「女王陛下のお気に入り」アン女王と側近女官と下克上侍女の三角関係

(2019年2月15日)

  • 女王陛下のお気に入り
  • 「女王陛下のお気に入り」(TOHOシネマズ新宿)
  • 第91回アカデミー賞(2月24日発表)に「ROMA/ローマ」と並んで最多10部門でノミネートされている話題作。作品賞、監督賞(ヨルゴス・ランティモス)、主演女優賞にアン女王役のオリヴィア・コールマン、助演女優賞に女官役のレイチェル・ワイズとエマ・ストーンがノミネートされているほか、脚本賞、撮影賞、美術賞、衣装デザイン賞などにもノミネートされている。

    18世紀初頭のアン女王(コールマン)が君臨するグレートブリテン王国はフランスと戦争中だった。軍隊を率いるモールバラ侯爵の妻で女官のサラ(ワイズ)は女王の側近中の側近で、女王の身の回りから政治にまで口を出すなど権勢を誇っていた。そこにサラの従妹だと名乗るアビゲイル(ストーン)が現れ、召使いとして雇ってもらうことになる。上流階級から没落したアビゲイルは、痛風に苦しむ女王の足に自分で採ってきた薬草を塗り、効き目があったことで侍女に昇格する。やがて女王のお気に入りとなりサラの地位を脅かす存在になり、2人は女王の“The Favourite”(一番好きな人=映画の原題)の座をめぐって激しく火花を散らすというストーリー。

    豪華絢爛な王室内部の家具や装飾や衣装、わがまま放題でフランス軍との戦争継続か和平交渉かを自分では決められずさらに操られる孤独な女王の描写。そして下克上を狙うしたたかなアビゲイルとサラの嫉妬と報復など伏魔殿のドラマは見ごたえがある。はたしてこの3人の中で誰がオスカーを手にするのかも注目される。 ちなみにコールマンは同作で英国アカデミー賞の主演女優賞を受賞していて授賞式でトロフィーを手にする写真を自身のインスタグラムに投稿した。(上の写真)ゴールデングローブ賞(ミュージカル・コメディ部門)の主演女優賞なども受賞しており、3人の中では最もオスカーに近いとみられている。一方でアカデミー賞の主演女優賞はグレン・クローズ(「天才作家の妻 40年目の真実」)を本命視する関係者もおり激戦になりそうな雲行きだ。(2019年2月15日公開)