「宝島」「ザ・フー キッズ・アー・オールライト」「レッド・ツェッペリン:ビカミング」のとっておき情報

(2025年9月29日20:30)

映画評論家・荒木久文氏が「宝島」「ザ・フー キッズ・アー・オールライト」「レッド・ツェッペリン:ビカミング」のとっておき情報を紹介した。トークの内容はFM Fuji「Bumpy」(月曜午後3時、9月22日放送)の映画コーナー「アラキンのムービー・ワンダーランド」でパーソナリティ・鈴木ダイを相手に話したものです。

鈴木      よろしくお願いします。

荒木      今日は宝島の話です。「宝島」と言うと、作家スティーヴンソンの冒険小説ありましたよね。小学校の時読んだよね…。 鈴木      そう読みましたね。

荒木      今日の宝島はこれじゃなくて、映画「宝島」。この映画は太平洋戦争後の「沖縄がアメリカだった時代」の沖縄の青春と歴史の物語です。いったい何が宝島だったのでしょう?ということで。ダイちゃん、沖縄へ行ったことは?


「宝島」「ザ・フー キッズ・アー・オールライト」「レッド・ツェッペリン:ビカミング」
「宝島」(公式サイトから)

鈴木      沖縄は相当 行ってますよね。10回から15回ぐらいは。

荒木      いろんなところに行ったと思うんですが、後でそれもちょっと聞きたいと思うんですが。この映画、舞台は1952年。70年以上前の沖縄がアメリカに占領当時されていた時代の話なんですね。戦争で貧しい暮らしにならざるをえない中、沖縄には若者たちの泥棒集団がいたんです。彼らは、戦果アギヤーと呼ばれたんです。

鈴木      せんかあぎゃー?

荒木      そう、戦果アギャー。「戦果を挙げる者」という意味なんです。 彼らは駐留アメリカ軍の基地に忍び込んでそこから食料なんかを奪って、それを住民に分け与えるというロビンフッドみたいな、義賊みたいなの盗賊だったんです。 本当にあったらしいですよ。
この映画での主要メンバーは4人です。リーダーで英雄的な存在の一番年上のオンくん、これは永山瑛太さんがやってます。2人目 オンの幼馴染みです。グスク君。妻夫木聡さん。彼が主演になるのかな。そして、女の子のメンバーでオンの恋人のヤマコちゃん。広瀬すずさんがやっています。4人目は一番若くて命知らず。オンの弟のレイ君。窪田正孝さんが演じます。彼らはいつも絶妙なチームワークで見事に物資を奪って行ったんですが、アメリカ軍も馬鹿じゃない、ある日待ち伏せするんですね。でチームはズタズタにされます。
で、バラバラに逃げるんですね。その中 リーダーのオン君はですね、ある予定外の意外な戦果を手に入れて、その日から消息を絶ってしまいます。 それから20年後、オンは相変わらず行方不明なんですけども、妻夫木さんのグスク君は刑事になって、広瀬すずさんのヤマコは小学校の先生。そして窪田君はヤクザと、それぞれの道を歩むんですね。

鈴木      それぞれ過ぎますね。みなさんちょっと(笑)。

荒木      そうだよね。3人ともアメリカ支配の沖縄でね、やり場のない怒りみたいなのを募らせてね。ある事件をきっかけにその感情が爆発することになるというものなんですけども。消えた英雄オン君が手にした“予定外の戦果”とは何だったのか?  20年の歳月を経て明かされるんですねー。というお話です。

鈴木      というお話ね。

荒木      はい。当時の沖縄の生き様とか青春の生き様とかですね、それから沖縄の歴史の歴史的事実をベースにしてるんですよ。だから沖縄の戦後を描いた大作。 当時の沖縄を限りなくリアルに再現してます。原作は真藤順丈さんの小説で、上下巻ある直木賞受賞作品です。 監督は、大友啓史さんです。あのNHK出身で「るろうに剣心」なんかを作っています。

鈴木      はいはい。

荒木      この映画、大変だったようですよ。

鈴木      何が大変?

荒木      コロナのために中断。スタートから6年で完成。

鈴木      間にコロナ禍、挟んでるだね。

荒木      それで何より戦後の沖縄の再現力を注いでいて、日本では珍しい大規模なロケを43ヶ所。100日を超える撮影にさっき言ったような素晴らしいうれっ子俳優さんたちを拘束するわけですよね。総製作費25億円ですって。

鈴木      えーっ!!かなり、邦画にしちゃ金かけてるじゃないですか。

荒木      めちゃくちゃかけてます。エキストラも5000人以上でアメリカのクラシックカーなんかも50台壊したりしてますからね。そして3時間ですよ。3時間10分くらい。

鈴木      長い。長いな。

荒木      とにかくね、もう圧倒的な熱量というかエネルギーを感じますよ。 私も原作本を読んでたんですけども、映画化は無理だろうなと思ったんですけどね。 有名なコザの暴動シーンなんかもあるんですけど、これ半端ないですよ。 ダイちゃんも沖縄にたくさん行ったことあるのですが、沖縄の戦争の遺跡とかはご覧になったことがありますか。

鈴木      クリフっていうか、あの崖ですよね。飛び降りたところ。

荒木      「バンザイクリフ」とか。

鈴木      あの辺りはちょっと行きましたけど、なんかちょっとやっぱり心が重くなりますね。

荒木      重くなりますよね。沖縄は戦争当時地上戦が唯一先の戦争で行われたところで、4分の1が巻き込まれたと言われていますよね。

鈴木      アメリカ軍上陸したんですから、だって。

荒木      そうなんですよね。72年に本土復帰したんですが映画では、史実に基づいた、つまりアメリカ軍の飛行機が学校に起こったり米兵の犯罪とかコザの暴動とか、それから返還運動とか、みんな本当のことを描いてるんです、ベースに。

鈴木      あんまり脚色してなくて意外にリアルってことですよね。

荒木      そうですね、その部分はそのまま描いています。まあね、青春物語の方はフィクションなんですけども、沖縄っていうのは、ちょっと考えてみれば日本の戦後、それから戦中も通じて厄介事だとか面倒なこととか、マイナス部分みんな押し付けられてたんですよ。

鈴木      そうですよ。軍の基地だって全部そうじゃないですか。

荒木      そうなんですよ、今もね。僕も個人的にそう思います。今だって基地の問題でいろいろごちゃごちゃしてる。ところが最近は昔、沖縄はアメリカだったんだよ。 自動車は右側通行してたし、お金はドルだったんだよって言っても、えーっとか…。

鈴木      知らない人たくさんいますよ。

荒木      そうなんですよ。

鈴木      パスポートとかって、えっ?何でって言いますもん。

荒木      学校で教わらない?と聞くと、日本史は昭和の初期で全部終わりですなんて言われました。ま、僕らの時もそうだったよね。なんかもう詰まっちゃって大変だったりとか。でも 一番大切ですよね、日本の近代史、特に戦後。その中で一番激動の中にあったのが沖縄ということですね。

鈴木      本当にそうだと思いますよ。

荒木      長いんですけど、沖縄の怒りや希望や悲しみがこのスクリーンからほとばしるように出てきます。長さは感じません。

鈴木      そういう悲しみと対比するように、行ってみると美しい砂浜が青いんですよ。美しすぎて怖いんですよね。

荒木      美しすぎて怖いって言葉がぴったりですね。この奥に隠れた歴史みたいなのを感じちゃいますね。ということで私達が戦って守るもの、大切にする宝物、それは一体何なのかというね、時代によって違いますけどね。

鈴木      なるほど。だから宝島なんだ。

荒木      そんな感じがしました。9月19日公開の『宝島』でした。 さて、今月シリーズでお送りしています音楽関連映画。

鈴木      沖縄から今度音楽関係に戻りますね。

荒木      前にも言いましたけど、今週金曜日が音楽映画の公開ラッシュなんですよ。そのうち今日は2本紹介します。両方とも音楽ドキュメンタリーです。

鈴木      うん、うん。

荒木      1本は『ザ・フー キッズ・アー・オールライト』。ザ・フーの全盛期を描いた作品です。デビューから代表曲それからライブパフォーマンスを中心にプロモーションフィルムやインタビュー映像。特に伝説的なドラマのキース・ムーン。


「宝島」「ザ・フー キッズ・アー・オールライト」「レッド・ツェッペリン:ビカミング」
「ザ・フー キッズ・アー・オールライト」(9 月 26 日(金)より角川シネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMA、吉祥寺 UPLINK 他ロードショー中)(©Who Group Ltd)(配給:オンリー・ハーツ)

鈴木      はい、ドラムね。

荒木      亡くなる3ヶ月前のパフォーマンスも収録されてるんです。

鈴木      ヘロヘロだったっていうからね、もう間際は。

荒木      もう60年ですよね、デビューしてから。ほとんどの曲作ってるピート・タウンゼントが80歳なんですよ。この映画はイギリスではキース・ムーン死後の79年、彼らのアルバム「四重人格」を原作とした「さらば青春の光」と同時公開されたんですよ。日本ではそれは「さらば青春の光」だけで、おそらく未公開だったんですね。 一緒に公開されたのにそれがようやく、今年日本全国劇場初公開ということになります。

鈴木      だいぶタイムラグありますね、本国とはちょっと。

荒木      本当ありますよね。日本に関しては1977年のキルバーンのコンサート、「ザ・フー ライヴ・アット・キルバーン1977」というタイトルで先月かな、公開されてます。ということで、ダイちゃん本職なんで曲紹介お願いします。

鈴木      「ザ・フー」の名曲沢山あるんですが、トミー以降と以前で分かれますけど、ちょっと初期から中期に移るぐらいの、ポップな魅力が満載の曲を1曲お送りしたいと思います。ザ・フーで「恋のピンチ・ヒッター substitute」。

  ~♫~

荒木      ということで、2本目いきます。ツェッペリンです。イギリスを代表するロックグループふたつということで、『レッド・ツェッペリン:ビカミング』。 これは、ダイちゃん見ていただいたんだよね?感想を一言どうぞ…。


「宝島」「ザ・フー キッズ・アー・オールライト」「レッド・ツェッペリン:ビカミング」
「レッド・ツェッペリン:ビカミング」(9月26日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほかIMAX同時公開中)(©2025 PARADISE PICTURES LTD.)

鈴木      いわゆるセカンドアルバム「レッド・ツェッペリンⅡ」までの流れなんですけども。いかにもゼップが大きくなっていく、まさしくビカミングな途中を我々が知ることができる。でね、曲をね、結構フル完走してくれんですよ。これがね、またライブを見ている感じになるっていうね!

荒木      演奏シーン、部分的でなく丸ごとやりますよね。

鈴木      この没入感がたまらなかったですね。

荒木      当時のライブをリアルタイムで見たような感じになりますよね。

鈴木      本当そうですね。

荒木      他にも、貴重なアーカイブ素材がたくさんありますし、オリジナルメンバーが自らバンドの歴史を語っていましたね。

鈴木      だから今歳を取って渋くなった3人が、ジョンボーナムのことに思いを寄せるっていうね。

荒木      渋すぎるというかね(笑)。だからジョンボーナムに関してはインタビュー映像が存在しなくて、生前の音声だけなんですけどでも。

鈴木      あの音声も、何か初公開って出てましたよね。

荒木      ダイちゃんもこの前も言ってたけど、3人が本当にジョンボーナム好きだったんだねということで。

鈴木      すごいのがビートルズ以上の結束があったんだなっていうのがわかりますね、あの4人は。

荒木      そうですね。本人たちですね初めて目にするという、初期の貴重なライブ映像もあるんですよね。

鈴木      ジミー・ペイジは、自分の映像見て、うんうんとうなずいてました。 モニター見ながらうなずいてましたからね(笑)。

荒木      そんな感じの、貴重な映像を盛り込んだ作品ですよね。

鈴木      本当にそう思います。

荒木      『レッド・ツェッペリン:ビカミング』という、こういう音楽映画はね、やっぱりね劇場で見て欲しいですよね。

鈴木      そう!でかいスクリーンと良い音でやっぱ聴いて欲しいと思います、これはね。

荒木      そうですよね。そんな感じがする音楽映画関連映画でした。

鈴木      荒木さん的に、これ比較出来ないけど、ゼップとフーってどっちが好きですか。

荒木      うーん 両方好きだけど、ツェッペリンでしょうかね。

鈴木      大体みんな、ツェッペリンの方が好き。日本人はツェッペリンの方が好きなのかもしれないですね。

荒木      ダイちゃんはどうなの。

鈴木      僕はあんまり言えない…。言えないまま、ビートルズかストーンズにしときます(笑)。

荒木      はい了解です。ということでよろしくお願いします。

鈴木      ありがとうございます。

アラキンのムービー・ワンダーランド/「宝島」「ザ・フー キッズ・アー・オールライト」「レッド・ツェッペリン:ビカミング」のとっておき情報報
(映画トークで盛り上がった荒木氏㊨と鈴木氏)

■荒木久文(あらき・ひさふみ)1952年生まれ。長野県出身。早稲田大学卒業後、ラジオ関東(現 RFラジオ日本)入社。在職中は編成・制作局を中心に営業局・コンテンツ部などで勤務。元ラジオ日本編成制作局次長。プロデューサー・ディレクターとして、アイドル、J-POP、演歌などの音楽番組を制作。2012年、同社退職後、ラジオ各局で、映画をテーマとした番組に出演。評論家・映画コメンテイターとして新聞・WEBなどの映画紹介・映画評などを担当。報知映画賞選考委員、日本映画ペンクラブ所属。

■鈴木ダイ(すずき・だい)1966年9月1日生まれ。千葉県出身。日本大学芸術学部演劇学科卒。1991年、ボストン大学留学。1993年 パイオニアLDC株式会社(現:ジェネオン・ユニバーサル)入社 し洋楽宣伝プロモーターとして勤務 。1997年 パーソナリティの登竜門であるJ-WAVE主催のオーディション合格 。
現在は、ラジオパーソナリティとして活躍するほか、ラジオ・テレビスポット、CMのナレーション、トークショー司会やMCなど、幅広く活躍。 古今東西ジャンルにこだわらないポピュラー・ミュージックへの傾倒ぶり&造詣の深さ、硬軟交ぜた独特なトーク、そしてその魅力的な声には定評がある。

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