2月のおすすめ映画 文化放送「上地由真のワンダーユーマン」推薦

(2023年2月13日10:30)

文化放送「上地由真のワンダーユーマン」(月曜午後9時30分)でパーソナリティ―の上地由真と映画ソムリエの東紗友美さん、映画評論家の荒木久文さんの3人が2月のおすすめ映画を紹介して見どころを解説した。同番組では毎週テーマを設け“由真的”テイストで進行。毎月第1週目は「今月のシネマログ」と題し、その月に公開される話題の映画作品を上地由真と映画の専門家2人が紹介する。今回は2月6日の放送で「別れる決心」「バビロン」「FALL/フォール」が紹介された。

上地    上地由真のワンダーユーマン!今週もよろしくお願いします。 今日は月に一度の映画をフューチャーする回、題して「今月のシネマログ」。映画ソムリエの「さゆみん」こと東紗友美さん、映画評論家の荒木久文さんとお届けします。 よろしくお願いします!

荒木・東  よろしくお願いします!

上地    今日はアカデミー賞ノミネート作品についてお話していただけるんですよね?

東     そうです。もうすぐ、3月12日に開催される第95回アカデミー賞授賞式があるんですけど、少し前に候補作品が発表になりました!毎年とっても楽しみな時期ですよね~。 やっぱり最注目なのは今年のハリウッド映画、公開された映画の頂点、作品賞は何かというところ…。みんな気になっていると思うんですけど、一旦ノミネートされた作品をちょっと読み上げたいと思います。
まず「西部戦線異状なし」。これNetflix本年度のいちおしでドイツ語の戦争映画になっています。1931年にアカデミー作品賞を受賞した映画のリメイクで現代の技術で戦争の残酷さとかを改めて伝えた非常に恐ろしい映画になっています。
そして「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」。これは日本でも昨年12月に公開された2009年度に公開した当時最も売れた映画の続編です。最強の映像美が話題の作品です。 そして「イニシェリン島の精霊」。こちらも今、日本で観られます。おじさん達のけんかのお話です。ごめんなさい、雑になったかな?途中(笑)どんどんいきますね。
そして「エルヴィス」ですね。オースティン・バトラーは主演男優賞にもノミネートされています。そして「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」この作品も作品賞にかなり近いと言われているんですけども、独創性がダントツのA24のSFドラマになります。続いて「フェイブルマンズ」。これ、スピルバーグが自分で撮っちゃった伝記映画です。自分のことを自分で描きました。でもすごくいい映画になっています。
続いて「TAR/ター」。これ、作家性ではトップなんじゃないかなと言われている「リトル・チルドレン」という素晴らしい秀作が昔あったんですけど、そのトッド・フィールド監督の16年ぶりの新作になって今回作品賞にノミネートされました。そして、「トップガン マーヴェリック」これはね、去年の5月に日本でも公開されて大変世界的にヒットしましたが、これも作品賞にノミネートされました。はい、続きましては「逆転のトライアングル」という作品です。これ、カンヌ国際映画祭のパルムドールを受賞した作品です。トイレ掃除をお仕事にされているおばさんとトップインフルエンサーの地位が船の転覆によって逆転していくちょっと面白いルッキズムとかも勉強出来るような面白い作品になっています。
そして最後は「ウーマン・トーキング 私たちの選択」という作品で、これサラ・ポーリーという女性に人気の女性監督がメガホンを取った作品で、ブラッド・ピットが主演の一人に入っています。そんな感じで10作品、今年も楽しみなんですけど。 荒木さん、注目はあります?

荒木    はい。えっと注目はですね、たくさんあるんですが…エブエブ!(「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」の略称)すごい!10部門11ノミネートを獲得しているんですよね。続いてイニシェリン島(「イニシェリン島の精霊」)が8部門9ノミネートとなっているんですが、混戦ですね。どれが獲るかわかりません。ただ今回の特長としては大型エンターテイメントが入っていますね。配信ものがちょっと少ない。ヒットした上に質も良いという作品を入れてきたかなっていうような気もしますよね。だけどもう混迷、わかりません。

上地    アカデミー賞、注目していきたいと思います!2月公開の作品の中から、私、上地由真とさゆみん、そして荒木さんの三人が「これはおすすめ!」と思った作品をご紹介していきます。それでは早速さゆみんからお願いします。

2月のおすすめ映画 文化放送「上地由真のワンダーユーマン」推薦
「別れる決心」(2月17日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー)(配給:ハピネットファントム・スタジオ)(© 2022 CJ ENM Co., Ltd., MOHO FILM. ALL RIGHTS RESERVED)

東     はい、私がご紹介するのは2月17日から公開の「別れる決心」です。 ある男性が山頂から転落死した事件を追う刑事ヘジュンは、転落死した男の妻であるミステリアスな女性ソレに疑いの目を向けます。しかし彼女と接するうちに、いつしかヘジュンはソレに惹かれ、ソレもまたヘジュンに特別な感情を抱くようになります。次第に距離を縮めていく2人…。そんな中、捜査の糸口が見つかり、事件は解決したかのように見えたのですが…というお話なんですけども。これはね、もう絶対言わなきゃいけないのが、韓国のパク・チャヌク監督の作品ということです。彼は「パラサイト 半地下の家族」のポン・ジュノさんと同様に世界で常に大注目されている、新作が待ち望まれている監督さんなんですけども。例えば「オールド・ボーイ」ですとか「渇き」ですとか「お嬢さん」ですとか、そういったどちらかというと1対1の強い個と個の関係性を描く天才かなと私は思っているんですけど。名作がたくさんあります。パク・チャヌク監督って特長があって、やっぱりエログロなんですよ。エロいかグロいか。有名なのが復讐3部作と言われている作品がパク・チャヌク監督にはあって「復讐者に憐れみを」「オールド・ボーイ」「親切なクムジャさん」という3作品をまとめて言っているんですけど。この3シリーズとかは流血シーンが多すぎてまるでカメラを血で塗っているんじゃないかって言われちゃっていたような作品だったりもするんです。そして「お嬢さん」とかもこれも日本でもヒットしたんですけども、これはとにかく終始ドエロいR指定の入った作品だったんですが…。
そんなパク・チャヌク監督、今回撮っちゃったのは純愛映画。エロもグロも一切無いのに、この作品、恋愛映画としても犯罪映画としても一級品の作品になっているんですけど。 何もしないのに今度はエロいっていう新境地。ただただ2人を見ているだけでなんか悶々としているような気分になってくるような作品になっていて、私はすごく新鮮だなと思っていて。ラブシーン、一切ないんですよね、今回。刑事と容疑者という立場になっているんですけど、例えば一切ラブシーンを描かないのに初めての警察署での面会のシーンとかデートみたいに見えたりするんですよ。そうなんですよ。なんか向かい合って喋っているシーンとかが。お寿司食べながら語ったりですとか。あとはね、もう一切そういうシーンは無いのにも関わらず、使ったのがハンドクリームとかリップクリームを使ってエロスを見せるんです。やっぱりパク・チャヌクが撮ったらそういうラブシーンが無くてもやっぱりエロティックで。んかこの映像に引き込まれてしまうなっていう作品で。私はのめり込んでしまったんですけど。刑事と容疑者って突飛な設定で身近にない話に思いきや、結局はお互い「俺のこと、どう思ってるんだろう?」「私のこと、どう思ってるんだろう?」っていう恋愛映画でもあるので、そこって普遍的にみんなが感情移入出来るポイントで。意外と感情移入出来ちゃった作品だなっていうのも私はすごく意外だったんです。 2部構成で出来ていて、その2部構成の中でも二転三転するのがすごく面白くて、最後まで面白く拝見させていただき、またパク・チャヌクが好きになったんですけど。荒木さん、上地さんいかがですか?

上地    私、もう前情報が全く無しで観たんですけど、パク・チャヌク監督だからやっぱエログロがくるのかなと思いきや、求めている自分もいたんですけど、観た瞬間「あれ?なんか全然違うなあ・・・」って思って。まあ正直1回じゃ、結構私は理解が追い付かない部分とかもたくさんあったんですけど。でも本当にさゆみんが言っているように、終始そういうシーンがないけれども、なんかエロさとかジメっと感が空気感に出ているような、なんかちょっと湿度を感じるような、そしてずっと気持ち悪いというか(笑)何だろうな…。

荒木    不安定?

上地    不安定っていうか…そんな感じがありましたね。

荒木    そうですよね、座りが悪いんですよね。まあ非常に奇妙な映画ですよね、言ってみればね。ひと言で言えば。まあ「別れる決心」というのも不思議なタイトルですよね。刑事サスペンスとは思わないんですけど、話がどこに転がっていくのかわからないっていうのと。

東     1幕と2幕っていう構成をね、わかるまでに「あれ?」って感じですよね。

荒木    そうですよね。それとこの2人の主役。刑事役にはパク・ヘイルさんという役者さん、この人はね『殺人の追憶』とかね、有名な。『グエムル-漢江の怪物-』なんかにも出ていたんですけど。ちょっと穏やかそうな感じで一見刑事っぽくないよね。日本人でいうと、脇役多いんだけど眞島秀和さんとか。NHKの柳澤さんっていたじゃない?あの人とか、まあ佐々木蔵之介さんに似ているなんて感じもありましたけど、そういう感じでちょっと刑事っぽくない人がやっているというのがみそで。もうひとつはですね、被害者の妻で容疑者のソレさんという役、中国人なんですよね。タン・ウェイさんというんですけど、この人はアン・リー監督の、2008年でしたか?「ラスト、コーション」という作品。ご覧になりましたか?

東     はい、もちろん観ています。

荒木    これはね、中国の若い女スパイの物語なんですけども、色仕掛けで情報を出す、っていう役だったんですけど。

東     由真さんに見てほしい。「ラスト、コーション」は私が今まで観た映画の中で最もエロい。

荒木    当時彼女、30(歳)ぐらいだったと思うんですけど、トニー・レオンともうすごい、びっくりする。こんなにエロでいいの?っていう、凄まじいセックスシーンでしたね。

東     そのキャスティングも肩透かしでしたね。「タン・ウェイが出ている!どんなエロいの?」って思ったら…。

荒木    思うと、もう裸出さない。さっき東さんが言ったように触れ合わない。抑えることでエロさを出しているんですね。

上地    そういう見方もあったのか~。

東     今まで一番エロティックに到達しちゃった感じですよね。(笑)

荒木    タン・ウェイさんはね、本当に綺麗で。ちょっと暗い感じですけど、若い時はWinkの相田さんみたいな感じでしたね。相田翔子。

上地    あ~、そんな雰囲気ありますね。

荒木    とっても綺麗な人なんだよね。そういう意味ではもう徹底的に抑えることで逆に一番セクシーな映画に仕上げたという。パク・チャヌク監督の才能に私もびっくりしました。 東     私がご紹介したのは2月17日から公開の「別れる決心」でした。 上地    続いては、荒木さんのおすすめ作品です。

2月のおすすめ映画 文化放送「上地由真のワンダーユーマン」推薦
「バビロン」(2月10日(金)から全国公開中)(配給:東和ピクチャーズ) (©2023Paramount Pictures, All Rights Reserved.)

荒木    私はですね、2月10日公開の「バビロン」という映画ですね。「ラ・ラ・ランド」のディミアン・チャゼル監督の大作です。
1920年から1930年にかけてのハリウッドの黄金時代。当時はサイレント時代なんですけどね。無声映画の時代です。これが音の出る映画の時代に移りゆく、そのあたりを描いたハリウッドについての映画なんですね。バビロンっていうのは聖書にも出てくる古代の都市のことなんですね、バビロニアという国の首都。狂乱というか、まあ退廃的な文化に満ち満ちているわけですよ。今で言えば不道徳とか神をも恐れぬとか。クレイジーっていうね、ゴージャスとか、そういう感じですよね。だから浮かれて騒いでめちゃくちゃという意味、そういう意味が込められているタイトルなんですけど、当時のハリウッドをこういうふうに表しているんですよね。1920年代ハリウッド、当時は砂漠の中の田舎町だったんですけども、映画産業が発達して巨大都市になっちゃうわけなんですよ、10年ぐらいで。それでお金が世界中からぼんぼん入ってくると、みんな成金で。もうどんどん映画作って拡大再生産している。ちょうど日本のバブルみたいな、あんな感じ。あれよりも何十倍も強いような感じだったんですけども。この映画の前提にはそんな背景があるわけなんですね。 それで由真さんはまだ観てないんだよね?

上地    私、まだ観てないんです。

荒木    はい。主な出演者、3人います。1人目。ブラッド・ピット。 ジャックという役ですね。当時の、サイレント時代の一番のスター、大スター。 2人目がマーゴット・ロビー。この人は新人女優さんというか、まだこの時点では女優じゃなくて、後にスターになるというネリー・ラロイという若い女優志望の女性を演じています。3人目がマニー・トレスという青年です。メキシコからの移民なんですね。この人は映画の製作に関わりたいと思っていたんですが、日雇いみたいなことをやっていて、パーティーに潜り込みたいネリーをパーティーに入れてあげて、それで運目的な出会いをするわけなんですね。 この人が3人を結びつけるネジみたいな形になるわけですね。
二枚目のジャックという人はですね、当時の有名俳優ですね、大スター、ジョン・ギルバートっていう人がメインのモデルになっているのね。そこにルドルフ・ヴァレンチノなんかをあてているわけですね。いかにも典型的な20年代の美男俳優ね。
若いメキシコ移民のマニーはですね、レオ・カルトナという有名な人なんですけども、映画の重要な幹部になる人ですけど、この人がモデル。
マーゴット・ロビーはネリー・ラロイっていうんですけども、「きみ、ちょっと映画に出てみない?」って感じで出されたんですけど、演技させてみたら、なんと天才なんですよ。笑っているのに、「はい、ここで泣いて!」って言われたら、今、楽しそうなのにボロボロボロってすぐ涙が出るの。しかも今度は、「1回ジワーっと涙をためて左目から一筋、涙を出して」って言うとその通り出来るんですよ。驚異的な演技が出来る人なんですよね。実際マーゴット・ロビーやったっていうんだから。(笑)

東     いや~、すごいですよね!

荒木    この人、クララ・ボウという当時のサイレント女優、この女優さんがモデルなんですね。この人、非常に貧しい育ちで両親からは虐待されて、それを思い出すとすぐ泣けるわと言ったらしいですね。それをマーゴット・ロビーが演じている。この3人がですね、1920年代のハリウッドを表現するわけですね。ということで東さんどうでした?

東     先ほどお話にもあったんですけど、1920年代のハリウッドってゴールデンエイジと言われて黄金時代じゃないですか。今の最新の技術であの時代のことってモノクロでしか知ることが出来ない中、カラフルで鮮やかで。大げさでなくてあの時代にタイムスリップした気持ちになれるので、私は本当に感動してあの時代を彼らたちと一緒に生き抜いた感じがしてグッときたんですけど。3時間なんですけど、本当にあっという間の作品で、その3時間の中には映画業界の悲喜こもごもたくさんあって、結局は盛者必衰じゃないですけど栄枯盛衰。その時トップだった人もいずれは新しい人が出てきて下にいくって、それって映画業界以外でもどこの世界でもある話じゃないですか。だから意外と映画からかなり玄人寄りの言葉と世界の作品なんですけど、わりとどの人がどこで働く人が見ても「あるよなあ~」って思いながらね、最後涙を流すんじゃないかなって思いますね。泣けましたね。

荒木    土気色のものが黄金になって、また土気色に戻って黄金になったりとか、ディミアン・チャゼルは本当にね、過剰さだとか悲劇だとか喜劇に見せても観客がカーニバルかサーカスにいるような、こういう体験をしていくような映画にしたかったと言ってますね。これね、3時間何分?

東     189分とかだった思います。

荒木    という映画ですが、飽きません!ぜひ、ぜひ観てください。 ということで私がご紹介したのは2月10日公開の『バビロン』という作品でした。

2月のおすすめ映画 文化放送「上地由真のワンダーユーマン」推薦
「FALL/フォール」(© 2022 FALL MOVIE PRODUCTIONS, INC. ALL RIGHTS RESERVED.)

上地    トリは私、上地由真のおすすめ作品をご紹介します。 私がご紹介するのは現在公開中の「FALL/フォール」です。 地上600メートルの高層鉄塔の上で繰り広げられるサスペンススリラーです。 ちょっと高所恐怖症の人は観ているのが辛いかもというほどスリルがある作品です。
あらすじです。主人公は1年前にフリークライミング中の事故で夫を亡くした女性ベッキー。いまだにショックから立ち直れずお酒に溺れる日々を過ごしていました。 そんなベッキーを元気づけようとクライミング仲間でもある親友のハンターは新たな計画を持ちかけます。最初は乗り気ではなかったベッキーですが、夫の「生きることを恐れるな」という言葉を思い出し、クライミングを決行します。2人が挑戦するのは現在は使用されていない超高層のテレビ塔。老朽化して不安定になった梯子を登り、なんとか地上600メートルの頂上に到達。しかし降りようとした瞬間に梯子は壊れ、2人は鉄塔の先端に取り残されてしまいます。助けを呼ぶことも出来ない地上600メートルの極限状態で2人は生き残ることが出来るのか…というお話です。もう私、高所恐怖症なんですよ。めちゃくちゃ、こんなにじっとしていられない、落ち着かない映画は初めてでした。

荒木・東  アハハハ!

上地    もうね~、これはちょっともう観ていて気絶しそうなぐらい、それぐらい本当にリアリティがあって、自分がもう登っているような感覚に陥って。もうお尻がムズムズムズムズずっと。最後までドキドキ、ヒヤヒヤ、スリリングな映画で。途中から本当、腹が立ってきて、怒りすら覚える。なんで?なんでこんなとこ登ったん?!みたいな。もう元も子もないようなことを、本当に観ながら高所恐怖症の私からしたらすごく辛かったんですけど。どうでしたか?(笑)

東     あの~、これ公開されているトレーラーにも「高所恐怖症の方はお気を付けください。」っていうふうにアナウンスされていて、やはり私自身も高所恐怖症で高い所が苦手なんですよ。でもね、さすがに大丈夫って思いながら取り掛かったんですよ、映画に。本当ね、全部由真さんの感想真似していい?

上地    アッハッハ!いいよー。(笑)

東     もう止まってられない!逃げて逃げて逃げて逃げて目を塞いで。本当にちゃんと恐ろしかったし。いやいや、600メートルいうても、CGやろ?って思いながらもそんなこと関係ない!もうこんな汗かくの?ってくらい真冬にこんな脇汗かくなんて、ってぐらい本当に怖かったです。

上地    わかる。

東     でもこれこそ映画体験だなって。終わった頃に謎の自分も一緒に登って降りたような達成感に近いものがあって。本当ね、あの…すごかったです。(笑)びっくりしました!本当に、言いますよ!ちゃんとめちゃくちゃ怖いです。

上地    だからスリリングを味わいたい人はもうこれ、絶対いいよ。(笑)

東     あとはまあ、怖いのが苦手じゃない人は600メートルからの景色とかは壮大なんですよね。そうなんですよ。まあ楽しむ余裕なんてないんですけど、1回目ですと(笑)荒木さんとかは、高所どうですか?

荒木    私、高い所はパラグライダーやってたりして慣れてはいるんですけど…。

上地・東  そっかー!そうだ~!

荒木    ただ自分でコントロールして飛ぶのと、掴まって見てなきゃいけないっていうのはやっぱり全然恐怖感が全く違いますね。

東     たしかに、似て非なる…怖さですね。

荒木    はい。なすすべ無しというところでの恐怖感って同じですよ。全く違います、600メートルの高さっていったら東京タワーの2倍だよ!

上地    なんでそんなとこ登るの?!

荒木    私なんかはもう30センチの階段を踏み外して死にますからね。

上地    いやもう、荒木さん、即死。もう…。

荒木    即死です(笑)だけどね、観ていると面白いのがツッコミどころもたくさんあるんですよ。なんでこんなね、古い鉄塔に登るの君?ちゃんと調べておかないの?とかね。ところどころ腐っているし。タンクトップにね、スニーカー。

上地・東  本当だよ。怒るよ、もう怒ってるもん、私たち。

荒木    もう600メートルって風も強いしさ、あんなおっぱい半分出しているような格好で登っちゃいけないよね。

上地    いけない!

東     それは映画的になっちゃったんでしょうけどね…セクシーに。(笑)

荒木    ただね、2人が知恵を使うのね。自分の限られている、持っている中から道具で、この打開策をひねり出すっていうアイディア。これは面白いよね。

東     たしかに、ただ登って降りて怖いとかじゃなくて、いろんな「それ使えるの?」みたいなアイテムを駆使してどうにか助かろうとするその過程が面白かったですよね。

荒木    スコット・マンって監督なんですけど、いろいろアイディアマンでこういうの大好きなんですね。だから伏線がたくさん張られていて、それをよく見ると全部、見事に回収されて面白いですよね。それからそこには謎解きとか女同士の友情なんかもあるんですけども。鉄塔には実際のモデルがあって、アメリカ・カリフォルニア州のウォルナット・グローブ市にあるサクラメント・ジョイント・ベンチャー・タワーっていう塔。ベースジャンピングっていって飛び降りたがる命知らずがいるんだよね。

東     えっ…なんで?

荒木    クレーミングというらしいんですけど、本来登るべきところじゃないところを登ることをね。そういう人たちは高い所に登りたがる人いるじゃん。

上地    テレビとかで見ますよね、たまに。ビルを登って警察に捕まったりとか。

荒木    電波塔とか危険らしいんですよ。特にね、本当に出ている電波塔なんかは電磁波が出ているから目だとか、爆発しちゃうような電磁波らしいですよ。だからね、本当に危険です。

東     一生体験しないようなことだと思うので、ぜひ映画でね。(笑)

荒木    はい。まあ教訓としては、危険なことはしない!学習すること!

東     もう本当そう。

荒木    それとお父さんがね、この映画ではいろいろお説教していますけど、父ちゃんの言うことは聞くこと!

東     なるほど!はい!

上地    それに限る!(笑)

荒木    ということでね、リアルでは体験出来ない恐怖とスリルですね、まあこれもさっき東さんが言ったように映画体験なので…。

上地    映画館でね!

荒木    そう、知らないところに連れていってくれるからそれは楽しいですよね。

上地    まあたしかにそうですね。 私がご紹介したのは現在公開中の『FALL/フォール』です。 2月公開の映画作品の中から、それぞれの推しをご紹介しました。ぜひ映画館でチェックしてください。 映画評論家の荒木久文さん、映画ソムリエの東紗友美さん、ありがとうございました。

荒木・東  ありがとうございました。

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荒木久さん、上地由真さん、東紗友美さん(左から)

■上地 由真
オーディションがきっかけで関西を中心に音楽活動開始。2007年シングル「shine day」などをリリース、以降全国各地でライブ活動やイベント参加。最近は女優としても活躍、舞台、映画などのジャンルにも進出。

■東 紗友美
映画ソムリエとしてTV・雑誌・ラジオなどで活動中。趣味は、映画ロケ地巡り。国内外問わず廻り、1年で100箇所以上ロケ地を訪れたことも。インスタグラムでも毎日映画に関する写真やコメントをほぼ毎日掲載中。

■荒木 久文
現在 複数のラジオ番組を中心に、新聞紙面 ニュースWEBなどに映画をテーマとした評論 批評 紹介 などの活動を展開。報知映画賞選考委員 ノミネート委員  日本映画ペンクラブ会員

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