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映画
シム・ウンギョン、「岩井俊二監督『リリイ・シュシュのすべて』に衝撃を受けた」 東京国際映画祭の審査員に選出
(2022年10 月26日10:20)
第35回東京国際映画祭の審査員に選ばれた女優のシム・ウンギョンが25日、コンペティション部門の審査委員の記者会見で、初めて見た日本映画、岩井俊二監督の「リリイ・シュシュのすべて(2001年)に「衝撃を受けた」ことなどを明かした。
■シム・ウンギョン「私の人生の中でとても大切な作品」
韓国映画「怪しい彼女」など数多くの韓国映画で活躍し、韓国映画を代表する実力派女優で、日本映画「新聞記者」で日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞。「7人の秘書 THE MOVIE」など日本でも活躍するシム・ウンギョンがコンペティション部門の審査員に選ばれた。
「今日この場にいることができてとても光栄に思っています。東京国際映画祭の関係者の皆様に感謝申し上げたいと思います。そして世界各国の素晴らしい映画人の皆さんとこの場に一緒にいられることを光栄に思っています」とあいさつし、中学生の時の日本映画との出会いについて語った。
「私が初めて日本映画を観たときのことを思い出すんですけれども、そのことを考えただけでもこの場に座っていられるのは感無量です。私が初めて日本映画を観たのは中学生の時でした。初めて観た作品は岩井俊二監督の『リリイ・シュシュのすべて』(2001年)という作品です。初めての日本映画だったんですが非常に衝撃を受けたことを覚えています。それ以前に観ていた映画とは全く違ったものだという感じがありまして、こういった構成の映画も存在するんだということを教えてくれました。そしてしばらく日本映画に夢中になってはまってしまったんですが、私の人生の中でとても大切な作品で、私の感受性を豊かにしてくれた作品でもあります」と明かした。
「ですので、この場にいられることは本当に言葉には表せないほどの気持ちです。そして優劣、順番をつけるのはふさわしくないとは思いますが、この場にいらっしゃる他の審査員の方に比べると、私は審査員としての素養がないかもしれないのですが、この機会を逃したくないと思いました。映画が持っている力を大勢の皆様と感じたいという思いがありましたので、今回東京国際映画祭の審査員を受けさせていただくことになりました」と意気込みを語った。
■柳島克己撮影監督「映画は何かしらの表現が映像表現」
柳島克己撮影監督は「ソナチネ」「アウトレイジ 最終章」などの北野武監督作品や綾瀬はるか主演の「劇場版 奥様は、取り扱い注意」(2021年)など数多くの映画の撮影監督を務めている。
「私は撮影現場でカメラをのぞいている裏方的な立場にいてこのような東京国政映画祭に参加できて光栄に思っています。作品を選ぶということに対して、普段撮影現場でいつも思っているのは、映画というのは何かしらの表現が映像表現されると思っています。どんな作品も映像表現を僕らが現場で行わなければならないのですが、その辺も楽しみにして臨んでまいります。ぼくの映画祭のイメージというのは一観客として思えばいろんな種類の作品がいっぱい出てくるんですけれども、実際にい映画祭に参加してみると、数多くの本当に膨大な作品の中から数多くの人が時間をかけて選んだものが起用されるものだと思います。それなので、これから審査にあたるのも含めて異論亜鉛がに出会えるのを楽しみにしています。今回審査員の方も機能初めて会ったんですけれど、票のフレンドリーな感じで一緒に食事をしたり、機能はレッドカーペットも歩かせてもらい、これからの最終選考までが楽しみに思います」
■ジョアン・ペドロ・ロドリゲス監督「映画や芸術は希望」
コンペ部門の審査員を務めるだけでなく、今回は自身の作品「この通りはどこ?あるいは、今ここに過去はない」と「鬼火」の2本が「ワールド・フォーカス部門」で上映される。
「初めて日本に来たのは1999年でした。影響を受けた日本の映画の場所を訪れることができて感動的な体験をしましたし、大変すばらしい文化に触れることもできました」と日本映画について語った。
そして「2年を経過してやっと劇場に足を運ぶことができるようになってきています。映画を鑑賞するという体験を共有するということ、またこの映画祭で審査員のみなさと共にたくさんの作品を観ることができてとてもワクワクしています。映画は言語としてとても個性のあるものだと思います。国によって違いもありますが、映画というのは普遍的で感動的なものでもあります。パンデミックだけではなく様々な困難な状況があるなかで、映画や芸術は希望であります」と語った。
■マリー・クリスティーヌ・ドゥ・ナヴァセルさん「日本映画との最初の接点は小津安二郎監督の『東京物語』」
マリー・クリスティーヌ・ドゥ・ナヴァセルさんは元フランスのアンスティチュ・フランセの館長で、日本との最初の接点は小津安二郎監督の「東京物語」だったという。ポンピドーセンターでドキュメンタリーの映画祭を手掛けたという。
「ヨーロッパではコロナ禍でロックダウンもあり、劇場は閉鎖されてしまっていたので2年間大きなスクリーンで映画を観ることができなかったので、家にいてNetflixで映画を観るという大きな変化がありました。フイルムメーカーたちはそのような状況の中でも映画に撮影をしていたんです。それが映画の強さでもあります。ウクライナでも映画が作られていますしとても良いことだと思います。今回大きなスクリーンで新しい作品を観ることができて大変うれしく思います」と語った。
■ジュリー・テイモア審査委員長「黒澤作品の『羅生門』が私の人生を変えた」
審査委員長を務めるジュリー・テイモアさんは演劇・オペラ演出家で映画監督として活躍している。
「15歳のころ初めて見た外国映画が黒澤作品の『羅生門』で、この映画に出会ったことで私の人生が変えられました。彼がいらっしゃったから私は映画監督になった。そして今回世界中から集まった仲間たちとたくさん映画を観ることができるということと、この映画祭では黒沢監督をたたえる(黒澤明賞が今年の東京映画祭で復活)ことができて大変うれしく思っています。彼は本当に達人で、美しさ想像力そしてストーリーテリングも本当に素晴らしく秀でた作品がたくさんあります」と黒澤明監督について語った。。
「人間にとってとても大切なものは想像力です。今はあまりにもリアルすぎて醜い状況になっております。映画というものはダークな物語も大変美しい形で伝えることができるということで、私たちの心が開かれるんですね。ですから今回、審査員の皆様と選ばれた作品を拝見しながら、文化を超えて、われわれがほめてあげられるような、映画館に行こう劇場に行こう、足を運ぼうと思ってくれるような、アイフォンで映画を鑑賞するということではなく、生の舞台で生の芸術を拝見するという気持ちにしてくれるものに出会いたいという話をしています」と語った。