テレ朝「報道ステ」富川悠太アナ2か月ぶりに復帰 コロナ感染と闘病と反省を生報告

(2020年6月5日)

テレ朝「報道ステ」富川悠太アナ2か月ぶりに復帰 コロナ感染と闘病と反省を生報告
(コロナ感染の経緯や反省点などを報告した富川アナ=4日放送のテレビ朝日系「報道ステーション」から)

コロナに感染して回復し自宅で療養していた富川悠太アナ(43)が4日放送のテレビ朝日系「報道ステーション」(月~金、午後9時54分)で復帰し、番組の中で自身の感染の経緯と入院中の様子や感染を防ぐことができなかったことの反省点などを詳細に報告した。

復帰した富川アナは、番組冒頭で「新型コロナウイルスに感染しておよそ2カ月間休ませていただきましたが本日より番組に復帰することになりました」とあいさつ。「感染拡大の防止を呼びかけていたにもかかわらず、番組内に私を含めて5人の感染者が出てしまいました。視聴者の皆様にあらためてお詫び申し上げます」と謝罪した。

■「結局この間どこで感染したのか思い当たるところはありません」

そして番組の中盤で感染の経緯などを報告。まずは発症したとみられる4月3日の2週間前からの行動について説明した。
3月20日、体育館で知人とバドミントンをしたが、ロッカールームは使わないなど感染には気を使っていたという。21日、携帯電話ショップには家族と行った。22日、スーパーマーケットは1人で利用。その後、休日はほとんど自宅で過ごしていたという。東京都から外出自粛の要請が出た3月28日以降は自宅と会社の往復で通勤はタクシーを利用していたという。
「結局この間どこで感染したのか思い当たるところはありません」という。

最初に体調の異変を感じたのは4月3日の朝で、起床したときにかなり汗をかいていたので熱を測ったら38℃だったが1時間後36℃台にい下がっていたという。体調は普段と変わらなかった。
4日未明に再び38℃台になったが朝には平熱に下がっていたという。
都の相談窓口に相談したところ「その症状だけでは感染と判断はできない。もう少し様子を見てください」と言われた。同日夜にチーフプロデューサーに「倦怠感も息苦しさもないが、ちょっと熱っぽい。明日様子を見て受診を考える」とラインで報告。
5日、6日は平熱で体調も普段通りだったので出社した。
7日、放送中にたんがからむことがあったが、「これまでにも経験があり、それほど重くは受け止めていませんでした」という。
8日、9日と平熱で出社したが「いつもより息が切れる感じがした」という。
同日の昼頃にチーフプロデューサーに「階段を上がるだけで息が上がる。倦怠感や味覚・嗅覚の異常等もなくどう判断してよいものか。今日の放送を乗り越えれば休むことができますし」とラインでメッセージを送ったところ、体温を聞かれたので平熱であることを伝え、番組に出演。放送後にプロデューサーと部長に相談して翌10日に病院に行くことにした。そして肺炎と診断されて入院し11日にPCR検査で陽性と判定された。

「短時間とはいえ2日で2度も38℃台に熱が上がってしまったが、正確に報告せずに番組出演を続けてしまいました。この判断が間違っていたと思います」と反省の弁を述べた。

■「出演前の私はマスクをつけない状態で、感染が確認された番組スタッフ2人、プロヂューサーや総合演出と近い距離で打ち合わせをしていました」

「感染が確認されたチーフプロデュサーとは、番組内容の相談など近い距離で会話する機会がほかの人よりも多くありました。ただお互いにマスクを着けていた記憶がある」という。
「一方で、放送直前の打ち合わせでは、出演前の私はマスクをつけない状態で、感染が確認された番組スタッフ2人、プロヂューサーや総合演出と近い距離で打ち合わせをしていました」という。「詳しい感染経路はわかっていませんが、今から考えますとこうした場で感染リスクが高くなっていた可能性がある」とした。
番組では3月に入ってから夕方に行っていた出演者とも打ち合わせを広い会議室に変更するなど段階的に対策を講じていたという。ただ、感染防止が徹底できていないと考えられる時間帯があったという。4月の初めまで報道フロアで行っていた放送直前の最終打ち合わせでは、感染したスタッフがデスクに座った富川アナの斜め後ろに立って頻繁に作業をしていたという。感染した総合演出やプロヂューサーも「互いに手を伸ばせば届くような」近い場所にいたという。出演者はすでにメイクをしていたのでマスクはしていなかったという。
富川アナはスタジオ解説のコーナーを担当していたので、パネルの文言のチェックなどでスタッフが富川アナのところに集まって1時間近く打ち合わせをすることもあったという。感染が確認されたスタッフもこのスタジオ解説の担当だったという。プロヂューサーと総合演出も富川アナと近い距離で原稿の最終確認を行っていたという。

今回の感染を受けて打ち合わせはすべてテレビ会議に変更したという。出演者とスタッフはほぼ接触することなく放送に臨んでいるという。スタッフも出社組とテレワークに班を分けて接触ン機会を減らすなどの対策を取っているという。

■番組CP「熱がないのに休ませるのは難しいという先入観が甘い判断につながった」

この後、森川夕貴アナ(26)が番組の柳井隆史チーフプロデューサーの以下のコメントを読み上げた。「今回自分を含む複数の感染者を出したことについて、全国的に感染が拡大する中、感染防止対策が後手に回ってしまったことが少なくありません。また、富川キャスターから2度にわたり体調の相談があったにもかかわらず、番組出演や出社を止める判断ができなかった責任を痛感しています。熱っぽいというメッセージを受け取った際に詳しい症状を確認するべきでした。階段で息が上がるというメッセージも体温を確認し一度受診を検討しようという返信をしただけで、当日休ませる判断まで至りませんでした。熱がないのに休ませるのは難しいという先入観が甘い判断につながったと考えています。報道番組の責任者として猛省しております」。

■入院中の病室の富川アナの映像を公開

富川アナは、4月10日に肺炎と診断されて都内の病院に入院してからの経過を病室の映像を公開して報告した。
「その間本当に多くの医療関係者の皆さんに助けていただきました。心より感謝しています」と頭を下げた。

4月12日(入院3日目)の映像ではマスクをして薄いベージュ色の服を着た富川アナがカメラに向かって「ずっと熱は出ておらす咳も出ていません」などと。ただ呼吸がちょっと浅くなっておりまして、少しトイレなどに歩いただけで息が切れるようなじょうたいが続いています」などとリポート。

そして「血液の中の酸素の量を常に図っています」と器具を見せながら報告。血中の酸素濃度「96」と表示され「90を切ると気を付けなければいけない」と話した。

4月14日(入院5日目)、「朝・昼・夕方熱を測って血圧も測っているんですけれど、看護師さんが交代で来てくれます。看護師さんはマスクを二重にして、防護衣っていうんですかね、服を着て、手袋をしっかりしてきてくれます」と看護師さんの様子もレポート。「ただビシッとウイルスが入らないようにしてあるので、腕のあたりに水滴がついていたりして、非常に蒸れて熱い中ずっとリスクにさらされながら、医療従事者の皆さんは頑張ってくれていることを実感しています。本当に頭の下がる思いです」とカメラに向かって頭を下げた。

4月16日(入院7日目)、室内の空気や空気感染する可能性のある細菌が外部に流出しないように、気圧を低くしてある陰圧室(または空気感染隔離室)と呼ばれる病室から移動。「病室を移りました。移動しているときに車いすで看護師さんが押してくださったんですが、久しぶりに外の景色を見ることができて、それだけで気分が全く違うなあという印象を受けました」。この後2度のPCR検査を受けて院生が確認され4月21日に退院。その後は自宅での療養を続けていたという。

■コロナ感染で分かった3つの反省点とは

そして富川アナは3つの反省点を報告した。
① 「まずは私自身のことですが、短時間であっても発熱を軽視しないことです。番組のリニューアルにあたりまして、自分が休むわけにはいかないという勝手な思いこみが、結果的に他の出演者や番組スタッフ、その家族への感染のリスクを高めてしまいました」

② 「また番組としても、正確な体調把握ができていませんでした。コロナウイルスの症状は多岐にわたっていて番組で感染が確認された5人もすべて症状はバラバラでした。息切れ、せきなど発熱以外の症状であっても、少しでも異変があれば休む休ませる判断が必要でした」

③ 「密になる環境を最優先でなくすこともできていませんでした。放送直前の打ち合わせは近い距離で行っていました。感染経路はわかっていませんが、少なくとも感染した5人と社会的距離を取っていたスタッフから感染者は出ておらず、距離を取り接触を減らすことが何よりも大事だということを改めて実感しました」

そして最後に「入院中私は命の危険と隣り合わせで働く医療関係者の皆さんの多くの姿を目の当たりにしてきました。私自身今回の感染をきっかけにもう一度初心に戻りましてニュースの現場を取材することにいたします。新型コロナウイルス感染防止にも少しでもお役に立てたらと考えております」と締めくくった。