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映画
2023年日本映画ペンクラブ賞 荒井晴彦氏 日本映画1位「PERFECT DAYS」 外国映画1位「TAR/ター」
(2024年2月11日21:30)
映画評論家、翻訳家、監督など映画関係者で構成する日本映画ペンクラブ(渡辺祥子・代表幹事)は11日、2023年日本映画ペンクラブ賞に脚本家・映画監督・「映画芸術」編集長の荒井晴彦氏(76)を選出したことを公式サイトで発表した。功労賞には映画プロデューサーの角谷優氏(85)、特別賞に女優の片桐はいり(61)が選ばれた。また日本映画ベスト1位に「PERFECT DAYS」、外国映画1位に「TAR/ター」、文化映画1位は「国葬の日」、「妖怪の孫」(同票)が選ばれた。
■日本映画ペンクラブ賞 荒井晴彦氏(脚本・映画監督・編集者)
「もどり川」「赫い髪の女」「Wの悲劇」などの脚本、「身も心も」「火口のふたり」「花腐し」などの監督としての活動に並行し 1989年以来、映画専門誌「映画芸術」を業界や体制に与する事なく編集・発行人として今日まで続けてきている業績に対して。
荒井氏は若松プロで助監督を務め、1977年に日活ロマンポルノで脚本家デビュー。「赫い髪の女」(80年)、「もどり川」(83年)、「Wの悲劇」(84)、「ヴァイブレータ」(03年)、「大鹿村騒動記」(11年)をはじめ数多くの名作・話題作の脚本を担当。「身も心も」(97年)で監督デビュー。「火口のふたり」(19年)で第93回キネマ旬報ベストテン1位に選ばれた。23年には「福田村事件」(井上淳一氏、佐伯俊道氏と共同脚本)、「花腐し」(監督・脚本)が公開された。日本映画大学教授も務める。
脚本家、映画監督と並行して、映画雑誌「映画芸術」を小川徹氏から引き継いで現在も季刊雑誌として発行。「紹介風のレビュー記事やSNS等とは本質的に異なる映画専門雑誌として業界や体制に夜することなく、孤高を貫く『映画芸術』は映画批評の最後の砦ともいうべき存在」(選評から)などと評価された。
■日本映画ペンクラブ賞 「功労賞」 角谷優氏(映画プロデューサー)
学生時代から名画座で働き始め、フジテレビのアナウンサー時代には「テレビ名画座」で解説を担当。1969年には「御用金」「人斬り」で初のテレビ局製作劇場映画の現場に立って、映画会社との、折衝、契約、宣伝などの実務をこなす。その後「ゴールデン洋画劇場」の枠を創設、「キタキツネ物語」(視聴率44.7%)など、映画の放送で高視聴率記録を輩出させた。以降「南極物語」「ビルマの竪琴」「小猫物語」「梟の城」など、数多くの映画をプロデュースしてヒットさせる。「南極物語」公開40周年にあたり、その人生を通じての「映画愛」に敬意を表して。
■日本映画ペンクラブ賞 「特別賞」 片桐はいりさん(女優)
「かもめ食堂」「キネマの神様」「アイスクリームフィーバー」などでお馴染みの女優片桐はいりさんは、出自を「映画館出身」と語る。かつてエッセイ集「もぎりよ今夜も有難う」で映画愛が語られている。大学卒業後「ブリキの自発団」で活動しながら、銀座文化(現・シネスイッチ銀座)でもぎりのアルバイトをしていた。有名になった現在も映画館応援企画ショートムービー「もぎりさん」Part1&2を持って全国の映画館を回り、もぎり&トークイベントなどを開催している。女優の傍ら、地元の映画館キネカ大森でもボランティアスタッフとして働いているそのブレない功績に対して。
授賞式は3月19日午後6時から、東京・銀座のコートヤード・マリオット銀座東武ホテルで開催される予定。
■2023年度 日本映画ペンクラブ会員選出ベスト
【日本映画】
1位 「PERFECT DAYS」(ヴィム・ヴェンダース監督)
2位 「福田村事件」(森達也監督)
3位 「怪物」(是枝裕和監督)
4位 「ゴジラ-0.1 」(山崎貴監督)
4位 「花腐し」(荒井晴彦監督)(同票)
6位 「月」(石井裕也監督)
6位 「ほかげ」(塚本晋也監督)(同票)
8位 「君たちはどう生きるか」(宮崎駿監督)
9位 「エゴイスト」(松永大司監督)
10位 「BAD LANDS バッド・ランズ」(原田眞人監督)
【外国映画】
1位 「TAR/ター」(トッド・フィールド監督)
2位 「枯れ葉」(アキ・カウリスマキ監督)
3位 「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」(マーティン・スコセッシ監督)
4位 「バビロン」(デイミアン・チャゼル監督)
5位 「別れる決心」(パク・チャヌク監督)
6位 「エンパイア・オブ・ライト」(サム・メンデス監督)
7位 「ウーマン・トーキング 私たちの選択」(サラ・ポーリー監督)
7位 「フェイブルマンズ」(スティーヴン・スピルバーグ監督)(同票)
9位 「パリタクシー」(クリスチャン・カリオン監督)
10位 「イニシェリン島の精霊」(マーティン・マクドナー監督)
【文化映画】
1位 「国葬の日」(大島新監督)
1位 「妖怪の孫」(内山雄人監督)(同票)
3位 「ハマのドン」(松原文枝監督)
4位 「キャメラを持った男たち―関東大震災を撮る―」(井上実監督)
5位 「1%の風景」(吉田夕日監督)