アレック・ボールドウィン「引き金を引いていない」「私に責任はない」 誤射事件後初のインタビューで語る

(2021年12月3日12:15)

アレック・ボールドウィン「引き金を引いていない」「私に責任はない」 誤射事件後初のインタビューで語る
ABCテレビのインタビューに答えるアレック・ボールドウィン (YouTubeより)

米俳優アレック・ボールドウィン(63)が主演映画「ラスト」撮影中に小道具の銃の誤射で2人が死傷した事件で初めて米ABCテレビのインタビューに応じて「私は銃の引き金を引いていない」「私に責任はない」などと語った。ABCテレビが1日(現地時間)、インタビューの一部を公開した。

ボールドウィンはABCテレビのジョージ・ステファノプロスに「引き金を引いていなかったということか?」と聞かれて「ノー、ノー、ノー。私は誰にも銃を向けなかったし、引き金を引いていない、決して」と断言した。
「セットでどうやって(小道具の銃に)実弾が装てんされたのか?」との質問には「わからない。誰かが実弾を銃に込めた。実弾がセットにあるとは思いもよらなかった」と語った。
「妻で母親で我々の仲間から深く愛されていたハリナ・ハッチンスさんの命を奪った悲劇的な事故のショックと悲しみは言葉には言い表せない」というボールドウィン。一方でインタビューでは「誰かが責任を負っている…でも私ではないことはわかっている」と自分には責任はないと主張した。
ボールドウィンはさらに、指示通りに彼女に銃を向けて…撃鉄を引いてから離した。その時に銃が爆発したという。引き金には触っていないと語った。
ボールドウィンは、何度も悪夢にうなされ、もう映画を作りたくないと語った。これまでに起こった最悪の出来事だという。悲しみと怒りは感じているが、罪悪感はないという。もし、自分に責任があると感じていたら自殺していたかもしれないなどと語った。

■アレック・ボールドウィンの銃誤射死傷事件の経緯と捜査の行方

アレック・ボールドウィン「引き金を引いていない」「私に責任はない」 誤射事件後初のインタビューで語る
死亡した撮影監督ハリナ・ハッチンスさん㊧と負傷したジョエル・ソウザ監督 (Instagram/@halynahutchins /@#joelsouza)

事件は10月21日(現地時間)、米ニューメキシコ州のロケ地で映画「ラスト」の撮影中に起きた。ボールドウィンの銃から発射された実弾が撮影監督ハリナ・ハッチンスさんの胸に当たりハッチンスさんが死亡し、ジョエル・ソウザ監督も負傷した。
「ラスト」のプロデューサー兼主演のボールドウィンは、セットの教会の座席に座って実弾が入っていないと聞かされていたリボルバー拳銃で「クロスドロー」の練習をしていたところ、突然発射され、撮影監督のハリナ・ハッチンスさんの胸を貫通して後ろにいたジョエル・ソウザ監督の肩に当たりハリナさんが死亡、監督が負傷した。「クロスロード」とは銃を抜く手とは反対側にあるホルスターから銃を抜くというものだという。

米ニューメキシコ州サンタフェ郡の地方検事と保安官は、ハリナさんの死について捜査を続けており、刑事訴追はまだ発表されていないが、あらゆる選択肢が検討されているという。 兵器係長のハンナ・グティエレス・リードさんが銃を用意し、その銃を助監督がボールドウィンに「コールド・ガン」(実弾が入っていない空包の銃)といって渡したとされる。リードさんが誤って実弾を装填したのか、そして助監督がチェックせずに渡したと取りざたされているが、リードさんの弁護士は、不満を持ったキャストが意図的にダミー弾の箱の中に1発以上の実弾を入れたのではないかと推測しているという。ボールドウィンが発砲した銃にリードさんが弾を入れ、ハリナさんを誤って殺してしまったことは認めているが、彼女は銃に実弾入っていたことは知らなかったと話しているという。

■死亡したハリナさんの夫が「不法死亡訴訟」準備

死亡したハリナさんの夫マシュー・ハッチンスさんはロサンゼルスを拠点とする法律事務所の人身事故と不法死亡訴訟を専門としている弁護士を雇ったという。事情に詳しい関係者によると、訴訟はハリナさんの配偶者とその子供のために起こされ、被告は複数になるという。ハリナさんには、マシューさんと9歳になる息子のアンドロス君がいる。不法死亡訴訟とは人の不注意や過失などから生じた死亡事故に対して、故人の家族又はそれに値する人が責任を求める訴訟。
ボールドウィンは主演だけではなく製作を兼任していただけに、仮に実弾が入っていたことは知らず引き金も引いてなくて銃の暴発だったとしても不法死亡訴訟の被告の1人にされる可能性があるとみられる。これについてボールドウィンは、自分は雇用を決定するような堅苦しいプロデューサーではないと語った。むしろ、自分は「クリエイティブ・プロデューサー」でより映画の内容に関わるものだと語った。この点は今後の争点となりそうだ。