アカデミー賞助演女優賞のアリアナ・デボーズ、クィアの人たちに呼びかける「私たちの居場所は確かにある」

(2022年3月29日17:30)

アカデミー賞助演女優賞のアリアナ・デボーズ、クィアの人たちに呼びかける「私たちの居場所は確かにある」
アリアナ・デボーズ(Instagram/@@arianadebose)

スティーブン・スピルバーグ監督の「ウエスト・サイド・ストーリー」でアニータ役を演じて第94回アカデミー賞助演女優賞を受賞したアリアナ・デボーズ(31)が29日、自身のインスタグラムに受賞した時の動画を投稿して、「自分のアイデンテティに疑問を感じたり」している人たちに「私たちの居場所は確かにある」と訴えた。

ナタリー・ウッドとジョージ・チャキリスなどが出演して大ヒットしたミュージカル映画「ウエスト・サイド物語」(1961年)をスピルバーグ監督がリメイクした「ウエスト・サイド・ストーリー」(2021年)で、マリア(レイチェル・ゼグラー)の兄の恋人アニータを演じて、下馬評通りオスカーを手にしたデボーズは、父親がプエルトリコ人で、母親がアフリカ系とイタリア系の血を引く。またクィアを公表している女優としても知られる。クィアとはLGBTQの「Q」にあたり、自身の性自認や性的指向が定まっていない、もしくは意図的に定めていないセクシャリテイとされる。

デボーズは一夜明けた28日(現地時間)、インスタグラムで「自分のアイデンテティに疑問を感じたり、グレーな空間で生きている自分に気づいたりしたことがある人へ、私は約束します。私たちの居場所は確かにあるのです」とつづった。

受賞のスピーチでは「(プエルトリコ出身の)アニータがアメリカにいたいと思う理由が分かった。嫌なことの多い世の中でも夢はかなうからです。勇気づけられます」と語った。そして「私を導いてくれた全員に感謝の言葉を述べるとしたら来年の授賞式までかかってしまいます。とにかくあの熱い時間を共に過ごせたことに感謝しています。スピルバーグ監督に感謝します。ずっとついていきます」と関係者や監督に感謝の言葉を述べた。
さらに「そして素晴らしいリタ・モレノにも感謝します。あなたのアニータが道を切り開いてくれた」とオリジナル版の「ウエスト・サイド物語」でアニータを演じてアカデミー賞助演女優賞を受賞したプエルトリコ出身の女優で、今回の新作にも出演し授賞式に出席していたリタ・モレノに感謝した。
そして最後に「クィアのアフロ・ラテン系女性が芸術を通して強くなれた姿を祝いたい。 だから自分のアイデンテティを疑ったり悩んだりしている人へ、私たちの居場所は確かにあります」と締めくくって大きな拍手を浴びた。

デボーズはクィアを公表している有色人種として初めてアカデミー賞を受賞した女優となり、多様性を重要視している近年のアカデミー賞のシンボル的存在の一人となった。ほかにも昨年のクロエ・ジャオ監督(「ノマドランド」)に続いて今年はジェーン・カンピオン(「パワー・オブ・ザ・ドッグ」)と2年連続で女性監督の監督賞受賞。聴覚障害者の俳優トロイ・コッツァ―(「コーダ あいのうた」)の助演男優賞なども注目を集めた。

【関連記事】
ウィル・スミス、ビンタしたクリス・ロックにSNSで謝罪
ウィル・スミス、アカデミー賞授賞式でプレゼンターにビンタ「妻の名前を口に出すな!!」
第94回アカデミー賞、作品賞「コーダ あいのうた」、監督賞ジェーン・カンピオン、「ドライブ・マイ・カー」国際長編映画賞
ショーン・ペン、アカデミー賞授賞式でゼレンスキー大統領の演説拒否なら「授賞式ボイコット」を呼びかける
アカデミー賞発表直前、米誌「ハリウッド・リポーター」が「誰が勝つのか、誰が勝つべきなのか」特集 「ドライブ・マイ・カー」は作品賞、脚色賞を「受賞すべき」 「ウエスト・サイド・ストーリー」のレイチェル・ゼグラー、アカデミー賞授賞式のプレゼンターに
「ウエスト・サイド・ストーリー」のレイチェル・ゼグラー、アカデミー賞授賞式に招待されてなかった 第94回アカデミー賞「ドライブ・マイ・カー」日本映画初の作品賞ノミネートの快挙 監督賞、脚色賞、国際長編映画賞も
英国アカデミー賞、ベネディクト・カンバーバッチがウクライナ連帯表明 「ドライブ・マイ・カー」非英語映画賞
東京国際映画祭が「ウクライナ・ロシア情勢に関する声明」発表
第45回日本アカデミー賞「ドライブ・マイ・カー」最優秀作品賞、最優秀監督賞、最優秀主演男優賞など8部門独占 米ISA授賞式で司会者がプーチン大統領に中指 クリステン・スチュワートも呼応 「ドライブ・マイ・カー」が国際映画賞
第95回キネマ旬報ベストテン、濱口竜介監督の「ドライブ・マイ・カー」5冠
「三度目の、正直」公開記念イベント、濱口竜介監督と野原位監督がトークショー
米アカデミー賞、ショートリスト発表 国際長編部門に濱口竜介監督「ドライブ・マイ・カー」
第79回ゴールデングローブ賞のノミネーション発表 濱口竜介監督「ドライブ・マイ・カー」が非英語映画賞にノミネート
濱口竜介監督「ドライブ・マイ・カー」ニューヨーク映画批評家協会賞で日本映画初の作品賞受賞
第34回東京国際映画祭:コンペ正式出品「三度目の、正直」ワールドプレミアで監督・出演者登壇
第74回カンヌ映画祭、濱口竜介監督らが日本映画初の脚本賞
ベルリン国際映画祭授賞式 銀熊賞「偶然と想像」の濱口竜介監督が受賞スピーチ
濱口竜介監督の「偶然と想像」がベルリン国際映画祭で銀熊賞受賞