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映画
第36回東京国際映画祭 ラインナップ発表
ナビゲーターに安藤桃子監督
(2023年9月27日21:45)
第36回東京国際映画祭(10月23日~11月1日)のラインナップ発表記者会見が27日、都内で行われ、コンペティション部門などの出品作品が発表された。またフェスティバル・アンバサダーに就任した安藤桃子監督、コンペ部門に作品が出品された小辻陽平監督、富名哲也監督が登壇した。
東京国際映画祭チェアマンの安藤裕康氏は、今年は作品数が219本で、去年の174本から25%増えたことを報告。また国際交流を強化したいとして「海外からもたくさんの方に来てもらい日本の映画人、一般の方々と交流していただく」と述べた。審査員や映画監督、映画バイヤーなど海外から600人以上の来賓を予定。審査委員長のヴィム・ヴェンダース監督、中国のチャン・イーモウ監督、俳優のトニー・レオンなども参加する。レッド・カーペットも昨年に続いて東京宝塚劇場前の特設会場で実施。また小津安二郎生誕120年記念特集上映など数多くの企画が行われる。
そして安藤チェアマンは「東京国際映画祭はアジアの映画祭」とのコンセプトを明らかにした。「アジアの国々との連携を強化してアジアの映画祭としての特色をより鮮明に出していきたい」と語った。上映作品の60%以上がアジアの作品で、海外のゲストの半分以上がアジアの人たちという。
■審査委員長・ヴィム・ヴェンダース監督「参加できるのは特別なこと」
今年の審査委員長は、「パリ・テキサス」(84)、「ベルリン・天使の詩」(87)や、今年のカンヌ国際映画祭で役所広司が最優秀男優賞を受賞した「PERFEXT DAYS」などで知られるドイツの巨匠ヴィム・ヴェンダース監督で、「東京国祭映画祭にまた戻ってこられることを嬉しく思います。以前の私の初めての審査委員長体験は本当にいい思い出しかなく、今でも当時の審査委員の人たちとは交流があり(中略)お互い”さん”をつけて、日本風に呼び合っています。今年の東京国際映画祭は私が敬愛する巨匠、小津安二郎監督の死後60年、生誕120年の記念すべき年に開催されるもので、そんな機会に参加できることはわたしにとって特別なことです」とコメントを寄せた。
■ナビゲーターに安藤桃子監督「ぶっ飛ぶほどの光栄」
東京国際映画祭のフェスィバル・ナビゲーターに就任した映画監督の安藤桃子さんは、同映画祭のポスターで着たコシノジユンコさんデザインの白の衣装を着て登壇し「今年からアンバサダーという名前がナビゲーターという肩書に変わったということは、すごく大きな東京国際映画祭さんの自信にも感じられます」と語った。コロナ禍を経て「これから私たちがどこに向かっていきたいか、その道を示していくのがナビゲーターだと思うので、ぶっ飛ぶほどの光栄を感じましたし、同時にいろいろ考えました」と語った。
また同映画祭のポスターで父親で俳優の奥田瑛ニと共演し「撮影では亡き映画監督や先人の方々が、どういう映画界にしてほしいかという思いをバトンでつないでいくという思いでた。胸がいっぱいになりました」と語っていた。
■コンペティション部門に15作品
コンペティション部門には、日本から稲垣吾郎主演の「正欲」(岸善幸監督、11月10日公開)、「曖昧な楽園」(小辻陽平監督)、「わたくしどもは。」(富名哲也監督)の3本のほか、中国から「西湖畔に生きる」(グー・シャオガン監督)、「ロングショット」(ガオ・ポン監督)、「雪豹」(ペマ・ツェテン監督)の3本など15作品が出品された。
「クォリティの高い作品がそろった。日本映画は昨年と同じ3本で、今年は中国映画が3本入った。いろいろ議論にはなったが作品のクオリティ重視で今年の特色」(市山尚三プログラミング・デイレクター)という。コンペ部門から「東京グランプリ・東京都知事賞」、審査員特別賞、最優秀監督賞、最優秀女優賞、最終週男優賞などが選ばれる。
コンペ部門に選ばれたされた『曖昧な楽園』の 小辻陽平監督と『わたくしどもは。』の富名哲也監督が登壇した。小辻監督は「この作品の きっかけになったのは、私の祖父が亡くなった時の最後の時間をもとにして映画を作りま した。曖昧で漠然とした瞬間を写したいと考え、実際の人生に近いような複雑であった り、漠然とした感覚に近い映画になれたならと思って作りました。」などと語った。
富名監督は「今回の 『わたくしどもは。』という作品は新潟県の佐渡島で撮ったのですが、1 作目『Blue Wind Blows』(18)も佐渡島で撮っており、メイン舞台の佐渡金山という場所を初め て訪れた時、その場所から得たインスピレーションを受けたものを映画にしました。」と作品に込めた想いを語った。
■アジアの未来部門とガラセレクション部門
アジアの未来部門には、日本から「違う惑星の変な恋人」(木村聰志監督)、「辰巳」(小路紘史監督)の2本など計10本が出品される。
ガラセレクション部門には、第80回ヴェネチア国際映画祭で金熊賞を受賞したエマ・ストーン主演の「哀れなるものたち」(ヨルゴス・ランティモス監督)や、同映画祭のNETPAC賞を受賞した塚本晋也監督の「ほかげ」、北野武監督の「首」、三池 崇史監督の「怪物の木こり」、金子修介監督の「ゴールド・ボーイ」、チャン・イーモウ監督の「満江紅(マンジャンホン)、アンディ・ラウ主演の「ムービー・エンペラー」など14本が上映される。
オープニング作品には前出のヴィム・ヴェンダース監督の「PERFECT DAYS」で、ゴジラ70周年記念作品「ゴジラ-1.0」(山崎貴監督)がクロージング作品として上映される。
【第 36 回東京国際映画祭 開催概要】
■開催期間:2023 年 10 月 23 日(月)~11 月 1 日(水)
■会場:日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区
■開催期間:2023 年 10 月 25 日(水)~27 日(金)
■会場:東京都立産業貿易センター浜松町館
■公式サイト:www.tiffcom.jp