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映 画

「君の顔では泣けない」「TOKYOタクシー」「プリンス:サイン・オブ・ザ・タイムズ」のとっておき情報
(2025年11月23日8:30)
映画評論家・荒木久文氏が「君の顔では泣けない」「TOKYOタクシー」「プリンス:サイン・オブ・ザ・タイムズ」のとっておき情報を紹介した。トークの内容はFM Fuji「Bumpy」(月曜午後3時、11月17日放送)の映画コーナー「アラキンのムービー・ワンダーランド」でパーソナリティ・鈴木ダイを相手に話したものです。
鈴木 よろしくお願いします。
荒木 はいこんにちは。11月の中旬にもなって寒いのにね、街には短いスカートで歩く女の子、生足で歩く女の子いますよね。
鈴木 いますよね(笑)。突然どうしたんですか?
荒木 かっこいいなと思って。ああやって注目されるのもいいなと思ってます。
鈴木 荒木さんは、タイツ無いと無理でしょう?
荒木 そうね。でも一体どんな感じなんですかね?冬の生足ミニスカート。
寒いどころか痛いんじゃないかって思います。
鈴木 全然わかりません(笑)。ノーアイディアですそんなこと。
荒木 我々は一生味わえないです。味わおうと思ったら逮捕されますから。
鈴木 夏の短パンぐらいです、私は。
荒木 ですよね。私がこんなこと言うと何言ってんだ、このじじいは、という声が聞こえるようですが、何の意味もなくこんなこと言ってるわけじゃありません。
鈴木 でしょうね。
荒木 これはですね、心と体がお互いに入れ替わらない限り男の人が、今言ったように女の人でなければわからない感覚、肌感覚もそうだけど…例えば、そうですね、出産のときの苦しみとかも味わえないよね。ひいては社会的な男女の地位の格差なんかも、頭の中で考えられても自分のものとしては認識できないよね。
そういうことを言いたかったの。
鈴木 そういうことで、そういう振りなわけね。
荒木 はい(笑)。今回トップの映画のご紹介が『君の顔では泣けない』という、11月14日から公開の作品の紹介に関わることなんです。

鈴木 なるほど、わかりました(笑)。
荒木 この映画はいわゆる男女入れ替えストーリーなんです。男女入れ替わりっていうと有名なのが「転校生」ですよね。ダイちゃんは見てますよね。
鈴木 「転校生」は僕、珍しくその辺りじゃないかな、見ましたね。
荒木 そうでしょ。こういうのはね、男の体に女の心。女の体に男の心が入っちゃうという入れ替わりものなんですが、その「転校生」を始めとして日本にたくさんありますよね。「君の名は」なんかもそうでしたね。海外にも沢山あります。
例えばそうですね、「ホットチェック」なんていうのは、女子高校生と中年の強盗が入れ替わったりします。
鈴木 うわぁ~。
荒木 こういう映画の特徴は、入れ替わった2人があるきっかけで元に戻って、2人の成長を確認するというのが定番ですよね。元に戻るからこそ今言ったように相互理解というかね、わかんなかった部分をわかって、お互いに尊重するという。元に戻るからね。だけど、これ入れ替わりがずっと続いて元に戻らなかったらどうなるのという…。
鈴木 それあんまり嬉しくないんでしょうね。結構ね。
荒木 そんな映画はね今までなかったんですけど、今日ご紹介するこの『君の顔では泣けない』はまさにそういう映画なんです。男女の入れ替わりで元に戻らないパターンです。とりあえずストーリーね。
鈴木 とりあえずお願いします(笑)。
荒木 2人は高校1年生15歳。陸くんと愛美ちゃんです。プールに落ちたことがきっかけで互いの心と体が入れ替わっちゃうんです。お決まりのちょっと体に対するお互いの戸惑いや苦しさを改善して,いつか元に戻るんじゃないかと信じて、入れ替わったこと自体を周りに秘密にしてます。
鈴木 言わないんだ、やっぱり。
荒木 やっぱり言わないですよ。そして 仕様がないからお互いの家に住み始めて、入れ替わった環境に適応しようとするんです。親なんか信じてもらえないですからね。誰にも伝えず。2人はこういう生活の中でも対照的なんですよ。男の陸くんになった女の愛美ちゃんは彼の家族にもすぐ慣れて、陸として見かけ上はそつなくいけるんです。比較的適応力高いんですよ。
鈴木 意外に楽しんでるのかな?男を。
荒木 そうね、たくさんの女の子と交際して、勝手に陸の体で彼の童貞を卒業させちゃったりして。
鈴木 いやいやさすがだね。なるほどなるほど。
荒木 ところが元々男の子の陸くんは、うまく女性の愛美ちゃんになりきれないんですね。男の子に告白されても断り続けたり、そんな入れ替わり生活がうまくいかないんです。そういう中でどんどん時が流れて高校を卒業して、ふたりとも大学を卒業するんですが、いつ元の体に戻ってもいいように連絡は取ってるんです。希望は捨ててないんですけど、ひょっとしたらもう元に戻らないんではないだろうか…という疑問も持ち始めるんです。これから元の自分として生きることを諦めて、新たな人生を歩むべきかという、そういう疑問になっちゃうわけですよ。そりゃそうだよね。
鈴木 そりゃあ,そうですけど(笑)。
荒木 恋愛、就職、結婚、出産。それから親との別れとかね。15年続くわけです。そして15年が経過した、30歳の時の夏に、愛美ちゃんが「元に戻る方法がわかったかも」と陸に告げます。さて、どうなるのか,いうストーリーなんですね。
鈴木 ねぇ…っていわれても(笑)、最後はどうなるんだろう。
荒木 最後 楽しみだよね。どうなるかは、もう映画見ていただかなければわからないんですけど。君島哉太さんっていう人の小説を映画化。愛美さん役は芳根京子さんです。陸くん役はキンプリの髙橋海人くん。さっき言ったようにこの作品が入れ替わるものと違うのは15年もそのままという。15歳から30歳までの。
鈴木 長いなー。だって、人生15歳になったら30歳の半分じゃないですか。
荒木 30歳で入れ替わりが終わったかどうかは、映画見た人しかわからないですけどね。
鈴木 えっ!じゃあ戻ってないんじゃない。
荒木 いやあ、それはどうですかね?あんまり映画に描かれない.ですが、愛美になった陸ちゃんは、女の子の体や人生をどう扱っていいかわかんないですよね。15歳ですよ。
鈴木 しかも、そのティーンエイジャーから30までって、一番ちょっと…。
荒木 不安定な時期でもありますよね。自分を捨てて他人になりすますことなんですよ、これは。そういう意味では自分を殺すという意味で難しいですよ。演技も当然難しいですよね。
鈴木 周りから見たら何も変わってないんだもんね。
荒木 そういうことです。ふたりの若い時は、西川愛莉ちゃんと武市尚士くんっていう子供たちが高校生を演じますけど、この人たちも上手いです。そのふたりでいる時と、それから社会の中にいる時の演技の差とかね。例えば、芳根さんはただただ男っぽく演じてればいいわけじゃないわけですよ。ちょっと女の子が入ったりしなきゃいけないとことかあるわけで。
鈴木 なるほど、そういう微妙なところもあるもんね、人って。
荒木 あるんですよ。で、芳根京子ちゃんすごい注目ですよ、今回。この人キャリア長いしいろんな映画に出てますが、失礼ながら演技に関してはそう目立つ人じゃなかったですけど。
鈴木 今回、来た!?
荒木 今回、来たですよ。
鈴木 あらららら~。
荒木 さっき言ったように、いろんなシュチュエーションでも微妙な強弱つけた演技が素晴らしいです。これ代表作になると思うんです、彼女の。いろいろ考えさせられる入れ替えものです。『君の顔では泣けない』という、11月14日からの公開です。
鈴木 自分の顔でしか泣けないんだな人は…。
荒木 上手いこと言うね。
鈴木 逆に貼り付けただけですから(笑)。
荒木 2本目ですね。21日から公開の『TOKYOタクシー』っていう映画です。
倍賞千恵子さん主演で木村拓哉さんが共演し、メガホンをとったのが、なんと94歳御年、日本の名匠山田洋次監督です。

鈴木 うわーっ94歳になられてるのか。
荒木 でもバリバリですね。既に話題になってるので、もう皆さんよく知ってると思いますが一応ストーリーね。
タクシー運転手の宇佐美浩二さん。いうまでもなく木村拓哉さんです。毎日休みなく一生懸命働いてるんですが、日々の暮らしは楽になりません。厳しいですよね。娘の入学金や車検代とか家の更新料など次々とのしかかる現実に頭悩まされてます。
そんなある日、彼のもとに85歳のマダムすみれさん、倍賞千恵子さんです。
彼女を、東京葛飾の柴又から神奈川葉山にある高齢者施設まで、タクシーで送って欲しいという依頼が舞い込みます。葛飾に迎えに行き葉山までのロングドライブが始まります。最初は互いに無愛想で話もしなかったふたりですが、次第に彼に心を許し始めたすみれさんは「東京が見納めになっちゃうのでいろんなとこ寄ってみたい」と寄り道を依頼するんですね。東京のいろんなところを巡りながらすみれさんは自分の壮絶な過去を語り始めるという、たった1日のタクシーのふたりの旅が、やがてふたりの心の旅と人生を大きく動かすってことになるという話です。
鈴木 もう、ここの段階で名作のいい感じがします。
荒木 原作は22年にフランスで公開(日本は23年公開)の「パリタクシー」というクリスチャン・カリオン監督の作品なんです。これは舞台がパリで、主人公のタクシー運転手はシャルルさんっていう人。92歳のマドレーヌさんをパリの反対側まで送る話なんですね。こちらの運転手シャルルくんは、本当に本当に貧相な中年男で、貧乏で、見てくれも木村くんとは比べならないですが(笑)。
鈴木 いかにもって感じなんだね(笑)。
荒木 そう。それ以外はほぼほぼ原作通りです。もちろん、いろんな部分は日本に置き換えてますけど。タクシーの中の会話劇が中心になるんですが、
すみれさんの若い時を演じるのは蒼井優さんです。原作が描く人間ドラマのエッセンスをしっかり酌み取って、そこに山田さんの持ち味、感動、小さな感動といういい作品に仕上がってると思います。
鈴木 もう なんか、荒木さんの推しがなくてもいい作品なんだろうなってわかるね。
荒木 だから、見比べてみるのもいいですね。
鈴木 なるほど。楽しみですね。
荒木 『TOKYOタクシー』、21日から公開です。
最後は、音楽関連映画。今日は懐かしいです。「プリンス」。
鈴木 プリンス!大好きです!
荒木 プリンスって、知ってる人いるのかな? もう今の若い人は。
鈴木 ちょっと!ちょっと!音楽聴いてる方は、プリンス知ってますよ。
荒木 知ってますよね。1978年デビューですね。独自のカリスマ性がありましたよね。亡くなっちゃったけどロック界を牽引したプリンス。これは、1987年のアルバム「サイン・オブ・ザ・タイムズ」ですね。
鈴木 プリンスの中じゃおそらく一番の名盤ですよ、これ。
荒木 このリリースに併せて行ったオランダの講演を中心にミネソタにある彼の所有のペイズリーパークスタジオで行われたライブの模様も収録しているということです。今回ね、IMAXシアターで公開されてます。凄いですよ。日本では1989年にもう公開されてるんですが、本回はHDリマスターで25年ぶりに劇場公開なんですね。
鈴木 やっぱり、画質の粒子もすごく綺麗になってるんでしょうね。
荒木 凄いいいっていう風に言われてますね。ちょっとごめんなさい、私まだ見てないです。これからなんすけど。ただね、このプリンス。20日までの公開ですから、ファン方はお見逃しないように。
鈴木 短いな…ちょっとな。
荒木 そうなんですよ。14日、2週間限定かな。ということで、プリンスの『サイン・オブ・ザ・タイムズ』をご紹介しました。
鈴木 これ『サイン・オブ・ザ・タイムズ』、87年じゃないですか。その前年はね、86年「パレード」っていうこれまた名盤出してて。この『サイン・オブ・ザ・タイムズ』、その翌年の88年は裸のジャケットで有名だった「ラブセクシー」っていう。
荒木 あれがそうか~。
鈴木 で、これ86年87年88年って、僕ちょうど大学1年2年3年で多感な音楽青年だった時だから、めっちゃハマったんですよプリンス。
荒木 そうですか~! 本当に曲数も多いし。
鈴木 音源全部買ったら、俺いくらなんですかっていうぐらいですよ。未発表曲ある方ですからね(笑)。ありがとうございました。

■荒木久文(あらき・ひさふみ)1952年生まれ。長野県出身。早稲田大学卒業後、ラジオ関東(現 RFラジオ日本)入社。在職中は編成・制作局を中心に営業局・コンテンツ部などで勤務。元ラジオ日本編成制作局次長。プロデューサー・ディレクターとして、アイドル、J-POP、演歌などの音楽番組を制作。2012年、同社退職後、ラジオ各局で、映画をテーマとした番組に出演。評論家・映画コメンテイターとして新聞・WEBなどの映画紹介・映画評などを担当。報知映画賞選考委員、日本映画ペンクラブ所属。
■鈴木ダイ(すずき・だい)1966年9月1日生まれ。千葉県出身。日本大学芸術学部演劇学科卒。1991年、ボストン大学留学。1993年 パイオニアLDC株式会社(現:ジェネオン・ユニバーサル)入社 し洋楽宣伝プロモーターとして勤務 。1997年 パーソナリティの登竜門であるJ-WAVE主催のオーディション合格 。
現在は、ラジオパーソナリティとして活躍するほか、ラジオ・テレビスポット、CMのナレーション、トークショー司会やMCなど、幅広く活躍。 古今東西ジャンルにこだわらないポピュラー・ミュージックへの傾倒ぶり&造詣の深さ、硬軟交ぜた独特なトーク、そしてその魅力的な声には定評がある。