報知映画賞と「ナイトフラワー」のとっておき情報

(2025年12月14日9:00)

映画評論家・荒木久文氏が報知映画賞と「ナイトフラワー」のとっておき情報を紹介した。トークの内容はFM Fuji「Bumpy」(月曜午後3時、12月8日放送)の映画コーナー「アラキンのムービー・ワンダーランド」でパーソナリティ・鈴木ダイを相手に話したものです。

鈴木      よろしくお願いします。

荒木      今日は、先週12月2日に発表になった報知映画賞についてお話しします。 解禁日の関係で1週間後になっちゃったんで申し訳ないんですけど。報知映画賞は50回を迎える新聞社系の伝統ある賞、この番組でもおりにふれてお話してますので、おわかりかと思うんですが、11月いっぱい一般投票が行われてその後各種10作品、10人ほどに絞られるノミネート会議があり、その後選考委員による選考会で決定となるということです。 委員は、私はじめ見城徹さん、幻冬舎の社長とか、サイバーエージェント社長の藤田晋さん。タレントのYOUさんとか8人ぐらいいるのかな。そこに報知から加わって11名なんですけどね。

鈴木      大変なメンツですね、名前聞くだけでも。

荒木      いやもうね、みんなね(笑)。みんな一生懸命見るんですよ。ほとんどもう目を真っ赤にして、昨日観ました見ましたなんていう人もいますよ。

鈴木      映画ファンなんですよ、やっぱみんな。

荒木      そうなんですよね。好きですよね、基本的には。 選考会議では11票の過半数を獲得した作品が受賞となるんですけど。1回目で過半数を取らなければ決選投票なんです。結果的に言うと決選投票はなかったです。

鈴木      じゃあ、もう圧倒的に同じですか。

荒木      そうなんですよ。今年は想像が容易ですけど、日本映画でと言えば、もう『国宝』しかないんですよ。

鈴木      荒木さん 最初から言ってたもんね。

荒木      そう。最初見た時から私はもう『国宝』だと思ってました。

鈴木      そう。

荒木      各部門発表します。まず、邦画部門作品賞『国宝』、満場一致。 監督賞部門『国宝』、満場一致。主演男優賞だけ他の男優さんも入ったんですけど、圧倒的多数で『国宝』の吉沢亮さん。ほぼ満票で3冠ですね。完全制覇。ちょっとこれ外せないもんね。

アラキンのムービー・ワンダーランド/報知映画賞と「ナイトフラワー」のとっておき情報
「国宝」(全国東宝系で上映中)(©吉田修一/朝日進軍出版 ©2025『国宝』製作委員会)

鈴木      外したら、やっぱり業界内でも、ちょっとあの賞は…ってなるぐらいの感覚ですか?

荒木      そうだろうね。逆にこれからも賞、出てきますけど、下手したら全部取るんじゃないかな、作品賞。史上初の。それも考えられると思います。

鈴木      マジで?そんなの今まで過去ないですか?

荒木      ないない。全然ないですよ。

鈴木      すごいな これは!

荒木      そうかも…。動員数1250万人くらい。興行収入173.7億円を超え、実写の映画歴代1位という歴史的快挙を達成しました。

鈴木      その時、我々こういう年齢で生きててよかったですよ。

荒木      そうですよね。同時代に生きられたという記録にも残って記憶にも残る映画ですよね。 助演男優賞は、横浜流星さんとか田中泯さんも候補に入ったんですけど、『爆弾』の佐藤二朗さんが入りました。この映画はこちらでは取り上げられなかったんですけど、「このミステリーがすごい!2023年版」で1位を獲得した小説ですよね。
刑事役で山田裕貴さんが主演で、スズキタゴサクというおっつあんの役で佐藤二朗さん。これも佐藤さんでなかったら出来なかった役ですね
。 主演女優賞は3人が注目されていました。1人目が『おーい、央為』。この番組でも紹介した北斎の娘役の長澤まさみさん。それと11月28日公開の『ナイト・フラワー』の北川景子さん。そして『栄光のバックホーム』の母親役の鈴木京香さんの三つ巴でしたが、1回目の投票で北川さんが初受賞ということです。

鈴木      おめでとうございます。

荒木      さらに助演女優賞。これは比較的混戦でした。柴咲コウさんだとか伊藤沙莉さんの名前もあったんですけど1回目の投票で『ナイトフラワー』の森田望智さん。そして新人賞は先週ご紹介した『栄光のバックホーム』の横田真一郎選手を演じた松谷鷹也さんね。

鈴木      荒木さんからご紹介してもらったお名前や作品名がいっぱい出て楽しいな。すごいな。

荒木      外国映画部門賞。これは激戦でした。『F1/エフワン』とか『教皇選挙』『ワン・バトル・アフター・アナザー』もあがったんですけど、なんと『エミリア・ペレス』。

鈴木      ちょっと意外じゃないですか、そのメンツの中では。

荒木      そう、意外ですよね。変わった映画でしたけど『エミリア・ペレス』が過半数で栄冠獲得ということですね。

鈴木      おめでとうございます。

荒木      そしてアニメ作品賞。対抗馬として出てきたのが『果てしなきスカーレット』だったんですが、これはもう言うまでもなく全世界の興行収入1000億円突破という「劇場版『鬼滅の刃』無限城編 第一章 猗窩座再来」。

鈴木      これしかないでしょう!だってもう。

荒木      猗窩座再来ってことで、ほんとこれしかないということで、ほとんどの賞が決まったという事です。

鈴木      今改めて顔ぶれを伺うと、予想通りというか当然じゃないですかって結果じゃないの?これどうなんすか。

荒木      そうですね。予想通りですよね。番狂わせはなかったです。

鈴木      やっぱりそうですか。プロの皆さんから見ても番狂わせになんなかったってことね。

荒木      もうほとんどがね、11票中8票とかね7票とか。『国宝』は、もっと満票満票みたいなんで来ましたけどね。

鈴木      すごいんだな『国宝』。凄い映画だな。

荒木      今後のスケジュールとしては、ベスト映画だとか映画賞のシーズンに入ってて、今度は日刊スポーツ映画賞とかブルーリボン賞がね出てくるんですけど。で、日本アカデミー賞に続くんですが、下手したら全て『国宝』。漏れないかもしれないね。

鈴木      『国宝』の他、選ぶのはどうなのっていうプレッシャーが、逆にもう出てきちゃっても。

荒木      出てきちゃうでしょうね。だから勇気出して他の作品選べないみたいな流れになってるかもしれないですね。

鈴木      バイアスかかるっていうのも、またちょっといろいろあるね。

荒木      あとね、「スクリーン誌」とか「キネマ旬報」で今年のベスト映画っていうのも出てきますので、こちらの方も注目だと思います。

鈴木      『国宝』がアメリカの方のアカデミー賞にとか、ってどういう感じなんか、どうですか。

荒木      そうですね、最後の5本ノミネートぐらいには残るんじゃないかなと思うんですけど、どうでしょうね?ちょっと微妙なとこじゃないかと僕自身は思ってるんですけどね。

鈴木      なんでですか。扱う題材が海外の人から見ると…とかって感じですか?

荒木      「歌舞伎」、オリエンタルで珍しいと思うんですけど、今それだけじゃだめなんですよね。社会問題だとか政治とか、意識の高い系がちゃんと入ってるかどうかっていうところで選ぶ傾向が多いん。、日本の歌舞伎の美しさだけでは、ちょっと無理なんじゃないかなっていうふうにも考えられます。

鈴木      荒木さんの面白い貴重な意見を伺えて楽しい。なるほど、そうかそういうことね。なるほど。

荒木      それでは、11月28日に公開されたばかりなのに今回、主演女優賞と助演女優賞取っちゃったという『ナイトフラワー』というのはどういう作品なのか、ご紹介します。 監督は、「ミッドナイトスワン」などでこれまでも報知映画賞でも作品賞などを取ってます内田英二監督です。この人のオリジナル脚本です。ストーリーです。夏希さん。これはもちろん北川景子さん。彼女は借⾦取りに追われ⼆⼈の幼い⼦供を抱えて、おそらく関西方面から東京へ逃げてきています。

アラキンのムービー・ワンダーランド/報知映画賞と「ナイトフラワー」のとっておき情報
「ナイトフラワー」(11月28日(金)全国公開)(配給:松竹)(©2025「ナイトフラワー」製作委員会)

鈴木      おそらく(笑)。

荒木      関西弁使ってますから。

鈴木      じゃあ間違いないね。

荒木      夏希さんは、昼は零細企業で文房具などを作る仕事をして、夜は地元のスナックで必死に働いているのですが、貧しさから抜け出せないんです。 明⽇の⾷物にさえ困る⽣活を送っています。ある⽇彼女は夜の街で、偶然、ドラック、薬の密売現場に遭遇しちゃうんです。それがたいそう儲かることを知って、生きるために子供たちのためにドラッグの売人になることを決意するんです。
そんな夏希の前に現れたのが心に深い傷を抱えてる女子総合格闘技の選手です。 多摩恵さんといいます。森田望智さんがやってます。危険なドラッグの売り買いの時の警察や反社会派勢力から守るために、ボディーガードをかって出てくれるんですね。 薬の取引が上手くいくにつれて収入をもっともっと増やそうと、さらに危険な取引に⼿を伸ばしていくんですね。ところが、売買相手だったある⼥⼦⼤⽣の死をきっかけに、ふたりの運命が想定しなかった方向へと動き出していくというストーリーなんです。  綺麗な若い母親がドロドロになりながら子供を守って必死で生きていくっていうね。 去年、やっぱりね美人女優の石原さとみさんが、子供が行方不明になってしまった母親の役をドロドロになって演じてたの思い出しますね。

鈴木      荒木さんご紹介してましたもんね。

荒木      それ主演女優賞でしたよね。

鈴木      はい。

荒木      今回、シングルマザーとしての苦しみの現状と生きづらさをリアリティ溢れた演技でね。あんまりこの北川景子さんってそういうイメージないからね。

鈴木      ないですよね。

荒木      そうなんだよね。美人だしね。それにしても映画見てるとこんな美人場末の安スナックにいるはずないだろと違和感あります。どうしてもね、社会の最底辺にいてきつい生活を送っている美人って考えられないよね、あんまり。

鈴木      確かに、何か社会が何かもっと他の舞台を用意しそうです。

荒木      そうですよね。キムタクのタクシー運転手と同じだよね。

鈴木      そうそう、そういうことです。あんまりないですよね。

荒木      多分、その辺の違和感を言ってしまうと身も蓋もなくて、全てひっくり返してしまうことになりますので、あえて言いませんっていうか、もう言っちゃったんですけど(笑)。

鈴木      映画だからちゃんと。

荒木      映画だかね(笑)。それに比べると助演女優賞を取った森田望智さんはですね、森田望智さんわかりますよね。

鈴木      わかります。

荒木      本来のかわいいほんわかキャラ。これが、はじめ映画に登場しててきた時、顔なんかも全く違ってて、クラッシュギャルズの長与千種かと思いました。

鈴木      長与千種(笑)。ちょっとわかる(笑)。

荒木      10キロ近く体重増やしてるの。顔の雰囲気も変わってて技も凄いんですよ。ハイキックもそうだし絞め技なんかも凄いんです。言葉も少なめでぶっきらぼうでまさに格闘技の選手ですね。

鈴木      なんか昔ね、ロバート・デ・ニーロが、記事かなんかで、僕読んだことあるんだけど、役作りで痩せるのはなんてことないんだと。ただ10キロとか20キロ太ることはもうめちゃくちゃ難しいことで。

荒木      そうなんだ、私なんかはすぐ太るけど。

鈴木      だってさ、食べても食べても食べても10キロって、太らないよ、そんな簡単に。

荒木      10キロはね。しかもその上、身体を動かさなきゃいけないからね。

鈴木      それちょっと半端ないよ。

荒木      すごい努力したらしいですね。そして田中麗奈さんも出てるんです。 彼女、登場シーンこそ少ないけどキーになる役で、何を見ているのかわからない目がちょっと不気味で、今までにない役をやってました。それから子役が達者です。バイオリンが上手い子の設定なんですが、バイオリンめちゃくちゃ上手いし演技もしっかりしてるし。注目です。でね、この映画の結末が、いろんな論議を呼ぶような結末です。本当は喋っちゃいけないんですけど、内田さんてこういう感じなんですよね。その辺は見ていただくしかないんですが母親の愛と葛藤とか、子供たちの未来を守るという、そのために危険な選択をしなきゃいけないというのを描いてるんですね。 この内田監督のシリーズ、ナイトシリーズです。前回「ミッドナイトスワン」ね。

鈴木      「ミッドナイトスワン」、ナイトか。なるほど。

荒木      今回『ナイトフラワー』でしょ。次もナイトがつくらしいですけどね。三部作で。ちなみに『ナイトフラワー』っていうのは今回の場合、月下美人というサボテンの仲間です。花言葉が儚い美とか、艶やかな美人とか。夜に咲いて朝までにしぼんじゃうってやつ。

鈴木      なるほどなるほど。

荒木      ということで『ナイトフラワー』、ご紹介しましたけれど。公開したばっかりなのに主演女優賞と助演女優賞をかっさらって行ってしまいました。

鈴木      ありがとうございました。

アラキンのムービー・ワンダーランド/報知映画賞と「ナイトフラワー」のとっておき情報
(映画トークで盛り上がった荒木氏㊧と鈴木氏)

■荒木久文(あらき・ひさふみ)1952年生まれ。長野県出身。早稲田大学卒業後、ラジオ関東(現 RFラジオ日本)入社。在職中は編成・制作局を中心に営業局・コンテンツ部などで勤務。元ラジオ日本編成制作局次長。プロデューサー・ディレクターとして、アイドル、J-POP、演歌などの音楽番組を制作。2012年、同社退職後、ラジオ各局で、映画をテーマとした番組に出演。評論家・映画コメンテイターとして新聞・WEBなどの映画紹介・映画評などを担当。報知映画賞選考委員、日本映画ペンクラブ所属。

■鈴木ダイ(すずき・だい)1966年9月1日生まれ。千葉県出身。日本大学芸術学部演劇学科卒。1991年、ボストン大学留学。1993年 パイオニアLDC株式会社(現:ジェネオン・ユニバーサル)入社 し洋楽宣伝プロモーターとして勤務 。1997年 パーソナリティの登竜門であるJ-WAVE主催のオーディション合格 。
現在は、ラジオパーソナリティとして活躍するほか、ラジオ・テレビスポット、CMのナレーション、トークショー司会やMCなど、幅広く活躍。 古今東西ジャンルにこだわらないポピュラー・ミュージックへの傾倒ぶり&造詣の深さ、硬軟交ぜた独特なトーク、そしてその魅力的な声には定評がある。

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