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映 画

「佐藤さんと佐藤さん」「栄光のバックホーム」のとっておき情報
(2025年12月7日8:30)
映画評論家・荒木久文氏が「佐藤さんと佐藤さん」「栄光のバックホーム」のとっておき情報を紹介した。トークの内容はFM Fuji「Bumpy」(月曜午後3時、12月1日放送)の映画コーナー「アラキンのムービー・ワンダーランド」でパーソナリティ・鈴木ダイを相手に話したものです。
鈴木 よろしくお願いします。
荒木 本日 映画の日、映画に関する情報を流してくれて、いい曲やってましたね。
鈴木 いやあ、ちょっとね、いろいろ考えてあんまりマイナーでもしょうがないので王道のいい曲を流しました。
荒木 ありがとうございます。もう改めて鈴木さん、感謝しております。
鈴木 あはははは。
荒木 はい!スズキさんこんにちはということで、苗字の話なんですけど鈴木さんという名字はとても多い名字で、全国第170万人いると言われてますね。
鈴木 170万分の1が私ね?じゃあ。
荒木 そうですね。1位は佐藤さんですね。183万人。だから、佐藤、鈴木、高橋なんかね、この同じ苗字の人たち同士が結婚したりすると女の人も苗字が変わらなくって、選択的夫婦別姓なんて関係ないよっていうみたいなことなるんだ。
鈴木 じゃあ、俺、次は鈴木さん探そう。
荒木 そうだよ。
鈴木 そうだよ、じゃなくて…。
荒木 ごめんごめん(笑)。離婚しても姓が変わらないし便利だよね。そういえば 昔、面白い結婚式に出ました。新郎鈴木さん。新婦鈴木さん。司会鈴木さん。新郎側の上司の挨拶が鈴木さん。という「鈴木ウエディング」。
鈴木 揃えたのかな?
荒木 揃えたんじゃないの、ウケ狙いで(笑)。鈴木でおなか一杯になりましたね。
鈴木 そんなに多いってことですよね。
荒木 ですね。そんな話はさておき今日ご紹介する作品は現在公開中の『佐藤さんと佐藤さん』。

鈴木 なるほど、そういうことね。
荒木 そういう事です。佐藤さんという日本一多い苗字の人たちのお話なんです。
ストーリーです。同じ大学に通い始めたふたり。女の子がダンス好きでアウトドア派の佐藤サチさん。岸井ゆきのさんが演じています。男の子、正義感が強く真面目なインドア派の佐藤タモツ君。こちらは宮沢氷魚さん。性格は正反対なのになぜか気が合うこの2人の佐藤さん。出会いからほどなくして交際をスタートさせます。しばらくして一緒に暮らしはじめます。同棲を始めて5年。大学を卒業してタモツくんは弁護士を目指して司法試験を受けますが失敗して、その後何年も何年も不合格が続いています。それでも諦めず挑戦を続けたいというタモツを応援するサチさんは、ひとりぽっちで頑張るのも大変だろうと、彼をなんとか助けようと一緒に勉強を始めます。
彼女が勉強し始めて一年目、二人は司法試験をうけますが、なんとダメでもともとのお試しで受けたサチさんだけが司法試験に合格しちゃいます。
鈴木 なんてストーリー…。
荒木 タモツ君はまたダメ…。サチさんは、申し訳ない気持ちになるんですね。タモツくんは、プライドを深く傷つけられます。
鈴木 そうでしょうね。
荒木 そんな時、サチさんが妊娠するんです。でふたりは結婚することになります。
鈴木 めくるめく展開…。
荒木 そうでしょう。そして、サチさんは出産後すぐに弁護士として働きはじめるんです。一方、タモツくんは司法浪人で、塾講師のアルバイトをしながら赤ん坊の世話とかね。 当然、司法試験の勉強に集中できません。そうした生活を送る中、育児に対する考え方とかで対立し始め喧嘩が多くなります。バランスが微妙に崩れはじめるんです。さあ、ふたりはどうなるの?というお話です。岸井ゆきのさんと宮沢氷魚さん、初共演です。
鈴木 初共演なんだ?
荒木 そうなんですよ。ふたりのカップルが15年の軌跡を綴ったドラマなんですが面白かったですね。男女で感想が変わりそうですけどね。だから見ている人にとってはちょっとヒリヒリするほどリアルな物語もあると思いますよ。
鈴木 ヒリヒリする…、あはははは。
荒木 いや、プライド傷つけられたり、家事をやらされたりそういうのってあるでしょ。
鈴木 だって、私ほら前の嫁さんが同じ仕事してたんでしょ、荒木さんご存知のように。やっぱり、なかなか難しいんですよ、いろいろ。
荒木 難しいよね。わかっちゃってるとね。
鈴木 そうそう。
荒木 見終わって、あれこれたくさん、多分いろいろ出てくると思いますよ。
結婚と離婚がキーポイントになってるんです。互いに気づかないうちに、じわじわと傷つけるっていうのはあるよね、生活の中に。
鈴木 あり過ぎ。
荒木 あんまり、こんなこと深くえぐるとダイちゃんかわいそうかと思って。
鈴木 いやーえぐって欲しいです。
荒木 あはははは。多分ね、実際の若い夫婦関係でもよく起きてると思うんです。自分では普通と思ってることが、相手にはちょっと普通でなかったり。
うちみたいに結婚40何年経つと、もうお互いを容赦なく傷つけあいますから、平気で。
鈴木 最高(笑)。そうなりたいなあ。
荒木 これでもかこれでもかですよ。もう言葉の限りを尽くして。
鈴木 それでもくたばらずに仲いいわけでしょ。
荒木 しょうがないんだ、もう。どうなるわけ? 離婚するわけにいかないし。
鈴木 心から愛してるくせに。奥様のことを。
荒木 よく言いますよ。あとは、現在の社会状況とのギャップね。なんだかんだ言っても男の役割、女の役割ってまだ残ってるよね。
鈴木 そんなありますよ、日本は。
荒木 特に結婚しちゃうと、両親の考えでは奥さんが働いてて父親が育児してると、ちょっと複雑な関係になるわけだから、そういう部分がね浮き彫りになったりして、ちょっとはっとさせられます。
鈴木 なんか…。
荒木 ちょっと考えさせられますよね(笑)。これ、天野千尋監督という女性が作ったんですけど。この監督さん注目です。前にもちょっと面白い「ミセス・ノイズィ」っていう作品を作ったんですけど、細かいところにこだわって作ってて、いいところに目をつけてます。
鈴木 天野監督ですか。
荒木 はい、いろんな本質問題が織り込まれてて、ちょっと面白い作品でした。『佐藤さんと佐藤さん』っていうタイトルでご紹介でした。
鈴木 ヒリヒリさせていただきます、こうなったら。
荒木 ヒリヒリするよね(笑)。 2本目。TVで大宣伝してるのでもう多分知ってる人多いと思いますが『栄光のバックホーム』というこれも現在公開中です。まあちょっと、浮世の義理で聞いてください。

鈴木 はい。
荒木 今年セ・リーグ、日本のプロ野球ね、阪神めちゃくちゃ強くて日本一になるんじゃないかと思ってたんですけど、惜しくも負けちゃいましたけどね。
鈴木 そこが勝負ですよ、やっぱりね。
荒木 そうですよね。横田慎太郎って名前を知ってたら、野球ファンか阪神ファンかね。そんな阪神タイガースに、実際に籍を置いた選手の実話を映画化したものです。
鈴木 もうなんか、もう泣けるの間違いないなってわかりますよ。
荒木 彼は、名門鹿実ですよね。鹿児島実業高等学校。エースで4番。2013年のドラフトで2位指名受けたんです、阪神から。24背番号、当時18歳。入団しました。
まあね、負けず嫌いとちょっと愛されキャラみたいな、とってもかわいい感じの顔をしているんですね。2016年の開幕戦では一軍のスタメンに抜てき、初ヒットを記録ですね。
鈴木 素晴らしいんですね。
荒木 素晴らしいんですよ。ところがですね、その順風満帆だと思われて野球人生、ボールが二重に見えるという事態が彼の人生を狂わせることになります。脳腫瘍だったんですね。21歳、過酷な診断ですよね。それでも、横田慎太郎はですね、多くの人に支えられながら病と闘います。手術するんですよ。本当に苦しみながらリハビリに耐えたりするんですけど、もうプロ野球は続けられないということで引退を決意するんです。2019年9月に引退試合。これ異例なんですけど。そのゲームで横田選手は奇跡のバックホームを披露します。ボールが二重にしか見えないのに取ってホームに投げる。アウトにするという。
鈴木 もう泣ける感じ。
荒木 スタジアムは感動に包まれるんです。ところが、彼の人生はそこで終わりではなくて本当に苦しい戦いはそれから始まったというそういう話です。
『栄光のバックホーム』という本と、彼自身が書いた『奇跡のバックホーム』を原作として秋山純監督という人が撮りました。脳腫瘍って再発しやすいんですよね。
鈴木 昔、広島にいた津田投手もそうじゃなかったでしたっけ。
荒木 亡くなっちゃったね、そうかもしれない。
鈴木 多分そうですよね。
荒木 でもね、一生懸命リハビリする彼に阪神球団は人情味溢れてますね。見捨てないんですよね。
鈴木 さすが大阪というか、阪神ですよ、それ!
荒木 周りの人もそうですけど、家族の優しさもあって彼は頑張るんですけどね。で、横田選手を演じた松谷鷹也くんっていうのは、実際に生前に横田くんと親交があったそうなんです。彼の父親がプロ野球選手っていうことで共通点もあって上手いですよ、
野球が。遠投もすごいしバッティングもね。本当に本物の横田さんにちょっと重なるように見えるんですね。
鈴木 役作りも何もなくて、地でやれているんだね。
荒木 そうそうトレーニングやって、すぐもうプレーできる。元々、映画スタッフしてた人なんですが役者に起用されて。雰囲気もよく似てます。原作となっている本を書いた彼のお母さんの役が鈴木京香さん。
鈴木 なるほど。
荒木 本当に泣き崩れ、病が発覚してから子供を思う姿、心打たれます。それから面白いのは、豪華俳優陣いっぱい出ています。大御所ベテラン俳優。例えば掛布さんを、古田新太さん。金本前監督はですね、加藤雅也さん。
鈴木 なんかなるほど。
荒木 平田勝男監督は大森南朋さん。そして面白いのは、代打の神様、男・川藤、これが柄本明さん。
鈴木 ちょっとわかる。
荒木 川藤だよね。
鈴木 あのボケた感じがまた柄本さん、いい感じだよね。
荒木 でもね、ご愛敬なのは全くちっとも似てない。気持ちいいぐらい似てないですね。
鈴木 それ、まっちゃんがものまねでやった方が似てんじゃないですか。それ掛布から何から全部。
荒木 全部ひとりでいいんだよね(笑)。ベタな手法だけど泣けると評判です。タイガースファン、みんな泣いてました。おっさん。
鈴木 そりゃそうでしょう。
荒木 エンドロールは実写版で、ちゃんと横田くんのプレーが見られますので、それも含めてね。横田さんのかつての登場曲が、ゆずの「栄光の架け橋」だったんです。
2023年の7月に横田選手亡くなるんですけど、その年の9月に阪神タイガースがリーグ優勝を決めた試合の9回の表に、横田さんと同期の岩崎優投手が、自身の登場曲をこの「栄光の架橋」に変えて登板するんです。
鈴木 やめてくれ、泣くね、これ。
荒木 その時、甲子園に集まった観客約4万人が横田さんを想い、大合唱したことは有名な出来事です。現在公開中の『栄光のバックホーム』。
もちろん「栄光の架橋」はこの映画の主題歌にもなっています。 ということで、今日は2本ご紹介してしました。
鈴木 映画の日に、何かまた感動する映画をありがとうございました。
荒木 1本目の『佐藤さんと佐藤さん』も面白いです。映画の日ですから、少し安くなるのかな今日は…と思います。
鈴木 じゃあ、みなさん是非行ってください。ありがとうございました。

■荒木久文(あらき・ひさふみ)1952年生まれ。長野県出身。早稲田大学卒業後、ラジオ関東(現 RFラジオ日本)入社。在職中は編成・制作局を中心に営業局・コンテンツ部などで勤務。元ラジオ日本編成制作局次長。プロデューサー・ディレクターとして、アイドル、J-POP、演歌などの音楽番組を制作。2012年、同社退職後、ラジオ各局で、映画をテーマとした番組に出演。評論家・映画コメンテイターとして新聞・WEBなどの映画紹介・映画評などを担当。報知映画賞選考委員、日本映画ペンクラブ所属。
■鈴木ダイ(すずき・だい)1966年9月1日生まれ。千葉県出身。日本大学芸術学部演劇学科卒。1991年、ボストン大学留学。1993年 パイオニアLDC株式会社(現:ジェネオン・ユニバーサル)入社 し洋楽宣伝プロモーターとして勤務 。1997年 パーソナリティの登竜門であるJ-WAVE主催のオーディション合格 。
現在は、ラジオパーソナリティとして活躍するほか、ラジオ・テレビスポット、CMのナレーション、トークショー司会やMCなど、幅広く活躍。 古今東西ジャンルにこだわらないポピュラー・ミュージックへの傾倒ぶり&造詣の深さ、硬軟交ぜた独特なトーク、そしてその魅力的な声には定評がある。