・ピーターソン」。ジャズ・ピアニスト、オスカー・ピーターソンの波乱万丈人生と音楽にスポットを当てたドキュメンタリーです。 知らない人が多いかもしれませんが、すごいジャズの巨人です。ダイちゃん!オスカー・ピーターソンとの出会いとか…。
鈴木 僕ね、大学の時、先輩にジャズ好きというかジャズマニアの方がいて、その方に出会ってから、大学の時にジャズに一回ハマったんですけど。このオスカー・ピーターソンは、ビル・エヴァンスとセロニアスモンクと並ぶ、ジャズ史上最も素晴らしいジャズピアニストの1人だと思っているんですけど、ただ彼らと比べると、オスカー・ピーターソンはカナダ出身じゃないですか。モントリオール出身なんで、アメリカ人のやすアメリカのジャズと比べると、やっぱちょっと匂いが違うんですよ。僕にとっては。
荒木 ああ、なるほどー。
鈴木 彼のタッチは明るいじゃないですか、ピアノは。
荒木 そうですね、明るくって超絶技巧もあるしね。そういう意味では、皆さんの心を躍らせる明るさありますよね。
鈴木 鍵盤の皇帝と呼ばれたと言われるくらいですもの。
荒木 93年に脳梗塞で、ピアニストとしては絶望的と思われたんですが、リハビリで復活し、2004年には来日も果たしましたね。今流れているのは…。
鈴木 「自由への賛歌」。62年「ナイト・トレイン」に入っていた1曲ですよ。民権運動とかで、これ必ずかかりますよね。ドキュメンタリーとかでもね。
荒木 1962年に彼が作曲した、公民権運動を象徴する曲のひとつとなりましたね。そういう意味では、黒人差別の戦いの前面に立った人でもあるし、後の音楽史上、クインシー・ジョーンズとかに影響を与えたミュージシャンでもあります。
鈴木 今のロバート・グラスパーなんかも、オスカー・ピーターソンに影響を受けてハービーハンコックとともに、ジャイアンツと捉えていると思いますよ。
荒木 ほんと、「ピアノの皇帝」って言い方があったんですね。「オスカー・ピーターソン」、配信もされるようです。「オスカー・ピーターソン ジャズ界の革命児」というタイトルで配信されるようです。
鈴木 いろんな方法で見ることが出来るということですよね。
荒木 はい。そして最後は、ここ近年見せて頂いた音楽映画では最高でした。
2月2日から公開です。「ストップ・メイキング・センス 4Kレストア版」。1980年代の音楽シーンに変革をもたらしたアメリカのバンド「トーキング・ヘッズ」ですね。彼らが1983年に行った、もう20年も前なんですが、伝説のライブを記録したドキュメンタリーなんです。まさにキャリア絶頂期の彼らが全米ツアー中の83年12月にハリウッドのパンテージ・シアターでやったライブ。バンドのフロントマンであるデビッド・バーンの躍動感あふれるパフォーマンスに、彼を象徴する「ビッグ・スーツ」ですね。
鈴木 だぶだぶスーツ着て、ふらふら揺れてるってパターンね。
荒木 そうそう、日本の能にヒントを得たっていう。そういうと何となくそういう感じもします。
鈴木 しますよねー。
荒木 本当に、エキセントリックなダンスと演出が圧巻のステージで。音もいいんですよねー。ダイちゃん、これ昔見たことある?
鈴木 見たことある! ビデオ化された時に見ているんですよ、これ。
荒木 1985年とか、2000年、2016年とかにも、再公開されいてるんですよ。だから見たことあると思うんですが、私見逃してましてですね。
鈴木 じゃあ、初めて見てびっくりしたってパターンですね。
荒木 そうですね、音もいいし絵もいいし、本当に素晴らしいですね。監督がジョナサン・デミなんですね。「羊たちの沈黙」のね。ネガを基に、バンドメンバーのジェリー・ハリスン自らサウンド監修を手がけたと言われていますね。リマスター4Kレストア版。2月2日から公開なんです。これも楽しみな映画なんで、音楽ファンの方は是非行って頂きたいと思います。ダイちゃん、「トーキング・ヘッズ」はどうですか?
鈴木 「トーキング・ヘッズ」、大好きでした。今は活動してないから残念なんですが、やっぱりヘッズみたいな、こういうバンドも大学生の時に出会って、僕から見ると、デビット・バーンとフランクザッパ、トッド・ラングレン、それからルー・リード、この辺りはやっぱりロックの中でも、頭脳でとんがってるっていうか、凄い、天才なんですけど奇才っていう言い方が一番ぴったりはまるような感じがして。
荒木 そうだね、みんな面倒くさい哲学的な人ばっかりだね。
鈴木 そう!やばいんですよ。だから大学の時、トーキング・ヘッズとアメリカのバンド、カースね。この2つのバンドが理解出来るか出来ないかで、だいぶ向こう側とこっち側で別れるような感じで、棲み分けを、ロックファン自ら、我々はしてた感じがあるぐらい。一言多いロックファンは、ヘッズがわかんないのかー!?お前ら!みたいな感じで言っていましたよ。あとトーキング・ヘッズの中で、クリス・フランツとティナ‣ウェイマスとが組んだトム・トム・クラブ。彼らも大ヒットしたんで、1つのバンドの中に、もう1つ名バンドがいたっていう意味でも、面白かったし。
荒木 そうですね。
鈴木 あと、パンクからニューウェーブに架け橋みたいになった、ポストパンクみたいなところでも彼らは非常に重要な役割を果たしているし、とにかくロック史上素晴らしいバンドのひとつですよね。
荒木 今日は、4つ程音楽映画を特集したんですけど、皆さん馴染みのないものもあると思うんですけど、是非時間があったら見に行って頂いて、音楽漬けになっていただくといいと思うんです。今日は音楽映画ということで、ダイちゃんのいろんな話しも聞けてよかったです。
鈴木 最後に1曲、トーキング・ヘッズ聞きましょうよ!
荒木 あ!お願いします。
鈴木 83年の「スピーキング・イン・タングス」という名盤ですけど、それkらのファーストシングルで、彼ら唯一の、アメリカのシングルチャートトップ10に入った、9位かなんかにギリギリ入っているっていう曲なんですけど、カバーバージョンも非常に多い名曲を1曲聞いていただきたいと思うんですけど。トーキング・ヘッズの「バーニング・ダウン・ザ・ハウス」を聞きながら、荒木さんにお別れということで。
荒木 よろしくお願いします。
鈴木 ありがとうございます。
■荒木久文(あらき・ひさふみ)1952年生まれ。長野県出身。早稲田大学卒業後、ラジオ関東(現 RFラジオ日本)入社。在職中は編成・制作局を中心に営業局・コンテンツ部などで勤務。元ラジオ日本編成制作局次長。プロデューサー・ディレクターとして、アイドル、J-POP、演歌などの音楽番組を制作。2012年、同社退職後、ラジオ各局で、映画をテーマとした番組に出演。評論家・映画コメンテイターとして新聞・WEBなどの映画紹介・映画評などを担当。報知映画賞選考委員、日本映画ペンクラブ所属。
■鈴木ダイ(すずき・だい)1966年9月1日生まれ。千葉県出身。日本大学芸術学部演劇学科卒。1991年、ボストン大学留学。1993年 パイオニアLDC株式会社(現:ジェネオン・ユニバーサル)入社 し洋楽宣伝プロモーターとして勤務 。1997年 パーソナリティの登竜門であるJ-WAVE主催のオーディション合格 。
現在は、ラジオパーソナリティとして活躍するほか、ラジオ・テレビスポット、CMのナレーション、トークショー司会やMCなど、幅広く活躍。 古今東西ジャンルにこだわらないポピュラー・ミュージックへの傾倒ぶり&造詣の深さ、硬軟交ぜた独特なトーク、そしてその魅力的な声には定評がある。