寺島しのぶ、主演映画「あちらにいる鬼」の東京国際映画祭舞台挨拶で製作秘話明かす

(2022年10 月27日9:00)

寺島しのぶ、主演映画「あちらにいる鬼」の東京国際映画祭舞台挨拶で製作秘話明かす
舞台挨拶に登壇した㊧から浜田真理子、寺島しのぶ、廣木隆一監督(26日、都内で)

女優の寺島しのぶが26日、都内で行われた主演映画で第35回東京国際映画祭のガラ・セレクション部門に出品された「あちらにいる鬼」(11月11日公開)の舞台あいさつにサプライズで登壇して、廣木隆一監督、主題歌の浜田真理子と同作の製作秘話などを語った。

同作は、昨年11月に99歳で死去した作家で僧侶の瀬戸内寂聴さんと妻子ある作家・井上光晴氏の不倫をモデルに、井上夫妻の長女で直木賞作家の井上荒野氏が書いた同名小説を映画化した話題作。廣木監督、脚本・荒井晴彦で、作家から出家した瀬戸内寂聴さんがモデルの主人公・長内みはるに寺島しのぶ、井上氏をモデルにした白木篤郎を豊川悦司、白木の妻に広末涼子などのキャスト。恋愛に生きてその情熱を作品に昇華させていった女流作家の瀬戸内晴美さんが7年に及ぶ井上氏と道ならぬ恋をし、出家を決意する波乱のドラマを描いている。

舞台挨拶は廣木監督と浜田の2人で進められたが、後半に観客席にいた寺島が急きょ加わった。エンディングテーマ曲「恋ごころ」を歌っている浜田真理子は「原作も読みましたけれど、原作通りに丁寧に作られていて感動しました。ラストシーンもよかったですね」と語った。

コロナの影響で公開が延期になった同作だが「今はやっとできてほっとしたというか安しんしたという気持ちですね」と廣木監督。
「最初から寂聴さんの役は寺島さんでお願いしたいねという話をしてて、相手役は豊川さん。その前に寺島さんとも豊川さんとも会っていて、この作品はぜひ2人でやりたい、そこに奥さん役に広末さんということで、その三角形ができてこの映画は行けるなと思ったんです」という。

「恋ごころ」について浜田は、「これにあてて書いてということではなかった。もともとあった曲をこれにあてたいんですけどということだったから、昔の曲を覚えて下さったんだという感じもあって嬉しかったです」という。「多分恋をしていた、もう誰が相手だったか忘れましたけど、それぐらい昔に描いた曲だったんで、それを全然違う映像に当たったらそのために書いたみたいな感じに聞こえてきた、歌って映画って不思議だなあと思いました」と語った。

廣木監督は「寺島さんとやった『ヴァイブレータ』という映画で初めて浜田さんの曲をやっていたということもあったんですけど、はじめは考えてなくて、ラストシーンを撮ってて、これはもしかして浜田さんの曲だと思ったらほんとにぴったり来ちゃって。この後ナマで聴いたらみんな泣きますよ」と語った。

「広末さんは豊川さんと寺島さんの間にいる女性の感じで、すごく淡々と気持ちに正直に演じてくれた、すごく強い、まあタイトルは鬼ってあるんですけど、強い感じが生まれててすごかったです。印象に残るシーンはウナギを食ってるとことか、豊川さんの布団に入ってきてさするところがあるんですけど、そういうところがすごくよかったですね」と明かした。 また豊川について「豊川さんも見た目もそうですが、孤独感というかさみしがり屋で、すごい孤独な感じがするっていう。作家というか小説家という職業というか、そういう人ってそういうことなのかなっていうのはちょっと感じます」と述べた。

■寺島「浜田さんの歌声が生で聴きたくて、私は客として来てしまいました」。そして明かしたラストシーン秘話

その後、浜田が「恋ごころ」を情感たっぷりに歌い上げ、客席にいた寺島の登場となった。
「今日は何としても浜田さんの歌声が生で聴きたくて、私は客として来てしまいました。この作品は監督もおっしゃってた通り、皆さんに観て頂くのが初めてなので、今日来て頂いたお客様に心から感謝を申し上げます。そして浜田さんの生の歌を聴けて今日はまた夜は眠れません。ありがとうございます」と挨拶した。

「廣木監督が私を主演で呼んでくださるときは、必ず浜田さんの曲がついてくるので、本当に他人事とは思えないんで、撮影中もこの曲ではないんですけど、ずっと聴きながらイメトレをしていました。本当にいつもありがとうございます」と語った。

そしてラストのタクシーのシーンについての裏話を明かした。
「あのシーンは日が暮れてきて、豊川さんのシーンと、広末さんと私のシーンを1日に撮るはずだったんですけど、広末さんまでで結構いっぱいいっぱいで。日がないっていわれてざわざわしだして、でもこの私の気持ちは絶対次の日は出ないって思ったんで、とにかくみんなに急いでもらって出来上がったシーンなんですね。廣木監督が私を主演で使う映画は必ず最後は私が占めるっていう。『ヴァイブレータ』の時もそうですけど、責任を負わせられるような台本をくださるので、これもまたとてもプレッシャーに感じましたが、その日は豊川さんとも広末さんとお別れをして、車の中でやったシーンなんですけど、なんかわからないんですけど、いろんなことが頭の中に浮かんできて。でもすごい苦しい思いをしたんですけど、劇中で(豊川演じる)篤郎さんといがみ合ったりとか、いろんな苦しいことをいっぱいしたんですけど、あのタクシーの中では一切苦しいこととかつらいこととか、何だあの野郎とか、そういう感情は一切なくて、彼との楽しかった時間が走馬灯のようにバーッと頭の中を駆け巡って。その時につぶやいたのが、川辺で豊川さんと歌った歌ですね。あの歌詞が出てきました自然と」と注目のラストシーンについて明かした。

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