映画「ラスト」誤射死傷事件で武器担当に禁固1年6月の実刑判決

(2024年4月16日11:00)

映画「ラスト」誤射死傷事件で武器担当に禁固1年6月
ハンナ・グティエレス=リード被告(X/@CourtTV)

2021年に米ニューメキシコ州の西部劇映画「ラスト」(原題:Rust)の撮影現場で、主演のアレック・ボールドウィン(66)が撃った銃に実弾が入っていて、撮影監督ハリナ・ハッチンズさんに当たり死亡した事件で、過失致死罪で有罪評決を受けた武器の小道具担当のハンナ・グティエレス=リード被告(26)に対して、同州の連邦裁判所は15日(現地時間)、禁錮1年6月の量刑を言い渡した。同様に過失致死罪で訴追されたボールドウィンの裁判は7月に行われる。

米紙ニューヨーク・ポスト(電子版)によると、グティエレス=リード被告は手錠をかけられ、カーキ色の拘置所用の服と白い長袖Tシャツを着て入廷した。その後、ハッチンズさんの友人や家族数人が、ハッチンズさんの死が彼らに与えた影響について感情的に語った。

映画「ラスト」誤射死傷事件で武器担当に禁固1年6月
小道具の武器担当グティエレス=リード被告(Voices of the West/Facebook)

裁判所のメアリー・マーロウ・ソマー判事は、グティエレス=リードに対し、「安全な武器を致命的な武器に変えた」と指摘。「あなたのしたことは重大な暴力犯罪にあたる」として、過失致死罪の最高刑である禁錮1年6月の判決を言い渡した。実刑判決を受けグティエレス=リード被告は号泣したという。

ハッチンズさんの母親オルガ・ソロヴェイさんは、「彼女の死は私の人生を台無しにしました。母親なしで成長する子供を見ていると、胸が張り裂けそうですなどと訴えていた。

「ラスト」誤射死傷事件 兵器係ハンナ・グティエレス=リード被告に過失致死罪で有罪評決
アレック・ボールドウィン㊧とハリナ・ハッチンズさん(Voices of the West/Facebook)

■映画「ラスト」誤射事件

事件は2021年10月21日(現地時間)、米ニューメキシコ州のロケ地で西部劇「ラスト」のリハーサル中に起きた。教会のセットでボールドウィンが小道具の銃を発砲し、実弾が発射され撮影監督のハリナ・ハッチンズさん(当時42)の胸に当たり死亡、彼女を体を貫通した銃弾が近くにいたジョエル・ソウザ監督(48)の肩に当たり負傷した。

21年12月、ボールドウィンは米ABCニュースのインタビューで「引き金は引いていない」「銃に実弾が入っていたとは知らなかった」などと語った。ハッチンズさんの死は事故であり、自分に責任はないと主張。スタッフは銃に実弾が入っておらず、適切に空砲が装填されていることを確認するべきだったとしている。また、引き金は引いてなく、拳銃の撃鉄を戻した後、銃が勝手に暴発したなどと主張していた。
現地の検察当局は2023年3月に過失致死罪で訴追したが同年4月に訴追を取り下げていた。小道具の武器担当だったハンナ・グティエレス=リードが過失致死罪で訴追されており、ボールドウィンは映画のエグゼクティブプロデューサーだが、日々の決定を下す立場になかったことで検察が訴追を断念したのではないかと報じられた。
24年1月、カリフォルニア州サンタフェ郡検事局がボールドウィンを再び訴追して7月に裁判が行われることが決まった。

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