アーノルド・シュワルツェネッガー、自身の“ナチス体験”を元に議事堂乱入事件とトランプ大統領を猛批判

(2021年1月11日23:40)

アーノルド・シュワルツェネッガー(73)が自身のインスタグラムに7分38秒の長いメッセージを投稿して、議事堂乱入事件を扇動したトランプ大統領を猛批判してバイデン次期大統領にエールを送った。トランプ大統領は同じ共和党に所属するターミネーターから引導を渡された。

シュワルツェネッガーは「最近起きた出来事について、この国への移民として、アメリカ人の友人たちと世界中の私の友人たちにいくつかののことを言いたい」と前置きして議事堂乱入事件やトランプ大統領について激白した。

「私はオーストリアで育ちました。クリスタル・ナハト(水晶の夜)またはナイト・オブ・ブロークン・グラスのことをよく覚えています。1938年に起きた、ナチスと同様のプラウドボーイズによるユダヤ人に対する暴虐の夜のことです」

(クリスタル・ナハト=水晶の夜:1938年11月9日から10日未明にかけてドイツ各地で発生した反ユダヤ主義運動、迫害。ユダヤ人の居住する住宅地域、シナゴーグなどが次々に襲撃され放火された)(オーストリアは1938年、ナチス・ドイツに併合され1945年の連合軍の勝利に伴う独立までナチスの支配下にあった)

「水曜日(6日)はまさにアメリカのデイズ・オブ・ブローク・グラスだった。議事堂の窓が壊された。群衆は議事堂の窓を閉めることはせずに、われわれが当たり前と考えていることを閉ざした。彼らはアメリカの民主主義が築いたドアを壊しただけではなく、われわれが築いた原則を踏みにじった」と暴動を批判した。

「私は民主主義が滅びた国で育ちました。第二次世界大戦が終わった2年後の1947年に生まれました。罪の苦痛から逃れるために酒におぼれる男たちに囲まれて、歴史上もっとも邪悪な時代に育ちました。彼ら全員が狂気じみた反ユダヤ主義かナチスではありませんでした。多くの人はただ協力していただけです。一歩一歩将来に向かって歩んでいました。彼らはわたしたちの隣人でした」と過去の忌まわしい“ナチス体験”を語った。

■ナチスのユダヤ迫害「すべてうそと、うそと、うそと、不寛容で始まった」

「私はこれまでこのことを公に話しませんでした。とても苦痛な記憶だからです。私の父親が1週間に1回か2回酒を飲んで酔って帰宅して、叫び、私たちをたたき母親をなじりました。私は彼を止めませんでした。隣の家でも同じようなことをしていたからです。この耳で聞きこの目で見ました。彼らはさく裂した榴散弾の破片が体内に残って肉体的な苦痛があり、見たことやしたことに感情的な苦痛があったのです。それはすべてうそと、うそと、うそと、不寛容で始まったのです」という。

「ヨーロッパでどのようにして物事が制御不能になっていくのかを直接見ました。この国で、そして世界中で、このようなことが起こるという恐怖があります。私は信じませんが、利己主義と悪意による重大な結果が差し迫っていることに気が付くべきです」と警告した

■トランプ大統領も「うそで人々をミスリードしてクーデターを起こそうとした」

「トランプ大統領は選挙の結果と公正な選挙を覆そうとしました。うそで人々をミスリードしてクーデターを起こそうとしました。私の父親や隣人たちもまた、(ナチスの)うそでミスリードされました。うそがどこへ導くのかはわかっています。トランプ大統領は失敗したリーダーです。彼は史上最悪の大統領として歴史に刻まれるでしょう。よかったことは、彼は間もなく古いツイートと同様に無意味になるでしょう。しかし彼のうそと裏切りを許した役人たちははどうすべきでしょうか。セオドア・ルーズベルト(第32代大統領)の言葉を思い出させます。『愛国心は国を支持することである。大統領を支持するということではない』。
ジョン・F・ケネディ(第35代大統領)は『勇気ある人々』で書いています。『私自身の党(共和党)の多くのメンバーは強い性格にかけるために、このような本に彼らの名前を見ることは決してないだろうと保証します』と。彼ら(トランプを支持した政治家)は独りよがりの旗を掲げて議事堂に乱入した者たちの共犯者です。だが彼らの暴動は失敗に終わった。われわれの民主主義は信念を捨てることを拒否したのです。数時間後に議会は再開してバイデン氏の勝利を承認しました。なんと素晴らしい民主主義の発揮でしょう」。

「私はカトリック教徒として育ちました。教会やカトリックのスクールに通い、聖書や教義を学びました。この数日のことから今日の問題に適切な言葉を思い出しました。『しもべの心』という言葉です。自分自身より大きな何かに仕えるということです。選ばれた代表に今まさに必要なものは公共に仕えるという心です。世治かに必要なのは権力よりも大きなもの、または彼らの政党に仕えるということです。我々に必要なのは、この国が築いた高い理念に仕える公僕です。他の国が尊敬する理念です」という。

■「アメリカはこの暗黒の日々から戻って再び輝く」

「過去数日に世界中の友人たちが電話をしてきました。取り乱して国と私たちのことを心配していました。ある女性はアメリカを思って泣き、理想主義についてアメリカがどうあるべきかについて素晴らしい涙を流しました。その涙はアメリカが世界にとってどんな意味を持つのかを思い起こさせるでしょう。私は電話してきた皆に、胸が張り裂けるようなことだが、アメリカはこの暗黒の日々から戻って再び輝くだろうといいました」。

そして大きな剣を手にして「この剣が見えますか?これは(自身が主演した映画『コナン・ザ・グレート』で使用した)コナンの剣です。この剣のことですが、鍛えるとより強くなります。ハンマーでたたき、火で熱して冷水につけ、それを繰り返すとさらに強くなります。 剣のエキスパートになってもらいたいと思って言ってるのではありません。われわれの民主主義はこの剣の鋼鉄のようなものです。鍛えればさらに強くなります。われわれの民主主義は戦争や不正や暴動に鍛えられたのです。われわれは最近の出来事に揺さぶられただけでなく、より強くなりました。何が失われる可能性があるのか理解したからです。もちろん、二度とこのようなことがないよう改善することが必要です。許されないことをもたらした人たちの説明責任を果たすことも必要です。そしてわれわれの、またわれわれの政党(共和党)と不調和について見直す必要があります。そして民主主義を第一に考えなければなりません」とトランプ大統領と同じ共和党に所属する立場で語った。

■「バイデン次期大統領、われわれの大統領として偉大な成功を望みます」

「そして今回の出来事の傷を共に癒しましょう。共和党か民主党かにかかわらず癒しが必要です。共和党か民主党かではなくアメリカ人としてです。このプロセスを始めるのに政治的立場の違いは問題ではありません。次期大統領バイデンに言いましょう。『次期大統領バイデン、われわれの大統領として偉大な成功を望みます。あなたが成功すればわれわれの国の成功です。あなたがわれわれを一つにしようとするように、われわれは心からサポートします』。そして憲法を覆せると考えた人たちは知るべきだ。あなたたちは決して勝てない。バイデン次期大統領、われわれは今日も明日もそして永遠にあなたを支持します。民主主義を脅かそうとする者たちから守ります。すべての人に、アメリカに神のご加護を」と締めくくった。