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第35回東京国際映画祭閉幕 「ザ・ビースト」が東京グランプリなど3冠 稲垣吾郎主演「窓辺にて」観客賞
(2022年11月2日19:45)
第35回東京国際映画祭のクロージングセレモニーが2日、東京・千代田区の東京国際フォーラム開催され、「ザ・ビースト」(ロドリゴ・ソロゴイェン監督)が東京グランプリ、最優秀監督賞、最優秀男優賞(ドゥニ・メノーシェ)の3部門を受賞した。日本映画では稲垣吾郎主演の「窓辺にて」(今泉力哉監督)が観客賞を受賞。また黒澤明監督作品にスクリプターなどで携わった製作の野上照代さんに特別功労賞が授与された。
■ジュリー・テイモア審査委員長「ザ・ビースト」は「並み外れた映画でまさに傑作」
東京グランプリの「ザ・ビースト」について審査委員長の演劇・オペラ演出家で映画監督のジュリー・テイモア氏は「心理スリラーであり、深く感動的なラブストーリーであると同時に、階級の格差、そして外国人排斥、都市と農村の生存の間の隔たりについて重層的に解説する並み外れた映画でまさに傑作です。脚本は実際の出来事に基づいた複雑で魅力的な物語であるだけでなく、演技、演出、音楽、撮影などあらゆるレベルで優れています、緊張が高まり避けられない暴力が噴出しようとしているのを感じます。監督は重荷を背負った獣が男同士の戦いに挑むという、非常に刺激的で感情的な作品に仕上げてくれました」と称賛した。
ラテンビート映画祭のプロデュサーでプログラミングディレクターのアルベルト・カルロ・ルゴ氏が代理で登壇し小池都知事からトロフィーと賞状を受け取った。
ロドリゴ監督はビデオメッセージで「最優秀監督賞と東京グランプリ/東京都知事賞の2つをいただけるなんて本当にうれしいです。この2つの賞を受賞できることを心より光栄に思います。東京国際映画祭と審査委員の皆さま、ありがとうございます。授賞式に参加できないのは残念ですが、『ザ・ビースト』や映画祭、そして素晴らしい東京という街を楽しんでいただければと思います。本当に嬉しいです」と喜びを語った。
■審査委員シム・ウンギョン「梨泰院の事故に心から哀悼の意を表します」
審査委員の韓国女優シム・ウンギョンは、最優秀男優賞のプレゼンターとして登壇した際に、「受賞者の発表前に10月29日に発生した梨泰院の事故に心から哀悼の意を表します。謹んで故人のご冥福をお祈りいたします」と述べて頭を下げ、ハロウィーンで韓国・ソウル特別市の繁華街・梨泰院に集まった若者らの混雑の中で発生した群衆雪崩で156人の死者を出した事故の犠牲者を追悼した。
■観客賞の今泉力哉監督「稲垣吾郎さんが先日コロナにかかって…」」
観客賞を受賞した稲垣吾郎主演「窓辺にて」(4日公開)の今泉力哉監督が登壇して、「私の作品はすごく個人的な悩みというか、小さな悩みというか、特に恋愛映画をずっと作り続けてるんですけど、世界に戦争だとかジェンダーの問題だったりとか、さまざまな問題がある中で、本当に小さな映画の題材にならないような、ほんとに小さな小さな取るに足らないような悩みとか、個人的な問題とかを恋愛を通じて、また笑いもコメディ的なことも含めて描こうと思って今まで作り続けています。映画に限らずですけど小説とかそういうものは、大きな問題を取り上げて、それについて語るものとしての側面があると思うんですけど、自分は主人公も受動的であったり自ら行動できなかったりとか、見過ごされるような小さな問題について描きたいということで作り続けています」と自身の映画作りについて語った。
そして稲垣が10月31日に新型コロナウィルスに感染して次滝療養中であることを発表したことに言及して「今回ご一緒した稲垣吾郎さんと一緒に作ってるんですけど、先日コロナにかかって、公開の初日にも大事をとって登壇できないみたいな状況があります。まだまだ戦争だけじゃなくてコロナもありますし世界もいろんな問題がありますが、全部ネガティブにとらえるんじゃなくて、そこにある小さな喜びとかそういうものについてこれからも自分なりにできることや考えることを考えて作って行こうと思います」と語った。
■第35回東京国際映画祭:各賞
【コンペティション部門】
東京グランプリ/東京都知事賞 「ザ・ビースト」
審査委員特別賞 「第三次世界大戦」(ホウマン・セイェディ監督)
最優秀監督賞 ロドリゴ・ソロゴイェン(「ザ・ビースト」)
最優秀男優賞 ドゥニ・メノーシェ(「ザ・ビースト」)
最優秀女優賞 アリン・クーペンヘイム(「1976」)
最優秀芸術貢献賞 「孔雀の嘆き」(サンジーワ・プシュパクマーラ監督)
特別功労賞 野上照代(製作)
観客賞 「窓辺にて」(今泉力也監督)
【アジアの未来部門】
作品賞 「蝶の命は一日限り」(イラン)
【Amazon Prime Videoテイクワン賞】 該当なし
クロージングセレモニー終了後にクロージング作品として、黒澤明監督の「生きる」を英国で再映画化した「生きる LIVING」が上映された。