河合健監督のオリジナル最新作「みんな、おしゃべり!」公開初日記念舞台挨拶 長澤樹らキャスト、監督登壇

(2025年12月1日9:30)

河合健監督のオリジナル最新作「みんな、おしゃべり!」公開初日記念舞台挨拶 長澤樹らキャスト、河合健監督登壇
舞台挨拶に登壇した㊧から毛塚和義、福田凰希、長澤樹、ユードゥルム・フラット、ムラット・チチェック、河合健監督

河合健監督のオリジナル最新作「みんな、おしゃべり!」が11月29日、ユーロスペース、 シネマ・チュプキ・タバタほか全国順次公開を迎え、主演を務めた長澤樹をはじめとしたキャストたち、そして、河合健監督が都内で公開初日記念舞台挨拶を行った。オフィシャルレポートを公開。

本作は、言語・コミュニケーション格差下で繰り広げられる、“誇り高き小競り合い”を描き、消滅危機言語を扱った前代未聞の作品。監督を務めたのは、挑戦的なオリジナル作品に定評がある、「なんのちゃんの第二次世界大戦」(21)などの河合健。CODA(Children of Deaf Adults/ろうの親を持つ聴者の子どもの意)である河合監督が、日本手話とクルド語を題材にしたオリジナル脚本で、消滅危機言語、コミュニケーションの問題に取り組んだ。
主人公のCODAの夏海役は映画『愛のゆくえ』の長澤樹、父の友人役にはドラマ「デフ・ヴォイス」の那須英彰、同じく父の友人役として映画『ぼくが生きてる、ふたつの世界』の今井彰人、街おこしを計画する団体職員役に板橋駿谷、ろう学校の先生役として小野花梨が参加している。また、夏海の父・和彦役で演技に初挑戦するのは、西日暮里でラーメン屋を営む「麺屋義」の店長でろう者の毛塚和義。その他にも演技初挑戦となる、ろう者・クルド人が多数出演しており、登場人物たちと同じ第一言語に属する方々がキャスティングされている。 満員御礼となった会場には温かい拍手があふれ、キャストたちは観客への感謝とともに、撮影時の思い出や観客からの質問に答えた。

河合健監督のオリジナル最新作「みんな、おしゃべり!」公開初日記念舞台挨拶 長澤樹らキャスト、河合健監督登壇
長澤樹

主人公・夏海を演じた長澤樹は、観客への感謝を述べた後、今回の役で使用した手話について語った。「過去作で一度だけ手話を使ったお芝居は経験がありましたが、日常会話はできなかったので、本作のために撮影前の約3週間、出演者の那須さんのお宅にホームステイをさせていただきました。昼間は、ろうの役者でもある江副悟史さんによる手話指導を受け、夜は演技リハーサルという「手話漬け」の日々でしたが、大変さより楽しさの方が勝っていました」と振り返った。長澤の手話の上達っぷりに、河合監督も「1ヶ月は掛かる学習内容を1週間で習得してしまった」と驚きを語り、表情や自然な動きの習得ぶりを絶賛した。

河合健監督のオリジナル最新作「みんな、おしゃべり!」公開初日記念舞台挨拶 長澤樹らキャスト、河合健監督登壇
毛塚和義

本作で初めて演技をしたという夏海の父親役を務めた毛塚。家庭の事情とラーメン店経営の忙しさを理由に、当初はオファーを断っていたという。しかし、河合監督から「毛塚さんがやってくれないなら、今まで作ってきた脚本を全て捨てる」とまで言われ出演を決意。酔った演技では「首を100回ぐらい回して本当に目を回す」という独自工夫をしたほか、泣くシーンでは入院中に亡くなった家族を思い浮かべ、一発で成功したと手話と豊かな表情で語った。河合監督は「断られてもお願いしたほど表情が素晴らしかった」と出演への強い理由を明かすと、会場からも納得の声が漏れた。 また、夏海の弟・駿を演じた福田は撮影を振り返り、共演者の那須英彰の演技が面白くて思わず笑ってしまい、監督から指導が入ったエピソードを披露。「笑ってはいけないシーンだった」と反省しつつ、良い経験になったと語った。

 同じく演技初挑戦だった、ヒワ役のフラットは苦労した点として、「カメラを見ない」「セリフ暗記」を挙げた。読書習慣がなかったため台本量に苦戦したが、夜に繰り返し読み込んで覚えたという。本作の出演後は舞台にも出演するなど、演技継続のきっかけになったとも語った。 ヒワの父親を演じたムラットは、本作への出演理由について、「独特なシナリオに惹かれ、何度も読んで、興味を持った」と明かした。

 河合監督は自身がCODAであることが本作を制作したひとつのきっかけだといい、「これまで“聴者向けに作られた作品を字幕で補完する”という構造に違和感を持っていました。だから、“聴者にもろう者にも、わかる部分とわからない部分が混在する映画” を目指そうとし思いました」と振り返った。また、映画館という空間に注目し、「隣に違う言語の人が座ったら?」という発想から、言語の混在・ズレ・誤解をあえて楽しむ設計にしたと明かした。企画初期から一貫して「異なる言語・文化・価値観が混ざり合う状況」を本作の軸に据えており、情報過多の現代において「わからないまま人と向き合うことが心地よい」感覚を重視して制作。また、本作をコメディとして作ったつもりはなく、真剣に描いた場面で笑いが起きるのは観客それぞれの受け止め方であり「どれも正しい」とも語った。

 観客とのティーチインも行われ、終盤のシーンの演技について質問が及ぶと、長澤は「台本にはト書きしかなかったんです。手話を使わずに伝えてみて欲しいと監督から言われていたので、とにかく、伝えることに必死でした」と語り、毛塚は周囲の反応を観察しつつ“即興的に”演じていたと明かした。また、夏海とヒワが“デタラメ語”を話すシーンも決められたセリフがなかったので、演じるのに苦労したとフラットは振り返った。河合監督は「“デタラメ語”は自分が子どもの頃にやっていたことが基になっています。一つの言葉ではなく“ざわざわした音の集合”を再現したかった」と説明した。 劇中で駿が作り出した文字については、アルファベット等を模したものではなく「感情を象徴する形」としてデザイン。アラビア文字などを参考に“手の形に見える部分”から発想を得ているという。

 本作のタイトル『みんな、おしゃべり!』について尋ねられると、当初は「あーだこーだ」だったと河合監督。しかし、制作を進めていく中で、ヒワが川辺で「みんなおしゃべりだ」というセリフのシーンを観て、小澤プロデューサーが「これしかない!」と決めたと述べた。

河合健監督のオリジナル最新作「みんな、おしゃべり!」公開初日記念舞台挨拶 長澤樹らキャスト、河合健監督登壇
河合健監督

 最後に、河合監督は「自分から見えるものと、皆さんが感じる者はきっと違うので、その違いを楽しんで欲しいです。劇場で知らない方同士が話すのは難しいと思うので、ぜひSNSで感想を共有していただけたら嬉しいです。この映画はとても小さな作品で、全国でも上映館は多くありません。東京から盛り上げて、全国に広げていきたいと思っています。応援よろしくお願いします!」と観客へ想いを託した。

河合健監督のオリジナル最新作「みんな、おしゃべり!」公開初日記念舞台挨拶 長澤樹らキャスト、河合健監督登壇
「みんな、おしゃべり!」ポスタービジュアル
河合健監督のオリジナル最新作「みんな、おしゃべり!」公開初日記念舞台挨拶 長澤樹らキャスト、河合健監督登壇
「みんな、おしゃべり!」場面写真

【STORY】
ろう者の父と弟がいる古賀家と、その街に新しく越してきたクルド人一家が、些細なすれ違いから対立する。二つの家族の通訳として繰り出されたのは、古賀家で唯一の聴者である娘の夏海と、クルド人一家で唯一日本語が話せるヒワだった。二人は次第に惹かれ合っていくが、両者の対立は深まるばかり。そんなある日、夏海の弟・駿が描いた謎の文字をきっかけに、小さな対立は街を巻き込む問題へと発展、想像を超えた結末へと向かっていくー。

【作品概要】
出演:長澤樹、毛塚和義、福田凰希、ユードゥルム・フラット、Murat Çiçek、那須英彰、今井彰人、板橋駿谷、小野花梨
監督:河合健
脚本:河合健、乙黒恭平、竹浪春花
プロデューサー:小澤秀平
ろうドラマトゥルク・演技コーチング:牧原依里 /手話指導:江副悟史 /ろう俳優コーディネート:廣川麻子/ クルド表現監修:Vakkas Colak
企画・配給・製作プロダクション:GUM株式会社
配給協力:Mou Pro.  助成:文化庁文化芸術振興費補助金(日本映画製作支援事業)|独立行政法人日本芸術文化振興会
  ©2025映画『みんな、 おしゃべり!』製作委員会
公式HP:https://minna-oshaberi.com
11月29日(土)よりユーロスペース、 シネマ・チュプキ・タバタほか全国順次公開中