-
映 画
2023年米国映画興行のとっておき情報
(2023年12月31日10:00)
映画評論家・荒木久文氏が2023年米国映画興行のとっておき情報
を紹介した。
トークの内容はFM Fuji「Bumpy」(月曜午後3時、12月25日放送)の映画コーナー「アラキンのムービー・ワンダーランド」でパーソナリティ・鈴木ダイを相手に話したものです。
鈴木 メリークリスマス!
荒木 メリークリスマス、荒木です。先週と今週は2023年映画界を振り返るというテーマでお話していますけど、先週は日本映画、今日は外国映画編です。先週、日本では海外作品が苦戦したという話をしましたよね。逆に日本の映画は外国でどのような評価をされているのかなどお話していきますね。
鈴木 はい はい はい。
荒木 海外と言っても結局アメリカがメインになるんですが、2023年、日本の映画興行収入は約2300億円になるだろうと言いましたけど、アメリカの映画興行収入、昨2022年は75億3000万ドルっていうから、約1兆1200億円ですよ。
鈴木 全然 桁が違うじゃないですか!
荒木 そうですね。今年はなんと1兆4千億円前後となるだろうと言われています。日本の約6倍ですね。
鈴木 みんな見るんだね。
荒木 アメリカの人口が3億4千万人で、日本人は1億千万人、人口比では約3倍ですから多いのは当たりまえなんですが、それでも単純に言って日本人の2倍 映画に行ってるって感じですよね。映画館の問題なんかもあるんですけど、映画文化が根付いているというか、日本の映画がまだまだなのかは一概には言えないですけどね。やはりアメリカは映画大国なんですね。
鈴木 なるほど。
荒木 アメリカ以外の国をみると、なんと人口14億人と言われる中国では、これも今年の11月の時点では今年の映画の興行収入が500億元っていうから約1兆円を突破したんですね。ちなみにヒットしたトップテンは、すべて中国国内制作映画ですね、
『消失的她』、『孤注一擲』とか『八角籠中』『封神第一部』、『長安三万里』とか。
鈴木 本当にそう読むかわかんないからね。
荒木 そう!絶対見てないと思いますけど。公開されてないから。私も一本も見ておりません(笑)。
鈴木 あはははは。
荒木 まったくドメスティックですよね。
鈴木 凄いな。それもそれで。
荒木 それは凄いですよ、一兆円。それはともかく、今年のアメリカの、まあ、北米のランキングを見てみたいと思うんですが。ダイちゃん、洋画沢山見てると思うんですけど。
鈴木 今年も見ましたね、なんだかんだ言って。
荒木 アメリカの2023年のヒット映画ランキング予想してみてください。ベスト3でいいですよ。
鈴木 ベスト3ですか…、「バビロン」。それから「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3 」、それから…
荒木 ああ…、もう全然ハズしているから、何と言っていいかわからない。あはははは。
鈴木 大体、僕はグラミー賞もハズす男ですから。
鈴木 2位が「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3 」
荒木 まあまあそれはいい線いってるな…。
鈴木 で、1位が「バビロン」
荒木 「バビロン」…ほうほう。申し上げます。10位からいくね。10位「アントマン&ワスプ:クアントマニア」9位が「マイ・エレメント」ですね。8位にきて「ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE」。7位が「リトル・マーメイド」です。6位が「スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース」。5位が「ワイルド・スピード/ファイヤーブースト」4位に「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3」。3位はですね、「オッペンハイマー」ですね。
鈴木 ああそうか!まだ見てないからなー。
荒木 2位が「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」ですね。
1位はなんと!誰も予想出来ないっていうか、日本人は予想しえないでしょう。断トツ「バービー 」ですね。バービー人形のバービー。
鈴木 バービーですか。これ、僕ね、こんなところで突然登場して申し訳ないんですけど、荒木さんがご紹介してくれた「エブエブ」(「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」)、あれと「アステロイド・シティ」、ウェス・アンダーソン監督の。あれも俺のトップ5に入ります。あの2本は。実際に見て面白かった。
荒木 そうですか!渋いね。
鈴木 そうですか?
荒木 ほんと渋い感覚、素晴らしいです。
鈴木 「アステロイド・シティ」めちゃ面白かったな。
荒木 そうですよね。そういうのだと思います、多分。「バービー」はやっぱり…、文化の差っていうかな、特に我々にはピンと来なかったですけどね。
鈴木 ピンクばっかりですからねー。
荒木 そうですよね、ピンクの塗料が無くなっちゃったっていうんですからね。
鈴木 なんだそれ?っていうか、さすが!だっていうか。
荒木 でも、今タイトル聞いていただくと、日本でもおなじみのタイトルで、ほぼほぼ公開済みの作品ばかりですよね。3位に入ってる「オッペンハイマー」は、問題作なんですけどね。日本に対するアメリカの本音を表していると言われている…。これは2024年には公開されるようです、日本では。
鈴木 これ見たいんだよねー。
荒木 なんかね、試写がきてましたね。「バービー」に関してはもう仕様がないんですけど、先週も日本では外国映画が元気ない、支持されないということを申し上げたんですけど、やはり国民性っていうか、文化の問題っていうか、インターナショナルフェーリングよりも、地元のカルチャーっていうかね。
鈴木 荒木さん!「インディージョーンズ」も「ジョン・ウィック」も入ってないんですね。
荒木 入ってないんですよ。やっぱりね、ブラック映画みたいなのが本当に強くてね。特に、日本の若い人の洋画離れ、先週言いましたけど、このところ20年以上続いているんですね。
鈴木 20年前若者だった人たちが、今30代、40代になってるわけでしょう。
荒木 そう。
鈴木 変らないよ、これ。
荒木 年配者も離れつつあるというのが、最近の傾向ですね。
鈴木 でもそれ、洋楽、邦楽の問題でも同じですよ。
荒木 ああ、同じだね?やっぱり。
鈴木 同じですよ、これ。
荒木 どんどんドメスティック、内へ内へ入ってくるんだね。
鈴木 そうなんですよ。
荒木 あまりいい傾向じゃないと思うんだけど。やはり他の文化に触れるって本当に必要だと思うんですけどね、外国の。でね、海外映画でなければ味わえないようなスケールの大きい作品やね、「ナポレオン」のような人間ドラマとかね。こういうことに気がついてもらって、もっと洋画を楽しんで欲しいですよね。
逆に、日本映画は海外でどう評価されてるのか。
鈴木 「ゴジラ-1.0」は大ヒットしてるって聞いてるんですけど。
荒木 そうなんですよ。「ゴジラ-1.0」注目ですよね。邦画作品、実写作品としては前例のない2000館超えの大規模公開なんですね。現在、40億円を超える大ヒットで、多分、実写映画の歴代1位を獲得してますよね。
鈴木 えっ?えっ?えっ?!そこまで大ヒットなんですか?
荒木 そうなんですよ。実写でね。アニメで「天気の子」とかは随分とってますけど、実写だと「子猫物語」以来かな。
鈴木 「子猫物語」ありましたねー。
荒木 ありましたね。全世界興行収入では100億円超えるかもしれないです。
鈴木 前回の「シン・ゴジラ」って、北米じゃコケたじゃないですか、正直。
荒木 そうなんですよね。
鈴木 なんで今回「-1.0」になったら、こんなんなっちゃってるんだ?これ。
鈴木 トップ?
荒木 トップですね。
鈴木 トップ10入りじゃなくて?
荒木 トップ。1位が「君たちはどう生きるか」、3位が「ゴジラ-0.1」。今週も同じようなものかなー。2本を日本映画が獲得したということで快挙だそうです。日本の映画もどんどん海外で見られてほしいと思います。さっきちらっと出ちゃいましたけど、ダイちゃんの見たベスト映画というのは、どうでした?
鈴木 ベスト映画はね、「エブエブ」でしょ。それから「バビロン」。それから「アステロイド・シティ」っていうのが、僕のトップ3ですね。
荒木 おおー、渋いですね。
鈴木 あとね、「バビロン」と「アステロイド・シティ」に、マーゴット・ロビーが出てるんですよ。たまたまなんだけど、ああなるほど、俺はマーゴット・ロビー好きなんだってことに気づきましたね。
荒木 ああいう派手なのが好きですねー。
鈴木 あはははは。
荒木 マーゴット・ロビーちゃんねー。僕はちょっとドキュメンタリーで面白い、ロズニチッア監督でウクライナの人なんですけど、「新生ロシア1991」という地味な映画だったんですけど。あとは小っちゃな映画で「FALL/フォール」、上から落っこちるやつね。それから、「search/#サーチ2」とかね。ちょっと軽い映画がよかったですね。あと、韓国映画で「極限境界戦 」とか。韓国映画は面白かったですね。そんなのがお勧めなんで、もし機会があったらみなさん見ていただきたいと思うんですが。
あと亡くなった方…、ダイちゃんとも関係あるというか、リサ・マリー・プレスリーです。プレスリーの一人娘。
鈴木 ああーそうでしたね。若いよなーまだ。
荒木 そう、54歳でね、この人結婚相手、2度目がマイケルジャクソンで、3度目が二コラス・ケイジでしたね。若くてね、薬の噂が絶えなかったですよね。
鈴木 だって、父親もああいう死に方してますからね。
荒木 あと、イタリアの大女優ジーナ・ロロブリジータとかね。
バート・バカラックも映画音楽も多く手掛けましたよね。
鈴木 振り返ると1年っていろいろあるんだなあと思いますよ。
荒木 あと、ウィリアム・フリードキン監督、87歳。「フレンチコネクション」とか「エクソシスト」の監督ですよね。
鈴木 「エクソシスト」。
荒木 ライアン・オニールもつい最近、亡くなりましたよね。
ということで、2週にわたって2023年の映画界を振り返ってきましたけど、この年末に公開される海外作品から1作品ご紹介しましょう。暮れの大掃除から逃げ出して、映画館に逃げ込みたい人は「ハンガー・ゲーム」というヒットシリーズがあります。2012年でしたかね、アメリカのアクション映画なんですが、ジェニファーローレンスなんかが出てましたね。
この作品のいわゆる前日譚。第1作のその前のお話という、今はやりのパターンです。
シリーズ第1作で主人公がハンガーゲームのプレイヤーに志願する64年前が舞台なんです。22日から公開中の「ハンガー・ゲーム0」です。
鈴木 64年前?
荒木 そうなんですよ。シリーズ1作目で、ドナルド・サザーランドが演じていた独裁者コリオレーナス・スノーの少年の時代を描ということなんです。これなかなか、ゲームが上手く組み込んであって、面白いってパターンなんですが、話題なのが、イギリス出身の俳優トム・ブライスが若き日のスノー役をやってるんですけど、話題なのが、「ウエスト・サイド・ストーリー」のマリア役を演じたレイチェル・ゼグラーがルーシーを演じます。W主演みたいなもんですよね。で、歌が素晴らしい!とにかく音楽が!あのウエストサイド物語での歌声がよみがえります。とっても綺麗な声で。彼女の歌だけ聞きに行ってもいいぐらいの価値があります。
鈴木 最近の荒木さんて褒めるよね!
荒木 ああそうですね、けなすやつは取り上げないことにしてるんで。あはははは。
鈴木 あはははは。さすがだなー。
荒木 ということで、今日も映画の中から1曲聴いていただきますけど、ほんとほのぼのするような、惚れ惚れするようなそういう曲ですので、聴いていただきます。ま、中身ご紹介しないで申し訳ないんですが、「ハンガーゲーム ゼロ」という作品の紹介でした。ということで、今年はおしまいになりますけど。お見苦しい点、いやお聞き苦しい点多々ありましたけど…。
鈴木 いやいや荒木節が満載で楽しいですよ。毎回。
荒木 一人でしゃべってて申し訳ないんですけど、老人のひとりしゃべりだと思って聞いてください。お説教だと思って。
鈴木 あはははは。でも来年も素敵な映画たくさんご紹介してください。
荒木 はい、頑張りたいと思います。
鈴木 じゃ荒木さん、良いお年を…ですね。
荒木 そうですね。来年は1月1日からですね。
鈴木 いきなり、元日からこれですから。
荒木 一年の計は元旦にありで。
鈴木 確かに。確かにそうですね。
荒木 頑張ってください。DJ冥利につきますよ。
鈴木 確かに!仰る通りでございます。良いお年を。
荒木 みなさんも良いお年を。
■荒木久文(あらき・ひさふみ)1952年生まれ。長野県出身。早稲田大学卒業後、ラジオ関東(現 RFラジオ日本)入社。在職中は編成・制作局を中心に営業局・コンテンツ部などで勤務。元ラジオ日本編成制作局次長。プロデューサー・ディレクターとして、アイドル、J-POP、演歌などの音楽番組を制作。2012年、同社退職後、ラジオ各局で、映画をテーマとした番組に出演。評論家・映画コメンテイターとして新聞・WEBなどの映画紹介・映画評などを担当。報知映画賞選考委員、日本映画ペンクラブ所属。
■鈴木ダイ(すずき・だい)1966年9月1日生まれ。千葉県出身。日本大学芸術学部演劇学科卒。1991年、ボストン大学留学。1993年 パイオニアLDC株式会社(現:ジェネオン・ユニバーサル)入社 し洋楽宣伝プロモーターとして勤務 。1997年 パーソナリティの登竜門であるJ-WAVE主催のオーディション合格 。
現在は、ラジオパーソナリティとして活躍するほか、ラジオ・テレビスポット、CMのナレーション、トークショー司会やMCなど、幅広く活躍。 古今東西ジャンルにこだわらないポピュラー・ミュージックへの傾倒ぶり&造詣の深さ、硬軟交ぜた独特なトーク、そしてその魅力的な声には定評がある。