1月のおすすめ映画 文化放送「上地由真のワンダーユーマン」推薦

(2021年1月18日21:30)

文化放送「上地由真のワンダーユーマン」(月曜午後9時30分)でパーソナリティ―の上地由真と映画ソムリエの「さゆみん」こと東紗友美さん、映画評論家の荒木久文さんの3人が1月のおすすめ映画を紹介して見どころを解説した。同番組では毎週テーマを設け“由真的”テイストで進行。毎月第1週目は「今月のシネマログ」と題し、その月に公開される話題の映画作品を上地由真と映画の専門家2人が紹介する。11日の放送では「ヤクザと家族 The Family」「大コメ騒動」「花束みたいな恋をした」の3本の話題作が紹介された。

1月のおすすめ映画 文化放送「上地由真のワンダーユーマン」推薦
(㊧から東紗友美、上地由真、荒木久文)

上地    上地由真のワンダーユーマン!今週もよろしくお願いします。
本日は月に1回の映画特集です。「さゆみん」こと映画ソムリエの東紗友美さんと、映画評論家の荒木久文さんとお届けしていきます。よろしくお願いします!

荒木・東  よろしくお願いします!

上地    まずは昨年観た映画で何がイチオシだったのか、今日はそれぞれのベスト3を発表していきたいと思います!
では、荒木さんからお願いします。

荒木    私は日本の比較的小さな映画が好きなんですが、今年はあまりなかったかな。ドキュメンタリーで日本の映画ね、いいのがずいぶんありました。『三島由紀夫vs東大全共闘~50年目の真実~』『なぜ君は総理大臣になれないのか』などあったんですが、今回ベスト3はみんな洋画になりました。

東     おお~っ!気になるー!

荒木    ベスト3って、三つ挙げるということですが、どれが一番かではないんですけども…。一本目は『1917 命をかけた伝令』、二本目『パラサイト 半地下の家族』、そして三本目はですね、『ある画家の数奇な運命』。現代美術の巨匠のゲルハルト・リヒターをベースに描いたドイツ映画なんですけれども、非常にすばらしくて堅い映画なんですけど、ドイツのフル編成オーケストラのクラシックを聴き終わって、脱力感があるような、そんなすばらしい映画だったというふうに思います。

東     長いんですよね。

荒木    長いんですよ。なかなか好き嫌いがあるかもしれないんですけども、非常に重厚な映画だったので、ぜひ皆さんも機会があったら見ていただきたいと思います。私が選んだのはこの三つ。

東     はい、じゃあ私、続いていきます!『ミッドナイトスワン』、そして『劇場』、そして…『TENET テネット』!

上地    『TENET テネット』見てない…。

東     『ミッドナイトスワン』は、日本でもまだまだ11本に1本と言われているオリジナル脚本の作品で、こういった作品がどんどん認められて世に出て行ってほしいなという思いなんかも込めながら…。『劇場』はやっぱりすごかったな、って。7月にアマゾンプライムの配信に切り替えて配信してくださって、いろんな方が見ているんですけど、夢を追う人生の人は本当に揺さぶられる話になっているかなと思って。気になる方は見ていただいて。あとはやっぱり洋画を一本は入れたいと思って『TENET テネット』にしたんですけど。テネットは本当に難しいんですけど、ぜひ見ていただければと思います。

上地    私もさゆみんと同じで、『ミッドナイトスワン』、これは入っていますね。あとは『ミセス・ノイズィ』…。

東     あっ…はぁ~!!きましたね、いいですね、うんうん!

荒木    へえ~…意外!

上地    あとは『透明人間』、サイコスリラーの。サイコスリラー系が私は大好きなので、最後までドキドキドキドキドキドキ…。

荒木    あ~、宇多丸さんもね、『透明人間』が今年ナンバーワンって言っていましたね。

上地    うそ!宇多丸さんと同じだ。

荒木    完成度高いですよね、確かに。

上地    あと『ミセス・ノイズィ』は『カメラを止めるな!』を見た時ぐらいのすごい衝撃を受けました。騒音おばさんをモチーフにしたお話なんですけど、ただ騒音おばさんだけなのかなって思っていたら、もう全然違う結末でめっちゃ面白かったです。
ということで、2021年も素敵な映画をたくさん紹介していきます!

今日は月に一度の映画をフューチャーする回、題して「今月のシネマログ」。1月公開の映画の中から、私、上地由真とさゆみん、荒木久文さんの三人が「これはオススメ!」と思った作品をご紹介していきます。
それでは早速、さゆみんからよろしくお願いします。

1月のおすすめ映画 文化放送「上地由真のワンダーユーマン」推薦
「ヤクザと家族 The Family」(2021年1月29日(金)全国公開)(©︎2021『ヤクザと家族 The Family』製作委員会)(配給:スターサンズ/KADOKAWA)

東     私がご紹介するのは1月29日公開の『ヤクザと家族 The Family』という映画なんですけども、ヤクザを題材にしながらも愛を描いたものすごく壮大な物語になっていて本当に沁みる映画で、沁みる具合で言ったら、ささくれにレモン汁をね…。

荒木    面白いこと言うねー。わかる。あかぎれにね…。

上地    アハハハ…!!めっちゃ沁みるやん!沁みるーー!!

東     そう、あかぎれにレモン汁を…そのくらいね、心にきちゃう作品になっています。ちょっとお話しますね。ヤクザという生き方を選んだ一人の男の人生を、1999年、2005年、2019年という三つの時代から見つめるヒューマンストーリーになっています。綾野剛さん演じる主人公は自暴自棄になっていた少年期の1999年に、地元のヤクザの親分から手を差し伸べてもらい、親子の契りを交わします。勝気な性格で、ヤクザの世界で徐々に頭角を現していくんですけれども、時代は移ってヤクザの社会情勢というか、シノギのあり方とかいろんなものが変わっていきます。そんな中でも主人公はヤクザであることをどうにか貫こうということで生き様を見せていくんですけれども、自分には本当の家族も出来て、でもヤクザの家族もいて、そんな中にいろんな決断を迫られていく人生の物語になっているんですけれども。本当にね、一人の人生を三つの時間軸で見せるんですけれども、綾野剛さんが今回は本当にすばらしくて、裏社会の役ってこれまで『新宿スワン』で歌舞伎町のスカウトマンですとかやってきたんですけど、今回のヤクザ役は、私、一番今までで彼の演じてきた中で好きな役でした。目がね、本当にあの瞳がとっても寂しそうなんだけど中にあの情熱が、「どうにかしてやる!」っていう葛藤とかが見え隠れしていて。この作品って、ヤクザであり続けるためにどうにかしていくお話なんですよ。でも私たちもまさかのヤクザ映画でこんなに「わかるー!」ってなると思わなかったんですけど、自分を貫き通すっていうことは、一方で大事なものを失うかもしれない、こういう事って誰にでも言える物語に落とし込んだヤクザ映画、だからすごいなって思ったんですよね。

荒木    そうだね。ヤクザ映画っていうとね、もともと義理人情とか任侠ものがあるんですけれども、組員の身内意識やそういうものに焦点をあてた、こういった視点の映画、まあヒューマンドラマだよね。ヤクザをテーマにした、こういうのは珍しいですよね。

東     だから「ヤクザと家族」って付いているんですよね。

荒木    由真さんはまだ観てないんだよね?

上地    まだ観てないんですよ。

荒木    これは暴対法、いわゆる暴力団対策法というのがキーになってるんですよ。平成4年くらいかな、日本の国からヤクザをなくそうということで施行されたんですが、よくいろんな簡単な契約、例えば携帯の契約なんかでも「私は暴力団とは関係ありません」とか「反社会的勢力とは関係ありません」とか、ああいうのがどんどん入ってきた、ここ三年ぐらいで二万人ぐらい暴力団の団員が抜けたということです。
この法律ではですね、暴力団と規定されると、保険にも入れません、銀行口座も持てません、もちろん携帯電話の契約も出来ません、とにかくお風呂にも入れないという、法律でヤクザを壊滅していこうということが徹底してきているので、ヤクザにとってはたまんないわけですよ。
『ヤクザと憲法』という映画が2~3年前にあったんですけれども、ヤクザが暴対法によってどういう状態になっているか、もちろん本人たちもそうなんですけども、子供たちは保育園に入れられない、通えないということで、基本的に法の下の平等、基本的人権をうたっている憲法14条に反するんじゃないかっていう話がヤクザ屋さんの方から出てきているので、そういう状況がキーになっているんですよ。本当に生きにくい世界で彼がどうやって生きてきたかっていうね。大変な苦しみの中で、そういう社会的な観点から見ると面白いと思うんですよね。

東     ぜひ由真さんには今年、スターサンズという映画会社を注目してほしいんです。ここは外国映画の配給から日本国内での映画製作まで手掛けていてミニシアター系の映画会社なんですけど、毒親を描いた『MOTHER マザー』、長澤まさみさんのですとか、あと『新聞記者』とか社会問題をエンタメにきちんと昇華しながらもアート的なずっしりとした重みのある作品も撮っていて。そのスターサンズさんが作った作品の一本が『ヤクザと家族 The Family』。だから観ているだけで楽しみながらも勉強になる、社会情勢も知れるという意味もあって、ぜひぜひスターサンズを…!

荒木    俳優さんもすばらしいですよ、舘さんも出てますよ。

東     43年ぶりの親分役。カッコイイんですよー!

荒木    かっこいいよね~。怖いんだけど、時々「○○ルーペ大好き」っていうのが頭にチラついちゃって…。

上地    アハハハハ…!

荒木    でもカッコイイ!それを観に行くだけでもいいですよ。

東     ということで今回私が紹介したのは、1月29日から公開の『ヤクザと家族 The Family』でした。

1月のおすすめ映画 文化放送「上地由真のワンダーユーマン」推薦
「大コメ騒動」(全国公開中)(©︎2021「大コメ騒動」製作委員会)(配給:ラビットハウス、エレファントハウス)

上地    続いては映画評論家の荒木久文さんのおすすめ作品です。

荒木    はい、私がご紹介するのは1月8日公開の『大コメ騒動』というおコメに関するお話です。
大正時代の女性の戦いをちょっとリアルに描いた作品です。今から100年ほど前、大正時代、舞台は富山県です。「おかか」っていう言い方わかりますよね?お母さんのことね、かつお節じゃありませんね、はい。富山の田舎の漁村で三人の子を持つおかかのいとさん、井上真央さんがやっているんですよね、可愛い井上真央さん。彼女は17歳で貧しい漁師の元へ嫁いできたんですね。小さな漁師村でたくさんの人と暮らしていくんですけども、ここに暮らすお母さんたちは家事や育児をやりながら家計を助けるために本当に過酷な重労働についているんです。その仕事というのが、毎日ひとつ60キロもあるような米俵を倉庫から砂浜まで歩いて船まで運ぶ「仲仕」。運搬業ですよね。女仲仕として働く毎日を送っているんです。その頃、戦争のせいもあってコメの価格がどんどん上昇してきて、おかかたちは自分たちがコメを運ぶのに、そのコメを高くて簡単に買えない状態になってきているんですね。彼女たちはそうなると悩んだ末におコメ屋さんに行って、おコメをこれまでと同じ値段で売ってちょうだいと懇願するのですが、聞き入れられません。どんどんどんどん高騰するコメ価格に、ある日とうとう皆さんキレてしまいまして、リーダー的存在のおばあさんと共にコメの積み出しを阻止することに出るんです。今で言うストライキかロックアウトみたいなもんですよ。それが失敗に終わるんですけども、新聞社が取材に来て、おかかたちを「女一揆」として書き立てるんです。そうすると騒動がそれをきっかけに全国に広まってしまう・・・というお話です。そしてある事故をきっかけにもう我慢の限界が来たおかかたちがさらなる行動に出るという・・・という作品なんですけども、主人公の松浦いとさんを演じるのが、井上真央さん。可愛い顔をお化粧でね…。

東     そうなんですよね、もう全然印象が違う。泥だらけにして真っ黒にしてね。

荒木    まあ漁村の女性ですから、日に焼けて、あの可愛い顔を全く隠して。表情もね、苦しい暮らしなのであんまりにこにこ笑っていませんで、本当に暗い顔でやっているんですけども、そういう意味では新たな役に挑戦ですよ。そういう意味で注目ですよね。 この映画のメインテーマっていうのは、たぶん学校の社会の時間で習ったと思うんですけども、女性が初めて起こした市民運動とか社会運動とか言われる大正のコメ騒動をテーマにしているんですね。よく考えてみると、当時の状況と今の時代はかなり共通点があるんです。当時はスペイン風邪が流行った。100年前。今はコロナウイルスでしょう。世界的な流行という世相の中で経済的なダメージ、つまり今、我々自粛による経済活動が深刻でしょ。大正時代は戦争によりおコメが上がっちゃって本当に困っているという、そういう意味での経済格差が非常に似ていますよね。二つの時代は同じような精神状況にある。他にも女性蔑視の問題とかいろいろあるんですけど。これ、翻ってみると大正時代のお話じゃなくて、今の我々が直面している状況に似ているんですよ。
いかがでした?富山出身の女優さんたちとか俳優さんたちがいっぱい出てまして、富山県マターのね…。

上地    あ、富山の出身の方だったんですか?

荒木    まあ、みんな多いんですよ、富山が。

上地    だから富山弁が…。

荒木    そうそう。みんなほとんど。立川さんでしょ、柴田理恵さん あと室井さんも。

東     リアリティーを追及しているんですね。

上地    生きるために戦う女性の姿、見ていて元気もらえますよね。

東     頑張ろうって思いますよね、自分も。

荒木    それからね、びっくりしたのが…ちょっとお話ずれるんですけど、おかかたちはですね、漁の時期は夫のために毎日一升のコメを詰めた弁当を作るっていうんですよ。リリースに書かれていたので。一升って1.5㎏。どんぶりで10杯。

上地    た、食べ過ぎ…。

東     いや~、すごいですねー!

荒木    これを食べるって言うの。これ間違いじゃないの?って聞いたら、いやそうなんだ、って。

上地    しかもおかずとか何ものってなかったですよね?そのまんま全部。

荒木    当時、漁村ではおコメを女の人も一日七合ぐらい食べた、って。今、日本人って54㎏ぐらいなんだって、年間。つまりあの当時の富山の漁師の百分の一しか年間食ってないという…。

東     えーっ?!その数字面白い!

荒木    ねー!一升だよ、一升!つまり当時はおコメを食べないと力が出ない、と。当時は糖質ダイエット関係ないですからね。大正時代の貧しい女性の生き方、それから社会情勢を見るのにはいい映画ですね。ぜひ行ってください。
ということで、私が紹介したのは1月8日公開の『大コメ騒動』というお話でした。

1月のおすすめ映画 文化放送「上地由真のワンダーユーマン」推薦
「花束みたいな恋をした」(2021年1月29日(金)TOHOシネマズ日比谷
ほか、全国公開)(©2021『花束みたいな恋をした』製作委員会)
(配給:東京テアトル、リトルモア)

上地    「今月のシネマログ」、トリは私、上地由真のおすすめ作品をご紹介します。私がご紹介するのは、1月29日公開の『花束みたいな恋をした』です。
東京京王線の明大前駅で終電を逃したことから偶然出会った大学生の山音麦(やまね むぎ)と八谷絹(はちや きぬ)という男女がいるんですけど、この麦を演じるのは菅田将暉さん、絹を演じるのは有村架純さん。この二人は好きな音楽や映画がほとんどぴったりなんですよね、趣味が。そういうところから恋に落ちて、大学卒業後にフリーターをしながら同棲をスタートさせます。日々の現状維持を目標に二人は就職活動を続けますが、しだいにすれ違い始めて…というお話です。
脚本は、『東京ラブストーリー』『最高の離婚』『カルテット』など数々のヒットドラマを手掛けてきた坂元裕二さんです。も~、これは本当にせつなかった、この作品。あとすごく残っている言葉が「はじまりは、おわりのはじまり」という言葉で…。

東     それをキーワードにいろいろと物語が展開されていくんですよね。 上地    なんか本当に恋が始まる時のわくわくしたあの二人の感じとかすごくリアルで。私が一番キュンキュンしたところは、あの信号待ちの…。

東     わかった!!

上地    キス。キス、ね!押しボタン、押さないから信号変わらなくて~。ウフフフ…。

東     私も観ました。めちゃくちゃ世代。世代よりはちょっと上なんですけど。なんだろ、この映画が恋愛におけるすべてが入っているんですよ。嫉妬も胸キュンも、焦りとか焦燥感とか不安とか全部の感情が入り過ぎて、それを二人が演じているから、私、最後の方、菅田将暉と付き合ってたんじゃないかなと思ったんですよ、本当。元カレにしか見えないの。

上地    アハハハハ…!でもたしかに、二人だけのストーリーをのぞき見してるような、日記を見ている感じの感覚がありましたよね。

東     それぐらいの距離感じゃないですか。

荒木    やっぱり脚本がすばらしいですよね。

東     すばらしいですよー!

荒木    さっきちょっと言っていただいたけど、坂元裕二さん、この人は月9『東京ラブストーリー』で有名ですよね。月曜日の夜九時から女性が街の中から消えたと。その後トレンディドラマでいろんな…もう23歳の時から書いている人です。テレビ界の伝説とも呼ばれているね。

東     今回、あれ…映画って普段なかなかやらないじゃないですか?

荒木    これ初めてみたいだね。

東     そう、すごいことですよ!

荒木    共同作品はあれかな、たぶん『世界の中心で、愛をさけぶ』が関わってますけども、あれは共同執筆だから。

東     ドラマ畑の人が来てくださった、映画にね。

荒木    そうですね。稀代の脚本家と呼ばれていますよね。52歳なんですけど、さっきチラッと余談で話したけど、歌う曲の歌詞すら意識して選んでいるんですよね。

東     そうなんです。有村架純さんがカラオケをするシーンがあるんですけど、そこで歌っているある曲、そこまで有名な曲ではないんですけど、それが物語が終わった時にどういうものを意味していたかとか考えると、「あれ?これ坂元裕二さんすごいな、やっぱりこんなところまでいっちゃったか!」みたいな。さすがだな…って。

荒木    52歳なのに、ゲームだとかね、ストリートビューなんていうのはともかくとして、コンバースのジャックパーセルまで出てきて。ああいうものを年齢的に、対象年齢はあんまり関係ないってことらしいんですね。どんな感情を届けるのか、脚本が一番難しいというふうに言ってるんですけど。もう一つは恋愛ドラマだけど恋愛のことだけ描いているわけですよ。恋愛映画って、何か枷があったり、障害があってそれを乗り越えていく二人というパターンがあるんだけど、これはもう恋愛自体を描いているというね。なんかいろんな変なことが起こらない。

東     恋自体が生き物みたいな描かれ方をしているんですよね。

荒木    そうそうそう。実際に生活していると、あんまり劇的なことって起こらないわけですよ。だけどそういう意味で言えば彼は恋愛自体を描きたいと思った、とおっしゃっています。そこがいいところですよね。状況によってはカップルで行くということはやめた方がいいかもしれないですね、逆に。恋愛自体が良すぎて夢のような恋愛ですもんね。

東     観て、自分の恋愛観を確立させるような感覚だから、デート映画っていうよりは自分の恋愛観を知るための鑑みたいにしてもらいたいなという作品かなと思いましたね。本当にいい映画だった。

荒木    由真さんもね、ずいぶん心に刺さったって言ってましたもんね。

上地    やっぱり長く付き合ってるカップルとかが見たら、何か気づかされることってあるんじゃないですか?

東     それはあるかも!いいこと言った、たしかに。

上地    ちょっとマンネリとかなってきてるカップルが一緒に観たら、あの時の気持ちを取り戻せるみたいな感覚はあるかも。

荒木    取り戻せるのかね…?

東     なるほど、タイムマシーン的にね。

上地    奥さんと観に行ってくださいよ。そしたら取り戻せて、あんなことあったなとか…。

東     アハハハハ…!!

荒木    何それ?(笑)恋愛とセックスと仕事は家庭内には持ち込まない主義なんです。

上地    何それー?!サイテー。

東     最悪のまとめになっちゃいましたよ。こんないい映画が…こんなことありますー?

上地    ほんと、やめてくださいよー(笑)本当にね、いろんな人が観ても刺さる映画だと思います。
私、上地由真のおすすめ作品は、1月29日公開の『花束みたいな恋をした』でした。1月公開の映画作品の中から、それぞれの推しをご紹介しました。ぜひ映画館でチェックしてみてください!
映画評論家の荒木久文さん、そして映画ソムリエの東紗友美さんでした。ありがとうございました。

■上地 由真
オーディションがきっかけで関西を中心に音楽活動開始。2007年シングル「shine day」などをリリース、以降全国各地でライブ活動やイベント参加。最近は女優としても活躍、舞台、映画などのジャンルにも進出。
■東 紗友美
映画ソムリエとしてTV・雑誌・ラジオなどで活動中。趣味は、映画ロケ地巡り。国内外問わず廻り、1年で100箇所以上ロケ地を訪れたことも。インスタグラムでも毎日映画に関する写真やコメントをほぼ毎日掲載中。
■荒木 久文
   現在 複数のラジオ番組を中心に、新聞紙面 ニュースWEBなどに映画をテーマとした評論 批評 紹介 などの活動を展開。報知映画賞選考委員 ノミネート委員  日本映画ペンクラブ会員