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映画
6月のおすすめ映画 文化放送「上地由真のワンダーユーマン」推薦
(2021年6月17日12:30)
文化放送「上地由真のワンダーユーマン」(月曜午後9時30分)でパーソナリティ―の上地由真と映画ソムリエの「さゆみん」こと東紗友美さん、映画評論家の荒木久文さんの3人が6月のおすすめ映画を紹介して見どころを解説した。同番組では毎週テーマを設け“由真的”テイストで進行。毎月第1週目は「今月のシネマログ」と題し、その月に公開される話題の映画作品を上地由真と映画の専門家2人が紹介する。今回(7日放送)は「1秒先の彼女」「彼女来来」「グリード ファストファッション帝国の真実」の3本が紹介された。

上地 上地由真のワンダーユーマン!今週もよろしくお願いします。
今日は月に一度の映画をフューチャーする回です。題して「今月のシネマログ」。映画ソムリエの「さゆみん」こと東紗友美さん、映画評論家の荒木久文さんとお届けしていきます。よろしくお願いします!
荒木・東 よろしくお願いします!
上地 さて、本日もこちらのコーナーからです。「由真のナニソレ」。私が気になっているコトやモノを紹介していきます。今日はシネマログの回ということで、映画を1本紹介したいと思います。6月で梅雨の季節なので、雨が降っている日に「観て良かったな!」と思った映画をちょっと紹介したいです。『ミッドナイト・イン・パリ』。
東 おーっ!
荒木 ほぉ~。いいですね。ウディ・アレン。
上地 雨の中、散歩するシーンがね、すごく好きなんですけど。
荒木 石畳の道をね。
上地 はい。どういうお話かというと、売れっ子脚本家のギルが大好きなパリを訪れるんですけど、深夜、散歩中に迷子になった彼は不思議な車に誘われるがままについていくと、そこはギルが愛して止まない1920年代のパリで。ヘミングウェイとかピカソなどの偉人たちが普通にいるという夢のような世界に行く話なんですけども、このパリの街がとにかく美しいじゃないですか。そして音楽もいいし、ずっとオシャレ。映画にも出てくるけど、「雨のパリが一番美しい。」と映画でも言っているんですけど、私も初めてパリに行った時、雨が降ってたんですよ。それがもう本当に美しくて素敵だなー、って。この映画を観て思い出しました。水たまりに映るエッフェル塔とかがすごく美しくて!
今、こういうご時世だからどこにも行けないじゃないですか。だからこの映画を観て、パリに行った気分を味わって、雨にぴったりだなと思って。ぜひ雨の日にね。
東 キラキラな映画ですよね。
上地 ね、キラキラ!『ミッドナイト・イン・パリ』観てみてください。
今日は月に一度の映画をフューチャーする回、題して「今月のシネマログ」。6月公開の映画の中から、私、上地由真とさゆみん、そして荒木さんの三人が「これはおすすめ!」と思った作品をご紹介していきます。
それではまず、さゆみんからお願いします。

東 はい。私がご紹介するのは、6月25日から公開予定の『1秒先の彼女』という映画です。
主人公は郵便局で働く仕事も恋も冴えないアラサー女子・シャオチーという女の子です。何をするにもワンテンポ早い彼女は、写真撮影では必ず目をつむってしまったり、映画を観て笑うタイミングも人より早い、ちょっとずれた女の子です。ある日そんな彼女に恋のチャンスが訪れます。街で出会ったハンサムなダンス講師・ウェンセンと、七夕バレンタインにデートの約束をすることになります。しかし彼女がふと目を覚ますと、すでにバレンタインの翌日になっています。消えたバレンタインの「1日」の記憶を取り戻すために奔走するシャオチー。失くした「1日」を探す旅でシャオチーが受け取った思いがけない大切なものとは…という作品なんですけど。あの中華圏のアカデミー賞と言われる金馬奨、これでなんと監督賞、脚本賞、作品賞ですとか諸々含めて5部門受賞した、非常に評価されている作品です。
私これ観たんですけど、どう見てもフォルムは恋愛映画で、設定も恋愛映画っぽいんですけど、観た後に心に残るメッセージというのは人生賛歌みたいな作品になっていて。
例えば何をするにも自分を愛するってことが大事なんだよという、ちょっと今から言うのがお説教みたいだったら、あれなんですけど(笑)本当に素敵な作品で、なんてことないなーとか、くだらないなーとか、つまらないなーと思ってる自分の人生とかも、実は自分以外の誰かを生かすための歯車になってるんだよってことを教えてくれて。だから自分の人生全然悪くないんだよ、っていう結構ちゃんとしたメッセージが恋愛映画の皮を被りながらも道徳的にとってもいい映画で、ちゃんとキュンキュンもするし。いい映画だったんですよ。主人公の女の子も由真さんみたいにめちゃくちゃ明るいんですよ。カラッとした明るい子なの。
荒木 そうですね。
東 本当に嫌みがない…なんて言ったらいいんだろうな、生まれながらずっと明るかったみたいな。明るい女の子なの。
上地 愛おしくなる感じですよね。
東 そうなんですよ。だから見ているだけで、自分の仲良い友達の中で一番明るい子に会った後のような肌感になるというか。ハッピーな映画だったんですけど。
由真さん、荒木さんいかがでしたか?
上地 でも最後ハッピーになりながらも、結構ホロっときました、最後は。こじらせアラサーの私としては共感できる部分も。
荒木 こじらせ(笑)なるほどね。
上地 こじらせ~(笑)でもグッとくる映画でしたね。
荒木 監督がね、チェン・ユーシュン。代表作は『熱帯魚』。20年前からこの作品を温めていたそうなんですね。
東 20年温めてたんですか!
荒木 そう。ちょっとユーモアもあったり、SFっぽかったり、ちょっとシュールレアリズムっぽいところもありますよね。時間が止まっちゃうみたいなところがあって。
東 消えた「1日」を探すっていう設定って…。
荒木 そう、その設定って面白いですよね。しかも消えた「1日」がバレンタインデーだったって。台湾には2回バレンタインデーがあるんですね。
上地 そうなんですか?
荒木 そうなんですよ。1回目は2月14日、で2回目はこの映画の舞台になっている7月7日なんですね。
東 あ、私の誕生日だ…。(笑)
荒木 あ、そうですね、はい。まあ2021年は8月14日になるらしんですよ、7月7日は旧暦でね。こちらの方がより重要なイベントになってるらしいですよ。男性から女性にプレゼント送るのが習わしだし。
上地 羨ましい~!
東 待ってそのバレンタイン。台湾人になりたい!
上地 なりたい!逆がいいよ。
東 逆がいいよ。
荒木 その大切な日がどっか行っちゃったんだよね。それを探すということなんですが、ちょっと観ていると、いろんな視覚賞とか獲っているんですけど、ツッコミどころが台湾映画には一般的にあるんですが…(笑)満載なんですね。
東 ツッコミどころがありつつも、そこが可愛いんですよね。
荒木 そうそう。可愛いんですよね。画面の人たちは時間が止まった状態だと普通止まっているんだけど、風船だけゆらゆらしていたりしてね、ちょっと訳のわからないところもあるんですけども、ちょっとアジアっぽいというか、いい加減なところもあって微笑ましいですよね。それと日本には今はもうない昭和的なテイストも入っていたりして、人間が昭和的に僕なんかは見えましたね。
東 なるほどー。昭和的というと?
荒木 いわゆる情緒溢れるというか、今みたいにカラッとしていないというか。カラッとしていないのが良い悪いは別として、ちょっとモノにこだわったり。特に男の子は、女の子に対する気持ちをずっと持ち続けているところとか。郵便なんかを使う、いわゆるアナログな手法が…。
東 たしかに。なんか今って本当に毎日の流れがSNSとかでとっても早いじゃないですか。それとは違ったゆったりした独特のペースを守ってるんですよね。
荒木 設定がバスっていうところもね、楽しかったですよね。バスがメインで出てくるとかね。そういうファンタジーストーリーでありながら、夢なのか現実かわからないところだとか、ちょっと妄想なのか、その辺も入っているところで。とってもカラフルでしたよね、絵的に。
東 そう、気持ちまでカラフルになっちゃう映画なんですよ。
私、東紗友美がご紹介したのは、6月25日公開予定の『1秒先の彼女』でした。
上地 続いては荒木さん、おすすめ作品をお願いします。

荒木 はい。6月18日から公開予定の『彼女来来』というちょっと不思議なタイトルの作品です。
主人公は佐田君といいます。30歳。彼はキャスティング会社で働いています。キャスティング会社ってわかりますよね?タレントさんをCMに起用するような出演交渉なんかに関わる会社なんですけど。佐田君は、付き合ってから3年になる恋人の茉莉ちゃんと一緒に住んでいて、仕事も私生活も充実した毎日を送っています。ところがある夏の日の夕方、佐田君が家に帰ると、彼の目の前にはいつもそこにいるはずの茉莉ちゃんの姿はなくて、代わりに同じぐらいの年の見知らぬ若い女がいます。その女は自分も「マリ」という名前で、ここに住むために来たんだと言います。めちゃくちゃなことを言い出します。さあ、突然失踪した本当の恋人・茉莉ちゃんはどこに行っちゃったのか?それから本当の茉莉ちゃんを探しながら、新しいマリちゃんとの奇妙な同居生活が続いてしまうんですね。その女の正体は一体何なのか?という、いくつものわからないことばっかりの状態に陥るんですね。
一体どうなっていくのか?不思議な恋愛劇、ミステリアスな恋愛ファンタジーというか、こういうのちょっと何と言うのかわからないんですけども。
タイトルがおかしいですよね。『彼女来来』、「来(る)来(る)」と書くんですよね。中国語かなと思うんですけど、いろんな説があって、「来来」というのは、「いい加減にして」とか「いらっしゃい」とか、「さあ!」とかそういう意味もあるらしいんですよ。ちょっと監督に聞いてみたいんですけど、そこまで調べられなかったんですけど。「相手を急かす」という意味もあるらしいんですね。
東 なるほどー。
荒木 いわゆる不条理ものと言われるんですが、得体の知れない、訳の分からない不気味さ、いわゆる非合理的なものが表に出ていて。不条理小説のカフカ、カミュとか、そんな感じがありましたよね。
おふたりはどうでしたか?まず由真さんは?
上地 見終わった後、「あれ?終わったの?」という不思議な感じで。彼女目線で私が見て、自分の代わりになる人がちゃんと出来ているっていうか、私じゃなくていいんだな…っていう、ちょっと虚しくなる、彼女目線で考えた時に。
荒木 うーん。ちょっとその辺はね、あとで聞きたいこともあるんですけども。東さんはどうでしたか?
東 今ね、由真さんが良いこと言ったなと思って。この映画、恋愛映画だけど結構考察するの。今年ね、考察系の恋愛映画、『花束みたいな恋をした』も考察される方たくさんいますけど。これはたぶんテーマとして“代替可能な恋愛から脱却できるか”みたいな、オルタナティブな彼女からの脱却みたいなのが、テーマに実は隠されていて…。
荒木 そうですね。僕もそう思いました。
東 ね!だから結構なんか奥の奥はものすごく深いことをやろうとしてて。監督、これ処女作なんですよね。
荒木 演劇畑の人ですよね。
東 そうです、そうです。よくチャレンジングなことを映像でやったな、って思わせながらも、何かその…例えば自分のとっても大事な、物でも人でも何でもいいんですけど失って、似たような別のもので代替出来るか、みたいな。いろんな事に通じ合ってきてしまう話だから…。
荒木 まず由真さん言っていましたけど、この種の映画は最後まで映画に入っていけない人もいると思うのね。止まっちゃう、混乱したまま終わる人。だからこの映画は浸ってしまわないと、なすままに受け入れないとだめということがありますよね。そういう意味では映画自身が観る人を選ぶという感じがあるかもしれませんね。
もうひとつ大きな要素として、主人公の置かれた状況は不条理だけども、そのパートナーや恋人が入れ替わってしまうことをどれくらい受け入れられるのか、ということも東さんが言ったようなこともありますよね。まあ恋人やパートナーが去ることはよくありますよね。だけど代わりの人を何もわからないまま一緒に住んでいくという、この設定に関してはどうですか?私自身なんかは、去る者追わず、来るもの拒まずですから、それもありだなと思うんだけど(笑)
若いおふたりはどうなんですか、そのあたりは?ああいう設定は受け入れられるのかな?と。
上地 えーっ…ちょっと受け入れられない…かな。
東 あの状況で…でも時間が経つにつれて、やっぱり主人公の男性も変わってきたから…なんかどうなんだろうね。そう!だからこうやってさ、結構お互いの価値観が丸裸になっていくタイプの映画ではあるから、人をたしかに選ぶんですけど、呼吸を映画と合わせてしまえば、ものすごい相手のことを深掘り出来るな~って。
荒木 観る人によっていろんな感想が分かれるっていうのがひとつの特徴ですね。逆にそういう提示をしたということで、こういう話をしている自体、監督の意図がね・・・(笑)
上地 もう渦中なのか、私たち~!
荒木 そういうことだと思うんですよね。僕の感想だと、メインの3人がね、奈緒さん以外のおふたりはそんなに有名じゃないんですけども、言っちゃなんだけどある種の気持ち悪さ、というか不気味さがありますよね。なんか訳のわかんない不気味さ。だいたい奈緒ちゃんとね、主人公は同棲3年だけど、3年であんなにニコニコして仲良いかな?というのがあるよね。
上地 それはねー!
東 それはね、わかんない(笑)でもたしかに、3年の温度感じゃないようにも見えたシーンはあったかな。
上地 手をつないで歩いてね。歌をうたいながら。
東 そうそう。ラブラブな感じがねー。
荒木 そうそう。3年間…3日で飽きるだろ~。
上地 それは荒木さんだけだよー、言い過ぎ!
東 3日はね、早い!もうちょっと頑張ってあげて。
荒木 もう言われても遅いんですけどね。
上地・東 …(笑)
荒木 まあ演劇演出出身の監督だから、光と音楽の使い方が非常に上手かったですよね。真っ暗な中から女の人が表情を表すとかね。それから音楽はバイオリンでしたか、あれは。これは映像と音楽のコラボをやるMOOSIC LABという作品なので、そのへんも重要なんですけどね。雰囲気作りがとっても不思議な映画で、曖昧さと不気味さを感じるという意味で世界に浸れれば、とても面白い映画かなということだと思いました。
『彼女来来』という6月18日から公開のとっても不思議な作品でした。

上地 「今月のシネマログ」、トリは私、上地由真のおすすめ作品をご紹介します。私がご紹介するのは、6月18日から公開予定の『グリード ファストファッション帝国の真実』という映画です。
ストーリーの前に、ファストファッションはトレンドを押さえた服を低価格で売り出しているブランド、例えばH&MやZARAなどがその代表格です。
映画の主人公はそんなファストファッションブランドを一代で築き、業界トップに上り詰めたリチャード。業界の王と言われる一方で、強引な経営スタイルには批判も多く脱税疑惑や労働問題などで追及を受け、栄光にも陰りが見え始めていました。そんな中、自分の力を誇示しようと芸能人やセレブを招き盛大な還暦パーティーを企画します。パーティー会場となるギリシャのミコノス島には、元妻のサマンサ、息子のフィン、母親のマーガレットをはじめとする一家が集結します。パーティーの準備が進められていきます。しかし大金を使い傲慢に振る舞うリチャードと、家族や部下、彼の伝記を書く作家たちとの間に軋轢が生まれ…というお話です。
ファストファッションの裏側が本当に赤裸々に描かれていましたよね。すごく考えさせられたんですけど、私たちもファストファッション、H&MとかZARAとかもちろん…。
東 やっぱりないとね、今、生活出来ないくらい着てますよね。
上地 そう、すごい使っているから、なんだろな…何とも言えないんですけど、すごく申し訳ない気持ちになったというか、この作品を観て。安い労働賃金で働かされて。それは私たちが安く買えてるから何とも言えないんですけど、みんなに本当に観てほしい映画だなって思いました。
東 まず知ることからですもんね。
荒木 そうだね。ひとつはパーティーの場面と、もうひとつは服ができるための非常に過酷な労働でその服自体が生まれてるという2つの要素から出来ていましてね、この映画。
東 企業を、これTOPSHOPというイギリスのブランドですけど、そのひとつの企業を責めたり、ZARAを責めたりH&Mを責めたりとかそういうことをした映画では決してないのがすごく秀逸で、やっぱりもっと広い問題で、資本主義のこういったしわ寄せ、グローバル・サウス問題じゃないですけど、そういったものがどこにいくのか、みたいなことをエンタメに昇華させているから、面白くなりながらも学んで、最後ちょっと考えて…という作品で。
荒木 前半出てきたのがね、リチャード卿というふうに言われていましたよね。主演はスティーヴ・クーガンなんですけどね、有名なイギリスの。ただ一番初めに見た時になんとなく雰囲気が、トランプ大統領みたいな雰囲気でしたよね。
上地・東 ああ~。うんうん。
荒木 押し出し強くて、人を人とも思わない、尊大で、そういう嫌な人間としてたぶん意識して作っているんでしょうね。
さっき東さんが言ったように役名は、「リチャード・マクリディ」となっているんですけども、モデルは「フィリップ・グリーン」という人なんですね。TOPSHOPなんかのオーナーだった人ですよね。かつて日本にもTOPSHOPやMⅰss Selfrⅰde(ミスセルフリッジ)なんていうのがあったんですけども、この人、ケイト・モスだとか、例のカーダシアン姉妹のタニマチだった大金持ちの人です。スティーヴ・クーガンはかっこよかったですけど、本人はもっとなんかデブのおっさんみたいでね…。
東 普段とちょっと印象がね…。
荒木 違いますよね。いかにも強欲なおじさんという感じで。この人、とんでもない人でね、毀誉褒貶というかアップダウンがすごくてですね、さっき言いましたようにナイトの称号をもらったんですけども、後にスキャンダル…企業の従業員の年金の資金を取っちゃっただとか、セクハラだとか人種差別の問題でこの“Sir(サー)”という称号も剝奪されちゃったんですね。
東 ナイトもらうことだけで、Sirもらうことだけで奇跡のようなすごいことなのに、取り上げられるのもすごいし、何人分の人生を生きているんだ…という。
荒木 そう、無茶苦茶な人。
上地 無茶苦茶でしたね。
荒木 それからもうひとつはさっき言ったように、その彼が中心になっている衣服・ファッションをどうやって作っているのかという観点。世界各地の低所得な人たちの労働によってこういうものが作られているんだっていうことを提示して見せたっていうところもありますよね。そういう意味では非常に問題提起をした映画ですよね。資本主義の行き着く所、独占資本主義と植民地主義みたいのが本当にきちんと描かれていて、キャピタリズムの悪いところ、だからどうしようっていうことじゃなかったんですけども。
上地 でも知れたことで、すごい…。
荒木 どうですよね。非常に安い賃金で働かされて、つまり我々が着ているファッションに関してはどこかの誰かのほぼ涙や犠牲の上に立ってこういうものが着られるんだということも考えさせられますよね。
東 こうやって話していると、めちゃくちゃ真面目な映画なように思いつつも全然テイストは面白いんですよね。荒木さんが話してくれたマクリディ卿とかも、経営者としてはすごく出来る、クロージング能力も高くて魅力的な人物だけど、同時に卑劣だったり、人間の多面性みたいなところも感じてしまったりしましたね、この映画で。
荒木 いくつかのそういった人間の問題と資本主義、グローバリズム、現代に生きる私たちの問題、服だけでなくて物の背景だとか、食べ物にも通じることですよね。そういうことに対しての非常に鋭い提示のあった映画ですね。考えさせられる映画でもあります。
上地 私、上地由真のおすすめ作品は、6月18日から公開予定の『グリード ファストファッション帝国の真実』でした。6月公開の映画作品の中からそれぞれの推しを紹介しました。
映画評論家の荒木久文さん、映画ソムリエの東紗友美さん、ありがとうございました!
荒木・東 ありがとうございました!
■上地 由真
オーディションがきっかけで関西を中心に音楽活動開始。2007年シングル「shine day」などをリリース、以降全国各地でライブ活動やイベント参加。最近は女優としても活躍、舞台、映画などのジャンルにも進出。
■東 紗友美
映画ソムリエとしてTV・雑誌・ラジオなどで活動中。趣味は、映画ロケ地巡り。国内外問わず廻り、1年で100箇所以上ロケ地を訪れたことも。インスタグラムでも毎日映画に関する写真やコメントをほぼ毎日掲載中。
■荒木 久文
現在 複数のラジオ番組を中心に、新聞紙面 ニュースWEBなどに映画をテーマとした評論 批評 紹介 などの活動を展開。報知映画賞選考委員 ノミネート委員 日本映画ペンクラブ会員