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映画
ティルダ・スウィントン主演ミュージカル「THE END(ジ・エンド)」地球に人間が住めなくなって25年 地下シェルターで生きる家族の数奇な人生
(2025年12月10日9:00)

環境破壊により地球に人間が住めなくなって25年、地下シェルターで生きる家族の数奇な人生を描いたティルダ・スウィントン主演、ジョシュア・オッペンハイマー監督の異色のミュージカル「THE END(ジ・エンド)」が12日から公開になる。
同作は、『アクト・オブ・キリング』でアカデミー賞長編ドキュメンタリー部門にノミネートされ、続く姉妹編となる『ルック・オブ・サイレンス』でも世界的に注目を集めたジョシュア・オッペンハイマー監督が、黙示録的なテーマをミュージカルに乗せて描いた意欲作で、地球に人が住めなくなって25年、ディストピアの中にユートピアを作った“完璧”な家族の物語
主演にはプロデューサーも務めた母親役のティルダ・スウィントンと息子役のジョージ・マッケイが扮し、父親役にマイケル・シャノンを迎え、環境破壊により居住不可能となってから25年後の地球を舞台に、豪華な地下シェルターで暮らす富裕層の家族を描く。
スウィントンは『エドワードⅡ』(91)でベネチア国際映画祭の女優賞を受賞、『ザ・ビーチ』(00/ダニー・ボイル監督)、『コンスタンティン』(07/フランシス・ローレンス監督)などハリウッド作品への出演を経て、『フィクサー』(07/トニー・ギルロイ監督)でアカデミー賞助演女優賞を受賞。ウェス・アンダーソン、ジム・ジャームッシュ、ルカ・グァダニーノなどの著名な監督と仕事をし、複雑でしばしば両性具有的なキャラクターを演じている。
息子役のジョージ・マッケイは、『パレードへようこそ』(マシュー・ウォーチャス監督)に出演。同年のベルリン国際映画祭シューティングスター賞を受賞。『はじまりの旅』(16/マット・ロス監督)でカンヌ国際映画祭の若手俳優に贈られるショパール・トロフィーを受賞。戦争映画『1917 命をかけた伝令』(19/サム・メンデス監督)での主演で広く認知された。
少女役のモーゼス・イングラムはNetflixのミニシリーズ「クイーンズ・ギャンビット」(20)のジョリーン役で、プライムタイム・エミー賞限定シリーズ・アンソロジーシリーズ・映画部門の優秀助演女優賞にノミネート。21年、「The Same Storm」(ピーター・ヘッジズ監督)でスクリーンデビュー。Disney+ミニシリーズ「オビ=ワン・ケノービ」(22)でレヴァ・セヴァンダー/第三の姉妹を演じブラックリール賞の助演女優賞を受賞。ほかに『マクベス』(21/ジョエル・コーエン監督)、『アンビュランス』(22/マイケル・ベイ監督)など。
父親役のマイケル・シャノンは『バニラ・スカイ』(01/キャメロン・クロウ監督)、『8 Mile』(02/カーティス・ハンソン監督)、『バッドボーイズ2バッド』(03/マイケル・ベイ監督)などの話題作に出演。『レボリューショナリー・ロード 燃え尽きるまで』(08/サム・メンデス監督)と『ノクターナル・アニマルズ』(16/トム・フォード監督)での演技が評価され、アカデミー助演男優賞に2度ノミネートされた。ほかに『シェイプ・オブ・ウォーター』(17/ギレルモ・デル・トロ監督)、『エジソンズ・ゲーム』(17/アルフォンソ・ゴメス=レホン監督)などがある。







外界から現れた若い女性の到来により、孤立しながらもルーティーンを守ってきた脆い日常生活は乱され、家族は自らの過去と存在の真実と向き合うことを余儀なくされる。今の時代に鋭い警鐘を鳴らし続ける作品。
ジョシュア・オッペンハイマー監督は、この異色のミュージカルについて、次のようなコメントを寄せている。「世界の終わりとは一体どんなものなのか?愛する人と共に生き延びることは可能なのか?そして、世界が終わる時、私たちは何を最も大切にするのか?これらの問いが、この映画をつくる出発点となりました。私たちの文明は、自らを支えてきた基盤を急速に破壊しつつあり、私たちは人類の歴史上かつてないほどの絶滅の危機にさらされています。この映画を通して、私はその恐怖に向き合い、悲しみを抱え、そして人生のかけがえのなさを祝い、私たちが今、直面している喪失に取り組みたいと願いました。『THE END(ジ・エンド)』は激しく心を打つ叙事詩であり、愛と家族と終焉についての物語です」
【STORY】
環境破壊により地表が居住不可能となってから25年。裕福な一家の母親(ティルダ・スウィントン)、父親(マイケル・シャノン)、20歳の息子(ジョージ・マッケイ)は豪華な地下シェルターで、母親の旧友、老齢の執事、医師と共に隔離された生活を送っていた。外の世界を観たことのない息子は歴史上の出来事や場所の縮尺模型を作っていた。家族らは、安全訓練、屋内プールでのフィットネス、地下壕と小さな前哨基地の維持管理、母親が持ち込んだ絵画などの美術品の管理などの日常をこなし、母親はすべてを完璧に見せようとして装飾やレイアウトの細部にまでこだわりを見せていた。
そうしたなか、ある日坑道で意識を失った少女(モーゼス・イングラム)を発見して、
家に連れて帰ったことがきっかけで、少女が一家と同居し始めることで予想外の波乱が巻き起こる。
【見どころ+】
舞台になる不思議な塩の抗道とその奥にある豪華な地下シェルターの造形がユニークで、そこで繰り広げられる家族と仲間たちの物語や、外界から紛れ込んできた招かれざる客の少女が息子と惹かれあい絆を深めていく物語が、それぞれの過去の秘密やトラウマを浮き彫りにしながら、感情のぶつかり合いも含めて、家族や人間関係をリアルに描いて、母親が希求する”完璧な家族”の虚構も露出する。
一方、ミュージカル仕立てで、近未来の世界とミュージカルの取り合わせもユニークだが、歌詞がリリカルでそれぞれの感情の起伏や爆発や思いをリアルに、また時にシュールに描いているのが印象的だ。監督がいう「私たちは人類の歴史上かつてないほどの絶滅の危機にさらされています」という問題に対して登場人物たちがどうのように立ち向かっていくのか、はたまた対峙出来なくなリ”ジ・エンド”なのかに注目だ。
【クレジット】
『THE END(ジ・エンド)』
監督:ジョシュア・オッペンハイマー
脚本:ジョシュア・オッペンハイマー、ラスムス・ハイスタ―バーグ
出演:ティルダ・スウィントン、ジョージ・マッケイ、モーゼス・イングラム、ブロナー・ギャラガー、ティム・マッキナリー、レニー・ジェームズ、マイケル・シャノン
原題:The End/2024 年/デンマーク・ドイツ・アイルランド・イタリア・イギリス・スウェーデン・アメリカ合作/148 分/シネマスコープ/カラー/デジタル/字幕翻訳:松浦美奈
配給:スターキャットアルバトロス・フィルム 宣伝:東映ビデオ
©Felix Dickinson courtesy NEON ©courtesy NEON
公式 HP:https://cinema.starcat.co.jp/theend/ 公式 X @THE_END_movieJP
2025 年 12 月 12 日(金) ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテほか全国公開