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第34回東京国際映画祭開幕 審査委員長イザベル・ユペール、アンバサダー橋本愛らがレッドカーペット
(2021年10月30日23:50)
第34回東京国際映画祭が30日、開幕した。コンペティション部門には世界各国からの応募作品の中から選ばれた15本の作品が上映され、フランス女優イザベル・ユベールが審査委員長を務め最終日の11月8日に各賞が決定する。
30日には東京国際フォーラムでレッドカーペットが実施され、オープニングセレモニーが行われた。レッドカーペットにはフェスティバル・アンバサダーの女優橋本愛、コンペ部門国際審査委員長の仏女優イザベル・ユペール、青山真治監督、米映画批評家で音楽家のクリス・フジワラ、ローラ・ティー、映画音楽作曲家でシンガーソングライターの世部裕子をはじめ総勢42人の豪華メンバーが登場した。
オープニングセレモニーでは冒頭に映画祭の安藤裕康チェアマンが登壇して、これまで17年間は六本木を中心に行われてきたが「さらに映画祭のお客様の層を広げたい」ということで伝統のある映画の街の銀座・有楽町・日比谷で行うことになったことを説明。そしてプログラミング・ディレクターも長年東京フィルメックスの作品選定を手掛けてきた市山尚三氏に17年ぶりに就任してもらい「各部門の改編や作品の質の向上に努めて頂いた」という。「これからの10日間は映画を愛するすべての方々にとって国境を越えて学びと共感の場になることを願いつつ、ここに第34回東京国際映画祭の開会を宣言致します」と力強く開会宣言した。
そして岸田首相からのビデオメッセージが上映され「新型コロナウイルスとの闘いが依然として続く中、今回のようなリアルとオンラインを織りまぜた新しい形での映画祭の開催を実現されたのは、皆様の創意工夫とご尽力のたまものです」などと述べた。
■フェスティバル・アンバサダー橋本愛が”映画愛“を熱弁
続いて今年の東京国際映画祭の“顔”となるフェスティバル・アンバサダーの女優・橋本愛が登壇。司会の中井にレッドカーペットの感想を聞かれて「コロナ以前はレッドカーペットもまわりにお客さんがいらして、年に1度のまれにみる皆さんと交流できる楽しいイベントという感じがあったので、去年や今年はすごく熱気を感じるようなことがなくても、今年こういう状況で映画祭が開かれのはたくさんの人が力を注いで開催できたと思うので、ありがたみを噛みしめるような時間でした」と語った。
そして「今年の映画祭のテーマの一つが『越境』、『ボーダーを越える』ということが、“ポストコロナ”における映画との関わり方はどのように変わってくると思いますか」とやや難解な司会の質問に「ええ―、どうでしょうねえ…私個人的にはどうなんだろうな、あまり変わらないんじゃないかなとも思うんですけど」とした上で、以下のように持論を展開した。
「いろんなボーダーがあって、それこそ男女の性別のことだったり、各国のそれぞれの物理的なボーダーもありますし、文化の違いだったり、いろんな問題があって、そこをお互い違いを認め合いながら、でもお互い対応するにはどうしたらいいかというのを現実的に考えてゆくというのが人とのつながりの中で大事なことだなと思っています。そういう知識だったりとか、今を生きている人たちのことだったり、感性っていうのを育てていくのが映画の役目としてすごく大きいものだと思うので、映画を通してそういう知識を、日本という国に対しても世界の国に対しても広げていってくださっているのは、今を生きる一人の人間としてすごくありがたいことだなと思っています」と語った。
そして「映画館にも足を運んで、東京国際映画祭にも毎年参加していただいている橋本愛さんですが、お勧めしたい日本の映画館の魅力って何かありますか」との質問に「海外の映画館にあんまり行ったことがないので違いだったりっていうのが分からないんですけど…例えば、東京の名画座だったり、ミニシアターだったりっていうのは結構足を運ばせてもらっていて思うのは、その場所その場所で全然カラーも違うし空気感も違ったり、座席の質感も違ったりとか、あとどんな映画を上映するのか、そこの映画館でしか味わえないものっていうのが建物の中に空間の中にあるっていうのがすごく大好きなところなので、その場所のそこにしかないっていう特別感がすごく好きです」と語った。
その後、今年の映画祭の各部門やトークシリーズなどの全容が紹介され、各部門の審査員が紹介された。最後に青山真治監督、クリス・フジワラ、ローナ・ティー、世武裕子ら国際審査員と国際審査委員長を務めるフランス女優イザベル・ユペールが登壇。
ユベール審査委員長が「このようなコロナ禍の中での映画作りというのは非常に大きなチャレンジであります。そしてこのよう形で映画祭が開催されたというのは勝利だと思います。わしは他の審査員と共にここに立っていることにとても光栄に思います。安藤チェアマン、そして市山さんにとても感謝しています。私たちは一緒に映画を観たいと思います。それが一番のコロナ禍において私が言いたかったことだと思います。今回作品はとても素晴らしいセレクションだと思います。私たちは映画祭が必要です。そして映画祭は私たちを必要としています。皆さんありがとうございます」とスピーチして大きな拍手が会場を包んだ。
セレモニー終了後にはオープニング作品のクリント・イーストウッド監督50周年記念作品「クライ・マッチョ」が上映された。
(第34回東京国際映画祭、開催期間:2021年10月30日(土)~11月8日(月) 会場:日比谷・有楽町・銀座地区 公式サイト:www.tiff-jp.net)
映画祭の概要は以下の通り。
■コンペ部門の15作品
コンペ部門では世界各国・地域の応募作品の中から厳選された15作品が上映されて最終日の11月8日に各賞が発表される。
作品はフィリピンのミカエル・レッド監督の「アリサカ」、アゼルバイジャンのヒラル・バイダロフ監督の「クレーン・ランタン」、スリランカのアソカ・ハンダガマ監督の「その日の夜明け」、トルコのバフマン・ゴバディ監督の「四つの壁」などの作品がワールドプレミア(世界初上映)される。
日本からは池松壮亮と伊藤沙莉が共演する松井大吾監督の「ちょっと思い出しただけ」と、黒沢清監督「スパイの妻」(2020年)、濱口竜介監督の「ハッピーアワー」(2015年)の共同脚本を担当した野原位監督の劇場デビュー作「三度目の、正直」が選ばれた。
■「アジアの未来部門」などの特集
「アジアの未来部門」では長編3本目までのアジアの新鋭監督の作品を上映する。すべてがワールドプレミアとなる10作品が上映される。日本からは奥田裕介監督の「誰かの花」、安川有果監督の「よだかの片想い」が選ばれた。
「日本映画クラシックス」では森田芳光監督没後10年を記念して「家族ゲーム」(4K修復版)を上映。さらに「田中絹代監督特集」として日本を代表する女優で女性監督の草分けだった田中絹代の監督作品を特集。「月は上りぬ」(1954年)、、「乳房よ永遠なれ」(1955年)、「流転の王妃」(1960年)、「お吟さま」(1962年)が4Kデジタル復元版などで上映される。
■「トークシリーズ@アジア交流ラウンジ」
是枝裕和監督を中心とした検討会議メンバーの企画として、アジアを含む世界各国・地域を代表する映画人と第一線で活躍する日本の映画人が語り合う「トークシリーズ@アジア交流ラウンジ」が開催される。今年のテーマは「越境」で、様々な「境(ボーダー)」を越えることを含めて映画にまつわる思いや考えを語り合う。ユペールと濱口竜介監督(10月31日)、チャン・チェンと是枝裕和監督(11月1日)、ポン・ジュノ監督と細田守監督(11月7日)などの対談が開催期間中連日行われる。
■「ジャパニーズ・アニメーション部門」
「ジャパニーズ・アニメーション部門」の特撮特集では、生誕50周年を迎えた「仮面ライダー」に焦点を当てた様々な催しが行われる。「仮面ライダー」の上映(10月31日、角川シネマ有楽町)では初代レジェンド・仮面ライダー1号/本郷猛役の藤岡弘が登壇。また「仮面ライダーBLACK」の上映回(11月2日、同)では仮面ライダーディケイド/門矢士役の井上正大、仮面ライダーアギト/津上翔一役の賀集利樹が登壇する。そして、製作者によるシンポジウムが開催され、金田治監督、三条陸(脚本)、白倉紳一郎(プロデュ―サー)が仮面ライダーシリーズのこれからを語る。
さらに日比谷野外上映では,昨年スーパー戦隊シリーズ特集で話題となったオンライントークイベントを「仮面ライダー」シリーズで実施する。