「Diner ダイナー」藤原竜也が冷徹な元殺し屋の天才シェフ役で壮絶演技

(2019年7月5日)

「ダイナー」客は全員殺し屋の食堂を舞台に究極の殺し合い
「Diner ダイナー」(TOHOシネマズ渋谷)

元殺し屋の天才シェフが経営する食堂(ダイナー)を舞台に、店の客の殺し屋たちが狂気の殺し合いゲームを展開する異色のサスペンスアクション。日本冒険小説協会大賞と大藪春彦賞をダブル受賞した平山夢明の小説を藤原竜也、玉城ティナ、窪田正孝、本郷奏多、小栗旬、斎藤工、武田真治、真矢ミキ、奥田瑛二、土屋アンナなどのキャストで蜷川実花監督が映画化した。

客が全員殺し屋の食堂に、普通の女カナコ(玉城)がウェィトレスとして買われて入店する。食堂には天才シェフボンベロ(藤原)が作る芸術的なスフレを味わうためだけに生きているという全身傷だらけの凄腕の殺し屋スキン(窪田)など、さまざまな殺し屋たちが集まり、殺し合いになったり、狂気に満ちたドラマを繰り広げていた。そうしたなか、事故死した組織のドンの後継者をめぐる抗争が勃発して、食堂は殺戮の舞台と化し、ボンベロとカナコも抗争に巻き込まれてゆくというストーリー。

アート界の巨匠・横尾忠則が食堂の装飾美術に自らの作品を提供。また諏訪綾子が天才シェフのカラフルで独創的な料理を再現し、フラワーデコレーションを東信が担当するなど、まずは食堂の豪華絢爛な内装や多彩な料理、飾られた花など圧倒的で斬新なビジュアル、アートに目を奪われる。

そうした舞台装置に囲まれて、食堂の主人の冷徹な元殺し屋の天才シェフ・ボンベロを藤原竜也が凄みをきかせて熱演している。そして玉城が殺し屋たちの客に翻弄されながら命の危機を潜り抜け次第に自己を取り戻していくカナコをフレッシュに演じている。本郷奏多、小栗旬、斎藤工らの殺し屋たちの扮装やキャラクターも異色で、さらには後半のクライマックスに登場する組織のナンバー2で南地区のトップ・コフィ役の奥田瑛二、組織内の北地区のトップ・無礼図役の真矢、西地区のトップ・マリア役の土屋アンナが入り乱れてのスタイリッシュで壮絶な殺し合いのシーンは圧巻。
(2019年7月5日公開)