-
ハリウッド特急便
ジョニー・デップの弁護士、アンバー・ハードから賠償金14億円を徴収しない可能性を示唆?
(2022年6月9日22:20)
ジョニー・デップ(58)の弁護士が、デップがアンバー・ハード(36)から賠償金の徴収をしない可能性を示唆した。デップは名誉棄損裁判で勝訴したことで目的を果たしたと考えているという
米紙ニューヨーク・ポスト(電子版)によると、デップの弁護士は8日(現地時間)、米ABCテレビの朝の情報番組「グッド・モーニング・アメリカ」に出演して、ハードから賠償金1040万ドル(約13億8700万円)の支払いを徴収しないかもしれないことをほのめかし、最終的にデップの「完全勝利」に満足していると主張した。
デップの弁護士の一人であるベン・チュー氏は「デップさんにとって、これ(名誉棄損裁判)は決してお金の問題ではありません。これは彼の評判を回復するためのもので、彼はそれをやり遂げたのです」と語った。「デップさんの完全勝利だった」としている。
チュー氏は同日、米NBCテレビの「TODAY」のライブインタビューでハードが上訴してこの評決を覆す可能性を否定した。「我々は、(ハードの)上訴を成功させることを正当化するような間違いはないと、非常に自信を持っています」と語った。
チュー氏と一緒に同番組に出演したデップのもう一人の弁護士カミール・ヴァスケス氏は、ハードのチームがデップの勝利を「女性の権利と#MeToo運動への打撃」と呼んだことを「残念だ」と述べた。「勝利の鍵は、事実と証拠、そしてジョニーが初めて真実を語る機会に焦点を当てたことです」と語り、勝訴は「6年の歳月をかけたもの」と主張。「(ハードに対する)すべての質問は、彼女が以前に言ったことに関連していました。そして、陪審員はそれを見ることができ、世界はハードさんから、カップルの毒性の関係の真実について聞くことができたと思います。私たちは、その証拠が物語っていると信じています。陪審は、これらの事実に基づいて、全会一致で決定を下したのです」と語った。
デップは「陪審員は私の人生を取り戻してくれた」と述べた。そしてデップの弁護士2人は「ソーシャルメディアがバージニア州の裁判所の7人の陪審員を不当に揺さぶった」という指摘を否定した。また、チュー氏は、デップがSNSで受けた圧倒的な支持が組織的なキャンペーンの一環だったと示唆するのは「全く馬鹿げているし根拠もない」と述べた。
ヴァスケス氏は、デップのチームがファンなどの支援の後押しをしたのか、あるいはそのためにお金を払ったのかと問われ、そのような主張は「断じて誤りだ」と述べた。そして「ジョニーは自分の問題を抱えていました。彼はアルコールと薬物の問題について非常に率直だった。彼は、彼が書いたいくつかの不幸な文章(知人などに送ったメールでハードを中傷)について率直でした。そして、それは何に対しても責任を取らなかったハードさんとは対照的だったと思います」と指摘した。
さらにチュー氏は、評決についてデップが「大喜びしている」と述べた。「世界の重荷が彼の肩から降ろされた。彼は自分の人生を取り戻したのです」と述べた。
一方、ヴァスケス氏は、注目の裁判から得た自身の思わぬ名声にも言及した。「それは超現実的であり少し圧倒されている」と語った。「しかし、ロースクールに行き、勉強し、一生懸命働きたいと思う若い女性にインスピレーションを与えることができれば、それはすべて価値があったのです」と語った。
一方、ハードの広報担当者は声明で「ジョニー・デップの弁護団が、女性が法廷でどのように扱われるかについて数十年後退させる勝利を選んだことは、プロフェッショナルでないし見苦しいことです」と非難した。ハードの弁護士エレイン・ブレデホフトは敗訴から一夜明けた2日朝(現地時間)、同「TODAY」など行近のマスコミのインタビューに応じ、「アンバーを悪魔化し証拠を隠滅する」とデップチームを非難した。また、ハードのチームは、デップがTikTokに投稿し、世界から広く支持されていることを自慢していることに対しても怒りをあらわにした。ハードの広報担当者は声明で「ジョニー・デップは『前進している』と言うが、女性の権利は後退している」といい「DVの被害者に対する評決のメッセージは、『立ち上がり声を上げることを恐れてください』というものです」と主張した。
ハードの弁護士は2日(現地時間)、「TODAY」に出演して「賠償金は払えない」と言い「上訴する意向」と語っていた。これに対してデップは「完全勝利」したとして「賠償金を取り立てることはしない可能性」を示唆したという。だが、「裏を返せばハードの資産を差し押さるなどして賠償金を取り立てないから上訴はやめるようにと言っているようにも取れる。今回の裁判は世論の影響を受けやすい陪審員が審理してデップ勝訴の評決を下したが、上訴すればプロの判事が判断するので評決が覆る可能性も捨てきれない」(事情通)という指摘も。はたしてワシントン・ポストに寄稿したハードのコラムをめぐる名誉棄損裁判の第2ラウンドはあるのか成り行きが注目される。
■ジョニー・デップVSアンバー・ハードの”バトル“の経過
2012年に「ラム・ダイアリー」で共演したのがきっかけで恋愛関係になり、同年デップは長年のパートナーだったヴァネッサ・パラディ(45)との破局を発表。14年にハードと婚約して翌年2月に結婚した。
だがわずか1年3か月の結婚生活で、16年5月にハードが離婚を申請。酒に酔ったデップからDVを受けていたとして、あざができた顔写真を公開して波紋を広げた。デップはDVを否定していたが17年8月にデップが700万ドル(約7億6300万円)を支払うことで離婚が成立した。これで一件落着かと思われたが、デップが反撃して泥沼の裁判闘争が続いた。
2018年10月、デップが雑誌「GQ」(英国版11月号)のインタビューで、ハードに対するDVを全面否定して、ハードのDV告発で「シンデレラからカジモド(「ノートルダム・ド・パリ」の登場する醜悪な容姿の男)にされた」などと激しく非難。さらにハードが同年12月ワシントン・ポストに手記を寄せて、(デップの名前は出さず)DVを告発したら脅され、決まっていた役を降ろされるなど報復されたと主張して、そうした米国の文化・社会構造を変える必要があるなどと訴えた。
その後デップが「ワイフ・ビーター」(妻虐待夫)と報じた英紙「サン」を訴え、さらにワシントン・ポストに手記を書いたハード本人を名誉棄損で提訴した。ロンドンの裁判所で行われたデップが「サン」を訴えた名誉棄損裁判では、2人が法廷で直接対決して、壮絶な夫婦喧嘩やデップのベッドにウンチが置かれていた“ウンチ事件”、デップの指切断事件、デップのドラッグ使用歴、ハードの3P疑惑など前代未聞の暴露合戦が繰り広げられた。
2020年11月、判事は「サン」の記事は「おおむね事実」と認定して名誉棄損の訴えは棄却されデップは敗訴。控訴も棄却されデップの敗訴に終わった。
2022年4月12日(現地時間)、ハードが2018年12月に米紙ワシントン・ポストに寄稿したコラムで名誉を棄損されたとしてデップがハードに5000万ドル(約62億5000万円)の巨額賠償金を請求した訴訟が米バージニア州フェアファックスの裁判所でスタート。双方のさまざまな証人が証言し約6週間続く予定。ハードは、デップが匿名のアカウントを使って誹謗中傷を繰り返したなどとして1億ドル(約125億円)を請求して”倍返し“の反訴をしている。
2022年6月1日(現地時間)、米バージニア州の裁判所の陪審が、デップがハードのコラムを名誉棄損として500万ドル(約63億円)の損害賠償を請求した訴訟について、名誉棄損を認めてハードに1500万ドル(約20億円)の賠償支払いを命じた。一方、ハードがデップに1000万ドル(約130億円)の損害賠償を請求して反訴した名誉棄損の訴訟について、デップ側に200万ドル(約2億6000万円)の支払いを命じた。