11月のおすすめ映画 文化放送「上地由真のワンダーユーマン」推薦

(2021年11月7日19:00)

文化放送「上地由真のワンダーユーマン」(月曜午後9時30分)でパーソナリティ―の上地由真と映画ソムリエの「さゆみん」こと東紗友美さん、映画評論家の荒木久文さんが10月公開のおすすめ映画の見どころを解説した。同番組では毎週テーマを設け“由真的”テイストで進行。毎月第1週目は「今月のシネマログ」と題し、その月に公開される話題の映画作品を上地由真と映画の専門家2人が紹介する。今回(1日放送)は『聖地X』『ボクたちはみんな大人になれなかった』『ずっと独身でいるつもり?』の3本が紹介された。

10月のおすすめ映画 文化放送「上地由真のワンダーユーマン」推薦
(㊧から東紗友美、荒木久文、上地由真)

上地    上地由真のワンダーユーマン!今週もよろしくお願いします。

今日は月に一度の映画をフューチャーする回、題して「今月のシネマログ」。 映画ソムリエの「さゆみん」こと東紗友美さん、映画評論家の荒木久文さんとお届けしていきます。よろしくお願いします!

荒木・東  よろしくお願いします!

上地    11月公開の映画の中から、私、上地由真とさゆみん、荒木さんの三人が「これはおすすめ!」と思った作品をご紹介していきます。 それでは、さゆみんのおすすめからお願いします。

11月のおすすめ映画 文化放送「上地由真のワンダーユーマン」推薦
「聖地X」(公式サイトから) (©2021「聖地X」製作委員会)

東     はい。私がご紹介するのは、11月19日から公開の『聖地X』です。 その土地には、絶対に行ってはならないと言われる。ひとたび足を踏み入れた者は、想像を絶する奇妙な現象に巻き込まれ、死ぬまで悪夢は終わらないと言われる「聖地X」に迷い込んでしまった兄妹の恐怖を描くホラー映画です。岡田将生さん、川口春奈さんが兄妹を演じています。
あらすじです。 だらしない夫との生活に耐えられず離婚を決意した要は、日本を出て韓国で暮らす兄を訪ねます。兄は妹の突然の訪問に驚きながらも、彼女の夫に対する不満を聞いて心の傷が癒えるまで兄妹で韓国に暮らすことに同意します。穏やかに過ごすつもりの2人でしたが、立ち入った者が奇妙な死を遂げると伝わる「聖地X」に足を踏み入れてしまい、そこでは次々と惨劇が起きて…という日本を代表する映画監督の1人、入江悠監督の最新作ホラー映画です。
いや~、こんなに次に何が起きるかが予想できない好奇心ホラーはあんまりないな、って思いまして。ただ怖いだけじゃ全然ないんですよね。ちょっと新感覚で。黒沢清監督の『散歩する侵略者』という映画っぽい、ちょっと明るいニュアンスのところもかなりあって。でも起きる惨劇は起きてしまって、みたいなバランスが面白い作品だったんですけど。これ観た後に入江さんに話したら、やっぱり今回の作品ね、女性にすごく刺さっているらしいんですよ。なんでか、というと…由真さんにも聞きたいんですけど、これホラー映画がベースなんですけど、よく振り返ってみると失恋映画になっているんですよね。失恋から立ち直る女の子の話をホラーで味付けしているんですよ。

荒木    なるほどね~。韓国風のね…。

東     そうなんですよ。そうそう!今回、韓国がロケ地になっていて、韓国の制作会社と組んで作った作品なんですけど。最近そういったホラー映画って、日本でもたくさん受け入れられていて、例えばアリ・アスター監督の『ミッドサマー』とかも。あれも結局、失恋しちゃった主人公が自己を解放して次のステージに行くまでの話をとんでもない味付けでやっている映画なんですけど。この作品もちょっと違うところに行き着くっていうか。だからね、ホラーなのにセラピーなんですよ。だから面白かったんですよね ちょっと新感覚だったんですけど。 由真さん、荒木さん、どうです?

上地    たしかに!本当にさゆみんが言っているように、ホラーかな?って思いきや、どんどんワクワクワクワクして、次が観たくなるっていうか。で、観終わった後、すきっとするっていうか、なんか明るいっていうか。そういう映画でしたね。

東     入口と出口が全然違うタイプの映画になっていて。さすが入江さん!また新境地を見せてくれるな、って感覚だったんですけど。

荒木    そうですね。入江さんのいろんなところをね。最近『シュシュシュの娘』も。あれは生き生きとしてやっていたし、これはこれで商業映画としてきちんと計算してやっているなという感じ。で、今『散歩する侵略者』っていう名前が出ましたけど、この「聖地X」の原作者は劇作家の前川知大さんという方なんですが、この『散歩する侵略者』も前川さんの原作なんですよね。

東     あっ、そうなんですね!なるほど~。

荒木    そう、両方手掛けているんです。ちょっとホラー的なものが得意な人で。なんか面白い人で、お墓にいると落ち着く、っていうね…そういう人で。(笑)

上地・東  へぇ~っ?!すごい!面白いね。(笑)

荒木    日々の暮らしに染み出す“怖い”みたいなことを上手くすくい取って、作ってくれる劇作家ですね。

東     なるほど、そこが繋がってたんですね。

荒木    そこは、入江さんと上手く波長があったような気がしますね。それともうひとつは、ちょっと宗教的なことも少し・・・韓国の土壌に生まれた悪い聖地、というか悪魔なのか神なのかわからないということと。それから印象的だったのは、岡田君のセリフにあるんだけど「思えば現れる」、あると思うからある、というね。我々の生きている唯物論じゃなくて、唯心論の立場から存在論を上手く説明しているっていうところが面白かったですよね。ちょっと難しいことになっちゃうんですけども。

東     文化が融合している感じが本当に見事ですよね。

荒木    そうですね。そういう意味ではね、非常に興味深い。あんまりそれこそ怖いんじゃなくて、怖さはあるけど、もうちょっと婉曲した怖さというか、そういうものを感じましたね。非常に新しい分野ですね。監督、また一歩踏み出したかなという気はしますね。それからもうひとつはね、ドッペルゲンガーというね…。

上地・東  ドッペルゲンガーね!

荒木    これ、有名なのがね、黒沢清監督の『ドッペルゲンガー』ですけども。自分と同じ人間がもう一人いて、会ったら死んでしまう、という伝説。これドイツのお話、元々は神話から出ているみたいですけど。

東     あ、そうなんですかー!

荒木    そうそう。これドイツ語ですよ、Doppel ganger(ドッペルゲンガー)ってね。

東     doppel…たしかに。

荒木    そういうあれもね、面白かった。自分と同じ、知っている人に会ったらどうしますか?

上地    怖い~!!

荒木    怖いよね。

東     うん…ちょっと、でも上手に使って家事とかやってほしい、半分ぐらい…。(笑)

上地    アハハ!これやっておいて、って?

東     うん…そんなにラジオで止まらないでください、荒木さ~ん!(笑)

荒木    はい、わかりました。(笑)私はね、ドッペルゲンガーじゃないけど、同じ人がいるみたい、同じ名前の人が。

上地・東  えっ?荒木久文さん?

荒木    そう、鹿児島に住んでいるみたいね。顔は全く違うみたいですけどね。 上地・東  へ~!

荒木    ツイッターで「ドッペルゲンガー見ました」ってね。

上地・東  アハハハ!

東     名前が同じっていう意味だよね。ドッペルゲンガーも探しやすい世の中になりましたね。

荒木    そりゃあ、いるでしょう。名前の同じドッペルゲンガーは。

東     名前・・・逆に「東紗友美」はあんまり聞いたことないかも。

上地    でもね、私も自分の名前で調べたら、一人ヒットする人がいてね。でもね、読み方が違うみたい。「上地」もちょっと読み方が違っていて…。

荒木    「上地(かみじ)」さんているもんね、テニスの方…。

上地    そう。「由真」も「ゆうしん」。読み方が違う…でも漢字で書けば全く同じっていう。京都でお住まいみたい。(笑)

東     ぜひね、ホラー映画だけどセラピーにもなる、本当に新感覚、怖がりながらも楽しんじゃってください!11月19日公開の『聖地X』でした!

上地    続いては、映画評論家・荒木久文さんのおすすめ作品です。

11月のおすすめ映画 文化放送「上地由真のワンダーユーマン」推薦
「ボクたちはみんな大人になれなかった」 (11月5日(金)より、シネマート新宿、池袋シネマ・ロ サ、アップリンク吉祥寺ほかロードショー&NETFLIX全世界配信開始)(©2021 C&I entertainment)

荒木    はい。私がご紹介するのは、11月5日から公開の『ボクたちはみんな大人になれなかった』という作品です。「燃え殻」、そういうお名前の作家さんが、3年ほど前に書いていた『ボクたちはみんな大人になれなかった』という本を映画化した作品です。 舞台はもう25年以上も前ですね、1995年。主人公の小説家志望のボク・佐藤くんというのですが、森山未來くんがやっています。彼はある女の子・かおりさん、伊藤沙莉さんが演じているんですが、彼女と出会って恋に落ちます。生まれて初めて、これからの人生を頑張りたいというふうに思うんですね。彼女は“普通が嫌い”というのが口ぐせだったのですが、その彼女に認められなくて、生きがいとなった彼女と交際しながら、がむしゃらに働く主人公のボクでしたが、4年後の1999年、彼女はさよならも言わずに去ってしまいます。ボクは志していた小説家にもなれず、生活のために、ズルズルとテレビ業界の片隅で働き続けるわけですね。そして時が流れて25年後。2020年、46歳になった主人公はいくつかの再会をきっかけに“あの頃”を思い出す…という構成になっている映画ですね。 この作品、年代把握が大切ですね。回想シーンが多いので、ストーリー構成がリバースしているわけで、今、何年の場面を観ているのかっていうのをきちんと把握しないと。最近この手の作品が多いんですけど。90年代からバブル後まで、時代を彩ったカルチャーと一緒に一番好きだった人の記憶が胸に蘇るという、そういう作品ですよね、ちょっとロマンチックな。 お二人とも観ていただいたと思うんですけど、どうでしょう?まず上地さんから。

上地    なんか自分の人生を振り返りたくなるっていうか、思い出に浸りたくなるような映画でした、観終わった後に。

荒木    そうですか。東さんは?

東     舞台は東京なんですけど、変わりゆく東京の街を遡っていくお話じゃないですか。原作の大ファンなんですけど、原作は未来に向けていくんですね。この作品の方は過去にいくんですけど、なんかだんだん感情移入し過ぎて、だんだん森山未來さんが自分とかぶってくるように見えてきてしまったんですよね。これね、いい意味ですごいなと思ったんですけど、いろんな人との出会いのエピソードが出てくるんですよね、森山未來さんとの。だけどその全部がいい意味で薄いんですよ。だからどういうことかっていうと、その時その時、一瞬とても深く付き合ったけど、“今はもう離れていってしまった人”感が逆に強く感じられるっていうか。さらりさらりと濃厚なことをしているんですけど、さらりさらりさらりさらりとなぞっていくようなのが、逆にすごくリアルで。「ああ、こういうことだったよなあ、人生…」みたいな、そう思って入り込んじゃったんですよね~。上手かった、見せ方。本当に!

荒木    この前、人生の中でこういう忘れられない人とか、好きな人、恋人いますか?なんていう話をみんなとしている時に、ある女性が「前、好きだった人の名前も忘れちまった」とかね、女の人って非常に冷たいなって思うんですけども…。

上地・東  アハハハ!

荒木    こういう映画を観ていて・・・男だけですかね?こういうセンチメンタリズムみたいなものを感じるのは。どうなんでしょう?その辺。男の人の方が主人公になって、命をかけた恋みたいなことを思い出すっていうのは強いのかな?というふうに最近感じたんですけど。どうなんでしょう、お二人は?

東     なんだろう…あのね、男性の方が切り替えるのが苦手なんですよ。 女の人って、もう別れを決めた時点でいろんなミルフィーユみたいに嫌なことがいっぱい積み重なって別れを決めてるんですよ、こちとら。ねっ!

上地    もうね!うん、そう。

東     そうなんですよね!男はそうじゃないから、ズルズルズルズル・・・引きずりがちなんですよ、やっぱり。

荒木    一般論でそうですけどね~。そう言われると、そうですけどね。まあ私もこういう恋愛もの、嫌いじゃないし、いろいろ40代の人たちがメインでしょうけども、こういう移り変わり、いろんなアイテム…ケータイだとかWAVEの袋だとかですね、いろんなものが出てきて非常に懐かしいと思ったんですけども。私ひとりで観てて、女の人は果たしてどう感じるのだろうか?と。心に刺さるのだろうか?と思ったんですけど。

東     私は刺さったんですけどね。どう…?

上地    私は懐かしくなりましたね。やっぱ観終わった後だけは、普段は別に思い出さないですけど、なんか今までの人生無駄じゃなかったんだな…じゃないけど、なんかすべてに意味はあるんだな…っていうことを。

東     繋がって今があるんだな…っていう感じですよね。

荒木    もうひとつは成長物語ですから、男の子の。“普通”が嫌で、もう“何者か”になりたくて頑張る、と。でも気が付くと社会の常識や、その価値観との折り合いをしながら、いわゆる体制派だとか守旧派だとか言われる権威になっているという、その自分にも気が付いて。やっぱりそうなんだな、と。時の流れというのはそういう残酷なところもあるんだな、というところも含めて成長物語としてもちょっと刺さりましたね。

東     今、成長物語って出てきて、いいなと思ったんですけど…あえて成長する…まだしてないんですよね、ラストが。これからするかもしれない、これからが一歩目なのかなって。このエンドロールに始まる手前が一歩目なのかな、って思えるところが結構面白いなあというふうに思って。こんなに心地よく過去を浮遊出来る映画なかなか…映像すごくなかったですか?本当にずっとフィルターがかかっているような世界で素晴らしかったです。

荒木    役者さんもね。伊藤沙莉さんもすごいし。森山未來さんは26~40歳代まで。自然なんだよね。

上地    自然でしたね!

東     そう、表情が!表情だけでこんなに20年という時を駆け巡るの?!っていう…。

荒木    高校生をね、やっちゃマズイなっていう役者さんが多い中で、彼はこれだけ幅広く出来るっていうのは…。

上地    自然過ぎて、そっか!って今、思いました。たしかに言われてみれば…って。

東     大人の時は目に瞳があんまり輝いていなかったりする表情なので、その演技観るだけでも素晴らしいと思うので。

荒木    そうですよね。それと個人的になんですけど、ロケ地が渋谷近辺で…。

上地・東  あ~!渋谷ー!!

荒木    で、ホームタウンでね。二人が別れるラストはね、恋文横丁の坂なんですよ。

東     恋文横丁っていうんですか?

荒木    ああ、そう。今は廃屋になってるラブホテルね、「パッション」っていうんですけど、名前。そこだとか。それからね、むげん堂はまだハンズの対面にありますし。

上地    ねっ!あー!って思いました。

荒木    そう。そういうところがね、ロケ地が特定出来て…ロケ地専門でしょ、あなた?

東     私、早速回っているんですけど、恋文横丁を知らなかったので行ってみたいと思います。

荒木    あ~、そうですか。ぜひ行ってみてください。円山町のね、ちょっと寂れた雰囲気もとってもよく出ていました。 ということで私が紹介したのは、『ボクたちはみんな大人になれなかった』という11月5日から公開の作品です。

11月のおすすめ映画 文化放送「上地由真のワンダーユーマン」推薦
「ずっと独身でいるつもり?」 (© 2021日活)

上地    「今月のシネマログ」、トリは私、上地由真のおすすめ作品をご紹介します。私がご紹介するのは、11月19日から公開の『ずっと独身でいるつもり?』です。おかざき真理さんの同名コミックを実写映画化した作品です。 10年前に発表したエッセイが思わぬヒットとなり、一躍有名作家となった主人公・本田まみを田中みな実さんが演じています。まみは生きづらい女性たちの本音を代弁し、読者の支持を集めていましたが、近頃はヒット作を書けずに作家活動は迷走気味。 さらに36歳で独身であることをみんなから心配され、結婚を前提に交際している年下の恋人とはすれ違いも多く、悩みが尽きない日々。キャリアや今の暮らしに不満はないものの、「ずっと独身でいるつもり?」という周りからの問いかけに揺れ動いていきます…というストーリーです。
私もまさに同世代だし、独身なので、結構周りから「普通に結婚して、幸せになりなよ。」とか言われることとかもやっぱりあるんですよ。でも、なんかそういう、「自分が幸せだと思うこと」を大切にして生きていきたいな、っていうふうにこの作品を観て思いましたね。 男性が見てハッとする言葉とかって、あったと思うんですけども、女性から見てもいろいろ立場の違う女性に対して自然に言っちゃっている言葉とかに、自分もあったんじゃないかと思って、ハッとさせられたりする言葉が散りばめられたりしていて、立場の違う人のことを理解出来るというか…そういう作品でしたね。どうでしたか?

東     本当、まさしく…うんうん。これ、主人公は田中みな実さん演じる結婚をまだしていない作家の女性が主人公だけど、それ以外にも群像劇になっていて、いろんな女性が登場するんですよね。26歳のパパ活女子だったりとか、一人子供がいる丁寧な暮らし系インスタグラマー主婦とか、あとはみな実さん演じる作家のまみをウォッチャーしているツイッターやっている女性だとか。だからたくさんの視点があるんですけど、誰になったら一番感情移入出来るかな、なんて最初思っていたら、そうじゃなくて結局全員が戦っていることがわかるから。今って特にSNSとかでみんなの生活がすぐ見えてしまって、ちょっとでも心が弱くなっていると、誰かが羨ましいという葛藤といつも自分は戦っていて。 由真さんって、そういう感情ある?

上地    思わないようにしよう、って思う時点で、ちょっと思ってるんだろうなあ、みたいな。ねっ!ちょっと意識しちゃってるんだろうなっていうのはありますよね。

東     ああ、なるほどね~。たしかに。そういうのと常に対峙していなきゃいけないじゃない、誰かと。羨ましい願望と。それが時々自分の首をメチャクチャ絞めるな、っていう瞬間が・・・私ちょっと僻みっぽい性格だから、結構あって(笑)そう思った時にこの映画のことを思い出すと、みんな苦しんでみんな戦っていて、って思うとちょっとなんか気が楽になったというか…あったんですよね。

荒木    さっき東さんが言ったように映画を観る時は無意識であろう、意識的にであろう、誰かに感情移入するんですよね。出てくる人に。まあドキュメント映画なんかでも感情移入する場合がある。だけどね、今回、私、この出てくるキャラクターに誰にも感情移入が出来ない。って言うか、ですね、まあ男はもちろんなんですが、彼女の周りにいるかっこいいね、ノリがよくて明るいんだけど、社会の問題意識のかけらすらないような男は全然ダメ。なんだこいつら、って。

上地    アハハハ!

荒木    嫌いを通り越してね、不快なんですけども。女の人達に対しては、もう全くわからない。たぶん僕らなんかが・・・あ、なんか親の世代もちょっとね。なんであんな、娘に遠慮したりね、なんで自分の考え方を、親父がね、「よかった、よかった」って言うんだろう?ってね。顔を見りゃわかるだろう!って。そういう意味で言えば、私が全く感情移入出来ないっていうことは、私や私の世代に感情移入出来るようだったら、全くシンパシーを感じるようだったら、この映画ちょっとダメかな、と。むしろあなた達がそういうふうに出来て、私が感情移入出来ないっていうことが完成度の高い証拠かな、と。皮肉じゃなくて思ったんですね。
女性なんかに対しても、こんな今どき、耐える女性いるの?みんなガンガン行くでしょ?と。まあ、人にもよりますけども。徳永えりさんはともかく、少なくとも田中みな実タイプは、こういう…ね。あの人はないでしょう、このままでは、って。そういう感じはしたんですが。そういう意味で言えば、私にはもう全くわからない映画なんだけど、刺さったり、自分たちがすごく感動したら、それはそれで成功だったと思うの。

東     なんか本当に仲間が出来た感じ…映画という名の仲間が出来た感覚になれる。みんな格闘しているんだなって思うと、ちょっとだけ…勇気もらえるまでにはいかないけど。

上地    それぞれ頑張っているんだな、って。

東     うんうんうん。今の女性たちの悩みがね、詰まってましたよね。

上地    私、上地由真のおすすめ作品は、11月19日から公開の『ずっと独身でいるつもり?』でした。11月公開の映画作品の中から、それぞれの推しをご紹介しました。ぜひ映画館でチェックしてください。 映画評論家の荒木久文さん、映画ソムリエの東紗友美さん、ありがとうございました!

荒木・東  ありがとうございました!

■上地 由真
オーディションがきっかけで関西を中心に音楽活動開始。2007年シングル「shine day」などをリリース、以降全国各地でライブ活動やイベント参加。最近は女優としても活躍、舞台、映画などのジャンルにも進出。

■東 紗友美
映画ソムリエとしてTV・雑誌・ラジオなどで活動中。趣味は、映画ロケ地巡り。国内外問わず廻り、1年で100箇所以上ロケ地を訪れたことも。インスタグラムでも毎日映画に関する写真やコメントをほぼ毎日掲載中。

■荒木 久文
現在 複数のラジオ番組を中心に、新聞紙面 ニュースWEBなどに映画をテーマとした評論 批評 紹介 などの活動を展開。報知映画賞選考委員 ノミネート委員  日本映画ペンクラブ会員