「大いなる不在」プレミア試写会 舞台挨拶に森山未來、藤竜也、真木よう子、原日出子、近浦啓監督登壇

(2024年6月26日11:30)

「大いなる不在」プレミア試写会 舞台挨拶に森山未來、藤竜也、真木よう子、原日出子、近浦啓監督登壇
舞台挨拶に登壇した㊧から藤竜也、原日出子、森山未來、真木よう子、近浦啓監督(25日、東京・千代田区のTOHOシネマズ日比谷で)

映画「大いなる不在」(7月12日公開)のプレミア試写会が25日、都内で行われ、舞台挨拶に藤竜也、真木よう子、原日出子、近浦啓監が登壇して同作の撮影エピソードなどについて語った。

幼い頃に自分と母を捨てた父が警察に捕まったとの報せを受けた主人公の卓が久しぶりに父の元を訪ねると、 そこには認知症で別人のように変わった父の姿があり、父の再婚相手の義母は行方不明になっていた。いったい何があったのかというところから始まる同作は、森山未來、藤竜也の圧倒的演技が際立つサスペンスヒューマンドラマ。
2023年9月に開催された第48回トロント国際映画祭のプラットフォーム・コンペティション部 門にてワールドプレミアを飾ったのち、第71回サン・セバスティアン国際映画祭でコンペティション部門の オフィシャルセレクションに選出され、同映画祭の歴史上日本人初となるシルバー・シェル賞(最優秀俳優賞)を藤竜也 が受賞するという快挙を成し遂げた。
さらにはサン・セバスティアンの文化財団「アテネオ・ギプスコアノ」が最も 卓越した作品に与えるアテネオ・ギプスコアノ賞も受賞。そしてアメリカ最古の国際映画祭、第67回サンフ ランシスコ国際映画祭でもコンペティション部門にて最高賞にあたるグローバル・ビジョンアワードを受賞。また、ニューヨークで開催される北米最大の日本映画祭「ジャパン・カッツ」(7/10~7/21)への正式出品と、藤への特別生涯功労賞の授与が 決定するなど、近浦啓監督長編第2作目にして世界の映画祭で受賞、絶賛を博している。

「大いなる不在」プレミア試写会 舞台挨拶に森山未來、藤竜也、真木よう子、原日出子、近浦啓監督登壇
森山未來

長編映画監督作2作目となる近浦監督は「コロナ禍と僕自身の父 親が急に認知症になったことが大きな契機。今の社会や自分と共 鳴するような作品を作りたかった。そんな時に浮かんできたキー ワードが“不在”だった」とオリジナルストーリーとなる本作の製作 の背景を明かした。

俳優の遠山卓を演じた森山は、脚本に魅了されたといい、「撮影に入る前に、この映画と遠山卓というキャラクターの事を知りたくて、 監督と6 時間くらいお話をさせてもらった。近浦監督のお父さん の容態が物語に大きく影響を及ぼしていることがわかり、近浦監督を知ることが重要で、そこからこの物語への旅が始まった」と振り返った。

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藤竜也

卓の認知症の父・陽二役の藤は、「私も自分の老いと相対しているので、役には入りやすかったです。陽二については 悩むことなくスポッと捕えられた」と、実感を込めながら演じたという。
藤とタッグを組むのはこれで 3 度目となる近 浦監督は「藤さんと映画を作りたいという想いが根っこにあって、また森山未來と藤竜也をスクリーンで対峙させて、 同じフレームにいるところを見てみたかった」と狙いを述べた。
そんな藤との初共演を森山は「居合のよう」と表して「現場で仲良く喋るとか無理に距離を取るとかはなくて、現場に 入るまで藤さんとお会いすることもなかった中で、シーンに入った時からコミュニケーションが始まった。いい意味で 無駄のない緊張感の中で過ごさせてもらいました」と藤をリスペクト。
藤も「この映画は僕らのカップリングが重要な わけで、どこに行ってしまうのかわからないような陽二を見つめる森山さんの視線が好きでした。それを見た時にこ れは行けるのではないか、と思った」と信頼をおいた。

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真木よう子

卓の妻・夕希役の真木は「台本を読んだ時点で参加したいと心に決めました。卓の奥さんとして夕希なりの愛し方で傍 にいてあげる。作品にスパイスを入れるような役柄で嬉しかったです」と振り返り、「未来君とお芝居をしているときは 居心地のいい感じで、未来君はダンスなどをされていることもあり、内側から出る色気が半端なくて目が離せなかっ た。どうやったらこうなるのよ、と」と微笑。
真木とは『モテキ』(2011)以来の共演となる森山は「よう子ちゃんと俺は 『モテキ』以来。職場の先輩・後輩で飛び蹴りされるシーンとかがあって…笑。それが今回は夫婦役で」と再共演にとて も嬉しそうな表情をみせる。

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原日出子

一方、陽二の妻・直美役の原は「台本を読む前に『やる!』と言いました。それは藤さんに会いたかったから。ましてや 夫婦役なんて」と『ションベン・ライダー』(1983 年)以来となる藤との共演に喜色満面。
藤が「懐かしい」としみじみす ると、原は「その当時、移動の際に藤さんの外車の助手席に乗せていただいて、実家まで送っていただきました。生意気にも『おいくつなんですか?』と聞いたら『君のボーイフレンドにちょうどいい年だよ』と言われたのを覚えています。もうメッチャカッコイイ~!と思った」と若かりし日を回想。
これに苦笑する藤の一方で、森山は「それはもう狙ってい ますね!?」とツッコみ、笑いを誘っていた。

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近浦啓監督

また近浦監督はサン・セバスティアン国際映画祭での反応を報告。「予想以上の反応でした。1800 人のお客様から スタンディングオベーションをもらえて、横の藤さんを見たら涙しているような表情をしていて嬉しかった」。
近浦監 督と共に映画祭に参加していた藤も「海外の大きな映画祭でのスタンディングオベーションは儀式のようなところが あるけれど、サン・セバスティアンでは『これは違うな』と思った。一人一人の笑顔が迫って来て、帰りの通路でも観客 の皆さんが見送ってくれた。染みるような笑顔で、この映画は国境や文化を超えたのかしら?と思った」と海外での 手応えを得ていた。

最後に主演の森山は「この映画はサスペンス・ヒューマンドラマと銘打っているけれど、その先には人間の根源に訴え かけてくるような慟哭や叫びがある。日本はもちろんの事、これから海外でも上映されることが決まっているので、 海外の友達にも薦めてください」と語り、藤は「ミステリアスな心の揺さぶられ方をすると思います。どうぞ楽しんで ご覧ください」とアピール。
近浦監督は 35 ミリフィルムで全編撮影していることに触れて「全編を 35 ミリフィルムで 撮っているので、劇場の大きなスクリーンで見ていただきたいです。映画祭や芸術という側面もありますが、一番の 気持ちとしては良質なエンターテインメントを撮りたいと思って取り組んだ作品です。気楽に楽しんでいただければ 幸いです」と呼び掛けた。

【STORY】
小さいころに自分と母を捨てた父が、警察に捕まった。連絡を受けた卓(たかし)が、妻の夕希と共に久々に九州の父の元を 訪ねると父は認知症で別人のようであり、父が再婚した義理の母は行方不明になっていた。卓は、父と義母の生活を調べ始めるが―。

「大いなる不在」プレミア試写会 舞台挨拶に森山未來、藤竜也、真木よう子、原日出子、近浦啓監督登壇
「大いなる不在」場面写真
「大いなる不在」プレミア試写会 舞台挨拶に森山未來、藤竜也、真木よう子、原日出子、近浦啓監督登壇

【クレジット】
監督・脚本・編集:近浦啓 共同脚本:熊野桂太 プロデューサー:近浦啓 堀池みほ
出演:森山未來 真木よう子 原日出子/藤竜也
製作・制作プロダクション:クレイテプス
配給:ギャガ 助成:文化庁文化芸術振興費補助金(映画創造活動支援事業) 独立行政法人日本芸術文化振興会
2023年/日本/カラー/アメリカンビスタ/5.1ch/133分
©2023 クレイテプス
7月12日(金)よりテアトル新宿、TOHO シネマズ シャンテほか全国順次ロードショー